五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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「これなんです!」

「いや・・・・等身大?こんなでかくする必要ある?」

「うさちゃんリボンを作りましょう!」

 

あの正月の後の別日。1月半ば。丁度共通テストが終わった後。

四葉くんに呼び出しを喰らった。

俺の自宅であるものを作ることになったのだ。

 

 

 

名付けて、四葉くんのバレンタイン大作戦である。

 

 

 

 

 

これなんです といって見せられたのはリボンの型。

よく出来ている。恐らくは特注で頼んだんだろう。

今の中野家は完全にマンション住まい。ウルトラ金持ちだからな。

 

そしてこのリボンの型。でかい。

恐らくは風太郎が良く喋る、悪目立ちリボン。これと同じ大きさだと思う。恐らく等身大。

つまり、人の頭につけられるレベルの大きさ。

ここにチョコを流し込んで冷やして固めて出来上がりというわけだ。

 

そらまあキミと言えばコレだけどさ。

ミニチュアで良いじゃん。風太郎食えるかな。これ。

冷蔵庫に入るかわからんぞ。まあ冬だから常温放置で良いけど。

 

「頼める人が有坂さんしかいなくて・・・・」

「うん。まあ良いんだけどさ。」

 

三玖のチョコづくりの時は結局俺だけじゃ成功できなかったからな。

あまりうまくいくとは思えない。

しかし四葉くんが俺に頼むという事は二乃に喋りづらいんだろう。

一応、風太郎を取りあった恋敵だからな。

 

「ちなみになんで等身大なんだい?」

「もちろんこれを作って身に着けるためです!」

「あ、つけるんだ。食べるんじゃなくて。」

「も、勿論付けた後に食べますけど・・・・・うぅ~・・・やっぱりやり過ぎかなぁ……」

「?……どうしたんだい?」

 

四葉くんがこれをつけるらしい。つけるけどつけたあとどうすんの。

また風太郎に今日の私はどこが違うでしょう とか四葉テスト出すのかい?

流石に今なら気付いてくれると思うよ。色あい的に難易度下がってるし。

 

 

なんか四葉くんは顔とリボンを少し赤くして下を向いてしまった。

それ体温に比例して色が変わるのかい?どんな素材なんだい?

 

「・・・まあいいや。一応。やってみようか。俺もあまり自信がないが。」

「はい!おねがいします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・やはりうまくいかないな。」

「溶かして固めるだけだと思ってたんですけど・・・・難しいんですね・・・・」

 

市販のチョコを湯煎して溶かして固めてたんだが、

やっぱりどうにも上手く行かない。

四葉くんの言う通り俺も溶かして固めるだけだと思ってたんだが、そうではないようだ。

なんかチョコの食感やら味が良くない。湯煎って奥が深いんだな。舐めてた。

スイーツなんてチーズケーキしか作ったことないしな。俺は。

 

 

「よし。やはり俺ではちょっと難しいようだ。あの人を頼るしかない。」

「あの人?チョコ作りの知り合いがいるんですか?」

「うん、達人がいる。外へ出るよ。ついてきてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳なんですよ。」

「嫌よ!なんであたしがそんなことしなくちゃならないのよ!

四葉!勘違いしないで!アンタはあたしのライバル!敵なのよ!」

「私は別に良いけど・・・・」

「あ、有坂さん・・・・二乃だったんですね・・・・」

 

自宅を出て中野家のマンションへ向かい、二乃に依頼することにした。

四葉くんはちょっとためらいがありそうなので、俺が橋渡しをしよう。

 

そして予想通りの反応。フー君を取られた腹いせかな。

たまたまだが三玖も一緒に居た。

今なら三玖でも大丈夫だろう。パンケーキの腕前を考えれば。

 

二乃がこの反応をするのは予想通りだったので、

頑張って誘導する。今までの借りを返してもらおう。

今まで俺がキミに何回奢ったりグチ聞いてやったと思ってるんだ。

忘れたとは言わせないぞ。倍にして返してもらおう。

 

 

 

「頼んますよ姉御。今まで散々奢ってあげたりグチ聞いたじゃないですか。」

「アンタには世話になったかもしんないけど、それとこれとは話が別よ!」

「えー。」

 

意外と手ごわそうだ。しかしまだ手はある。

時間をたっぷり使っての計画立案には自信があるからな。

まだこれから。

 

 

「でもどうすか?間接的とはいえ風太郎に

自分の作ったチョコを食ってもらえるんだよ?

下手すると二度とないかもしれないよ?

この先フー君と四葉くんがラブラブになったら見向きもされなくなるよ?」

「ぐ・・・・まあ、そうかもしんないけど!

それが四葉の手柄になるってのは納得いかないわ!」

 

 

「そこは俺がちょっと口添えしとくよ。

みんなで頑張って作ったって軽く言っとくから。我慢してくれ。

そもそも俺と四葉くんの二人で何とかならなかったからここに来てるんだよ。

それにフー君に変なもん食わせたくはないだろ?

俺は去年に三玖のドクロチョコの味見をした結果しばらく寝れなくなったよ?」

「そんな事もあったね。懐かしい・・・ごめん。」

「う、うーん・・・・・」

 

あ、悩んでる。もうちょっと。

 

 

「四葉、私で良ければ手伝うから。」

「三玖・・・・良いの?ありがとう!」

「二乃は無理しなくて良いよ・・・・・・ナギ、

フータローには私も手伝ったって言っておいてね?」

「ああ。もちろんだ。三玖と四葉くんで頑張ったって言っておくよ。」

 

よし。ナイス殿。素晴らしいセンタリングだ。

俺の目の前にボールが飛んできた。ダメ押ししよう。最後のシュートは任せてくれ。

 

 

「という事なんでやっぱり姉御いらなくなりました。お疲れさまでした。

多分今の三玖なら大丈「待ちなさい!やっぱりあたしも作るわ!!」

 

「あ、そう?じゃあお願いしようか。」

 

完璧。

サイドから飛んできた100点のセンタリングにきっちりと合わせてボレーシュートでゴール。

ゴールキーパー二乃の鉄壁を破った。

 

三玖が作るとなれば黙ってはいられまい。

ちょろいもんよ。こちとら中学から鉄の男、上杉風太郎の子守をしてたんだぜ。

これくらいのエリアコントロールは造作もない。

 

去年のバレンタインで三玖に教えてたのは二乃だからな。

一応二乃もいて欲しかった。

 

 

「四葉くん。一人じゃなくなってしまったけどこれで良かったかい?」

「はい!折角なので上杉さんには美味しいチョコを食べて欲しいです!大丈夫です!」

 

うん。キミならそう言ってくれると思っていたよ。

一安心。という事で二乃、三玖、四葉によるチョコ作りが始まった。

俺は待っている間、マンションのリビングで勉強させてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一度試しにやってみなさい。四葉。」

「う、うん!」

「こんなに大きいチョコを作るの?」

「自分でつけないといけないから・・・」

「着けてどうするのよ・・・・」

「そ、それは~・・・」

 

中野家マンションにて、二乃先生による四葉くんへの指導が開始。

こちらはリビングを使ってのんびりと勉強している。

一花は仕事。五月は・・・どこに行っているのかわからないな。

塾で受験前の集中講義でも受けてるのかな。

 

「・・・・油分と分離してるわ。湯煎の温度が高いのね。」

「生クリームが冷たいと、よくない。沸騰直前まで温めないと・・・」

「溶かして固めるだけじゃダメなんだね・・・・」

 

そうだったんだ。なんも調べずにやっちゃった。

一度スマホでやり方を調べれば良かったな。思い込みはやはり良くない。

 

 

「ベースとなるチョコレートはこれで良いのかしら?」

「うん。フータローはこれが好みだったから大丈夫。」

「成程ね・・・・覚えておくわ。・・・・ナギ。」

 

「うん?呼んだ?」

「アンタは?どんなチョコレートが好きなのよ?」

 

二乃からそんな相談を受ける。

俺の分も作ってくれるの?

 

「苦いの好きじゃないんだ。甘いのが良いな。」

「そう。参考にしておくわ。」

「何の?」

「ナギならきっとこれが良い。この赤いやつ。」

 

上げるの俺じゃなくて風太郎だろ。

あいつを最優先にしてくれよ。

友チョコなら貰って食べるけど。お返し面倒だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来たぁ!二乃!三玖!ありがとう!」

「別に良いわ。フー君にこのチョコを食べてもらえるならね。」

「私も同じ。」

 

チョコが出来たらしい。後は冷やして固めるだけかな。

中野家の冷蔵庫なら問題ないだろう。

二乃も作っていて落ち着いたようだ。四葉くんへの敵意は薄れている。

まあ、姉妹想いなのは今も変わらないだろうしな。

 

「ナギ、あんたは最近どうなの。一花とは。」

「うん?順調ですよ。今日は仕事に行ったけどね。

ああそうだ。ありがとう二乃。通訳は良いアイディアだったよ。」

「あらそう。良かったじゃない。その代わりまた何か奢りなさいよ。」

 

「三玖もありがとう。お陰で目が覚めたよ。

全部一花から聞いた。」

「よかった。・・・ナギらしくなかったから。」

「あの時の俺はちょっと真剣過ぎたな。

まあでも、悪くなかっただろ?たまにはシリアスなナギくんも。」

「くすくす・・・・その様子なら、大丈夫だね。」

 

 

なんだかんだ、俺もこの2人とはいい友達。

二乃とは悪友。三玖とは親友という感じだな。

お陰で助かった。

 

「大学どこでもいいって言ってたあんたも、ちゃんと夢を追い出したってわけね。

・・・私も、あんたたちみたいになれるのかしら。」

「二乃なら出来るよ。・・・・私たちなら、出来る。」

 

専門学校に行くことを決めた二乃。

やはり、不安があったようだ。

・・・・でも、隣には三玖がいるからな。二人なら大丈夫さ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

既に冬休みが終わっており、3学期の学校が始まった。

帰ってきた日常。

 

そして昼休み。

 

「おい有坂コラァ。どーなんだよ、一花さんとは。」

「え?前田くん、知ってたのかい?」

「見たらわかるに決まってんだろ?」

「・・・・なんでわかったのよ?」

「秘密にしておいてくれよ。頼むから。」

 

食堂で前田くん、松井さんと一緒に食事をしていた。

前田くんには一花と付き合っていることを言ってないはずだが、バレているらしい。

流石一花博士。その熱意を松井さんにも向けて欲しい。

 

 

「そうだ、この間のドラマでキスシーンがあったって言ってたね。誰とキスしたの?」

「あぁ?見てねぇのかよ。・・・・いや。あれは学園祭のころだったからな。

お前が一花さんと付き合う前か。・・・教えねぇ。自分で調べろ。」

「えー?なんでよ。調べればすぐ出てくるだろう?

万が一俺が出てるドラマだと直視できないからなぁ。」

「有坂くん、ドラマに出てたの?」

「うん。急に人が足りないから出てくれって言われて。」

「えー?教えてよー。見たかったのに。」

「絶対ダメです……」

 

 

あの大学で撮ったドラマだと俺が一瞬出てくるはずからな。

あれはちょっと見たくない。確認できない。だから人越しに聞きたい。

 

 

「お前が出た?一花さんと共演したってのか?教えろコラァ。何の・・・・いてぇ!」

「あんた、ほんっとデリカシーないわね・・・・」

 

手をテーブルに置いていた前田くん。無事手の甲を松井さんに抓られる。

他の女の話しちゃダメだよ。松井さん嫉妬深いもん。

まあ俺からした話題だけど。

松井さん許してあげて。うちのハイパーノンデリカシーよりはまともだと思うよ。

あっちも四葉くんと付き合ってマシになったかもしれないけど。

 

でも四葉くんならそういうのを 上杉さんらしいですね 

とか言って全く気にしない可能性があるな。

彼女さんダメです。ちゃんと彼氏を矯正してあげてください。

苦労するのは未来の貴女かもしれません。鉄と上杉は熱いうちに打て。

 

 

「とにかく、しゃんとしろよ。一花さんを困らせんじゃねぇぞ。」

「ははは。松井さんの機嫌も取れないキミがそれを言うのかい?」

「ああ?言ってくれるじゃねぇかコラァ。」

「あんたなに言ってんのよ。去年のホワイトデー、有坂くん達に選んでもらったんでしょ。」

「・・・・・・確かに。そうだったわ。」

「ありがとね。有坂くん。」

「結構だよ。今年は手伝えないけどね。俺もキミたち二人を応援してるんだ。末永くね。」

 

そんな会話をして、今日の昼食を終えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

本日の勉強会を終えて、6人。

風太郎、二乃、三玖、四葉、五月、俺で下校中だった。

 

「見て、一花から連絡来てる。」

「これって前言ってたドラマの役ですか?」

「すごーい!合格できたんだ!」

 

一花は仕事で放課後は不在だった。順調のようで何よりだ。

 

「ナギくん?彼氏としては、鼻が高いですね?」

「別に?うちの彼女さんならそれくらい訳ないよ。通過点だろう。」

「・・・・アンタ、心配じゃないの?一花がこんなに有名になって。」

「そら心配だよ。だが信じているさ。

俺が一花を一番に信じなければならないだろう?」

「・・・・よくわかってんじゃない。それなら問題ないわね。

あいつは私たちの何歩も先を言ってるから、たまに心配になるのよ。

ちゃんと見ときなさい。」

 

二乃姉御との問答。無事合格。

おねーさんを僕にください。一生幸せにします。

 

 

 

「私たちも一花に負けないように頑張ろう!」

「はい!」

 

通学路を歩き、帰路に就く。

 

「・・・お前たちに言っておかなくちゃいけないことがあるんだ。」

 

風太郎が口を開いた。

 

 

「俺が受ける大学・・・ずっと言えなかったが・・・・

・・・東京なんだ!」

 

 

・・・・そうか。まだ言ってなかったか。

俺も、一花にしか言ってないな。

 

「卒業したら、俺は上京する。

そしたらもう、お前たちと今までのようには・・・・」

「え?そんなこと知ってるけど。」

「は?」

 

知っていたらしい。

まあな。全国3位だからな。東京の二ノ宮大学になるわな。

 

「ナギも・・・でしょ?」

「あれ。一花から聞いたの?」

「はい。こちらに良い所がないと聞いています。」

「その通りだ。三玖から聞いた話を実行に移そうと思ってね。

そうなると、東京が一番都合が良かった。」

 

東京は日本の首都。

テレビ局も当然ある。一花が将来的に仕事で東京に来たりするのであれば、

一番都合が良かった。

 

 

「その事をあえて聞くことはしませんでしたが・・・・」

「フー君とナギならそうだろうと思ってたわ。」

「だよね・・・私たちは、全然気にしてない。」

「あ?そう?俺は結構寂しいけどなぁ。残念だ。」

「・・・アンタには一花がいるでしょ。あいつで我慢しなさい。」

「はーい」

 

姉妹は案外寂しくはなさそうだった。

・・・思ったよりドライだなぁ。まあいいか。年末年始やGWは帰ってこれると思うし。

 

「凪。・・・・盛り上がってたのは俺達二人だけだったな。」

「そうだね。」

「あはは。一生のお別れじゃないんですから。

・・・どこに居ても、上杉さん、有坂さんを応援してます。

二人が……そうしてくれたように。」

「…………頑張って。」

「いつでも・・・・会いに……行ってあげるわよ。」

 

・・・・なんだよ。キミたちもちょっと寂しいんじゃないか。

目尻に涙が見えているよ。安心した。

 

「・・・ありがとな。お前たちと、会えてよかった。」

「全くだ。最初に風太郎に手伝えって言われた時は、こんなことになると思ってなかった。」

「後悔しているか?凪。」

「ぜんぜん?むしろ良かったさ。」

「だよな。・・・じゃあ、またな。お前ら。俺と凪はこっちだ。」

「ごきげんよう。また明日。」

 

「はい。また明日。」

「じゃあね。卒業まではまだ日があるんだから、また勉強会呼んでよね。」

「私も四葉と五月に頑張って教える。」

「また会いましょー!」

 

4人と別れ、帰路についた。

 

 

 





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