五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

47 / 130




45

 

 

「今日のノルマ終わりましたー!!」

「よし。お疲れ。四葉くん。えらいえらい。」

「「天才!」」

 

中野家で一花、三玖、四葉くんの面倒を見ていた。

五月もくればいいのに。二乃はいないんだから。

 

 

「五月と二乃も今頃やってるのかな・・・・・」

「五月は大丈夫。順調だ。俺の家にいるよ。」

「い、五月ちゃんが!ナギくんの家に!?なんで!?」

「そうだけど・・・・そんな驚く?」

 

 

もの凄い驚いている一花。

まあ驚くのはわかるけどそこまで?

メールは送ったんだけど仕事忙しくて見てないのかな。

 

 

「ナギ・・・・五月と変なことをしてたり」

「しません。俺はそんなことは考えないし、五月もそんなことを考えてません。

二つの線は平行。交わることはありません。五月は妹みたいなもんだ。

昨日も回鍋肉を作ってペロッと全部食べられてしまった。」

 

「あはは・・・・」

 

想像がついたのだろう。

 

 

 

「五月だけじゃないよ。キミたちは妹のようなものだね。」

「・・・・・・なら、わたしもナギ君の家に泊まってみたいな?」

「ダメです。もう定員オーバーです。ベッドがありません。」

 

「なら一緒に寝よ?」

「一花さん?言っていることが茜と全く同じだよ?」

 

「ナギの家・・・・楽しみ」

「三玖さん?どうして行くことが決まっている前提なんだい?」

 

 

 

 

 

 

 

風太郎から一花担当と言われたことを思い出す。

チェックしておこう。

 

 

「一花は?ちょっと見せてくれるかい。出来を確認しよう。」

「んー。はい!」

 

「・・・・うん?あれ。思ったよりかなり出来てるね。仕事が忙しくてあれかと思った。」

「そうだよ~お仕事忙しいの。でも・・・・とりあえずは女優と学生、両立するんだから!」

「・・・・そう言ってくれて嬉しいね。」

 

選択はなされたようだ。とても嬉しい。

クラスメートとしては万々歳だ。勉強も今までより身が入っているのかな。

 

 

「よし、三玖担当とは言われていないが、念のため三玖も見せてくれ。」

「はい・・・担当があるの?」

「・・・良いね。出来てる。この調子ならいけそうだ。

5人の中では一花と三玖の二人がトップ争いだね。」

「ホント?・・・やった。」

「わたしも負けませんよー!」

 

三玖は元から一番出来が良かったが、一花の出来が良いのが意外だ。

彼女なりの決意の表れかな。

 

 

「ナギ・・・フータローは?頑張ってること、伝えたい。」

「今は、二乃の相手をしてるかな。意外と順調に行っているようだよ。

仲直りは近いかもしれない。その時は暖かく二人を迎えてあげてほしい。」

「もちろん・・・・二乃も五月も、待ってる。」

「早く帰ってきてほしいです・・・」

「やっぱり二人が居ないと、なんだか寂しいね。」

 

 

試験まであまり時間もないが、仲直りは必須事項だろう。

結束の強さは試験結果にも通づるはずだ。

その時、四葉くんのスマホが鳴った。

 

 

 

「! もしかして!ついに二人から連絡が!

・・・・ごめん。陸上部の江場部長からだった・・・・」

 

 

江場さんか。ようやるよあの人も。

部活に熱中するのはわかるが別にうちの高校は陸上強豪校じゃないぞ。

人を巻き込まないでほしい。

ただ、駅伝は2連覇がかかっているらしいからな。自分の代で止めたくない

そんな考えなんだろう。

 

 

「あ、有坂さん・・・・・」

 

「四葉くんのしたいようにしなさい。今日のノルマは終わってるんだろう?

俺は止めないさ。ただし、やるからには真剣に。

二兎を追うと決めたのなら、二兎とも逃がしてはならないよ。」

 

「あ、ありがとうございます!行ってきます!」

 

「よし。ちょっと休憩だ。ベランダに出てくるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふー・・・・やはり、問題は四葉くんかな。」

 

二乃は風太郎に任せる。

三玖、五月、次点で一花かな。勉強の出来具合は。

さっきはテンション上げの為にトップ争いと嘘をついた。

比較ではなく赤点を回避できればいいので、物差しで測るのは良くないが。

 

「やっほー」

「やあ。」

 

 

おねーさんがベランダにやってきた。

 

「ナギ君・・・・あのね、話が。さっきは二人が居て聞けなかったんだけど」

「待った。電話だ。・・・・風太郎から?ちょっと待ってくれ。」

 

 

『どうした、風太郎』

『凪。ちょっと二乃絡みで解決したいことがあってな・・・・今から来てくれ』

『わかった。ちなみに解決したいことって?』

『金太郎の事だ・・・・』

『何?あれを出すのかい。わかった、すぐ行くよ。』

 

 

「ごめん。一花。ちょっと風太郎がピンチらしい。急いで行ってくるよ。」

「え・・・そう。わかった。」

「大丈夫。キミと三玖はとても良く出来てる。今のままで良い。

あとは集中力の勝負。現状を継続して続けられるかだけだよ。」

「うん。行ってらっしゃい!」

 

話・・・なんだろう。今からやっぱり学生やめまーすではないと思うけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いいか。凪。俺のスマホを預けておく。何かあったら頼む。」

「ああ、わかったが・・・・どうするんだ。」

「正直誤解は解きたいが、話の流れで決めるか・・・・・・」

 

二乃のホテル、そのカフェにいる。

二乃が金太郎に対して未練があるとのことで、それを何とかするらしい。

スマホに二乃から連絡があるかもしれないので、上手い事何とかしてくれとのこと。

 

問題は金太郎=風太郎を二乃にバラすのか、

バラさずに金太郎が二乃をしっかり振るのかという所。

話の流れで決めるらしい。

 

 

「よし。行ってくる。」

「こいつは任しといて。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテルのカフェでひたすら待つ。二人がどうしてるかは全くわからない。

祈るしかない。オレンジジュースを飲みながら一息つく。

ソファに腰かけながら試しに力を入れるが・・・・

足は治ったようだな。今なら充分に力を入れられる。問題なしだ。

 

 

 

prrrrrrr

 

・・・・スマホが鳴った。電話の主は二乃。やるな、風太郎。予想通りだ。

しかし、電話がかかってくるのが思った以上に早かった。どうするか。

 

 

出ずに、スルーする。一度逃がす。この後も何回かかかってくることを考えると、

最初から風太郎のスマホに俺が出るのは不自然。そう判断した。

 

 

出ないとあきらめたのか、着信はやんだ。

風太郎め、マナーモードにしといてくれよ。

スピーカーをふさいで何とか周囲がうるさくならないようにしたが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

prrrrrr

 

 

また来た。着信だ。やはり二乃。

よし。ここで出る。

 

 

 

「やあ二乃くん。キミの家庭教師、有坂くんだよ。」

「あ、有坂!?なんでこの電話に出るのよ!」

「風太郎が野暮用でここを離れてしまってね。さっきも1回かけてきただろ?

2回目だから俺がそれを伝えるために出た。」

「そ、そう。あんたに用はないわ!早く上杉を・・・!」

 

「金太郎くんと会っているとさっき聞いたよ。キミの恋は順調かい?」

「な!・・・・し、知ってるの!」

 

「ああ。金太郎くん本人から直接聞いたよ。

あの林間学校の後、風太郎から彼を紹介してもらってね。今はいい友達だ。」

「そ、そう・・・・じゃああんた、金太郎君のこと知ってるのね!丁度良いわ!

金太郎くんってシュークリーム嫌いじゃないわよね!」

 

「好き嫌いはなかったはずだよ。作ってあげるといい。

ただし、作り過ぎには注意だな。彼の胃袋はあまり大きくなかった。」

「わかったわ!」

 

 

よし。とりあえずセーフ。まだ出れるな。

事前に時間さえくれれば、俺も上手い話は作れる。

我ながら良い嘘だった。

 

 

 

 

prrrrrrr

 

まただ。仕方ない。2枚目のカードを切る。

何回も出ると不審がられる。とりあえず、3回までだな。

 

 

「はーいナギくんですよー」

「あ、有坂!上杉はまだ戻らないの!?」

「戻らんね。俺も待ってるんだが。また金太郎くんかい?」

 

「そうよ!彼が・・・・あたしのことを名前で呼んだわ・・・・!」

「よかったねぇ。」

 

「あたしが料理好きって言うのも覚えてくれてたの!」

「やったねぇ。おめでとうだねぇ。」

 

電話はそれで終わった。

 

 

・・・・いや終わりかよ。

キミも人のスマホをSNSのように使うんだな。やめてやれよ。

通信代かかるから。上杉家は定額通話なんて使ってないと思うぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

prrrrrr

 

「なんだい。あいつはまだ戻っていないよ。」

「有坂。上杉に伝えなさい。ホテルのカフェに集合と。」

「わかった。もうすぐ戻ってくるはずだ。多分、あまり遅くはならないよ。」

 

 

ふむ。これは困ったな。どうしよう。

まあ待て、大丈夫だ。冷静に考えよう。

 

 

 

二乃が来るのならば、金太郎は部屋で待っているはず。

ホテルのフロントに部屋への電話を繋いでもらい、風太郎に伝えよう。

よし、解決。

 

 

「客人の知り合いですが、この部屋番号の方に電話をお取次ぎ願えますか。」

「かしこまりました。僭越ながら、お客様とどういうご関係でしょうか。」

「家庭教師をしている有坂と申します。身分証が必要であればこちらを。」

「・・・かしこまりました。お呼び出し致します。こちらをお使いください。」

 

 

 

 

『凪か!』

『よし。出てくれたな風太郎。二乃がホテルのカフェに来いとの事だ。』

『わかった!』

 

 

 

カフェには既に二乃が居た。俺はあらかじめいつもと違う服装をして帽子をかぶっている。

会話を聞くため近くに座った。バレないだろう。

 

「・・ハァ・・・ハァ・・・どうしたんだ、急に・・・・」

「なんで汗だくなのよ・・・・アイスコーヒーでよかったわよね?」

「ああ・・・・」

 

風太郎がやってきた。当然、カツラは脱いでいつもの風太郎だ。

 

 

 

「あたし・・・彼に告られるかも!」

「へ?・・・そうか。」

「だって、あんな真剣な顔して大切な話って!」

 

 

これはダメだな。バラせない雰囲気だ。

 

 

「彼に会わせてくれて感謝してるわ。」

「なんだ、急に。らしくねぇ。」

「この先彼とどうなっても、今の関係には、一区切りつけるわ。」

「・・・・何もできなくて悪い。・・・頑張れよ。」

 

 

珍しい。二乃が風太郎と握手をしたが・・・・

 

 

ん?急に手首を引っ張って、何をしている?

 

 

「こ、これは!順を追って・・・」

「やっぱり・・・・・・約束を破ったら許さないって。言ったはずよ。」

「・・・!・・・これは・・・まず・・・・」

 

ガタンと音を立て、風太郎が机に塞ぎこんだ。

これは・・・・何が起こった。

 

 

・・・・・・薬か?初日に一服盛られたと言っていたな。

どうやら、バレてしまったらしい。最悪のケースかもしれない。

 

 

 

「変装なんてすぐバレんのよ。・・・・五つ子じゃないんだから。」

 

 

 

 

「有坂。」

 

「・・・・・・・なんだい、二乃。」

 

 

こちらもバレていた。参ったな・・・・

どんな手痛い仕打ちを受けるか。

 

 

「あんた・・・・この後あたしに付き合いなさい。」

 

「わかったよ。従おう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今度は、あんたが店に連れて行きなさい。」

 

「はいはい。ご希望は。」

 

「・・・・今は、やけ食いしたい気分ね。」

 

「そう。なら、あそこかな。」

 

 

ホテルをチェックアウトした二乃と合流する。

言うまでもなく俺のおごりだ。面白い店を選んでやるか。

風太郎の事はマンションで勉強をしている一花と三玖にメールを出しておいた。

 

・・・俺はどんな仕打ちをされるかな。

かなり怖い。

 

 

 

「ここだ。」

 

「あら、ここね。知ってるわよ。焼肉でしょ。」

 

「そうか。来たことは?」

 

「・・・・ないわ。」

 

「だよね。一見見た目はあれだが、この店はかなり気が利いている。

換気設備に非常に重点をおいており、服に匂いが付きにくい。

店の外観さえクリアできれば、お勧めだ。味も良い。」

 

「いいわね。そうしましょ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は・・・俺のおごりだね。」

 

「いいわ。あたしが出すから。」

 

「いや流石にそれは。バレたし。メシ代で許してください。」

 

「そう。なら遠慮なくいただくわ。」

 

 

店員が水を持って来たが・・・・流石に大丈夫だよな。飲む。

 

 

「この店、知ってるんでしょ。何が良いのよ。」

 

「ミスジ。それも塩。だが、最初に頼んではいけない。中盤で頼むのがベスト。

とてもさっぱりしているからね。変化をつけるのにいい。」

 

「じゃあ、あんたに任せるわ。さっきも言った通り、やけ食いよ。ドンドン持ってきなさい。」

 

 

 

 

 

 

「あんたも?グルだったってわけ?」

 

「あの風太郎を見たのは林間学校だったけど、それが初遭遇で合ってるかい?」

 

「そうよ。あの肝試しで助けられたのが初めて。」

 

「そうか。俺と同じ認識だ。嘘偽りなく話すよ。俺ははぐれた五月を助けてて、

ばったり君達二人と出くわした。別に何の打ち合わせもしていない。

・・・俺は見た瞬間に風太郎とわかったからね。」

 

「あれでよくわかったわね。怪しい・・・・」

 

「わかるさ。俺を誰だと思ってる。あいつの一番の親友だよ。

それにあれは・・・・昔の風太郎に似ていた。」

 

 

「昔の?」

 

「そう。・・・・あいつは、小学生の時、髪を金髪に染めていた。

耳にピアスも開けてたよ。」

 

「え!?嘘でしょ!」

 

「・・・知らなかったのかい?てっきりピアスを開けていたことに気づいていたから、

あの時、風太郎にピアスを開けることを依頼したと思ったんだが。」

 

「・・・・知らなかったわ・・・・じゃあ、あの写真。小さい頃のあいつなのね。」

 

「生徒手帳の写真かい。その通りだ。」

 

 

肉に手をつけながら二乃と会話をする。

洗いざらい喋る。もう隠し事はナシ。

 

それに、案外俺に対しての敵意は無かった。

ビンタの一件が、まだ尾を引いているのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

「あいつは林間学校の時から言っていたよ。

早く誤解を解かなければ と。どうやら、予定外の事故だったらしい。」

 

「事故ね・・・・」

 

「あの時風太郎は金髪のピエロに仮装していた。

キミと遭遇した時、カツラをかぶったままだったんだろう。」

 

「・・・で、あたしが勘違いして言い出せなくなったってわけ?」

 

「だろうね・・・・」

 

「・・・・・・ちょっと信じられないけど、まあいいわ。今更嘘をつくとは思えないし。」

 

「どうも。・・・・ただ、俺も憶測で喋っているところはあるから。

ちゃんとした真相はあいつに聞いてくれるかい。」

 

許してくれるっぽい雰囲気を出してる。

助かった。

 

 

 

「ご注文のミスジでーす。焼き方はご存じですかー」

 

「ええ、何回か食べてます。」

 

「失礼しましたーごゆっくりー」

 

 

 

「こちらで焼こう。御覧の通りかなり薄い。色が変わったらすぐ食べるくらいでいい。

 

・・・・・・・・・・はい。これで充分。一緒についてきた紅葉おろしとどうぞ。」

 

「・・・・・うわ、凄いわねコレ。今までの肉とは毛色がちがうわ。」

 

 

「だろう?ただ、この店では人気メニューではない。・・・・残念だ。

みんなタレで頼んでしまうのだろう。けどこのミスジに、そんなものはいらない。」

 

 

「・・・あんた、この間もそうだけど、こういう店に結構詳しいわよね。」

 

「デートスポットにはなりにくいのが残念だ。キミくらいしか連れてこれない。」

 

「・・・・失礼ね。どういう意味よそれ。」

 

 

「この間のラーメンだってそうだろう?気になるから行ってみたかった。

この店もあの外見だ。ちょっと行くには厳しい。だが、ネットの評価は高い。

だから知っていた。・・・・行ってみたかったんだろ?キミは食に対して探求心がある。」

 

 

「・・・・・・・あんたのその見透かしたような態度、ムカつくわね。」

 

「悪いね。こういう性格なんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・あんたに聞きたいことがあるの。」

 

「なんだい。」

 

「・・・・なんで、そんなに他人に素直になれるのよ。

あたしには無理。こうして落ち着いて喋ることもきついわ。」

 

 

「・・・昔、俺が素直で大人じゃなかったせいで、ある人を傷つけた。

その結果、俺も酷く傷ついた。その経験を胸に抱いてる。

トラウマになっているとも言って良い。」

 

 

「そこまで素直になるんだから、余程酷かったんでしょうね。」

 

 

「そう。かなりひどかった。もうあんな経験はしたくない。

だから・・・・今は、人を傷つけることにとても敏感だ。

自分の発言や行動のせいで人が傷つくと、

自分の無能さに嫌になって、時々一人になりたくなる。

このあいだ、キミに過剰に謝ったのもそれだ。

またやってしまった。そう思ってしまう。」

 

 

「昔に何があったのか、聞いても良いかしら。」

 

 

「ちょっとそれは・・・無理だね。ダメだ。あんなものはペラペラ人に話せない。

風太郎すら知らない。・・・・一花だけは知っている。」

 

「い、一花ですって?」

 

「そう。林間学校、あの倉庫の中にいた時だ。フォークダンスをしていた前に、喋ってしまった。

思わず聞いた一花に泣かれたよ。かなり酷いエピソードだ。嫌われただろうな。」

 

「・・・・あいつはあんたの事を気に入ってるわ。」

 

「なら、良いんだがね・・・・どうだか。」

 

「大丈夫よ。安心しなさい。」

 

「ありがとう。・・・そういえば、一花に相談されたよ。

女優の仕事が軌道に乗ってきたらしく、学校をやめようかどうか迷っていると。」

 

「え・・・・・そう。初めて聞いたわ。」

 

「キミはどう思う。」

 

「・・・高校生活は姉妹みんなで一緒に過ごせる最後の時間でしょうね。

けど、一花のやりたいようにやるのが一番ってわかってるわ。」

 

 

「俺と同じだ。そう言ってくれると思っていたよ。

だが、とりあえずは大丈夫。両立を目指すと、今日言っていたよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ねぇ。ナギ。」

 

「なんだい、二乃。」

 

「上杉の事、教えなさい。」

 

 

「そうだね。・・・・・あいつは昔、あんなに頭の良い奴じゃなかった。小学校6年・・・・

修学旅行から帰ってきたら、人が変わったように真面目になった。

その時だ、俺に勉強を教えてほしいって言ったのは。」

 

 

「あ、あいつが?あんたがあいつに勉強を教えてたの!?」

 

「そう。・・・地頭が良かったんだろうな。教えるたびにドンドン吸収して、

俺も嬉しかった。そのうち俺が解けない問題がでても、

あいつは自分なりに考え、全てを吸収した。

ついには俺の点数をはるかに上回って、今の100点しかとらない風太郎が誕生した。

自慢の教え子だよ。・・・・そうそう。竹林さんと二人で教えてたんだ。」

 

 

「あいつが・・・・・そう。あんたの実績があるって、そういう事だったのね。」

 

「あの時の風太郎の口癖は・・・・俺にも何か一つ誇れるものが欲しい って言ってたな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ。他には?もっと教えなさい。」

 

「ああ。良いよ。次はーーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさま。確かに、良い店ね。ここ。気に入ったわ。」

 

「光栄だね。」

 

食事を終えて、店を出た。

お気に召したようだ。

 

 

「やけ食いしたくなったら、また付き合いなさい。次はステーキが良いわ。」

 

「良いね。一つ良い店を知ってる。また声を掛けてくれ。

・・・・これからどうするんだい。」

 

「・・・・別のホテルに行くわ。場所はここにするつもり。」

 

「わかった。」

 

 

 

「・・・みんなあんたみたいだったら、あたしも少しは素直になれるのに・・・」

 

「・・・素直なことは良い事だとは限らない。

さっき喋った通り、この素直は心の弱さの表れだ。

 

弱さを隠すのは当たり前だ。恥ずかしいことじゃない。

皆それを隠すために意地を張る。意地すら張れない俺は、とても弱い。」

 

 

 

 

 

 

「あたしも・・・変われるかしら。昔のあんたみたいに。」

 

「変わる必要があると思ったのなら、変わった方が良いだろう。自分の意見を大事にすると良い。

だが、変わるべき必要がある というケースはあまりないと思う。

時々、人付き合いで残念に思うこともあるよ。あいつは昔とは違う、変わっちまったと。

 

でも、重要なのは昔じゃない。・・・・未来だとも思わない。

俺は、現在、今この時の一瞬だと思うんだ。

昔はこうだったが・・・今、こいつはどういう奴なのか。それをちゃんと理解し、受け入れる。

それが大切なことだと、俺は思う。

 

・・・ありとあらゆるものが変わってしまうからこそ、

永久不変、永遠に変わらないものは、とても魅力的に見える。

不変を願うのは、そのためだ。そう思うのは、

人間の心理的に全くおかしい事じゃない。仕方のない事なんだ。」

 

 

変わらない人間などいない。いる訳がない。

何もせず、ただ突っ立っているだけでも・・・・時は進む。

 

中身は変わらなくとも、どうしたって外見の変化は生まれてしまう。

不変の人間などいないんだ。

 

 

「・・・・そう。じゃあね。また、付き合いなさい。

この間は、ごめん。ビンタして。」

 

 

 

 

 

 

 

二乃と別れた。

特にトラブルもなく。腹を割って話した。

彼女の事が、よくわかったかもしれない。

 

 

 

「ナギ・・・・」

 

「のあ!?・・・・・三玖!どうしてここに!」

 

「ホテルから出てくる二乃とナギを見つけた。ご飯食べてたの?」

 

「うん・・・機嫌を取るために奢ったよ。」

 

「今度、私にもごちそうしてね。じゃあ、二乃を追いかけるから・・・・」

 

「あ、ああ。また。」

 

 

 

三玖にストーキングされてたらしい。

二乃の後をつけていき、ホテルを特定したそうだ。

 

翌日の朝、三玖の事を二乃にメールしておいた。

 





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。