五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

20 / 130
18

「あ・・・おひさ。ナギ君。交代?」

「そうだね。風太郎と交代。ここからはわたくし有坂くんが先生です。あとこれ筆箱ね。」

 

 

「ちなみにナギ君の後ろに・・・・・」

「ごめん。憑りつかれたんだ。」

「自分は悪霊じゃないっす・・・・・」

 

 

 

図書館についたのだが、荷物が一つ増えた。茜だ。

たまたま近くのカフェで勉強していてその帰りだったらしい。

見つかってしまい、つれてけつれてけとなり今に至る。

 

 

 

 

「悪霊じゃないならなんだというんだ?」

「私は少なくとも生きてますよ!」

 

「じゃあ生霊だな。」

「ちゃんと地に足がついてるじゃないですか!ひとだまじゃないです!」

 

「茜くんうるさい。図書館では静かにしなさい。」

「もー!」

 

 

「そういう訳でこいつも勉強するらしいんだ。問題ないかい?」

「私たちは・・・・いいよ。」

「お邪魔します!」

 

姉妹は歓迎ムードだった。うるさくならないと良いんだが。

ここは学校内じゃないし。気を遣う。姉妹ではなく周りの一般の人に。

 

 

 

 

「ナギ君。ここ教えてほしいな。」

「はいはい」

 

 

「センパイ、これってどうなるんですか?」

「ん。茜、どこだ。」

 

 

「ナギ・・・・・」

「あいよ、どこだい」

 

 

「センパイ、こっちはどうですか。」

「あん?・・・・何これ。こんな難しい問題俺は解けん。テストでは捨てろ。こんな知識は2年で使わん。」

 

 

「有坂さん!」

「はい四葉くん。どこかね。」

 

 

「センパイつぎー」

「おま・・・・・これさっきの問題じゃねぇか。無理だっつったろ。俺数学苦手だし。」

 

「問題のこの部分だけがわからないんですよ!気持ち悪いじゃないですか!」

「俺はそこに至る過程もわかんねぇっつーの。素直に諦めろ。他に頼め他に。」

「今ここにはセンパイしかいませんよ!」

「あーもー!わかった!どうにか解釈してやるから少し待て!」

『図書館ではお静かに!』

 

 

質問の回数が多い。的確に邪魔してくるなこいつ。普通にレベルの高い問題だ。

だから言ったじゃん他の奴に頼めって。もう1年の問題なんて忘れたわ。

 

 

 

 

「ナギ君って、茜ちゃんや風太郎くんが相手だと口調変わるよね。」

「・・・・そういえば・・・」

「荒っぽいです!」

「付き合いが長いと次第に遠慮がなくなっていくんだよ。こいつは特にね、後輩だし。」

 

 

「学校が変わってもセンパイを慕っている美人な後輩ですよ!もっと労わるべきです!

中野さんたちからも何か言ってください!」

「俺に美人の後輩はいねぇ。そしてこれはアメとムチだ。」

 

 

「いつになってもアメが来ないっす!」

「ムチは親しみと信頼の表れだ。だからアメは不要だ。」

「照れるっす!」

 

3人の笑いを取ったところで、一旦休憩することにした。

 

 

 

「しかしお前、勉強の帰りだったんだろ。疲れてないのか?」

「コーヒーとケーキが美味しかったので!」

絶対勉強してないだろ。そっちがメインまである。

つーかそんなもん食うな。アスリートだろお前。

 

 

「朝倉さんは誰と勉強してたんですか?」

「ひとりっす!」

 

「一人で勉強しようって気になるだけ・・・・すごい。」

「ですよね!褒めてください!」

 

「よーしよし。お姉ちゃんが撫でてあげるからねー」

「わ、わ!撫でられたことが無いので未知の感覚です!凪センパイもお願いします!」

 

「甘えんな。・・・・12秒切ったらいくらでも撫でてやるさ。」

 

「言いましたね!切りますからね!撫でてもらいますからね!」

「はいはい。やってみな。」

 

 

 

こいつの自己ベストは12.1~2のはず。まあ切れまい。

100mがそのタイムってのがまず凄いんだが。11秒台はホントに全国トップクラスだ。

 

まあ、ホントに11秒台を出してしまったら撫でる撫でないで騒いでいる場合ではない。

本気で全国トップを目指した方がいい。

 

まあ、こいつの場合ある1点を修正できれば簡単に11秒台が出そうだが、その修正が本人にとってはかなり難しいらしい。

 

「さあやるぞ。あと30分で良い。張り切って行こう。」

 

 

 

 

 

「うーん・・・・疲れました!」

「今日も頑張った・・・・」

「自分はまだまだいけるっす!」

 

15時に切り上げた。休日なのに昨日からかなり詰めてる。

一度しっかりと長時間の休憩をした方がいいだろう。

 

どうせ明日からも毎日勉強させられるんだ。重要なのはまずモチベーションを下げないこと。

上官には鬼軍曹上杉がいるのだ。俺は出来るだけガチガチに詰めずに、出来たらちゃんと褒める。

それでバランスを取る。

 

鬼軍曹がスパルタで成果を上げているのならば、

俺はスパルタでその下がったやる気を戻せばいい。それの繰り返し。

なお、茜は例外とする。

 

 

 

 

「ナギ君?まだお昼だけど・・・いいの?」

「遊ぶときはしっかり遊んでおいで。忘れてるけど今日は休日だよ?

それに風太郎の事だからテスト前日はまた泊まり込みやりそうだし。」

「あ~」

「助け舟は嬉しかったけど、実績作っちゃったね。まあでも、

あの時は助かったよ。ありがとう。」

 

 

一花さんの提案で昨日の泊まり込みがあったが、もう一回やりそうな気がする。

気の毒だが付き合ってもらおう。その時に向けて今日はもうちゃんと休んでほしい。

 

 

スマホを開くと風太郎からさっきの返信が来ていた。

『二乃がいたのか 部屋から出てこなかったぞ あいつ』

 

邪魔は入らなかったらしい。なら、仲直りは出来ているな。

『ちょっと早いけど帰らせる そっちもそろそろ切り上げてくれ』

 

返信を返した。

「ねぇ。ナギ君。」

「はい?」

 

「ナギ君は助手って言ってるけど・・・・・私たちの家庭教師、これからも続けてくれる?」

「そうだねぇ。」

 

 

 

 

助手。確かにそうだったな。風太郎はこう言っていた。

【あいつらが従順になるまでは手伝ってくれ】【最初の間だけで構わん】 と。

 

風太郎は着実に姉妹の信頼を得ている。今日、五月ちゃんと仲直りできたのなら、もうあと1人。

 

その最後の1人がとても難解だが。もう俺居なくても良いかもしれん。

 

いつものバイトと比較すると微妙に実入りも悪い。平日と昼の放課後は無給というのが痛い。

 

 

 

 

「そういえば・・・・最初だけ手伝ってくれって話だったね。思い出すと。」

「私は・・・ナギ君にいて欲しいな。」

 

「・・・・どうして?どうせ一緒のクラスで隣の席なんだし、その時で良いじゃない。

別に家庭教師じゃなくたって。」

「私・・・・あのオーディション、受かったの。」

 

花火大会のアレか。めでたい。

 

 

「おめでとう。流石だね。」

「受かったの、ナギ君のおかげだよ?社長も言ってたでしょ?」

「・・・・・言ってたね。あんま思い出したくないけど。」

あの人俺に投げキッスしてたもん。

 

 

 

「あの時、本当にキミが・・・・先生に見えたの。この人は目の前に指をさして、

卒業してからも私を導いてくれる・・・・

でも、途中であきらめて、道を引き返して戻ってきたら、抱きしめてくれるような、

希望と優しさにあふれた、光のような先生。

そんな風に見えたキミを思い出して・・・・心から笑うことができたの。」

「・・・・・・・」

 

 

あの俺を見てそう思ったのかい。感受性豊かだね。

格好つけるのも悪くないなと少しだけ思った。思い出したくはないけど。

 

 

「私はナギ君のおかげで変われたよ。ほかの4人も一緒だと思う。

だから・・・・これからも一緒にいて欲しいな。」

 

 

「・・・・ありがとう。光栄だよ。

でも残念ながら、あまり期待しないでほしいな。ちょっとした訳があって。」

 

 

「え・・・・?」

「大丈夫。クラスではこれからも一緒さ。だからあまり・・・・あぶねぇ!」

「センパーイ!なにヒソヒソ話してるんですか!帰りましょうよ!」

 

「わかったわかった。でもお前の家ここから近いだろ。」

「だからこそついてきてください!」

「めんどい。」

 

「じゃあ私がセンパイの家までついてくっす!」

「そっちの家いくからやめて?マジで。」

 

 

再度憑かれてしまったので仕方なく送る。

・・・ああいってもらえるのは嬉しい。けど、もう嬉しいとか苦しいとかそういう話ではない。

だってもう終わったも同然なんだもん。

誰かが赤点を1つでも取ればその時点でゲームセットです。

 

 

 

しかしあんなことを言ってくるとは。明日から一花さんと顔を合わせるのが・・・・・

少し恥ずかしく、なった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。