五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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この辺りで後悔をしていました。

主人公が二人とくっつくのであれば、
風太郎が四葉以外とくっついた未来も書いて良いんじゃないか

と考えましたが、学園祭の後に決断の日を持ってきたため、書けなくなってしまいました。
風太郎に、やっぱり四葉を振って二乃、三玖にした 
と発言させるには私の度胸が足りませんでした。




105-1

 

 

「いやー。ありがとう。

最近の俺は確かにどうかしてたかもしれない。目が覚めた気分だよ。」

「ふふふ。どーいたしまして!」

「三玖にも感謝だね。」

 

ありがとう殿。このご恩は忘れません。

 

クリスマスイブはまだ途中。夕方くらいだ。

あれからもおうちデートを楽しんでいた。

変に外出るよりこっちの方が良いな。

 

しかしさっきの俺、中々酷かったな。

折角一花と一緒に居られる貴重な時間、更に二人っきりでリスクもないってのに。

やってた事が単語帳とにらめっこって。

結構終わってるぞ。すまん相棒。俺、キミに偉そうなこと言える立場じゃなかったわ。

 

 

まあ、とりあえず何とかなるだろう。

そりゃ、将来の事はちゃんと考えたいが、まだ幾らでも時間はある。

今この時、この一瞬を大事にしよう。隣には素敵な彼女がいるんだしな。

そっち優先だ。

 

「一花はなにかしたいことはあるかい?

・・・と思ったけど、メシの時間かな。食べたいものを聞こうか。」

「うーん・・・・そうだなぁ・・・・・

クリスマスだし・・・あ!ナギ君作ってよ!」

「俺?ご注文は?」

「えーっとね・・・回鍋肉!」

「おや、覚えてたのかい。嬉しいね。」

 

随分前の事だが俺の得意料理を覚えていたらしい。・・・五月には食わせたな。

全くクリスマスらしさは無いけどね。

確かに、ここはウィークリーマンション仕様のホテルなので、

調理設備がある。食材があれば出来るな。

 

「じゃあ買い物に行くかい?」

「うん。いこ?」

「では、俺がエスコートしよう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

二人してその辺のスーパーに買い物に来ていた。

ウチの彼女さんはもちろん変装中である。

まあ、問題ないだろう。お高いスーパーではないからな。

大女優がこんなところで買い物をするとは思うまい。

 

食材を一つ一つ確認し、かごの中へ入れていく。

 

「ねえ、ナギ君?さっき英語の勉強してたよね?」

「ああ、うん。あれね。・・・・三玖、もしくは誰かから聞いたかい?」

「え?・・・いや?何か理由があるの?」

 

そこまでは喋って無いのか。

なら、全て喋ってしまおう。そっちの方が心配をかけなくて済みそうだ。

 

 

「この前、皆と相談してね。将来なにしよっかなーと。

それでキミは旅行が好きだって話を聞いてね。通訳出来ないかなーと。」

「通訳・・・・あー!確かに!」

 

良い反応だ。みんなで相談して正解だったな。

ありがとう姉御。言い出しっぺはあなたでした。

二乃選手の見事なダイビングキャッチ。ビッグプレーです。先週のハイライト待ったなし。

 

 

「キミが海外に行くならキミについて行けばいいし、

国内にいる間は翻訳の仕事があるかなって。パソコン一つでどこでも仕事が出来そうだから。」

「ふふ。そうだね。将来、頼りにしちゃお。」

「それで・・・英語の勉強をしてる訳なんだけどね。

大学は英語メインの大学ではなく、ちょっと違う毛色のところへ行く予定だよ。」

「違う所?」

「そう。それは・・・今は秘密にしておこう。ただ、英語がメインの大学じゃなくてね。

可能なら、並行して英会話の教室に行こうと思ってる。」

 

「そうなの?・・・・大丈夫?大変じゃない?」

「出来そうなら、やるってだけだ。

大学生活が安定して、余裕がありそうならやるよ。」

「うん。無茶はしないでね?

私にも出来る事があったら言ってね?」

「その言葉、そっくりそのまま返そう。

仕事上、ストレスはキミの方が多いだろうからね。

いつでも愚痴ってもらって構わないよ。呼ばれれば飛んでいくし、いつだって電話に出るさ。」

「ふふふ。おねがいね?」

 

まあ、俺も俺なりに少しは考えて会話をしている。

変装しているとは言え、一応人前だからな。隠れたスキャンダル、もしくはファン対策さ。

それくらいを考える余裕が、今の俺にはある。本当に心が軽くなった。

まるで、あのフォークダンスのようだった。

 

一花、キミにわかるかい。スーパーに来てから、ひっそりと俺が気を付けている点が。

わからなくて良いよ。気づかれて、キミに余計な心配をかけるのも、困るからね。

出来る男は、愛する女に心配をかけないってやつだ。

ハードボイルドなナギ君です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー」

「ふふふ。おかえり!ナギ君!」

 

一緒に帰ってはきたものの、一花がドアを先に開けて中に入り、

こっちを振り向いたのでそう喋った。

良い顔だ。もう心配はかけてないみたいだな。

当然荷物は俺が持っている。両手が塞がっているから一花がドアを開けてくれた。

 

「さて、作ろうか。折角だ、手伝ってくれるかい?」

「もちろん、良いよ?」

「よし。初めての共同作業と行こうか。

一花は料理どうなの?出来るの?」

「あんまりかなぁ。最初の三玖より酷くないといいなぁって感じだよ?」

「あら。まあ忙しいからね。」

 

今では三玖もとても優秀になったけどね。

パンなら殿の右に出るものはいない。小麦粉という名の黒船襲来。

米は駆逐されました。

 

 

食材の下ごしらえをしていき、

「そうそう、ナギ君。私、3学期の途中から学校にちゃんと復帰できるんだ!」

「え?そうなの?・・・・まあ、3学期から復帰しないと日数が足りないか。」

 

休学制度は一定の日数が必要。

1学期だけでは少し足りなかったようだ。そのための復帰かな。

まあそれでも、学校をちょくちょく休む時はあるんだろう。

 

「登校どうしよっか?」

「またあのコーヒー屋かい?一花が一緒に行くってんなら、

俺も行くけど。メガネで大丈夫かな?」

「うーん・・・・制服だし、大丈夫だと思うけど?」

「手を繋ぐのは、一応やめとこうか。一緒に登校はしよう。」

 

 

基本的には一花の言うとおりにしてあげたい。

これから先はスキャンダルとのリスクが常につきまわる。

俺も決して忘れることはない。

 

が、しかし。折角彼女がこうして俺を求めてくれるんだ。

恋人の願いは少なからず叶えてやりたい。これを最優先にしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「いただきまーす」」

 

料理が出来たので、一緒に食べる。

ご飯、回鍋肉、細切りの大根がメインのサラダ、

溶き卵を浮かせたちょっととろみのある中華スープ。デザートにイチゴ。

全く持ってクリスマスらしさはない。

 

しかし、これで良いのだろう。

きっと彼女が求めているのは恋人とのありふれた日常。

何せ大女優だ。常日頃が非日常だからな。

 

回鍋肉はいつも通り作った。特別熱を入れて作ったわけではない。

気合を入れて作るのならば、まずは肉、野菜を一回油通しする。

肉は油のベールを纏わせて旨味を閉じ込めるため。

野菜は食感の為。いろどりも良くなる。

 

が、日常生活における食事において、いちいちそんなことをするのは面倒。

なのでその手間を省き、いつも通り作った。これでいいんだろう。

調味料を中華鍋に入れて、軽く炒める。その方が香りが立つ。その後に肉を投下。

こうすることで野菜よりも肉の方の味が強くなる。調味料に直接触れる訳だからな。

対して、野菜は薄味に仕上がる。

 

味の濃い肉と味の薄い食感の良いしゃっきりとした野菜。

これを一緒に食べると、良いバランスなんだ。食が進む。

口には出さないが、俺なりのこだわりだな。

 

 

「お口に合いますかどうか。」

「ナギ君。」

「はい?」

「食べさせて?」

「え?」

 

いやいいけどさ。回鍋肉ですよ?

ちょっと厳しくないっすか?

 

「無理じゃない?別に良いんだけどさ。

服汚れるとあれだし。食べ終わった後のイチゴで我慢してください。」

「え~」

「我慢しないとダメです。おねーさんなんだから。」

「む~。」

 

不満げ。仕方ないでしょ。

カレーとかならスプーンでイケるけど。

しかしおねーさんどうした。たまに俺に甘えたがるんだよな。

この間はライブステージで自己嫌悪に陥って俺が甘やかされたけど。

 

「う~ん。でも美味しい!ナギ君はやっぱり料理上手だね!」

「それは良かった。これからは専属シェフだね。」

「ふふ。楽しみだなー?」

「レパートリーを増やしておくさ。」

「ナギ君が頭痛で倒れちゃった時は私が作るね?」

「ははは。そんなに高いギャラは払えないよ?」

 

一花の料理の腕はそこそこだった。

センスはあるようだ。何でもそつなくこなせるんだろうな。

勉強は出来なかったけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「♬~~~」

 

食事を終えてひと休憩。

エプロン姿の一花が鼻歌を歌いながら食器を洗っている。かわいい。

飯をメインで作ったのが俺だから休んでてと言われてしまった。

 

ふむ。ちょっと・・・・いたずらでもしてみようかな。

今はそんな気分だ。さっきは機嫌を損ねてしまったからな。

これで機嫌が直ると良いが。

 

「いちかー」

「なに?」

「ちょっとしつれい」

「わ。なになに?どうしたの?」

 

後ろから体に手を回して抱き着く。

自分の頭を一花の肩に乗せる。

あー。楽。

 

「こっち向けるかい?」

「んー?いいよ?」

「ありがとう。では失礼。」

 

一花の後ろ頭をガっと掴み、こちらの顔面に引き寄せて

 

 

 

 

 

 

 

 

短い口づけを交わした。

 

 

 

どうだい。キミ、こういうの、弱いんじゃないか。

 

 

 

・・・・不意打ちさ。さっきは、結局しなかったからな。

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ん。満足した。では戻ります。」

「・・・・・・・・・・・・・・」

「一花さん?もしもーし。」

 

大女優さんは珍しくお顔が真っ赤で放心状態でした。

心の準備が出来ていなかったか。ファーストキスはこの間済ませたじゃないか。

あれが一花にとっての最初かどうかはわからんけど。

 

食器洗いの手が止まってますよ。らしくないな。水出しっぱなしですよ。

余裕ないねぇ。さっきのナギ君みたいだねぇ。

 

おねーさんもちょっとこれにはやられてしまったみたいだ。

今日はナギおにいちゃんです。キミは妹だね。俺の勝ちだ。

風呂入ってこよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー。」

 

入浴中。

いやー。そうか。あんな反応をするとは思ってなかったな。

ウチの彼女さんはかなり効いてしまったらしい。

もしかしてファーストキスの相手は俺だったんだろうか。

中学から恋愛恋愛してそうな気がしたんだが。

 

 

・・・・ん?そういえば。ドラマでキスシーンがあったって言ってたな。前田くん。

まだ調べていなかった。誰なんだろ。スマホは充電中で今はないからな。

あとでーーーガラガラガラ

「ナ、ナギ君、い、一緒に入ろ!?」

「だー!!!」

 

 

 

入浴中。一花が入ってきた。

プールと同じ黒の水着を着ている。

クッソ。あらかじめ用意してやがったな。さっきの仕返しをしに来たんだ。

こっちは完全なる裸だぞ。思わず股間を隠してしまった。湯舟の中で見えないのに。

 

「詰めて詰めて!」

「え?ここに入るの?無理じゃない?」

 

そう言って浴槽の中に入ろうとしてくる一花。

いやここ中野家じゃないんだぞ。普通の家庭の浴槽だぞ。

ウィークリーマンションだもん。

そこで一緒に入ろうとすると・・・・

 

「じゃ、じゃあここね!」

「・・・・・・・・・・はい・・・・・・・」

 

俺の体の上に一花が乗ってきた。

おい、待て。キミの顔さっきより真っ赤じゃないか。

無理するなって。旅館の時の姉御みたいだ。

 

・・・・・いや、ヤバいってこれ。無理。

体が反応する。

 

 

あの時プールで日焼け止めを塗っていた時とはわけが違う。

あのときの俺は恋愛に関して心を閉ざしていたから何も感じなかった。

しかし今は・・・・・

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・ごめんなさい。」

 

 

そう。あの時の俺と今の俺は違う。

今は俺もブロークンハートを卒業し健全なる一般青年である。

美人で綺麗な恋人が密着し、背中越しとはいえマウントを取っているのだ。

当然体が反応してしまい、俺の熱が一花の体に接触している。

 

 

ただ・・・・ちゃんと決めている。

 

 

向こうが要求しない限りは手を出さない。

それに、少なくとも20歳からだ。まだ早い。というか大学卒業してからにしたい。

鋼の意志。絶対に、絶対にまだそんなことはしない。

一時の過ちでお腹に生命なんて宿してみろ。

女優さんに一大スクープだ。ネット大炎上だよ。

 

 

生理現象だ。体が反応するのはしょうがない。

それはもう諦める。だが、手を出すかどうかは別。

 

 

「・・・あはは。安心しちゃった。

ナギ君、こういうことに興味ないのかなーって思ってたから。」

「あるに決まってる。さっきキミにキスしたじゃないか。」

「そうだけど・・・・日焼け止め、塗ってくれたでしょ?」

「えーと……プールの?」

「そそ。・・・あの時、全然反応なかったから、

私もちょっとショックを受けちゃって・・・・それで、諦めちゃおうかなって・・・」

「あの時は俺の心が壊れてたからね。今は違う。」

 

夏休み中の自主退学の事だろう。

なるほど。日焼け止めを塗らせたあの時か。

 

 

 

手を繋いでデートしたり、団子を食べさせたり、頬にキスをしたり。

果てには日焼け止めを利用して素肌にまでベタベタと触らせたというのに。

 

そこまでやっても全く無反応で見向きもしない俺に愛想をつかし、諦めた。

そして未練を捨てるために女優一本で行こうと自主退学。

ナギ君サヨナラバイバイ と、そういう事か。

 

 

まあ、仕方のない事だ。風太郎達に感謝だな。

最低だな有坂とかいう奴。一回滅んだ方が良いよ。世の中には酷い奴もいたもんだ。

 

 

 

「・・・・・大丈夫。絶対に手は出さない。

そう決めてる。体は・・・・・御覧の通りだけど。」

「うん・・・・ありがと。」

「ただ・・・・これくらいはするけどね。」

 

一花の体を回して、こちらを向かせる。

正面から抱き合う格好。

手は出さないと言ったが・・・・これくらいは許してくれ。

さっきのではっきり分かったけど、結構好きなんだよ。俺は。

 

 

「ナギ、君。」

「一花。」

 

一花がこちらの両肩に両手を置いて・・・・・

 

ついばむように、軽いキスをしてきた。

 

 

 

短い接触を、何度も、何度も。

 

 

くっついては、離れ。またくっついては、離れて。糸なんか出来やしない。

 

 

小鳥の啄み。・・・バードキスというのかな。こういうの。

 

 

 

 

 

・・・・うん。良いね。どうやら俺は・・・・キスが好きなんだな。

 

相手から、明確な愛を感じる行為。とても・・・・安心する。もっと欲しい。

 

 

 

 

 

最後は、少しだけ長く。・・・・舌なんて絡めない。

 

この状態でそんなことをしたら、いよいよ俺が我慢できなくなる。 

 

 

だから今は・・・・キミもこれで我慢してほしい。

俺も、我慢するから。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ふふふ。」

「ありがとう。良かった。とても。」

 

一花がほほ笑んだ。

・・・・・・綺麗な顔だなぁ。

そしてこの白くて柔らかい体。・・・・放したくない。

だが、いつまでもこういう訳にはいかないからな。

 

「体、洗ってくれるかい?」

「うん。わたしもおねがいね?」

「もちろんだ。」

 

 

浴槽から出て、一緒に洗いっこをした。

 

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