五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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正確には違いますが、30話目です。
現在は109話まで執筆が終わっています。
特にトラブルがなければ109話まで1日ずつ投稿可能です。


30

 

 

倉庫の中で横になり、目をつぶっていたが寝れるはずもなく。

おもむろにに立ち上がる。

10分くらい経っているかな。スマホを見た。

見たが、いつから寝転がっていたか知らない。

意味がなかった。アホだな。俺。

 

 

「ふう・・・・・落ち着いた。」

「おつかれさま。」

 

 

一花さんは元に戻っていた。良かった。

倉庫の中で二人きり。クラスの男子連中なら、嬉しかっただろうな。

落ち着いたと言ったが、実のところ俺はまだ気が気じゃない。

涙の理由が、わからないから。

 

 

 

「よし、ここを出よう。一花さん。悪かったね。」

「あー・・・・それなんだけど、さ。」

 

 

 

扉を見る。ん?ドアノブや取っ手らしきものがない。

押してみる。びくともしない。引いてみる。同じ。左右にスライド?そんなことはない。

鍵らしき鉄製部分は?見当たらない。

 

 

 

「外からしか・・・・・開けられない?」

「そうみたい。」

 

 

 

マジかよ。なんだそりゃ。

安全対策どうなってんだ。古そうな倉庫だから仕方ないのか。

真夏なら熱中症で死ぬぞ。冬もキツイけど。

棚を使えば上の窓まで手が届きそうだが、着地が厳しい。あと、単純に登るまでが危ない。

 

 

 

「助けは呼んだ?」

「わたし、スマホ置いてきちゃって・・・」

「そう。じゃあ俺が呼ぼう。」

 

 

 

持っててよかったスマートフォン。

誰にしようかな。人選する。大丈夫。電波は1-2本立っている。

 

 

風太郎。ダメだ。体調良くなさそうだった。休ませてやりたい。

姉妹。これも避けたい。トラブルのもとになりそう。

クラスメート。これが無難か。さらに人選をする。

 

 

「片倉くんと川村さんに任せた。」

 

 

同じ班だし、この二人にする。俺が帰ってこないことを不審がってるかもしれないので、

連絡も兼ねる。

他二人、伊達くんと屋代さんは面倒なことになりそう。前者は暴走するかもしれない。

後者は典型的メガホン係。屋代拡声器。

前田くん?論外。

・・・・・いや、意外とアリか?なんにせよ、連絡先をまだ知らない。

 

 

 

「よし。じゃあ待とうか。」

「ありがと。」

 

 

 

 

メールを出して一安心。じっくりと待つ。

一花さんの様子をうかがう。

 

 

 

改めて見ると、一花さんは薄着だった。長袖ではあるものの。

一方こちらはコート付き。渡しとこう。大女優が風邪をひいたら、あの社長がカンカンだ。

 

 

 

「着なよ。」

「あ・・・私は大丈夫だよ。」

「・・・嘘。覚えてるよ。さっき寒いって言ってた。俺は大丈夫。」

「・・・・ありがと。」

 

 

 

フード付きの短いダッフルコートを着てもらった。

俺は下にフリースっぽいもこもこするやつを着てる。問題ない。

あと暑がり。さっきの一連の流れで脇汗びっしょり。

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

倉庫の中で助けを待っていた。

・・・・・気まずい。会話の内容を探す。

 

一花さん。どうして泣いたの?

 

なんて、聞けるわけがない。直前の会話は・・・・

ダンスパートナーを求められて、俺が拒否したんだ。その話をする。

 

 

 

「一花さん。俺と君がキャンプファイヤーの係なのは、まあ知ってるよね。」

「・・・うん。だからここにいるんだもんね。」

 

「俺さ。キャンプファイヤー当日にフォークダンス流したり、

アナウンスしたり、写真撮る係なんだよ。」

「あ・・・・」

「だからダンス中は別の事してるんだ。ごめんね。知らなかったよね。」

 

 

 

その日の事を思い出したが、一花さんは係決めの時欠席だった。

係の詳細はその時に決まった。一花さんはその後、

人づてにキャンプファイヤーの係になったと聞いたのだろう。

当然その時、誰が何をやるなんて詳細な話はされない。伝える人はそもそも別の係の人なのだ。

 

自分が何をすればいいか。それだけ伝わった。そういう事だろう。

俺が一花さんに伝える役ではなかったから。席変わってたし。

 

 

 

「・・・・うん。わかった。おねーさん、ナギくんに彼女が出来たんだと思って、

びっくりしちゃった。」

「そんな人は存じませんなぁ。」

 

それにしたって泣くのはおかしいけど。まあ聞けない。

 

 

 

 

「ねぇ。ナギ君。」

「はい?」

「折角だしさ・・・・恋バナしよ。恋バナ!」

 

 

愛の伝道師一花は恋愛に飢えていた。

んなこと言われてもなぁ。正直困る。周りの話をするか。

 

 

「キミに告白した前田くん・・・・肝試しに来ていたよ。松井さんと一緒に。」

「え!そうなの?そっか~あの二人かぁ。・・・・お似合いかも!」

「ひょっとすると、キャンプファイヤーの時、踊るかもね。」

 

お気に召したようだ。

 

 

 

 

「風太郎は上手く行くかな。三玖と。」

「どうだろ。やっぱりあの子、自分に自信がないみたいだから。」

「風太郎ランキングの時ショック受けてたもんなぁ。」

「たはは。そういえばそうだね。三玖と逆だった。」

 

 

 

話していて、しまったと思った。

まずい。あのランキング、俺の1位を言ってない。今聞かれるかも。焦る。

 

 

 

「旅館の時、三玖は独り占めって言ってたけど・・・・・何か知ってる?」

「前田くんが一花さんに変化した三玖に告白した時、彼が言ったんだよ。

告白とは・・・相手の事を独り占めにしたいから、するんだって。」

 

 

 

恋と愛の形は人それぞれ。あの発言は三玖にとってインパクトがあったはずだ。

だから旅館であの発言が出た。

 

 

 

「あと知ってるのは・・・・・川村さんかな。誰かと踊る約束をしてた。

誰かはわからないけど。」

「川村さんかぁ。・・・・想像つかないかも。結構ショックな人いるんじゃない?人気だし。」

 

「クラスでトップレベルに人気があるキミがそれを言うのかい?」

「・・・・・え!?私!」

「当たり前だよ。適度に元気で容姿端麗。ユーモアもあるし、

人を傷つけるトゲトゲしさもない。誰とでも仲良くできる。

さっきも言われてたじゃないか。俺の部屋を片付けてほしいなーって。

まあ、俺が現実見せてやったんだけど。」

 

「でも・・・・ナギ君も結構ね、人気だよ?」

「そう?ありがとう。俺は便利屋みたいなものだから。物差しで測れば、一花さんの方がはるかに上さ。」

 

 

気が利いて、かつ小回りが効くユーティリティな人物。

最初はそんな立ち位置を目指した。皆がやりたくないことを率先してやれば、

とりあえず居場所は確保できる。

ざっくり言えば、雑用係。ちょっとストレスはたまるが。

 

 

 

 

 

「しかし・・・・その反応。自分が人気者ってことに気が付いていなかったんだね。

一花さんはよく人の世話を焼く。人の気持ちにも敏感だ。

だけど、自分に関しては察しが悪いみたいだ。」

 

「・・・・・・ナギ君。それはキミも同じだと思うな。」

「え”っ  そうなの。」

 

 

 

 

感じたことをそのままに述べたら予想だにしない返答が帰ってきた。

マジかよ。あとで風太郎・・・・はダメだ。クラスのこと知らない。

川村さんか屋代さんかな。聞こ聞こ。

 

 

 

 

 

 

 

話すこともなくなって、ちょっと静かになる。

一花さんは眠そう。寝てていいのに。

 

 

一花さんは好きな人いるの。

気になるけど、それは聞かなかった。なぜなら十中八九カウンターが帰ってくるからだ。

俺は喋った、お前も喋れ。そうなるに決まってる。

 

「ナギ君は・・・・好きな子いるの?」

Oh.......

 

 

 

 

 

「・・・・・そういえば助けがこないなあ」

「無視!?」

 

 

一旦スルーする。でも、助けが来ないのは本当に気になる。

スマホをチェック。30分は経っている。参ったな。そんなに時間はかからないと思うが。

・・・・電話かな。さっきのはメールだ。

川村さんの番号は知らない。片倉くんならわかる。かけてみる。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・

・・・・・繋がらない。寝たか?片倉くん、意外と薄情だな。

 

 

 

!! 

違う。飯ごう炊さんの時、誰かが言っていた。スマホが圏外だと。

きっと向こうは圏外なんだ。電波が来ているのはこのスマホだけだ。

電波を契約している会社が違う。だから一部のスマホは繋がっていない。

だからこの電話も繋がらない。

しまった。最初から電話していれば気づいたのに。

 

 

誰なら繋がる?片っ端から電話をかけるか?

いや、待て。

 

 

 

「一花さん。キミのスマホって、ここでは電波届いてたかな。」

「うん。弱いけど、届いてた。」

 

 

 

よし。それなら姉妹には確実に繋がるだろう。もうそれでいい。

誰にするか。でも一人にメール出せば全員にバレると思うが。誰をリーダーにするか。

えーーーーーーー・・・・・・・・・・・・・・・・ 二乃。

 

 

二乃に陣頭指揮を取ってもらおう。

三玖、あんま良くない。キャンプファイヤーの件で風太郎と会っているかもしれない。

死にかけの風太郎がセットでついてくる可能性がある。

四葉、これも良くない。間違いなく来てくれるが、騒ぎになりそう。あまりよくない。

五月、二乃と悩んだが、パス。騒ぎになるのは困る。

先生たちにバレずに倉庫の鍵を持ってきてほしい。その辺の融通が利かないかもしれない。

 

 

 

ここには一花さんがいる。姉妹の為なら動いてくれるはず。

 

 

二乃にメールを出した。

 

 

「ごめん、一花さん。もう少しだけ待ってほしい。

さっきメールを送った人は圏外かもしれない。二乃に連絡したよ。」

「そ。じゃあもうちょっとだけおはなししよ?

ナギくんは好きな子いるの?」

 

 

しつこい。スルーした意味がない。

しょうがないので喋る。

 

 

「おりません。」

「だよね。フータロー君一筋だもんね~。」

 

 

勝手に察してそれ以上の詮索は諦めてくれた。

じゃあこっちからカウンターを決める。

 

 

「一花さんのす「じゃあ今までに告白したことやされたことは?」

 

連続攻撃かよ。聞いてない。

やめて。心の準備が出来てない。焦る。

 

 

「・・・・・・・・・それもいません。恋愛経験ございません。」

「えー?ホントに?ちっちゃい頃からフータロー君と一緒だったの?」

「学校は一緒だったね。でも、昔からここまで仲良いわけではなかったよ。

小学校6年だったかな。仲良くなり始めたのは。」

 

懐かしいな。修学旅行から帰ってきた時だ。

昔は、色々あった。

 

 

「ふふ。うらやましいな。その関係。」

「そう?キミたちも似たようなもんだろう?」

 

 

親友よりも固い絆だろう。姉妹って。

実際仲良いし。あ、俺のスマホが鳴った。

 

 

 

『なに遊んでんのよ ちょっと待ってなさい』

 

よし、目途がたった。ありがとう二乃の姉御。マジ感謝っす。

 

 

「二乃が来てくれるそうだよ。みんな一緒かもしれないけど。」

「そう。・・・・・・・よかった。」

 

 

一安心。

 

「じゃあ質問を変えよっか?」

「俺のターンは無いのかい?」

 

3回連続攻撃。やめてホントそれ。

 

 

「今まで誰かを好きになったことは?」

 

「ないです。」

「えー!!さすがに嘘でしょ!」

「ないですよーおねーさん。」

「む~ 意外とつまんないなぁ。」

「・・・・・その通り。俺は結構・・・・つまらない。」

 

 

誰かを好きになったことね。あるわけないじゃん。あんなことあったのに。

 

そういえば、先ほどさらっと嘘をついたな。俺。

とても自然だった。自分でも意識していなかった。

 

 

それにしても、つまんないときたか。うーん。・・・思いのほか傷ついたな、今の。

そう思われないように、色々調べて物知りになったんだ。

・・・・・けれど、勉強には使えないものばかり。

確かに。全く持って、くだらないな。

 

 

そうだよな。さっきからキミの質問で、昔を、過去を振り返っている。

ごめんね。つまらない人間で。けど間違ってない。

 

今、ここでこうしているのも、俺がつまらないのが原因かもしれない。

そう考えてしまう。キミを楽しませることなんて、できやしないんだよ。

泣いてないだけマシ。

 

 

なんか・・・・・・・・疲れた。今日は色々あった。考えすぎたな。

思えば、飯ごう炊さんの時、人助けなんてするんじゃなかった。

オバケなんてやるんじゃなかった。待ち時間が長かった。時を待つだけというのは、辛い。

気持ちがネガティブになっているのがわかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「教えてあげるよ。俺がどれだけつまらない人間なのか。」

 

「え?そ、そんなこと「現実を見せてあげよう。君たちはなにか勘違いしているようだ。

知らないから。風太郎も知らないはずだ。人づてに伝わってなければ。」

 

 

「・・・・・・ナギ君?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんね。さっき、嘘をついた。訂正しよう。」

 

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

「1回だけ・・・・・告白された事がある。」

 

 

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