五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

23 / 130
21

翌朝。本日は土曜日だ。

そういえば昨日のメッセージに返信を忘れていた。

 

『良かったな 頑張れよ』

 

そう返信した。

10分後くらいにまたメッセージが来た。

 

 

『何を言う 頑張るのはお前もだ』

『俺の役目は終わった あとは頑張れ 今なら風太郎だけでも上手くやれるさ』

 

 

即、電話がかかってきた。

マジかよ。相当驚いているな。キミから言い出したことだぞ。

 

 

「おはよう友よ。キミの同級生である有坂だ。」

「凪。どういうことだ。聞いていないぞ。」

 

 

「いや赤点は取っただろう?なんで継続なんてことになっているのさ。」

「それは・・・二乃が機転を働かせた。父親を説き伏せたんだ。

だが今回限りだ。次は赤点回避が絶対だ。」

 

二乃が?

へぇー。風太郎、いつの間にそんなに仲良く。

 

「そう。それは良かったねぇ。」

「だからお前も来い。早速今日から次に向けて動き出す。」

「今もう中野家にいるの?」

「そうだ。一花は仕事で出てしまったが他の4人がいる。」

「そう。」

 

 

「風太郎、キミ最初に言っただろ?

最初の間だけ、従順になるまでの間だけで構わんって。」

「確かに・・・・そんな話をしたかもしれんが。」

「もーいいんじゃない?」

「なっ・・・・」

「もう4人とは仲良くなったしょ?んで昨日は二乃が風太郎をアシストしてくれた。

もう十分だと思うんだけど。」

 

 

「待て待て!今回赤点を回避した教科もあるが、それでも点数はギリギリだ!

お前が居なかったらそれすらも赤点だった可能性がある!」

「そーだね。ただ今回ので下地は出来たでしょ。

そこをベースに次のテストはもっと良くなるさ。」

 

 

「しかし次は全ての教科で赤点回避が必須だ!万全の態勢で挑んでおきたい!」

「んまぁーそうだね。でも俺キミより給料安いし。実績上げられなかったから給料アップないし。

並行してやってるバイトの方が給料良いんだよ。」

 

 

自分で言いだしたことだが。

 

 

「給料が少ないなら俺の分を少し分ける!だから来い!」

 

 

そこまで言ってくれるか。嬉しいねぇ。予想外だ。

 

 

「そこまで言うんなら考えようか。ただなぁー。

面と向かって誠意を見せてくれんかね。上杉くんよ。」

「チッ・・・・仕方ない。今日の家庭教師はいったんここまでだ。

凪、何処にいる!今からそっちに向かう!」

「じゃあすぐ出迎えに来てくれ。」

「出迎えだと?自宅にいるのか!」

 

 

電話しながら歩き、マンションの玄関口についた。部屋番号のボタンを押して通話を開始する。

うむ。機械は壊れていなかった。

 

 

「助手の有坂くんが来ましたよー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんな怒る?」

「お前の冗談は笑えん!」

「・・・・もう来ないと思った。」

「びっくりしちゃいましたよー!」

「乗り掛かった舟だよ。沈むまでは共にしよう。」

「沈む前提で話すな!」

 

 

自分なりのシャレだったんだが、お気に召さなかったらしい。

ちょっと冗談言っただけじゃん。通話を聞いていたらしい三玖と四葉くんにまで怒られた。

 

 

「・・・・ナギ、罰としてこれ食べて。」

「なにこれ?コロッケ?」

 

 

目の前に黒い塊が出てくる。

キッチンペーパーの上であり外側がギザギザしているので揚げ物と判断したが。

 

 

「中々旨いぞ。それ。」

「あんまりおいしくないです!」

「四葉はグルメだな。」

「上杉さんが味音痴なんです!」

「・・・・どっちやねん」

 

 

確実に焦げているのがわかるので気は進まないが、罰ゲームなので食べる。

うわぁ。

 

 

「・・・・苦い。けど中心の部分がちょっと冷たい。

コロッケだから良いけど、メンチカツとかだとヤバいよ。」

 

 

ジャガイモとひき肉では危険性が段違いだ。

味はまあ、ソースかケチャップがあれば苦さを消せなくはない。

 

 

「油の温度が高すぎる。そしてそのせいで揚げ時間が短くなってしまう。

結果、中まで熱が通ってないんだ。」

「・・・・なるほど・・・・」

「中のジャガイモは良いね。ちゃんと念入りにマッシュしてる。

ただ、食感を気にしてかごろっとした塊をあえて残して揚げる人はいる。そこは好みだね。

風太郎はどっちが好き?」

「旨ければどちらでも構わん」

「参考にならねぇ」

 

 

三玖の恋心のアシストをしたかったが予想通りの返答が帰ってきた。

 

 

「温度・・・どれくらい?」

「揚げ物はあんまやらないから正確な温度知らないなぁー。スマホで調べてみて。

でもどうせ家に揚げ物用の温度計なんてないでしょ?感覚で覚えるしかない。

手のひらを油に近づけた時の熱さで覚えよう。」

「これじゃだめ・・・?」

「・・・油の温度は150℃を軽く超えます。」

 

 

MAX100℃の棒温度計を出してきた。それ室温用でしょ。

揚げ物は片付けが面倒だから頻度も少ない。だから知識もあまりない。

 

 

「完璧に出来るまでやる・・・・手伝って。」

「良いけど勉強はいいのかい。」

 

 

なんかそういう流れになったので三玖の料理を見ることになった。

俺より二乃の方が料理得意だと思うけど。

 

 

 

 

 

 

「・・・お腹の調子はどうですか?三玖がすぐにお薬買ってきてくれますから。」

「・・・・凪。お前の手持ちの薬は胃もたれに・・・」

「効きません。」

「・・・・だよな。」

 

 

風太郎は揚げ物の食いすぎでダウンした。

リビングにマットを敷いて寝転がっている。俺もちょっと辛いが、

食い意地の張っていた風太郎よりはマシだった。

 

 

最終的に中に熱が通るようにはなったが、まだちょっと温度が高く、黒いのは治らなかった。

あと焦げに偏りがあった。油が少なくてコロッケの一部が底についているのだろう。

気づけなかった。まあとりあえずメンチカツやとんかつは大丈夫だろう。食中毒は回避できる。

 

 

「倒れるまで食わされるとは・・・・お前が文句言い続けたせいだぞ四葉。」

「嘘はつけませんよー!ついたところでバレちゃいます!」

「好みの味とか言っておけばいいだろう!」

「好みのあじ・・・・勉強になります!」

「そんなことを教えに来たんじゃない・・・・」

 

 

 

 

「あれ~?人の家でお昼寝ですかー?薬でも盛られたのかしらー?」

「皮肉だな。今は逆に薬が欲しい。」

 

 

 

 

二乃と五月ちゃんが部屋から降りてきた。

そういや一花さん以外いるんだっけ。

 

 

 

「ふーん。どうでもいいわ。行くわよ五月。ランチ終わっちゃう。」

「え、ええ。」

 

 

 

「まずい・・・・四葉!凪!」

「あい」

「そろそろ二人にも勉強を教えたい・・・・何とかして引き止めろ!」

「いやその状態で家庭教師は無理でしょ。」

「ならお前が教えるんだ!」

「えー。」

 

 

二乃はちょっと苦手だ。ためらう。

まあ次のテストまでは継続だし、避けては通れないか・・・・

 

 

「二人とも、待って!見てのとおり上杉さんが重い病に侵されたんだよ!

看病してあげて!」

「え?そうなのかい四葉くん」

 

 

俺が何か言う前に四葉くんのすっとんきょうな発言が炸裂した。

それはないだろう。それは。

 

 

「え?そうなのですか?それなら病院に行った方が。」

五月ちゃん半信半疑。良い子だねーキミ。

 

 

「そ、それは出来ないかなぁ!動くと死んじゃう病気なんだよ!」

「は、はぁ。そうなんですか?ナギ君。」

「うちは自己申告制でやらしてもらってますので」

「???」

 

 

「はぁ?何それ?まああんたら2人が居れば大丈夫でしょ。行くわよ。五月」

「・・・それもそうですね。行きましょう」

「・・・・ゴホ、・・・・・やべぇ・・・・少し動いて死にかけたぜ・・・・」

「!・・・・馬鹿、風太郎!安静にしてろ!死に急ぐな!」

 

 

 

手に血っぽい何かがついていたのでとっさに駆け寄る。

風太郎が体の後ろからケチャップを滑らせてきたので回収する。

お前ホント凄いな。そういうとこ大好きだわ。とっさに反応した俺も凄いけど。

というかこの嘘のまま行くのか?

 

 

「な、なにしてるんですか!安静にしててください!」

五月ちゃんもこちらに来た。キミ本当良い子だねー。

 

 

「薬飲んで寝てれば治るでしょ。」

「二乃!おかゆ作ってよ!料理得意でしょ!」

「料理なら有坂がいるじゃない。」

「自分、おかゆ作ったことないっす」

「ハァ?噓でしょ?」

「いやホントに。俺おかゆ嫌いだもん。自分の嫌いなものは作らない。」

 

 

おかゆってなんか変に甘いじゃん。あれを食べるなら栄養補給のゼリー食ってた方がいい。

甘いものは好きだが、デザートやスイーツが好きなだけだ。あと卵焼きとか甘辛い何かとか。

あと四葉くん風太郎は食いすぎでダウンしてんだよ。理解しているかい。

 

 

 

「・・・・仕方ないわね。卵入ってるやつでいいわね?」

 

 

作ってくれるんだ。割と言うこと聞いてくれるようになってる。

何かが変わったな。

 

 

 

 

 

 

 

「で、なんであんたが傍にいるのよ。」

「いや、作り方知らないから見て覚えよっかなーと。」

 

 

後学のために二乃の料理風景を見守ることにした。

あと変な薬を入れないかチェック。

 

 

「あんた、おかゆの何が嫌いなわけ?」

「変に甘いドロッとした固形だか液体だかわからんとこ。」

「なかなか重症ね・・・・」

 

 

甘酒は飲む点滴と言われる。同じ米ならおかゆもそれに近いだろう。

だからこその病院食な訳だが。

 

 

「米粒の状態から作るの?炊いた状態からじゃないんだ。」

「水の分量を増やすだけよ。ご飯を炊くのと変わらないわ。」

「パエリアスタイルね。分量はどんな?」

「1/2合に対し、大体600ml。好みの固さで調節しなさい」

「はい先生。」

 

 

パエリアは米粒の状態から鉄鍋で作る。

ただし、向こうはコメの芯を残し、食感として利用するため、水の量はおかゆとは全く違う。

病院食じゃなくて普通に料理だし。

 

 

 

沸騰させて鍋をぐるぐるとかき混ぜている。

ちょっとおいしそうではある。

 

 

「ネギを忘れてたわ。あんた切ってくれる?」

「どんくらい?」

「あんたの好きな量で構わないわ。」

 

 

ネギは好きなのでたくさん切る。

青ネギが常備されてるの良いね。

 

 

「あんた、甘いのが嫌いって言ったわよね。」

「そだね。」

「じゃあ中華スープの素でも入れるわ。」

「わーいやったー。」

 

 

食べるのは俺じゃなくて風太郎なんだが、あいつは何喰っても大丈夫。

溶き卵を回し入れ、ネギを散らして完成となった。

いいね。やはり溶き卵が入っていると旨そうに見える。あとでちょっともらお。

 

 

 

 

 

「風太郎、出来たぞー。食えるかー。」

二乃と一緒に風太郎のところにおかゆを持っていく。

一口くらいは食ってくれ。

食えなかったら俺と四葉くんで食う。

 

 

「あ。」

「おっと。ケガはないかい。」

持って行っていた最中、二乃がソファの角に躓いたので、二乃とおかゆのトレイを受け止めた。

おかゆが少しこぼれてしまったが、最小限で済んだはずだ。

 

 

 

「だ、だいじょうぶ・・・あ、熱!」

「指か、ちょっと待ってて。そいつは貰おう。」

 

 

おかゆが指にかかってしまったようだ。トレイを一度テーブルに置く。

氷をコップに入れ、蛇口から水を出す。

その直後。

 

 

「あっちぃぃぃぃぃ!!!」

「あれ。風太郎。」

「ご、ごめん!大丈夫・・・・って、あれ。」

 

 

おかゆは風太郎にもかかっていたようだ。にしても時間差だったな。

 

 

「はい。火傷したとこ、入れときな。後で軟膏を塗ろう。」

「あ、ありがと・・・・って上杉!普通に動いてるじゃない!」

 

 

火傷は素早く対処できたかどうかで被害が変わる。服のしみ抜きみたいなもんだ。

あと、バレた。そうだ。俺も忘れてた。そんな設定だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「結局3人になっちまったな・・・・」

「一番最初の時を思い出すね。」

 

風太郎は氷水の入ったコップで頬を冷やしている。

 

二乃と五月ちゃんは怒って出かけて行った。

おかゆは旨かった。もう少しスープの素を入れて塩辛くして欲しかったが、

そこまで行ったら病院食ではなくなる。

 

「じゃあ風太郎。俺は先に帰るよ。今日はもう無理だろ?」

「そうだな・・・・また明日から頼む。」

「あい。」

 

 

 

鍋を洗い終えたので帰ることにする。

風太郎の相手は四葉くんに任せよう。

 

「じゃあね四葉くん。」

「有坂さん、また明日!」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。