ぱっと思いついたので1時間前に3500文字を追加しています。
スキー場からタクシーに乗り、とあるホテルに来ている。
本日の宿泊先だ。
「8名で予約した有坂です。」
「有坂様ですねー」
ホテルの手配は俺がやった。金は姉妹からカードで支払ってもらう。
事前に・・・・部屋の指定をされていた。
3部屋である。一部屋は俺と一花。一部屋は風太郎と四葉くん。
一部屋はらいはちゃんと二乃、三玖、五月。
4人からの提案だった。・・・・気遣いは嬉しいが。意識してしまうな。
「すまんな。飛行機やら旅館やら全て手配させちまって。」
「良いよ。こういう細かい仕事は俺の慣れっこだ。
お礼に背中でも洗ってくれよ。」
「断る。タオルはあるんだから自分で洗えるだろ。」
「つれねぇなぁ・・・・」
「というか体の節々がいてぇ。明日大変だぞ……」
スキーを終えて荷物を部屋に預け、まずは大浴場の温泉に入っていた。
ウチの相棒は友達を労わる心がないらしい。
それくらいはいいじゃん。ちょっとくらい俺にもデレてくれよ。
「部屋割り・・・お前が仕組んだのか?」
「いや。他4人からそうしろって。」
「余計な事しやがって・・・・」
「ははは。まあそう言うなよ。もうプロポーズしちまったんだろ?
新婚初夜ですよ。新郎さん。二人でゆっくりしなよ。」
「なんであんなこと言っちまったんだ俺は・・・・・・
四葉にも、付き合う前からそんなこと言われたら引くと言われちまった。」
「そらそうだ。」
四葉くん、そのプロポーズを受けたらしいが。
良かったじゃん。式には呼んでくれ。スピーチしてやるよ。
今なら友人席結構いるだろ。サクラ呼ばなくて済むぞ。
「あ、お待たせ!ナギ君。」
「お待ちしておりましたよ。お嬢さん。」
温泉から上がって部屋に戻っていた。
部屋の鍵は俺が持っていたので早めに上がって先に待っていた。
「みんなとお話して、ご飯食べに行こうってことになったんだけど、大丈夫?」
「勿論だ。運動したから腹減ったよ。好きなだけ食わせてもらおう。」
みんなで夕食の会場に来ている。大きな部屋だ。他の宿泊客もいる。
旅館や宿泊プランを選んだのは俺だが、ちょっとしたこだわりがあった。
「ナギ。これは・・・・バイキング?」
「そう。あの丸テーブルを俺たちの席にしよう。」
「わーい!好きなのを選べるのってワクワクしますねー!」
バイキング方式である。らいはちゃんもご満悦。
部屋に持ってくるというケースでも良かったが、
部屋を別にしているのだからここはみんなで食べようと思っていた。
あと、好き嫌いの問題を回避したかった。
折角高い金を出しているのだ。食べられないものがあるとちょっと嫌だからな。
メインディッシュが嫌いなものとかいう地獄。俺なりの気遣い。
あとめっちゃ食う人が一人いるし。
俺はあの人を決して肉まんオバケ呼ばわりはしない。
そんなことが出来るのは姉御だけだ。
「さあ。みんな好きな料理を取っておいでよ。一緒に食事会と行こう。」
「ナギくん。少し手伝ってもらえませんか?」
「なんだい五月・・・・・えぇ・・・・」
トレイを持って何を取ろうか吟味していたら五月に話しかけられた。
既にトレイの中身が結構な山盛りである。
そしてまだ取るというのか。
「・・・・一回それ食ってからにした方が良いんじゃないかい?」
「うーん・・・・欲しい物がもう少しあって・・・・」
「・・・・食えるなら良いけど、一度その辺で様子を見た方が良い。
バイキングとはいえ、万が一残してしまっては作ってもらった人に失礼だからね。
それ全部食ってからおかわりで良いんじゃないかい?」
「・・・・それもそうですね。では一度この辺で戻ります。」
とりあえず戻らせた。あれ全部食うのか。
バイキングにしといて良かったな。
「ナギ、どうせアンタ、ここを選んだこだわりがあんでしょ。」
「お。俺の事を良く知ってるじゃないか二乃くん。その通りだ。」
トレイを持ってバイキングを吟味していたら二乃にそんなことを言われた。
丁度いい。俺がこのホテルを選んだ理由の一部を紹介しよう。
「アンタの準備の手際の良さは良く知ってるわ。とっとと教えなさい。」
「わたしにも教えて欲しいなー?」
「勿論だ。こだわりというほどではないがね。しいて言うならあれかな。ついてきてくれ。」
一花も合流。別のコーナーへと案内することにした。
「コレだよ。」
「これは・・・・海鮮丼?」
「そう。自分好みにカスタマイズできる。」
案内したのは海鮮系のコーナー。
ここは北海道。なんでもござれだ。
「丼にご飯、もしくは酢飯を入れて、好きなものを入れることが出来るという寸法だ。」
「へー。良いわねそれ。」
「ナギ君のおススメはあるの?」
「いや?特にないね。ただ、何でもあるよ。ここは。
俺だったらサーモンといくらで親子丼をメインにするかな。あと甘エビをちょっと。」
「親子丼・・・・ああ、確かに!」
忘れがちだがこれも立派な親子丼である。
俺は結構好き。なんなら本家より好き。
「好きに選べばいいさ。そのためのバイキングだからね。」
「うーん・・・・悩んじゃうね。・・・え!ウニまであるの!」
「結構いいホテルだから。金を出したのはキミたちだからね。ご馳走様。」
「そう言えばそうね。ま、感謝しなさい。」
「ああそうだ、忘れていた。明日の朝食はお茶漬けがおススメだよ。
海鮮も良いが、ここは鹿肉のジビエのお茶漬けがある。
今日のうちに刺身などを食べておいて、お腹を肉の腹に切り替えることをお勧めしておくよ。」
「アンタがそう言うんなら、間違いないんでしょうね。肉はほどほどにしとくわ。」
エゾ鹿のジビエ。どんな味がするのか楽しみだ。
「もーお兄ちゃん!折角のバイキングなんだよ?
ちゃんと焼いたお魚も食べないとダメでしょー!おさしみとは栄養が違うんだからー!」
「す、すまん・・・・」
「上杉さんにも食べられないものがあったんですか?」
「こればっかりはな・・・・」
こっちはお兄ちゃんが叱られてた。
こいつ好き嫌いあったのかよ。知らなかった。初めて知った。
「四葉さんからも何か言ってあげてくださいよー!」
「上杉さん・・・・・ちょっとだけでも食べましょう!
食べられない分は私が食べますから!」
「わ、わかった。頼む四葉。」
・・・・なんだかんだいい奥さんになるのかもしれないな。四葉くん。
生まれた子供に対する食べ物の好き嫌いのソレと一緒だろ。今の。
「四葉さんもちゃんとピーマン食べないとダメだよ?」
「う。…………」
「……俺も食ってやるから。」
やっぱダメかも。子供の屁理屈に負けてしまうタイプかもしれない。
「ナギ。おかえり。」
「ん?早かったね、三玖。」
自分の分を取り終えて席に戻ると三玖が既に食べているところだった。
「抹茶はないんだね・・・・」
「・・・・5階の自販機コーナーに抹茶ソーダがあったから、それで我慢してくれ。
ここは緑茶ならある。あとは抹茶アイスなら。」
「抹茶ソーダがあるの?よかった。・・・わざわざ見てきてくれたの?」
「いや。こういう広いホテルってあちこち見に行きたくなるんだよ。男の血が騒ぐ。」
「そう・・・なの?」
「キミにはわからんか。」
「ちょっとだけならわかるかも。」
とりあえずどこに何があるか見に行きたくなるんだよな。
探検だよ探検。ダンジョン探索みたいなものだ。
どうせ俺は早起きなんだ。明日の朝は1階のカフェスペースでくつろぐとしよう。
既に6時から開くことを調査済み。
「あれ?そういえば五月は?戻ってきていただろう?」
「さっき食べ終わって、おかわりのジンギスカンを取りに・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・」
なんと。目にもとまらぬ早業。そしてまだ食うのか。
バイキングにしておいて正解だった。危なかった。
正直五月の事はそこまで深く考えては無かったのだが・・・・
「一花とは今も順調?」
「ああ。問題ないと思っているよ。何か俺の愚痴でも聞いてるかい?」
「なんにもないよ。ナギは何かないの?」
「・・・最近、俺のいたずらが効かないことくらいかな。
主導権を取られてしまっている。」
「くすくす。のろけてる。」
「俺としては死活問題さ。やられてばかりでは性に合わないからね。」
なんとかあの鉄壁を崩したいんだがな。
色々考えよう。部屋に帰ったら二人きりだからな。ピンチでありチャンス。
どうするか。
「じゃあ、私もおかわり取ってくるね。」
「ああ、いってらっしゃい。」
「ん?もう追加か。早いな。」
「私たちも早く食べちゃいましょう!
三玖の方もおかわりを取りに行った。元々そんなに取ってなかったようだ。
入れ替わりで風太郎と四葉くんが来た。
「らいはちゃんは?」
「向こうで五月の手伝いをしてるぞ。」
「らいはちゃんと五月は仲良しですよね?」
「そうだな・・・俺の知らないところで、二人で出かけたりしていたようだしな。」
「むむむ・・・負けてられません。」
らいはちゃんを取られて四葉くんが嫉妬。
将来的に義妹になるからね。今から仲良くしておかないとね。
ただその前に上杉さんと仲良くしようね。まずは風太郎と呼びましょう。
バイキングを堪能して最後にデザートを取っていた。
良いねぇこのミニケーキ。やっぱチョコレートとストロベリーが好き。二つ取ろう。
よし。これで俺はごちそうさまかな。
テーブルに戻って・・・・「一つ貸してくれ。」
俺達のテーブルの方からそんな声が聞こえてきた。
風太郎と四葉くんだな。他の皆は部屋に帰ったり、まだ料理を取っていたりと様々。
現在テーブルの方には二人しかいなかった。ちょっと様子でも伺ってみよう。
空いているすぐ近くのテーブルを借りて座る。
「上杉さんも食べたいんですか?」
「ちげーよ。二つあるだろ。一つ剥いてやるから。」
「良いんですか?じゃあお願いします!」
二人の背中が見えているためよく見えないが・・・あれは、みかんを持っているのかな。
四葉くんが良く食べるらしい。風太郎が前にそんな事を教えてくれた。
案外四葉くんのことを見てるんだよな。
風太郎は四葉くんの事をいつから好きになったんだろうか。
「・・・あー。こんなに残っちゃいました。」
「なんだ、知らないのか?これはヘタがついてる方から剥くとよく取れるんだぞ。
・・・ほら。お前のそれと比べてみろ。」
「・・・ホントだ・・・し、知りませんでした。」
「覚えておいたほうがいいぞ。そうやって、白いのを全部剥くのならな。」
「上杉さんはなんでも知ってますねー。」
「そういう訳じゃない。これを知ったのは、つい最近だ。」
「そうなんですか?」
「ああ。・・・・お前、みかん好きなんだろ。この間ウチに来た時に、
その白いのを律儀に向いてたのを見てな。良いやり方が無いか、調べてた。」
「・・・まさか上杉さんがそんなところに気づくとは!
四葉ポイントがぐんぐんぐんぐん急上昇中ですよ!」
「そうか、そりゃ良かったよ・・・・ほら、これでどうだ。」
「ありがとうございます・・・・・もうちょっとですね!後は私がやります!」
どうやらみかんには付きものであるあの白いやつを剥いていたらしい。
風太郎が手伝ったが、四葉チェックには合格しなかったようだ。
「ぐ・・・なら、お前の手元のソレを貸してくれ。リベンジしてやる。」
「ええ?そこまでしなくても・・・」
「絶対認めさせてやるからな。・・・こういうことは、ちゃんと覚えておきたいんだ。
どれくらいなら納得してくれるかってのを。
些細な事だが、お前の好きなものに関する事だからな。大事な事だ。」
「・・・・じゃあ、教えてあげます。これが見本ですよ?」
「・・・・わかった。それ食っていいぞ。」
四葉くんの最終仕上げを終えたみかんを確認した風太郎。
2つ目のみかんを取ってチャレンジしている。
「だけどな・・・これは一応栄養なんだぞ?どうして剥がしてしまうんだ。」
「見た目が綺麗になるじゃないですかー。より美味しく味わえるんですよ?」
「勿体ないと思うが・・・まあ、お前がその方が好きだってんなら仕方ない。」
「上杉さんも食べてみてくださいよ。きっと気に入るはずです!」
「そういうもんかね・・・」
「・・・・これでどうだ。チェックしてくれ。」
「はい!・・・・・おおー。文句なしの合格です!」
「よし!覚えたぞ。もう忘れねぇ。」
2回目のトライで無事にパス。上杉コンピュータに四葉くん用みかんがインプットされた。
「ということで、それは俺が食う。」
風太郎はそう言って四葉くんの手元のみかんをひったくった。
「えー!私の為に剥いてくれたんじゃないんですか!」
「何だよ。お前が食べてみろって言ったんじゃないか。」
「そうですけどぉ。」
「別に全部食う訳じゃない。・・・・ほら、口開けろ。」
「・・・え?」
「食いたいんだろ。違うのか?」
・・・これは。風太郎が四葉くんにみかんを食べさせるらしい。
風太郎はあたりをキョロキョロと見まわしている。
背後に俺がいるが、気づいていないようだ。真後ろまでは見ていない。
「じ、自分で食べれますよ?」
「・・・こ、恋人ってのは、こういう事をするもんなんだろ。
あの本に・・・書いてあった。今なら、あいつらもいないようだしな。」
「そ、そんな無理をしなくても。」
無理はしているだろうな。後ろからでもわかる。風太郎の耳が赤いもん。
顔が見たい。しかし見えない。残念だ。前に回る訳にもいかないしな。
「・・・ああ。お前が嫌ならいいんだ。悪いな。俺も変な事を・・・」
「い、嫌ではないですよ!受けて立ちます!」
「意気込みが違うだろ・・・じゃ、じゃあ、あーん・・・・」
お。風太郎が四葉くんの口にみかんを一切れ運んだ。熱いねぇ。
「ど、どうだ?」
「・・・・・ししし!いつもより美味しいかもしれませんね。」
そういった四葉くんの耳も赤かった。ちょっと汗をかいているようにも見える。
意外と慣れてないっぽいな。・・・いや、相手が風太郎だからかな。
俺や姉妹ならこうはならないだろう。
「凪と一花は平気でこういうことをしてるって、五月から聞いたからな。」
「二人がお手本、ですね。一花、どんなことまでしてるんだろう・・・・」
「・・・バレンタインのお前みたいなことはしてないと思うぞ。」
「ふぐ・・・・・・だ、大胆過ぎましたか・・・・?」
「・・・俺だけだったから良かったが。らいはがいたら大変だったな。」
「ら、らいはちゃんの前であんなことできませんよ!」
お手本ねぇ。さながら俺と一花が風太郎と四葉くんの先生って訳かい。
ただ、こういう恋愛に関して人の真似をしない方が良いと思うよ。
うちはうち。よそはよそ ってやつだ。背伸びは厳禁。
ゆっくりと。もしくは早々と。二人が心地よいと感じるペースで良いんだよ。
まあ、今のこのシチュエーションではそんなアドバイスも出来ないが。
俺が見てるって知ったらどう思うだろうな。この二人。
「上杉さん?まだみかんは残ってますよ?今度は私が食べさせてあげます!」
「い、いや。俺は自分で食べる。万が一あいつらに見られたら困るし・・・」
「あー!ずるいですよ!やられっぱなしじゃ私の気が済みません!」
「わ、わかったわかった!」
・・・・邪魔しては悪いな。俺のケーキは食べたし。気づかれる前に部屋に戻ろう。
みんなで晩飯を済ませ、売店にちょっとした買い出し。
俺の方が食べ終わるのが遅く、一花は俺より先に戻っていった。
飲み物を準備して部屋に向かう。
冷蔵庫がカラッポだと気になるんだよな。なんか入れたい。
ドアを開けて部屋の中に入る。
しかし良いホテルだよなぁ。広いスペースでちゃんとソファとテーブルがあって。
ベッドも二つ。ただ、あまりこの環境に慣れない方が良い。
「・・・・・・・zz」
一花は部屋のベッドの上で布団も被らず寝ていた。
メシ食って眠くなっちゃったか。キミらしいな。
・・・・寝ているところを起こすのは忍びないが・・・・・
今ならチャンスか?
ベッドの端っこに寄りすぎだよ。寝相はやはり悪いらしい。
顔がベッドの外側に向いていたので、しゃがんで一花の顔に目線を合わせて覗いてみる。
相変わらず・・・・綺麗だな。
視線が・・・・そこに持っていかれる。
・・・・なるほど。そんないたずらもありか。
それとも俺が「見てたでしょ?くちびる。」
「・・・・・寝たふりだったのかい。」
「うん。・・・・・なんで、見てたの?」
ゆっくりと起き上がり、ベッドに座ったまま両手を置き、
どうしたの?と悪戯のような笑みを浮かべてこちらを見てくる。
・・・・俺はちょっとバツが悪い。イタズラの現行犯で捕まってしまった。未遂だけど。
「・・・魅力的だったから。それ以外にない。」
「・・・ふふ。ありがと。・・・・これは、お礼ね?」
こちらの胸元を掴み、ゆっくりと引き寄せて・・・・
・・・・長い口づけ。
・・・・とける。じんわりと。まるで春の雪融けのよう。
・・・ゆっくりと、離れた。
・・・・・・・・・もう終わりか。もっと欲しかった。
「どお・・・・?嬉しかった?」
「・・・流石は女優だ。手慣れてるね。お陰で俺は・・・・依存症になっちまった。」
「手慣れてる・・・?」
「キスシーン、あったんだろ。この間、前田くんが日の出祭で言ってたじゃないか。」
「あー・・・あれね。」
結局、誰とやったのか聞いてないし調べてもない。
・・・・本人から聞いてしまおうか。
「誰とキスしたんだい?まだ知らないんだ。」
「・・・・気になる?」
「ああ。とても。」
「…………嫉妬、してくれるんだ。」
「・・・・今の俺はあの時の迷っていた俺とは違うからね。」
「ふふ。えっとね?相手は同じ女優の子。」
「・・・・え?女優?」
ん?どゆこと?
女同士ってこと?
「最近はそういうのも需要があるみたいだよ?」
「そうなのか・・・・」
「どお?安心した?」
「安心、・・・・・したかもしれないね。」
「・・・もし、さ。私がこれから男の人とも、
キスシーンがあるって言ったら、ナギ君はどう?」
一花が、他の男とね・・・・・
あまり想像したくはない。・・・・しかし。
「・・・・やりたいのであれば、応援するよ。
俺の事は気になくていい。」
「違うよ。わたしが聞きたいのは、ナギ君がどう思うか。
・・・・・ね、聞かせて?ナギ君の気持ち。」
喋らないとわからないかい?中々鬼畜だね。仕方ない。
心臓が痛くなるんだよ。想像するとね。
「・・・・・・・良いわけがないだろう。
相手が女だろうが嫌さ。男も女も関係ない。キミのその唇は、誰にも渡したくない。」
「・・・・うん。ありがと。その言葉が聞きたかったの。」
「・・・だから俺も、マーキングさせてもらおうか。」
「え?・・・・あ。」
挑発したのはキミだ。責任を取ってもらうぞ。
お返しをしてやる。今度はこちらの番だ。
同じように胸元を掴み、キスをする。
・・・長く。
・・・・・もっと。
・・・・・・・・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
・・・・どれくらいソフトキスを続けていたかな。
1分は立っているだろう。
満足だ。離す。
「・・・・・・・・・・」
「わかったかい。俺の気持ちが。
まだわからないようなら、はっきり言おう。
好きだ。大好きだ。愛している。一花しか見えない。
俺には・・・・・一花しかいないんだ。」
「あはは。やめてよ。流石にちょっと、照れる・・・・・」
微笑みながら、赤面してくれた。
・・・・なんだ、これで良かったじゃないか。
やはり剛速球で良かったな。だが、流石に俺も・・・・恥ずかしい。
俺も赤面しているだろうな。顔が熱くなっているのはわかる。
だってさぁ。考えても見てくれよ。今はまだ3月。
付き合って半年くらいしか経ってないぜ。
そんな短い期間で愛してるなんて軽々しく言いたくないよ。
外側から見たら完全に高校生のバカップルじゃん。恥ずかしすぎる。
ただ、今までキミに愛しているなんて言ったことはなかったからな。
次からは効かないだろうな。残念だ。
大変だね。これから。
俺はまた、こんな思いを何回もすることになるんだろう。
だけど・・・一花だけに聞かれるなら、別に悪くないか。
そんな自分の気持ちを再確認し、ホテルでの一件は幕を閉じた。
今作も残り僅かなので、私としても振り返りをしています。
三玖の出番が少なかったように思えたのが今作の個人的な反省点です。
また、文字だけで三玖の個性を出そうとすると、
無口でカタコトっぽくなってしまうのが難しい所でした。上手い表現の仕方をしたいですね。