五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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「合格おめでとー!」

「ありがとう。これで正真正銘、東京行きになりました。」

「寂しいなー・・・でも、受かるって信じてたから、4月まではお仕事少なくしたの。」

出来るだけ一緒にいてね?」

「はいはーい。」

 

合格の報告を一花にしていた。

今は二人してとあるお店にパフェを食べに来ている。

 

 

4月からは東京に引っ越すこととなる。

一花はこちらの仕事がメインのようだ。遠距離恋愛ですね。

電話代がかかりそうだ。

 

 

東京から地元へ帰ってくるために出費はいとわないが、一花の仕事が忙しいのが問題。

俺がこっちに帰ってきたところで、仕事で会えないという可能性はある。

少し寂しいが、一花の仕事優先だ。俺は日頃からひとりぼっちだからな。耐性はある。

会いたくて会いたくて震えることはない。ナギっちはロンリーウルフでもあった。

 

 

「むー。寂しいのは私だけ?」

「そんなことないですよー。俺だって寂しい。

これから先おねーさんに甘えられないなんて。」

「もー。それホント?」

「ホントだよ。

こんなに綺麗でかわいい恋人が遠く離れてしまうなんて。彦星と織姫のようだ。」

「んふふー。ありがとね?」

 

・・・・あれ。効かないか今の。

ちょっとは恥ずかしがってくれると思ったんだけどな。

言った俺の方が恥ずかしかった。流石にセリフがアホすぎたかな。

 

最近、一花を赤面させるのが難しいんだよな。本当に。

たまに見たいんだけど。

 

 

「ナギ君、今日はこのまま暇だよね?」

「もちろん。空けているよ。」

「ありがと!このまま二人で合格祝い・・・なんだけど、その前に。

一緒に社長のところに来てくれる?」

「ああ、この前の話ね。良いよ。」

 

合格祝いをしてくれるというので、今日は空けてある。

一花のオフにこちらが合わせる形だ。これからもこの調子だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有坂くん!ついにウチ「違います」

 

織田芸能プロダクションに来た。

 

一花の上司でありボス・・・・織田社長は御覧の通り相変わらずである。

デスクと椅子に座ってのんびりしていた。社長室とかないんすね。

この人はなんか暇してた。いっつもいるな。たまたまかもしれないが。

出張とか無いんですか?

 

 

「冗談は置いて、だ。一花ちゃんの事はくれぐれも、宜しく頼むよ。」

「話は聞いてましたけど、怒らないんですね。」

 

「なんとなく気づいてたからね。あのライブで君を見る眼がとても熱かった。

それに、一花ちゃんはやめろと言ったって聞かないし・・・」

「ちょっと、社長!どういう意味ですかぁ!」

「他の男ならまだしも、キミなら安心だ。私も良く知っているからね。

マネージャーの代わりになってくれたまえ。」

「はーい。面倒みまーす。」

「ナギ君までぇ!」

 

おねーさんは言われ放題。

社長同伴とはいえ、日の出祭の時とかは結構無理を言ったんだろう。ロケ中のはずだったからな。

中野父だけではなく織田社長も諦観気味であった。

 

二乃や三玖の例にもれず、一花も暴走機関車の血筋を引いているのだ。

忘れてはいけない。五つ子なんだもん。にたものどうし。

 

 

「有坂くんは地元で進学かい?」

「いえ。東京ですよ。女優さんとは離れ離れです。」

「何・・・・そうか。」

「東京の仕事とかあるんですか?」

「ないとは言わないけど・・・・・頻度は高くない。

映画やドラマなら基本的にはあまりスタジオを使わないからね。」

「あー。そうですね。」

 

そういやそうか。一花はちゃんと女優。映画やドラマが主だ。

バラエティとかニュース番組とかではない。基本的にはテレビ局の外だろう。

バイトの時もケーキ屋と大学だったもんな。

すっかり頭の中からそのことが抜け落ちていた。

 

 

「残念ながら、そういう事みたいだよ。」

「うう・・・折角これから女優に専念出来るのに・・・・

平日のオフが増えるのに・・・・」

 

「・・・頻度を増やせるよう、何とか頑張ってはみよう。

そうだね。高校卒業だ。女優、中野 一花の本格的な東京進出にはいい機会だろう。」

 

 

「え?いや別に無理しなくても。それって公私混「本当ですか!社長!」

 

 

「任せたまえ。ただ、時間はかかるかもしれない。

最初のうちはあまり期待しないでくれるかい?」

 

 

「いや地元で有名じゃない時から使ってくれた恩とか「勿論です!お願いします!」

 

 

「一花ちゃんは学業が忙しいなか、今まで頑張っていたからね。

私もその恩返しをさせてもらうよ。」

「聞けよ。」

 

 

別にそこまでしなくて良いんですけど。

だってテレビつければ元気な一花の姿は何時でも見れるからね。

まあ、会える機会が増えるのは嬉しいけれど。

 

 

 

「ああ。社長。後で相談したいことがあるんです。連絡先教えてください。」

「構わないよ。その気になったらいつでも連絡したまえ。」

「俳優はやりませんよ。ただ、今後において大事な話です。」

「? ナギ君、やっぱり芸能界に興味ある?」

「あるけど・・・違ったポイントからの視点だね。カメラの前の仕事ではなく、裏方だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

社長との話を終え、俺と一花はある場所へとドライブをしていた。

ちゃんと免許は取っている。進学が東京のため、まだ車を持っていなかったが、

レンタカーを借りた。ペーパーゴールド待ったなしだな。

 

運転しているのは俺だが、どこに向かっているかはちょっとわからない。

女優さんのサプライズ企画が進行中だ。山の中に向かっていることはわかる。

お笑い芸人の大運動会でも見れるんだろうか。あまりあれは見る気がしないが。

 

お泊りの道具を持ってきてねと言われたため、一応そこは持参している。

クリスマスイブの様にウィークリーマンションという事はないだろう。

3月上旬。山中ではあるが、道路に雪はなかった。今日はとても暖かい。

 

 

 

「もうすぐ着くはずだよ?」

「ん。一体何をされるのかな。」

 

「何もしなくていいんだよ?」

「それはそれで落ち着かないなぁ。」

「最近はわたしだけじゃなくて、ナギ君も忙しかったから。ゆっくりしよ!」

 

 

もうすぐ昼になるところである。

まだ半日ある。時間はたっぷりあるが・・・ゆっくりか。悪くないね。

 

 

大学には合格したしな。ここでまた、一度落ち着くとしよう。

焦り続けると自分を見失ってしまう。この間良く学んだ。

背伸びはしなくていい。やれることを自分のペースでやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「つきましたー!」

「・・・・凄いね、ここ。」

 

山道を走り続け、広い場所へと出た。

この一帯だけが不自然に開けた広い空間になっているが・・・

とても立派な建物が中央に一つ。

そしてログハウスやら、大きなテントやらが各所に広がっている。

 

「グランピング、しよ!」

「・・・・グランピングってなんだい?」

「あれ、知らなかった?じゃあ、教えてあげるね!」

 

 

グランピングの説明を聞いた。

言うなれば・・・・便利で融通の利いたキャンプ。

グラマラス+キャンピングから生まれた言葉らしい。

 

 

基本的にはキャンピング・・・・キャンプと変わらない。

しかしながら、テントの用意や道具の用意がほぼいらない。

 

設置済みの大型テントやキャンピングカー。ここを使う。

場所によってはちゃんとした建物、コテージにも泊まれる。

 

 

 

キャンプはどうにも道具を買ったり、組み立てたりするという手間もある。

初期投資が高く、設置や組み立てに関してある程度の難易度もあるため、

初心者には手が出しにくい。

 

そのような問題点を取り除き、良い部分のみをすくい上げたような形のキャンプ。

それがグランピングである。道具やテントは設置済み。片付けもいらない。

調理道具をレンタルし、食品を現地で買う事も出来れば、

施設側へ全て用意してもらうなんて事も出来る。料理そのものすらも。

 

 

 

当然ながら、キャンプの都合の良い所を切り抜いているため、費用は高い。

 

しかしウチの彼女にそんなことは問題ではなかった。お金持ちが過ぎる。

本人は大女優。さらに実家はハイパー金持ち。鬼に金棒。むかう所敵なしであった。

ナギ君は一生頭が上がりません。頭が高い。控えおろう。

 

 

 

 

 

 

 

「今日はここだよ。」

「うおー。なんじゃこりゃ。」

 

施設にチェックインし、一花に案内された。

テントの前に車をつけ、荷物を運び入れる。

 

大きなテントだ。しかし雰囲気が普通のキャンプのそれとはまったく違う。

まず地面が土や草むらの上ではない。木の架台の上に設置されている。

明らかにここから動かす気がないし、畳む気もない

という設置のされ方だ。強風対策などの固定のしかたも万全。

 

 

外側からみたら大きなテントがあるだけだが、中もまあ凄い。虫除けの黒メッシュを外し、テント内に入ると、

テレビがある。ソファがある。ベッドがある。ちゃんとした宿泊施設。

テント内は電気が普通に通っており家電がある。テレビのチャンネルもしっかり映る。

こんな世界があるとはな。知らなかった。

 

 

「こんな体験は初めてだよ。」

「キャンプはやったことあるの?」

「うん。小さい頃はよくやってた。ウチに道具はあるからね。」

「じゃあ今度はみんなでキャンプしよっか。夏休みには5人でしてたの。」

「アクティビティだねぇ。色んな遊びを知っているようだ。」

 

これからも色々教えてもらうことにしよう。

おねーさんは経験豊富だなあ。

 

「ここは1日に3組しかいないから、人払いも大丈夫だと思う。」

「身バレ対策も出来てるんだねぇ。・・・それはそれでお金がかかりそうだけど。」

「合格祝いだからねー。ぱーっと使っちゃった。」

「財布のヒモはしっかり握らないといけませんねぇ。」

 

お金がかかりそうですね。まあ、この人はそれ以上に稼いでくるんだけど。

決して俺が偉そうに言える事ではない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうぞー。あったかいココアです。」

「ありがと!」

 

昼食を食べ終えて、二人でゆったりとしていた。

スキレットとバーナーコンロを使ってチーズダッカルビを作って食べた。

 

テントの前には日よけとなるタープがかかっており、

そこにいくつかのチェアとテーブルがある。

 

座るタイプのちゃんとしたチェアと、

足の置き場があり、足をのばしてくつろげるタイプの2種類。

 

今は二人して足を延ばせるほうのチェアを二つくっつけて、寝っ転がっていた。

 

「・・・・・・」

 

一花は本を読んでいた。お気に入りの小説だろう。

俺は俺でスマホを使って調べものをしていた。

 

 

施設から小型のスピーカーを借りてきて、スマホに接続し、音楽を流している。

天気も良い。風もなく、邪魔するものは何もなかった。

3月上旬だが、今日はとても暖かい。ちゃんと長袖を着ていれば、外でも寒くはなかった。

 

 

折角こうしてグランピングに来ており、湖のカヌーなどのアクティビティもあるんだが。

二人でただただテントの前から動かず、ゆったりとくつろいでいた。

離れる時は中央の施設へ飲み物を取りに行くときくらい。ソフトドリンクが無料提供だからだ。

 

 

 

・・・この時間は、とても贅沢。

 

 

 

やろうと思えば色々出来るのに、あえてそれをしない。のんびりと、くつろいでいる。

しかもこのゆったりした時間の為に、大金を使っている。

一人は本を読み、一人はスマホをポチポチ。家でも出来る事だ。

 

 

だが・・・・お互いそうしたかった。

 

 

片方は多忙なお仕事。片方は受験勉強。そこから解放された直後だった。

こうしてひたすらゆっくりする。その事にとても満足していた。

 

 

他に様々な選択肢があるのに、ゆっくりする というのが良い。背徳感がプラスされていた。

ちょっと前なら、損だから色々やりに行こう と言っていただろうな。

 

それは・・・・心の余裕がない。今はただただ、二人でこうしたかった。

 

 

 

 

 

「・・・なにを調べてるの?」

 

二人静かに思い思いの事をしていたが、一花が話しかけてきた。

終始スマホをいじっている俺が気になったらしい。

心配いらないよ。最高に楽しんでる。

 

 

 

「まだ東京のアパート決めてなかったからさ。調べてるんだよ。」

「おうちね。わたしが選んじゃおっかな。」

「えー。高い所はとれないよ。」

 

そう言いながら、一花は読書をやめてこちらのスマホを覗き込んできた。

寝転がった状態で手にスマホを持ち、下から見上げている形。お陰で顏が近い。

 

「大丈夫だよ。わたしがお金出すもん。

わたしも泊まりにいくんだから。当然だよね?」

「なんでよー。」

 

「1LDKでいい?」

「高いってば。1Kか1DKで良いよ。1LDKにすると7,8万は上がるんだよ。」

 

 

「むー。じゃあここで。」

「えー。そこ大学から遠いって。」

「テレビ局はここが近いよ?」

「入りびたる気満々じゃないか・・・・」

 

 

「家具と家電は?いま選んじゃおうよ。」

「現地で揃えようと思ってたけど。」

「それだと私が買えないじゃん!」

「だって買わせる気ないもん。お金なくなっちゃうってば。」

 

「まだいっぱいあるよ?ほら。電子通帳。」

「・・・・えぇ。こんなに稼いでたの・・・まだ18歳なのに・・・・」

「伊達に学校休んで長期ロケ行ってないんだから!」

 

 

「お姉さんの事、見直してくれた?」

「すごいすごい。」

「あー。ホントは思ってないでしょ。

そういうの、女の子はわかっちゃうんだからね?」

「わかってないなあ一花くんは。

ナギ君はそんじょそこらの男とは違うんです。

一般の経験則やこれまでの男性とは当てになりません。」

 

 

 

「へー?じゃあナギ君のカッコいい所、みたいなー?」

「カッコいい所ねぇ。そうだな・・・・」

 

 

俺はチェアの左側に寝転がっており、一花は右側に寝ている。

俺の右手を、一花の顔のところへ持っていく。

 

 

一花の顔の右側面、耳に近い髪の辺りをゆっくりと撫でる。

・・・サラサラだね。いつまでも触っていたくなる。

 

 

 

 

「一花の事を、良く知っている、という所かな。」

 

「・・・ん。」

 

 

時には首に触れたり、頭を撫でたり。顎を撫でたり。

耳たぶをつまんでみたり。触れ合う。

 

 

「・・・眠いでしょ。そろそろ。おねんねしましょうね。」

 

「あはは。バレてた?」

 

「お昼ご飯食べた後だし。そうだろうと思った。」

 

 

 

右手で一花を存分に可愛がった。こちらの手の上から、一花が手を重ねる。

自らの頬に俺の手を添えさせ、こちらを艶っぽく見てくる。

 

「じゃあ・・・お言葉に甘えちゃお・・・・・」

 

そして、そう言いながら、ゆっくりと目を瞑った。

 

 

「・・・・・・・zz」

「おやすみー。」

 

良かった。合っていたようだ。

これで違いましたではちょっと格好悪かったね。ホッとした。

 

一花の頭をこちらの肩に寄せ、枕の代わりにした。

寝れるかどうかわからないが、俺も目を瞑ってみよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼寝を終えてすっかり夜。

 

1時間ほど寝た後は一花がジョギングをしたいと言ったので、それに付き合った。

その後、一緒に中央の施設に赴き夕飯を購入。

 

 

一花が調理をしてくれた。アヒージョを作り、付け合わせのフランスパンと食べた。

今は便利なものが売ってるもんだ。味付けや下処理がされているほぼ出来合いの物。

スキレットで加熱するだけでアヒージョを食べることが出来た。

 

残った油を再利用してリゾットを作ったので、明日の朝食として食べることにする。

テント内には電子レンジもある。至れり尽くせりだ。

 

 

 

お互い入浴を終えて、テント内に居る。

近くに風呂場まであった。グランピングってのは凄いね。

ベッドに腰かけ、隣同士座っていた。

 

「結局、特別なことは何もしなかったね。」

「うん。・・・でも、楽しかったよ?」

「俺も。贅沢な時間だったね。」

「良かった!」

 

未知の体験だった。それは間違いない。

 

しかし・・・・それはそれでちょっと心に影が出来る。

もちろん、キミに相談するけどね。

 

 

「でも・・・やっぱり不安になるなぁ。こういうことをされると。

一花の隣にいるのが、本当に俺で良いのかね って。」

 

 

「・・・・ダーメ。後悔したってもう遅いよ?

今から五月ちゃんや茜ちゃんに変えられません。

わたしもいっぱい待ったんだから。もう、離してあげない!」

「あれまー。」

 

一花お姉さんにはしっかりとロックオンされていた。

すると、両手をゆっくりと掴んで、こちらを立ち上がらせてくる。

 

 

 

「わたしもね、ちょっと練習してみたの。歌を。」

「歌?・・・聞かせてくれるのかい。」

「うん。まだ1番しか歌えないけど・・・ナギ君に聞いてほしいな。」

「わかったよ。」

 

 

そう言いながら、一花はスピーカーに自分のスマートフォンを接続した。

どんな曲を歌うんだろう。

 

 

♬~~~~~

 

これは・・・・知っている。洋楽。

ポップス。確か・・・懐かしさを感じさせつつも色褪せない、ディスコ・ロック。

 

・・・良いね。俺だって勉強はしたんだ。和訳なしでも聞き取って見せるさ。

 

 

 

 

 

『私と一緒に走りたいのなら このスピードに慣れてね』

 

『助手席に 乗せてあげるから』

 

 

 

『予感がしたの この音速の世界に乗った時』

 

『興奮が一生止まらない場所にたどり着けるって』

 

 

 

一花は既にこちらから手を離しており、ふらふらと体を揺らしながら歌っている。

・・・掴み所がない。そんなイメージを思い浮かべる。

流石女優だ。よくわかっているね。自分の見え方ってのを。

 

 

 

 

『空は真っ暗 瞳も星の様に煌めいて』

 

 

『夜空は 丁度いい具合に光ってる とっても私好み』

 

 

 

『人肌恋しい気持ちになっていたのなら』

 

『最高のタイミングで出会えたね』

 

 

綺麗な声だ。歌手もいけるんじゃないの。

最高の被写体だね。流石俺の彼女。そうでなくっちゃ。

 

 

 

 

『私が欲しいんでしょ? 私だって貴方が欲しいの』

 

『焦がしたお砂糖のように 甘い熱い恋をしましょう』

 

 

嬉しい事言ってくれるね。

この部分なら、俺でも簡単に聞き取れる。

 

後で、ちゃんとした和訳を調べておこうか。

 

 

 

『一緒に天の川をドライブね? 誰も彼も私達を止められない』

 

『さあ アクセルを吹かして 私のお星様』

 

『逃避行の 始まりね』

 

 

 

確かここからサビだ。

 

 

・・・・・ああ。そうだ、間違ってない。一花がこちらに抱き着いてきた。

 

 

 

 

 

 

『捕まえたわ お星様 貴方は私の星明かり』

 

『今夜は貴方が必要なの おいでよ 一緒に走りましょう』

 

『最高に熱く なりましょう』

 

 

 

 

 

『貴方は私のお月様でもあり 私のお星様でもあるの』

 

『今夜は貴方を離さないわ お願い 一緒に踊りましょう』

 

『最高の夜を 過ごしましょう?』

 

 

 

 

 

~~~~~♬

 

 

 

 

「ふふふ。どうだった?」

「あんな歌を披露されて喜ばない奴はいないね。」

「うん。良かった・・・・」

 

 

そう言いながら、こちらを抱きしめている手の力を強くしてきた。

背中に両手を回し、こちらの胸のあたりの高さをホールドし、

顔の左側をぴったりと、胸に密着させてくる。

 

 

「I want you  I got youなんて、俺だってわかるさ。情熱的だね。」

「そういうこと!もう逃がさないんだから!」

「つかまっちゃったー。」

 

愛されてんなぁ俺。いつか滅ぶね。間違いない。断言できる。

まあタダで滅んではやらないけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあ寝ますか。ベッドが二つあるし、別々で寝るかい。」

「うん。わかった。」

 

 

マンションの時とは違ってベッドは二つある。別々に寝かせてもらう。

俺の睡眠事情に関して一花は知っているためか、特に何も言われなかった。

ありがたい事だ。相変わらず気配りが出来る子。

 

「おやすみ。」

「また明日ね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・起床。ゆったりと身を起こす。

 

 

時間は・・・・見なくていいだろう。ここにいる間は、ゆっくりする。そう決めた。

1泊2日なので今日がチェックアウトではあるが。

隣の一花は、いつも通り寝ているだろうな。

 

「うお。」

 

予想通り、一花は寝ていた。

寝ていたが・・・恐らく裸。

 

布団は被っているものの、着ていた服がベッドの外に落ちている。

寝ている間に脱いでいる。いったいどういう仕組みなんだ。

寝ながら脱ぐのか?脱ぎながら寝るのか?横になりながら脱いでるのか?

それとも一時的に起き上がってから脱いでるのか?

 

今度カメラを仕掛ける必要があるな。

ただしどうやって脱いでいるのかは気になる。要チェックだ。

布団の外に出て目の前でストリップショーが始まる可能性もあるが。

 

 

「・・・・・zz」

 

 

 

そんなショーを他の人には見せられないな。

俺だって、キミから離れてやらないよ。覚悟するんだね。

 

 

 

 

 

 

一花が寝ている間に、コーヒーと朝食を用意、これまたのんびりと食べた。

時間に追われるというのは、彼女も好きではないようだ。

おねーさんだから、他人から頼られるのは好きだろうけどね。

 

 

つかの間の休暇が終わるのも名残惜しいが、チェックアウトをし、

こうして、二人の盛大で小さなまったりとしたお祝いは幕を閉じた。

 

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