五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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時が過ぎ、休日。病院に来ていた。今日、家庭教師はない。

風太郎のお見舞いだ。バナナを買って持ってきている。

受付に風太郎の部屋番号を聞いて、そこへ向かう。

少し懐かしい。迷子のあの子を連れてきた時を思い出す。

 

 

部屋の前に付いた。さあ、彼は何をしているでしょう。

どうせ勉強してる。いや、今は食事中かな。時間帯的に。2択だ。

・・・いや、食事しながら勉強だな。間違いない。

部屋のドアを開ける。個室か。贅沢だな。

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

外れ。寝ていた。

昼寝か。食事のトレイが乗ってはいる。

なら、起こさない。休めばいい。

広い個室の奥にあるソファに座り、起きるのをじっと待つことにした。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・凪?」

背を向いて座っていたので、後ろから声を掛けられる。起きたようだ。

「おはよう。」

 

「・・・・・・あの島じゃないのか」

何かを呟いている。

 

「夢でも見たのかい。」

「ああ。・・・・あいつらとらいはの7人で、無人島にいた。お前は出てこなかったな。」

「・・・お客さん、お薬足りてませんねぇ。追加のプリント置いときますねー」

 

 

凄い夢見てるな。想像したくもない。

そのシチュエーション、絶対上手くやれる気がしない。

風太郎なら無人島でも勉強させてそう。俺は流石にやらない。

学校の宿題的プリントを渡した。

 

 

 

起床した風太郎。予想通り食事をしながら勉強を始めた。

このスタイルはやめるつもりがないらしい。

すると、部屋に訪問者。ドアが開く。

 

「・・・・・二乃?」

 

二乃だった。

あれ。俺がこの日にお見舞いに行くことは言ってないはずなんだが。被ったな。

 

 

「・・・有坂だけか。」

「こんにちは。」

「いきなりなんだ。俺の部屋だぞ。」

「いいでしょ。誰がお金払ってると思ってんのよ。」

 

ツカツカと部屋に入ってくる。

 

「こんな大きな個室じゃなくて良かったんだが。

看護師の間では、院長の隠し子なんじゃないかって噂が出てる。」

「ふふっ」

 

なにそれ。ウケる。

 

 

「・・・・・仕方ないでしょ。あの子たち、

あんたが死ぬんじゃないかって騒いでたのよ。」

「どうせ、入院費を払ってくれたのも、お前たちの父親だろ。」

「そうよ!だから私達が払ったも同然!」

「お嬢様な奴め・・・・しかし、お前が見舞いに来てくれるとは思わなかったぜ。」

「え・・・?まあ・・・そうねぇ。ってヤバい!

こんなことしてる場合じゃなかったわ!」

 

 

そういいながら二乃は病室の長いカーテンの中に隠れた。

何かから逃げてきたのかな。

 

 

「上杉さん!ここに二乃が来ませんでしたか?」

「四葉くん。こんにちは。」

「有坂さん!こんにちは!」

 

 

追っているのは四葉くんか。

 

 

「あれ?ナギ君。フータロー君、やほ!」

「やっほー一花」

「フータロー、ナギ・・・・こんにちは。」

「こんにちは。三玖」

 

追加で二人登場。

五月以外は現れた。五月もどこかに居るんだろう。

 

「上杉さん!生きててよかったですー!」

「お前らまで・・・・誰が来いって言ったよ。」

 

そうは言っているが、明らかに嬉しそう。

良かったね。

 

 

「!・・・・やっぱり二乃の匂いがします。」

「あいつ体臭キツイんだな。・・・・かわいそうに。」

「香水だぞ。」

 

もうちょっとデリカシーのある言い方は出来ないのか。

姉妹の前だぞ。

ちなみに四葉くんそのリボンどうなってるんだい?

たまにウサギみたいにピョコピョコ跳ねるのは俺の見間違いかな。

 

 

「一時はどうなる事かと思ったよー。体温が真夏の最高気温みたいだった。」

 

へー。そんなにだったんだ。俺は詳細を知らない。

病室は中野家持ちだから、その辺の情報は入って来ているのだろう。

 

 

 

 

 

「回復してよかった・・・・・さみしくなったら呼んで。

いつでも看病に来るから。」

 

 

そう言いながら、ベッドの端に腰かけ、風太郎に微笑む三玖。

 

ああ、良いね。最高。ごちそうさまです。100点。引退試合の見え見えの絶好球。

見せつけてくれるなぁ親友。お前と・・・・あと前田くんなら構わないよ。他多数、滅べ。

 

 

「サンキュー・・・・でも、一人の方が楽、のあッ!?」

 

 

ああ、ダメだね。最低。0点。見逃し三振。棒立ち。

その返しはない。俺でもわかる。

ちゃぶ台全部ひっくり返した。台無し。

見かねた一花から鉄拳制裁が入った。

 

 

 

 

 

 

 

「フータロー君、そういう所良くないぞー?」

 

正義は執行された。悪は滅びた。

みんなも困ったときには一花おねーさんを呼ぼう。

 

 

「ご飯・・・・嫌いなものあった?言ってくれれば私が作ったのに・・・・」

「うっ・・・・・い、いや、ちょっと食欲無くてな。」

「ん?」

 

 

食事をしていたと思ったが、殆ど手を付けていなかった。

ストローが刺さっているから牛乳は飲んだようだが、他は全くかもしれない。

意外と体調良くないのかな。

 

風太郎の顔が若干青い。何でも食えるはずだが、三玖の料理はトラウマのようだ。

コロッケ事件のせいだな。

 

 

「あーん・・・・」

「ちゃんと食べないとダメだぞ~?」

 

!! 何!? あの三玖が!

風太郎にクロワッサンをあーんだと!これは現実か!何が起こっている!殿中!

脇から一花もやってるけど!

 

 

変わったなぁ三玖。何があったんだろ。

一花は・・・・多分、三玖の恥ずかしさを軽減するためにやってるのかな。

気が利く。二人でクロワッサンを押し付けてクスクスと笑っている。

三玖一人だったら、こうはいかないかも。

 

 

「二乃見つけたー!」

「あんたは犬かぁ!?」

「ほら、いくよー!」

「や、やめなさぁい!」

 

 

警察犬よつばくんによりカーテンから二乃が引っ張り出された。

一体何から逃げていたのだろう。

 

 

「じゃあ、ナギ君、フータロー君、私たちは行くね?」

「フータローも早く治ると良いね」

 

そう言って、姉妹は出て行った。

早いな。お見舞いがメインではないのか。

 

「あいつら・・・いつも通り、何も変わってないな。

勉強、教えてるのか。」

 

「ああ、俺に出来るところはね。退院は?いつだい。」

 

「明日だ。」

 

「おー。思ったより早い。という事は、明後日から?」

 

「いや、朝退院だから、明日からだ。早速やるぞ。」

 

「わかった。」

 

そういう事らしい。明日の日中、予定を開けておこう。

上杉大先生のスパルタ授業が再開する。助手の有坂くんも当然おります。

 

 

「よし。俺も行くよ。またな。」

 

「ああ。悪かったな。」

 

食欲がなさそうだったので、持ってきたバナナは持ち帰る。

一房ではない。1本だ。帰っている途中で食べようかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・ん?」

 

 

帰るために病院内を歩いていたが・・・・騒がしい部屋がある。

病院だぞ。誰が何をしている。ちょっと覗く。

 

 

「嫌よ!怖いものは怖いわ!」

「二乃・・・・私は覚悟を決めました。あなたも受けましょう。」

 

……知り合いじゃないか。

二乃、五月・・・・中野姉妹全員が居た。

 

「二乃、病院では静かにする。」

「お断りよ!じゃあね!」

 

 

二乃は部屋の外に向かって走り出したが、出口にちょうど俺がいる。

後ろを向きながら走り始めたので・・・・俺の胸の中に飛び込んできた。

 

 

「わぷっ!・・・あ、有坂!邪魔よ!そこをどきなさい!」

「ナギ、二乃を捕まえて。」

「助太刀いたす」

「ちょ、ちょっと!離しなさい!このヘンターイ!」

「二乃くん?廊下は走っちゃいけないんだよ?有坂先生との約束だ。あとうるさい。」

 

 

二乃を捕縛して、三玖に引き渡す。

一旦離れようとして後ろを向いた瞬間に脇から両手を差しこみ、前に回してお腹の前でホールドした。まるで二人羽織。

後ろから抱きしめている状態。たしかに今の俺、変態だわ。現行犯。

これで外に出たら捕まる。

 

 

「殿。献上品にございます。」

「くすくす、くるしゅーない。」

「う~~!!」

キミも犬みたいだぞ?やっぱり五つ子だね。

 

 

「一体何をしていたのさ。」

「今日ね、予防接種を打ちに来たの。」

「そしたら二乃と五月が逃げちゃったんですよー。」

「・・・・注射ね。」

 

 

逃げていたのはこれか。

包丁を使えるんだから、先端恐怖症とかではないだろう。

単純に怖いだけか。

 

 

「ナギくん、来ていたのですか。」

「五月、こんにちは。注射こわいの?」

「・・・・はい・・・・」

「怖いもの多いね。」

「うっ・・・・ナ、ナギくんは注射、怖くないんですか。」

「とーぜん。たまに献血に行くくらいだ。」

「有坂さんはえらいです!」

 

 

 

ムードメーカーのクラスメート、川村さん。趣味は献血。

趣味というには語弊があるかもしれない。昔、家族の誰かがケガをした。

その人が輸血により助かった。それから行ける時に行くようにしているらしい。

18歳にならないと400ができないというのが、最近の悩みの種らしい。

解決しようがないよそれ。時間的問題だもん。

 

 

タダでジュース飲めたりお菓子食べれると話をしてくれたので俺もたまに行っている。

半年に1回くらい。

最初に風太郎を誘ってついてきてくれたが、2回目からは来なかった。

なにかが気に入らなかったらしい。

 

 

 

「献血の針は・・・・予防注射の針よりもいくらか大きい。

あれが刺さってるところを1度見たら、予防注射は大したことはないよ。」

 

「ええ?そうなんですか・・・・」

 

「そう。そして、献血なので針を刺した後、血を抜く。抜いている間、針は差しっぱなし。

割と痛い。何分かなあれは。正確に時間を測ったことはないな。今度測ってみよ。」

 

「な、なんでそんなことわざわざしに行くのよ。」

 

「ジュースとお菓子タダなんで。」

 

「たはは、現金だね。」

 

「人を助けようと思っては行ってないよ。

まあ、俺がタダ飲みタダ食いするついでに誰か助かるなら良い事だ。

それを思えば多少の痛みは耐えられる。

だから・・・・注射を打った後にご褒美でもあればいいんじゃないかい。」

 

「二乃・・・注射打ったら、あそこに行こう。」

「あそこですか!?」

 

 

三玖がそう呟いた。

五月の目が輝いた。二乃じゃなくてそっちかい。

 

 

「あ、あそこに?・・・・仕方ないわね・・・・」

 

こちらもすんなりだった。効果テキメンである。

五月が喜ぶってことは、まあ食べ物的な何かかね。どこかのカフェかな。

 

「有坂さんも行きましょー!」

「そうだね。行こ?ナギ君」

 

「あー。悪いね。ちょっとこの後は用事があって付き合えない。いってらっしゃい。」

 

「残念です。どこに行くんですか?」

 

「学校に。」

 

「が、学校?アンタ寝ぼけてるの?今日土曜日よ?」

 

「そうだね。土曜日だ。ちょっとあいつに会いに行く約束をしていてね。

あそこってのがどこかは気になる。いつか教えてくれると嬉しいな。」

 

「わかりました!また明日お会いしましょー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

土曜日の学校。グラウンド。

今日は陸上部の独占だ。茜の様子を見に来ていた。

 

「こんちわー」

「おや、有坂くん。来たね。」

 

江場さんに挨拶をする。

 

「最近気合入ってますね。稼働日多くないですか?」

「わかるかい?長距離組の都合だけど、駅伝がもうすぐなんだ。」

 

 

駅伝。駅を伝う競技。みなご存じだろう。

市街地を使う長距離リレーとも言おうか。正月時期は、もっぱら箱根駅伝だ。

旭高校はそんな強豪ではないはずだが、気合入れているらしい。

よーやるね。俺も陸上やってたけど、1500と3000、5000でお手上げ。それ以上は厳しい。

それに平坦なトラックレースじゃない。上下のアップダウンがある。慣れてないと絶対無理だね。

 

 

「凪センパイ!来てくれたんですね!」

「おう。茜。今日は約束だったからな。」

 

ちゃんと茜もいた。

今日は陸上部の独占。なので本格的なタイム測定をすると聞いている。

旗ではなく、大きな音を出すスターターピストルを使う。

 

「では、また短距離組をお願いしよう。」

「自分が測定で良いんですか?」

「キミなら構わないよ。むしろお願いしたいな。」

 

ストップウォッチ止めるの下手じゃなかったのか俺。

謎の信頼。

 

 

「センパイ計測ですか?」

「ああ、そうらしい。」

「12秒切ったら撫ででもらいますからね!」

「ん?・・・・ああ、そういえばそんなこともあったな。」

 

忘れてた。あったねそんな約束。別に良いよ。

快挙だからな。女子100の11秒台は。

でもまあ無理だろ。お前には1つ問題がある。

 

 

 

ピストルとストップウォッチを持ってゴールに付く。

スタート地点で準備を始めている。

3人構えているな。ならあいつは来ない。

向こうで旗を振っている。準備が出来たらしい。

 

「位置について、よーい」

声出し役がそう言ったので、ピストルを鳴らした。

 

 

 

 

何人か走り終えて、次の選手が付く。

1人だけ構えているのが見えた。茜が来るな。

 

1年生でありながら、茜のタイムは並の生徒とは比較にならないほど早い。

だから、邪魔をしないために、2年生でも3年生でも周りが並走を避ける。

もし、自分が転びでもして茜の記録が台無しになったら そう考えているんだ。

旗を振っている。準備が出来たらしい。

俺も集中しよう。

 

 

腕を高くあげポジションを取る。

「位置について、よーい」

 

ピストルを鳴らした。

スタートは・・・・・並かな。あいつ基準で。

 

 

緋色の弾丸がこちらに迫ってくる。

 

茜の問題、それはスタートだ。反射神経が良くないのだろうか。確実に遅れる。

じっとしているのは嫌いっす と本人は言っていた。

フライングもほぼない。決勝とかなら1回くらい決め打ちしていいと思うが、なぜかそれをしない。ああ見えて慎重派なんだろうか。

 

 

スタートを完璧に決めるだけなら、俺のような短距離素人でも十分可能だ。

だから、勿体ないと思ってしまう。

今は単走で周りがいないから、少しわかりにくいが、実践だとその出遅れは顕著に映る。

しかし、あのスピードなのでゴールする時は大体先頭に立っている。

 

 

目の前を彼女が横切ったのを見て、ストップウォッチを止める。

12秒08。

11秒ではないが・・・・・速い!自己ベストじゃないのかコレ。

教えてやろう。

 

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・・どうでした、センパイ。」

「ほれ。12秒08。」

「・・・本当ですか!?」

「ああ。自己ベ?」

「過去最速ですよ!やったー!褒めてくださいよー!」

 

 

 

茜が嬉しそうに寄ってきた。お前も犬だな。

はいはい。えらいえらい。ちょっとだけ撫でてやる。

 

 

「あっ。」

「良くやった。えらい。よしよし。」

「え、ちょ、もう終わりですか!?」

 

 

「だって12秒台じゃん。11秒じゃないじゃん。今のは体験版です。

本編は11秒を切ってから。」

「センパイけちっす!」

「そういうのならスタートをしっかり決めなさい。」

「むー。・・・・苦手なんですよー。」

「あとでジュースでも奢ってやるよ。」

「本当ですか!」

 

 

スタートの練習ってどうやるんだろ。あるのかな。

俺は知らない。

結局その日はこれがベストタイムだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凪センパイ!林間学校のおみやげ!」

「今日は用事があって病院に寄ってから来た。だから持ってこなかった。悪い。また今度だ。」

「えー!?楽しみにしてたのに!」

「来週また1回来る。その時に渡すから、来週は1度もサボるなよ。」

「わかりました!おみやげとお面くださいね!」

 

 

「おみやげはあるんだが・・・・・・・お面はやれないかもしれん。」

「え?どうしてですか?」

「俺、伝説の男になっちまったからさ。」

 

「・・・・・・?言ってることがわかんないっす。」

「・・・・・・・・・・お前も来年行けばわかるよ。」

 

 

美術部のスケッチはとても良く出来ていた。

エピソードとスケッチが現地で気に入られて、

あのコテージ・・・ログハウスに飾られているらしい。

勘弁してほしい。

 

さて、明日は久々に風太郎が復帰する家庭教師だな。

日曜なので学校ではなく中野家だ。

 






こちらの手元のデータでは、最終話である112話を書き終え、
一旦の完結までは作品を投稿できる状態になりました。
現在は38話なので、少なくとも112話までは連続投稿があります。


先を楽しみにしていただいている方が多いかもしれませんが、
1日1話の投稿を継続させて頂きます。
理由はボリューム増加の為、挿入話を考えているからです。36話のような日常回が好きで、そういった物を考えているのですが、シチュエーションがあまり思い浮かばず・・・・
アクセス数稼ぎではない という事は、はっきり申し上げておきます。
アクセス数を稼いだところで私は金銭的に全く得をしないので・・・・



本来ならば完結してからこの作品を上げる予定だったのですが、
五等分の花嫁の勢いに便乗したかったため、100話くらいを作った時点で見切り発車しました。

3年前に原作が完結しているにも関わらず、7月に補足の新アニメが出たり、9月にノベルゲームが出たり、12月に原画展が予定されていたり、ローソンとコラボしたりと、未だにこんなに勢いのある愛されているラブコメ作品は中々無いと思うのです。

そんな素晴らしい作品を素人ながら盛り上げに参加したいと思い、見切り発車した次第です。
やっていることは所詮、無許可の二次創作なのであまり大声では言えないのですが・・・・

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