五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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「おう、有坂。待ってたぜ!」

「お疲れ様です。北条さん」

 

 

本日のバイトは花火大会会場にある屋台の設営、そして営業。

 

「今回は何ですか?」

「焼きそばだ。また調理頼むわ」

「承知です」

 

調理担当になっちゃった。熱いんだよ。鉄板でやるから。

楽しいから良いけどさ。

 

 

今日のバイトは屋台、前回のバイトはイベント会場の設営、前々回はぬいぐるみの中に入った。

オーソドックスな仕事ではティッシュを配ったこともあったか。

この会社は日雇いで色んな仕事をやっている。力仕事が主だが、

特にメインはぬいぐるみの中の人だ。

ぬいぐるみというよりはヒーローショーだが。おまけとしてゆるキャラとかにも入る。

 

祭りの屋台ではあるが非合法な運営のアレではない。出店要請を出しているのは市区町村なので、ちゃんとした正式な仕事だ。

どういうルートで仕事を取ってきているのだろう。

日雇いなので月の仕事量にはばらつきがあるが、やっていて楽しいし、金払いも中々良い。

安定した稼ぎではないが、小遣いを稼ぐにはぴったりだった。

 

 

「設営終わりました。15時からですか?」

「ああ、花火の開始が19時だから、ピークは18時過ぎだな。」

「はい。気合入れときます。」

 

15時から屋台を設営してもはっきり言ってあまり人は来ない。

が、市区町村からの出店命令なので時間がきっちり決まっているのだろう。

売上も経費もすべて向こう持ちなので構わないが。

徐々にエンジンをかけていこう。

 

「それにしても良かったのか?花火大会。」

「自分友達いないんで。」

「そんな悲しいこと言うなよ。一人はいただろ?」

「あいつは・・・・花火の光をライト代わりにして外で勉強するような奴です。」

「やばいなそれ。」

 

 

 

 

 

「いらっしゃいませー!二人前は800円になりまーす!

こちら200円のお返しと、焼きそば二人前でーす!」

おかしい。予想よりかなり人が多い。今がピークじゃないのかこれ。

まだ17時だ。1時間早いぞ。

 

「北条さーん?野菜出せますか!」

「あるぞ!ちょっと追加買ってくるからな!」

「え” 良いんですかそれ!」

「品切れには出来んだろ!」

 

近くのスーパーに買いに行ってしまった。

支給分がなくなったからなんだが、勝手に購入して・・・。

追加の費用は出してくれるんだろうか。役所はそのへん厳しいと思うんだが。

 

「少々お待ちください!・・・・・お先にこちら1人前でーす!

お待たせしました!何人前でしょう!1人前ですね!

右側にずれてお金を準備してお待ちください!」

 

 

 

「有坂くん。大丈夫?」

「佐野さん!お待ちしてましたよ!鉄板変われますか?」

「任せて。」

「勘定と注文はこっちでやります!」

 

ピークに合わせて人員追加の予定だったが、やっと来てくれた。

少し落ち着ける。かなり汗をかいた。けど、さっきより人は少ない。

ピークのタイミングずれてないか?

 

「お待たせしておりまーす!こちらにどうぞ!」

「ここでバイトか?凪。」

「風太郎か。・・・・ん?風太郎?よく祭りに来たね。」

「ナギさんこんにちはー!」

「ああ、らいはちゃん。久しぶりだね。」

 

らいはちゃんの付き添いか。それにしても珍しい。

 

「一人前?」

「ああ。400円だな?」

「待ち待ち。はいよ、一つ奢りだ。」

「なに?良いのか!」

 

目を輝かせるんじゃない。隣に妹がいるのに。

 

「持ってきな。これくらい大丈夫さ。」

「らいは、凪からプレゼントだぞ。」

「ありがとーございます!」

「どういたしまして。」

「今日ね!お兄ちゃんと五月さんで写真撮ったの!」

「ん?風太郎と五月さんで・・・・かい?」

「ほら!」

 

あー、プリクラかぁ。ゲームセンターで遊んでたのね。

風太郎と五月ちゃんねぇ。どういう成り行きでこうなったのか。

この写真の二人の顔を見るとちょっと予想はつく。ぎこちないスマイル。

 

「良かったねぇ。」

「一生の宝物にするんだ!」

「あとで1枚ちょうだい?それ。」

「断固拒否する」

「風太郎に聞いてないよ・・・・」

 

プリクラはもらえないらしい。結構欲しかったのに。この顔はポイント高い。

今後仲が良くなったらこのプリクラはとれない。

これから先同じものが出回るかどうかわからない。レア度高いぞこれ。1000円出せる。

 

「じゃあな。今日は暑い。バイト中に倒れるなよ」

「忙しい時期は終わったしもう大丈夫だ。ありがとう。」

「ばいばいナギさん!」

「ばいばーい」

 

 

さてもう少し。足がちょっと辛いが、1,2時間ならいけるだろう。

そう考えて10分程度、また見知った顔が来た。

 

 

「いらっしゃいませ!何人前でしょう!」

「一人前、お願いします。」

「400円を準備してお待ちください・・・・・ん?キミは?」

「え?・・・・・・・有坂くん!?」

 

五月ちゃんだ。いつもと髪型が違う。浴衣、良いねぇ。

星の髪飾りと今の呼び方がなければわからなかった。

 

「五月さん、こんばんわ。」

「!・・・こ、こんばんわ。こんなところで何をしているのですか!」

「ごらんの通りさ。バイトなんだよ。」

 

かなり驚いているようだ。まあ珍しいよね。こういうバイトは。

結構好きなんだけど。

 

「佐野さん!出来立てお願いします!」

「丁度できたとこ。」

「どうも。一人前お待ち!400円ね。」

「あ、ありがとうございます。」

 

中野家は我々庶民とはかけ離れているためお代はちゃんといただくことにした。

さっきの風太郎の分は後で400円を自腹で追加しておく。

売上伝票がないため合計金額がずれると面倒だ。

 

「他の人たちには?会いましたか?」

「やっぱり5人で来てるのかい?見てないね。風太郎とらいはちゃんなら会ったけど。」

「そうですか・・・・みんなに教えてきます。」

「あはは。良いよそんなことしなくて。ちょっと恥ずい。じゃあね。」

「・・・・ええ。また。」

 

 

焼きそばとアメリカンドッグを持ち五月ちゃんは去っていった。相変わらず食べるなぁ。

既に折り返しは過ぎてもう少し。頑張ろう。

 

 

 

 

「有坂くん。お疲れ様。ちょっと早いけど、今日はもう上がって。」

「佐野さん?良いんですか?」

「理由はわからんが、客入りは少なくなった。あとは任せてもらっていいぜ!」

「北条さん。」

 

このコンビか。じゃあ邪魔者は消えた方がいいかもしれない。

仲いいんだよねこの二人。付き合ってると噂だ。二人はズットモ。

 

「・・・さっきの子、友達でしょ?」

「友達・・・・・んー友達ねぇ。」

「なんだよ。やっぱり来てたんじゃねぇか。ちゃんと言えよ水臭い!」

「綺麗な女の子だったよ。」

「女!?有坂に女だと!」

「そんな驚かなくてもいいでしょう・・・・」

 

面倒なことになってきた。あとで根掘り葉掘り聞かれるやつじゃん。

どう言えばいいんだろ。あの関係。

 

 

「・・・ふふ。そうですね。友達ですね。すいません。」

「そうか!じゃあもう上がれ!一緒に花火でも見てこい!」

「ありがとうございます。」

「青春だね。」

「後日、なにがあったか報告するように!」

「花火見るだけですよ?」

 

もういいだろう。友達という事で。二乃と五月ちゃんはまだ怪しいが。

他3人とは友達と呼べる仲だ。うん。

 

 

 

 

 

 

まかないと化した焼きそばを食べながら、二人の仕事っぷりを見ていた。

焼きそばの見過ぎであんまり食べたくなかったが。タダなので仕方なく食べる。

 

 

「なぁ、どんな人だったんだよ?有坂の彼女。」

「・・・教えてあげない。」

「なんでだよ!」

「北条さん聞こえてますよー。友達ですからねー。

・・・・ごちそうさま!じゃあ上がります。お疲れさまでした!」

「おう、行ってこいや!」

「お疲れ様。」

 

 

さぁ、どうしようか。

普通に風太郎とらいはちゃんを探そうかな。

 

 

 

 

 

「・・・・人、多すぎない?」

 

今回の祭りはいつもより規模が多い。

よく考えればバイト前に見せてもらった会場地図も、屋台の数がいつもより多かった。

そう思っていたらドーンと、大きな音がした。

花火が上がり始めたようだ。

 

「何時までだっけ。一緒に見るのは厳しいかもなぁ。流石に帰ってないと思うけど。」

 

あてもなくぶらついていたら・・・・・また遭遇した。

涙目でスマホ通話をしている五月ちゃんだ。どうして泣いているのか。

そんなに花火に感動したのだろうか。

 

 

 

「・・・五月さん?何してるんだい?」

「あ、ありさかく~ん」

「通話続いてるよ?誰と喋ってるのさ?」

「迷ってしまって・・・・・二乃と・・・・」

 

スマホを差し出されたので受け取る。どーしろと。

 

「もしもし?有坂だけど。」

「有坂!?なんであんたがいるのよ!」

「たまたま通りがかった者ですー。」

「もうあんたでいいから五月をここまで連れてきなさい!」

「はいはい。何事ですか。」

 

 

詳しい話を聞いた。花火をある建物の屋上から見る予定だったが、

皆散り散りになってしまった。そして、建物の位置は二乃しか知らないとのこと。

 

「その建物、下に何の屋台がある?」

「屋台?・・・・くじ引きとかぎ氷の文字が見えるわ。あとはここからじゃ文字が見えない。」

「了解。それだけわかれば十分。連れて行くから、屋上から顏を出しておいてほしい。」

「・・・・わかったわ!」

 

 

通話を切る。やけに素直だったな。姉妹の事となれば必死になるか。

会場の地図をある程度頭に入れておいてよかった。確かあの辺りだ。

 

「よし、行こうか五月さん。」

「は、はい・・・・」

「この人込みだ。お手を・・・・拝借するよ。」

「っ!?」

 

強引に手首を掴み、歩き始める。

迷子になった実績があるなら、こうしないといけない。

方向音痴というのは舐めていると身を滅ぼす。

 

「ななな何を!」

「時間がないよ!・・・立ち止まってないで歩いて!」

「は、はい!」

 

最近気づいたことがある。五月ちゃんは案外押しに弱い。

理がある程度通ってさえいれば、力押しでどうにかなる。

目標地点に向かって歩き始めた。

 

 

手と手を繋ぐのは恥ずかしいだろう。手首にした。

恥ずかしいのは、俺もなんだけど。

万が一この光景を北条さんに見られたら面倒だし。

 

【女!?有坂に女だと!】

 

女っていうな。友達ですよ友達。

友達なら手くらい繋ぐでしょ。

 

 

 

 

 

・・・・繋ぐだろうか。

同年代同性の友達では、まず繋がない。肩を組んでサムズアップ。そんな感じだろう。

異性の友達も・・・繋ぐことはないだろう。

女子と女子の友達なら繋ぐ気がするが、もしかすると男目線の幻想かもしれない。

 

そう考えると少し顔が熱くなる。

急に手の汗が気になりだす。気にするな。気にするともっと酷くなる。

考えるな。歩け。二乃のもとに届ければそこまでなんだ。

大丈夫。友達。間違いなく友達。

そう。これは風太郎のように5姉妹への理解を深めるために重要なこと。

友達を知ろうとしているだけだ。

 

俺もあいつのように・・・・真剣に向き合わなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

二乃に五月ちゃんを預けて、一休憩する。

頭に風太郎がチラついてからはやけに冷静になった。

今日もまた助けられてしまったよ、相棒。

 

歩きながら他の姉妹を探す。残り3人。乗り掛かった舟だ。最後まで付き合う。

勝手なイメージでは四葉ちゃんが厄介だと思う。

一定の場所にいない気がする。こっちが探しているのだから動かないでほしい。

が、残念ながら連絡先を知らないのでそれも伝えられない。二乃に喋っておけばよかった。

そうやって周辺を探していると・・・・三玖を見つけた。

 

 

しかし、三玖は知らない男性に手を引かれていた。

 

 

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