五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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物語のリアリティを出したいので、
基本的には主人公の一人称視点から変わりません。
説明が足りなかったり、文字数が少ないのは、そこも原因でしょうか。




2-2

「一服盛られて眠らされた?本気で言ってる?」

「本気だ。クッキーを食って水を飲んだ。気が付いたらタクシーの中で夜だった。」

「えぇ・・・・・・」

 

 

 

上杉先生の家庭教師初日は散々というレベルを超えていた。

にわかに信じがたいが・・・・・よく考えたら俺も物理的に意識を失いかけた。

やるかもしれない。あの子・・・・二乃なら。

 

 

 

「とにかく・・・・現状俺一人では手に負えん!凪。

あいつらが従順になるまではお前も手伝ってくれ!

人付き合いの上手いお前が居ればいくらかマシになるはずだ!最初の間だけで構わん!」

「人付き合いは別に得意じゃないよ・・・・・バイトがない日だけねー・・・・・」

 

 

自分のトゲトゲしさを自覚しているせいか、俺にこんなことを頼んできた。

風太郎が頼み事をするのは珍しい。しばらくは手伝ってやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。中野家のマンションに来ている。

 

「という訳で今日から俺の助手につく有坂だ!成績は俺より低いが実績がある。問題ない!」

「あっはい。どうもです。名前は昨日喋ったね。」

 

「私は教えてもらっていません・・・・」

「あ、そうだったね。キミは?」

「中野 五月です。」

「有坂 凪です。よろしく。五月ちゃん。」

「よろしくお願いします。ちゃんづけは結構です。呼び捨てで構いません。」

「しつれいしました」

 

風太郎がやらかした赤い髪の子は五月ちゃん。

お気に召さなかったらしい。さんづけにしとこう。

ただ、ちゃん付けをしたくなる雰囲気が出てるんだよな。

 

 

「家庭教師はいらないって言わなかったっけー?」

この子怖い。薬で昏睡させられたんでしょ。飲み物には気をつけないと。

二乃だったっけ。

 

 

「だったらそれを証明してくれ。・・・・今から、テストを受けてもらう!

合格ラインを超えた奴には金輪際近づかないと約束しよう!」

 

 

上杉先生お手製のテストを持ってきている。

難易度は高め。

 

「なんであたしがそんな面倒な事を・・・」

「わかりました。受けましょう。」

 

「はぁ?五月、本気なの?」

「合格すればいいんです。・・・・これであなたの顔を見なくて済みます。」

「そういうことなら、やりますか・・・・」

「みんな!がんばろ!」

「合格ラインは・・・・・?」

 

「50点だ。それだけあれば充分。」

「・・・別に、受ける義理は無いんだけど。あまりあたしたちを侮らないでよね。」

 

5人はリビングのテーブルでテストを始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「「・・・・・・」」」」」

 

特にカンニングしている様子もなく、真面目にテストを受けている。

うーん。回答をチラ見しているが50点は無理だな。全員アウト。

 

特にひどいのは四葉ちゃん。自分の名前を漢字で書いてない。

この時点で色々察する。

 

 

prrrrrr

 

「失礼。ベランダを借ります。」

 

俺のスマホが鳴ったので、一時退出することにした。

着信だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はいもしもし、有坂です。」

 

「有坂。悪いな急に。お前、花火大会の日って空いてるか?」

 

「北条さんお疲れ様です。花火大会・・・・ああ、空いてますよ。いつから行けばいいんですか?」

 

「昼から。また屋台の出店依頼だ。一人欠員が出来てな。補充できると助かるんだが。」

 

「わかりました。行けますよ。ちなみに種類なんですか?」

 

「焼きそばだ!当日はよろしく頼むぜ。14時からだ。」

 

バイト先の先輩である北条さんからの連絡であった。

また急な話らしい。予定を開けておくか。

 

 

 

 

「凪。終わったか。お前も採点を手伝え。」

「了解だ。」

 

テスト用紙を2枚受け取る。

赤ペンを持って採点実行。

 

 

「・・・・うわぁ。」

 

思わずそう呟いてしまった。

だって酷いぞコレ。問1は武将の名前を答える問題だぞ。

なんで応仁の乱とかいう答えがでてくるんだよ。

 

もうちょっと頑張ってくれよ。せめて人名を書いてほしい。

努力した、何とかしようとはしたところを見せて欲しい。

 

しょっぱなから少しやる気をなくしたが、頑張って丸を付けていく。

俺教師には向いてないかもな。ちょっと考えたことはあるんだが。

こういう回答を見ると心が折れる。

 

 

 

 

 

「採点終わったぞ!すげぇ!100点だ!

・・・・・・・・・・・・・・全員合わせてなァ!!!」

「5人全員足して・・・・5で割らなければ完璧なのに。」

 

全員の採点が終わったが、以上の通りである。

最高は32点。最低8点。やっぱり全員アウト。

合計ピッタリ100点というのが面白い。

 

「・・・・逃げろ!」

「あ!待ちやがれ!」

 

五つ子達は階段を昇って自分たちの部屋に閉じこもってしまった。

今日はここまでのようだ。

 

 

「どうしますかね。上杉先生。」

「くっ・・・・とりあえず、傾向と対策だ!全員のテストは手元にある。

誰がどこを間違っていたのかをチェックして、明日からの家庭教師に備えるぞ!」

「はーい」

 

本人達が居ないならいないなりに、仕事はちゃんとするらしい。

キミのそういうとこ好きよ。

 

「凪。回答を読み上げろ。俺がリストを作る。」

「あい。えーと問1、三玖だけ〇。問2は・・・五月だけ〇。問3は・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「凪。リストが出来たぞ。・・・笑えないが、面白いな。」

「・・・そうだね。」

 

風太郎が作ったリストを見せてもらった。

・・・・5人全員が全ての問題で、誰か一人だけが正解しているのだ。

2人以上が同時正解している問題がない。また1人も解けなかった問題もない。

だから、合計点数が100点だったわけだ。

 

「この後はどうしようか。」

「あいつらの傾向は掴んだ。これを見て、また計画を作るとしよう。

今日は解散だ。俺も家に帰って自分の勉強をする。」

「わかった。お疲れ様。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二日後の朝。

一人で登校していた。

 

家庭教師の今後について風太郎と話し合うべく、待ち合わせをしていたのだが、風太郎が来ない。

時間一杯まで待ったんだが、仕方なく見捨てた。

俺が見捨てられたのかもしれないが。

 

「・・・ハァ・・・・ハァ・・・・ギリギリセーフ・・・・」

「あれ。まだ登校してなかったのか。おはよう。」

 

学校の前についた辺りで風太郎が背後から現れた。

俺との待ち合わせを忘れたわけではなかったようだ。ガチ遅刻で一安心。

 

 

「悪い・・・・家庭教師と勉強の両立が・・・・こんなにキツイとは・・・・」

「向こうさんにやる気がないんだから、ほどほどにしといた方が良いんじゃないかい。」

 

そんなことを言っていたら、学校の前の道路に黒のリムジンが止まった。

は?誰だよこんなん乗ってるの。今日は総理大臣がお忍びでもくるのか?

 

「かっけー・・・・100万円はするだろうな・・・・」

「桁が一つ足りないねぇ。」

 

風太郎はリムジンに興味津々である。

 

貧乏の弊害。高いものになると上杉コンピュータは使い物にならなくなるのだ。

食堂の金額計算はすぐ答えが出せるのに。

貧乏なのは仕方ないとして、もう少し勉強以外の物に興味を持ってほしい。

娯楽を完全に捨ててしまっているからな。それも原因。

 

というかこのご時世100万では新車の軽自動車すら買えない。

1000万で買えるのかな。このリムジン。思ったよりも胴が短いが。

 

 

 

「・・・・・何ですか。ジロジロと不躾な。」

「おはよーございまーす!」

 

車のドアを開けて出てきたのは中野姉妹だった。

えー。あのマンションにこのリムジンかぁ。しかも運転手付きでしょ。

ヤバいね。こっちの予想をさらに引き上げる。

 

「お前ら一昨日は良くも逃げて・・・」

「先生、今日も逃げられてます。」

「また逃げ・・・・!」

 

こっちを見るなり走り出したもん。警戒されてるなぁ。ここ道端だぞ。

 

 

「お前ら!俺達をよく見ろ!手ぶらだ、害はない!」

 

「騙されないわよ!」

「油断させて勉強教えてくるかも・・・・」

「参考書とか、後ろに隠してない?」

 

 

「お前ら俺達を一体なんだと・・・・」

「・・・・私達の力不足は認めましょう。ですが、

自分の問題は自分で解決します。」

「勉強は一人でも出来る・・・・」

「そうそう、言ったはずよ。家庭教師なんていらないって。」

 

自分たちで解決できそうにないと判断されたから風太郎が呼ばれたのでは?

 

と言いたくなったが、グッとこらえる。

姉妹から風太郎に対しての好感度が低い。自惚れでなければ俺はまだそこそこあるはず。

マンションの中には入れてくれた。

ここで俺の好感度まで下がってしまうといよいよ家に入れてくれなくなるかもしれない。

 

だから揚げ足取り厳禁。人付き合いというのはそこまで考えないといけない。

だから疲れる。胃が痛い。まあ、風太郎と一緒にいるとよくある事なんだが。

 

 

「じゃあ、一昨日のテストの復習は、当然したよな!」

「お。」

 

上手いレシーブ。この人ね、とっさの機転が利くんですよ。

俺は時間をかけて機転を利かせるタイプ。

 

 

「問一。厳島の戦いで毛利元就が破った武将を答えよ。」

「「「「「・・・・・・・・」」」」」

「・・・・おとといの最初の問題だよ?」

 

この沈黙である。背中を見せている五月ちゃんがこちらに向き直ったが。

 

「・・・・・・・・」

お顔が真っ赤ですよ。若干震えてるし。

恥ずかしさと悔しさが入り混じっている顔だ。勉強してないのバレちゃったからね。

したのかもしれないけど。覚えていなければ意味がない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「この3日間で分かったことがある。この5人は極度の勉強嫌いだ。

そして・・・・俺のことも嫌いっぽい。」

「まあね。あんなストーキングしたらね。」

 

学校の廊下を姉妹と歩いていたが、間隔をあけてついて行っている。

この間隔が今の姉妹との心の距離です。テストに出ます。

 

 

「家庭教師を続けるんなら、ちゃんと仲良くならないとダメだ。

・・・・俺一人ではどうにもならないから、その辺頼むよ。上杉先生。」

「最も苦手な分野だぞ・・・・」

「諦めて別のバイトでも良いんじゃない?」

 

ちゃんと友好関係を築かないといけないとは理解しているらしい。

とりあえずそこの確認が出来れば良い。橋渡しは俺が頑張ろう。

たまには友達作ってください。

 

 

「・・・・・おい。凪。一昨日のテスト、三女の三玖は合格してたよな。」

「そうだっけ。誰かしらが正解してるのは覚えてるけど。」

 

五つ子卒業計画と書かれたノートを見せてもらう。

これ作ってて遅刻したんだろ。

 

リストの一番上。問一の場所。確かに三玖に丸がついている。

 

「だったらなんでさっき答えなかったんだ?」

「・・・・・・・・・さあ?」

 

確かに。わかってるなら答えればいいじゃん。

 

 

「あれかな。元から知っている人が答えても、復習の証明にはならないから。とか。」

「確かにそうかもしれんが・・・・・そこまで頭の回る奴か?32点だぞ?」

「まあそうだけど。」

 

しれっと酷いな。一応5人の中では一番上だぞ。

 

 

「しかも回答は陶 晴賢だぞ。かなり難易度が高いはずだが。」

「そうだね。俺もわかんないもん。」

 

陶 晴賢。

知らない人には正しく読むことすら厳しい。

三玖以外の4人が答えられるかどうか。

とう はるけんとか言いそう。

 

 

 

 

 

「・・・何を考えているか一番わからないのが、三玖だな。」

「あんま喋らないもんね。」

 

そう言いながら、自分たちのクラスへと向かった。

 

 






テストはアニメだと応仁の乱、源氏の乱と書いてありますが、
原作だとちゃんと人名でした。


この話を書いたときはアニメを全て視聴したのみでした。
原作は読んでおらず、映画も見ていません。

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