サブキャラクターの外見は決めてないと言いましたが、
茜は確か登場時にルビーのような短髪と確か書きました。
忘れていました。確かそれ以外はないはずです。
少なくとも男性陣は間違いなく書いていない記憶があります。
「・・・・ええ。五人とも頑張ってます。」
テストの当日。風太郎は屋上で中野父に電話していた。
俺もいる。
「ちょっと・・・・良いですか。今日を持って家庭教師を退任します。」
「・・・・・・・」
風太郎がそう言いだした。キミの事だ。大体5人の点数が予想が出来たんだろう。
俺もある程度は予想がつく。全ての教科で赤点回避は・・・・無理だろうな。
前回と違い、1教科以外赤点という事は無いと思うが。
「知ってますか・・・二乃と五月が喧嘩をして、家を出て行ったことを。・・・・はい。」
「・・・それだけですか?何故、喧嘩したのか、気になりませんか。
あいつらが何を考え、何をしているのか、知ろうとしないんですか?
退任したので・・・・・もう、あなたは雇い主じゃありません。
少しは父親らしいことしろよ!バカ野郎が!!」
うわー。
やりたい放題やってるよこの人。その反応、中野父は家出を知らなかったんだな。
え?この人こっちにスマホ差し出してるんだけど。
は?この状況で俺も喋るの?気まずっ・・・・
「・・・・・もしもし、中野さんのお父さんですか。有坂です。」
「有坂くんか・・・・キミも、上杉くんに同じかね?」
「ご心配なく。そこまで熱くはありませんよ。
ただ、俺はこいつよりも出来が悪いので。俺一人では家庭教師は務まりません。
俺も、退任させていただきます。」
「そうか・・・キミは融通の利く良い人物だと思っていたのだがね。残念だ。」
「俺としても残念です。・・・俺は出入りにできるようにと、
五月から家の鍵を預かっていましてね。
江端さんにお返ししておきます。」
「ほう、五月くんが・・・・そこまで信頼を築いたとは、意外だよ。」
「出来の良い娘さんですよ。母親が居なくなってから、
母親の代わりになるんだと決めたと。
末っ子なのに、背伸びをしていました。・・・・ご存じでしたか?」
「・・・・・・・」
「仕事で多忙なのはわかりますが・・・・もう少し、娘さんと向き合ってあげてください。
例え血のつながりがなくとも・・・・・親としての責務です。」
「・・・・・キミの貴重な進言だ。肝に銘じておこう。」
「恐縮です。では、失礼します。」
「ほれ。終わったよ。五月にスマホ、返しておいてね。」
「お前もムカつくだろ?何か言ってやれよ。」
「仕事で多忙なのはウチの家も同じだよ。
有坂くんは両親に気を遣える男なのさ。」
「あいつら・・・・何点取ると思う。」
「どうだろう。一人当たり合計200点かな。良くて。」
「だよな。間違いなく赤点はある。」
「まあ・・・・仕方ないさ。あの5人は俺たち二人のおかげでまた仲良しに戻った。
それで良しとしよう。」
「世話の焼ける連中だぜ・・・・・・・」
「テスト時間が近い。俺達も行くぞ。」
「そうだね。俺も頑張るよ。」
「凡人め。せいぜい励め。宣言しておこう。俺は100点だ。」
「流石の自信だ。うらやましいことこの上ないねぇ。うちの相棒は。」
期末試験が終わってからは、家庭教師をすることはなし。
カードキーを返してはいないが、使うことはなかった。
時は少し過ぎ、12月。クリスマスイブ。終業式も終わった。
バイトに来ている。着ぐるみの中である。
陸上部との江場部長とは和解し、茜は陸上部に復帰した。
江場部長は部員から結構なお小言を喰らったらしい。
ただ、おかげで駅伝は連覇できたようだ。
「はーい。みなさーん。ノエルちゃんが来てくれましたよー!」
佐野さんのアナウンスで入場する。
雪だるまをモチーフにした女の子のキャラクターである。
冬用なので外側・・・・・いや、内側までもふもふだ。
おかげで・・・・・とても暑い。
そう。このバイトとても暑いのである。
真冬のクリスマスといえど着ぐるみバイトはこうなるのだ。
というか真冬の方が辛い。何故なら室内は暖房がガンガンだから。外にして欲しい。
真夏の奥外、真冬の屋内。要注意の季節。
そして視界が悪い。全然見えねぇ。
この着ぐるみは大きい目の白い部分からしか外が見えない。
黒目の部分は完全に真っ黒だ。
暗闇と高温の中で何とか前を見て、寄ってくる子供を傷つけないようにしながらふれあう。大変である。
あー。こらー。ボコボコ殴るな。このタイプは痛くないけど。
抱き着くのは良し。褒美に頭撫でてやろう。
「有坂くん。お疲れ様。」
「ふー・・・・疲れました。」
「凄い汗だね。寒いから、ちょっとうらやましいかも。」
「この後が地獄なんですよ。湯冷めみたいなものなんで。」
「佐野さんは?この後北条さんのところ行くんですか?」
「・・・・うん。」
「クリスマスイブですからねぇ。良いですねぇ。ああ妬ましい。俺ひとりぼっち。」
「ふふ。有坂くんが思ってるようなことはしないよ。」
「俺は別に変な想像しちゃいませんよ。
佐野さんのリードで、どこかでクリスマスディナーに行ってそうだ。」
「あはは。ご想像にお任せします。
・・・・ん?有坂くん。ちょっと担当の人に呼ばれたから、行ってくるね。」
「はーい。」
いいなあ彼氏持ちは。
まあこの二人これでもまだ付き合ってないらしいけど。
腐れ縁に近いらしい。良い縁ですね。ああ妬ましい。
「有坂くん・・・・お客さんだよ。良かったね。ひとりぼっちじゃなくて!」
「え?」
振り返ると・・・・一花、二乃、三玖、四葉、五月。
5人が立っていた。
「凄い格好だね、ナギ君。」
「あんた・・・・こんなことやってたの?」
「半袖だけど・・・汗、すごい。」
「有坂さん!お疲れ様です!駅伝、優勝しました!」
「ナギくん、迎えに来ました。一緒に来てください。」
「風太郎のバイト先はこっちだよ。」
5人に風太郎がどこにいるのか聞かれたため、案内をしている。
詳しく聞いていないが、またあのケーキ屋だろう。
「・・・・ごめんね。何も言わなくて。
江端さんには話したんだけど。」
「江端さんの事、知ってたの?」
「ああ、一花。キミと同じようにカウンセラーになってもらった事があるよ。
あの人は素晴らしい人だね。」
「それにしても、驚きました。・・・私たちの赤点が原因ですか。」
「そうだね。一つでも赤点を取ったら、辞める。そういう打ち合わせをしてた。
あいつも俺も、責任感はあるからね。」
「でも、結果も聞かずに・・・」
「わかるさ。キミたちの家庭教師だもん。
流石にわかる。中間よりはかなりまともになってると思うけど、
少なくとも一人一つは赤点があった。違うかい?」
「・・・・その通りよ。」
「・・・良いね。俺もキミたちのことが少しはわかってきたみたいだ。
・・・・・・・・ほら、風太郎があそこにいるよ。」
風太郎のバイト先、ケーキ屋REVIVALの前。
「メリークリスマス。ケーキはいかがですかー!」
「やあ、そこのいつも100点で完璧なサンタさん。一つ貰えるかい。」
「な、凪・・・・!?お前ら!」
「ケーキの配達はできますか。家に届けてほしいのですが。」
「はぁ?配達なんてやってない・・・・」
「上杉くん!」
ケーキ屋の店長が店の中から出てきた。
まーた目にクマ出来てる。ガラ悪いんだよなあ。
喋ればいい人なのに。
「おや、有坂くんじゃないか。久しぶりだね。キミも一つどうだい?」
「ははは。今日はそのホールケーキで我慢してください。」
「大事なお得意様だ。また買いに来てくれよ?
・・・・上杉くん?こっちはもういいから、行ってあげなよ。」
「て、店長!?そ、そんな「上杉くん!」
ホールケーキの箱を手渡される風太郎。
「メリー・クリスマス。」
そう言って店長は店の中へ戻っていった。
うむ。かっこいいな。粋だな。良い男。大人になったらこうありたいものだ。
ただしこの外見は勘弁。
「ほら、サンタさん。行こうぜ。どこかに向かうみたいだよ。」
「おい。お前らの家はこっちの道じゃないだろ。」
「違うよ~?フータロー君。」
「こっちこっち」
河川敷を歩いていた。雪がさらさらと振っている。時折強い風が吹くが。
良いクリスマスだ。降らないのはしらけるし、吹雪は困る。
程よいホワイトクリスマス・イブ。
しかし、どこに向かっているんだ?俺もわからない。
「あのさ。黙って辞めたことは悪かった。
でも俺達は・・・もう家庭教師には戻れねぇ。」
「・・・・見てください。この人が新しい家庭教師です。
二人にも見せておきたくて。」
そう言って五月が履歴書を差し出してきた。
うぉーマジで。金髪で肌黒いけどこの人。
東京の大学出身で元教師なの。人は見かけによらないね。
・・・・・ん?満65歳だと?
「・・・優秀そうな人で良かったじゃないか。」
「・・・良いの!?このまま次の人に任せて、あたしたちを見捨てんの!?」
「・・・・俺達は二度のチャンスで、結果を出せなかったんだ!
次の試験だって、上手く行くとは限らない。・・・だったらプロに任せるのが正解だろう!」
「そうだね。これ以上は俺と風太郎のわがままだ。給料も出てるんだし。」
「したくもない勉強させられて、必死に暗記して公式覚えさせられて!
・・・でも、問題解けたら嬉しくて・・・・
ここまで来たのは、全部アンタらのせいよ!最後まで責任取りなさいよ!」
「・・・・だが、もう無理だ!俺達はあのマンションへの立ち入りを禁止された。
家にすら、入れないんだ!」
「それが理由?」
「・・・・・ああ。早く行こうぜ。俺と凪は、もう・・・」
「ふふ。もういいよ。ケーキの配達ご苦労さま!」
一花が風太郎からケーキを受け取る。
・・・・・配達、ご苦労様?
「ここだよ。ここが私たちの新しい家!」
「え・・・どういう意味だ・・・・?」
河川敷の道沿いにある小さいアパート。
・・・・・・・借りたのか?5人で家を出たのか!
・・・なんてことを。
「今日から私たちはここで暮らす。・・・これで、障害はなくなったね!」
「嘘だろ・・・・たった、それだけのために!?」
「いいましたよね。大切なのはどこにいるかではなく。
・・・・5人でいる事なんです!!」
そういって四葉くんはカードキーを放り投げた。
マンションのカギだ。・・・・回収しておこう。
これは、俺の仕事だ。
あ。風太郎がカードキーをキャッチしようとして川に滑り落ちた。
12月ですよ。また入院するぞあいつ。やれやれ。
川に向かってカードキー投げたけど、全部突風で陸上に帰ってきた。
落ちただけ損だったな。どんまい。
「大丈夫かい、風太郎・・・・・・・・・・あ!?」
五つ子が・・・・川へ飛び込んでいった!
「プハッ・・・・お、お前ら!!」
「ぜ、全員で飛びこんでどうするんですかぁ!」
「フータロー!大丈夫!?たった二回で諦めないで・・・!
今度こそ、出来る!私たちは、フータローとならできるよ!」
「三玖・・・・・」
熱いねぇ。今12月だけどねぇ。
俺省略されちゃった。まあいいか。三玖だし。
「三玖~!有坂さんも居ますよー!」
「あはは!三玖、ナギ君忘れてるよー!」
フォローありがとう。
「ほれ、風太郎。俺の手を使え。」
「凪!・・・・流石、お前はいつでも冷静だな。」
「いつでもクールで熱くなれないのが俺の欠点だね。お陰で仲間外れだ。」
「二乃!上がれるか・・・俺の体を掴んでろ。」
陸上から風太郎に手を貸す。
風太郎に抱かれながら二乃は救出された。
急に川に飛び込んで体がついてこなかったんだろう。
「無茶苦茶だ・・・・お前ら、少しは後先考えて行動しやがれ!
少しは凪を見習え!・・・・コレだからバカは困る!」
「わーい。ほめられちゃった。」
貴重な瞬間である。
「お前らに付き合ってると馬鹿になってくる・・・・
俺もやりたいようにやらせてもらう。俺の身勝手に付き合ってもらうぞ。
最後までな!」
そう言って先ほどの履歴書を破いた。
・・・・覚悟を決めたようだ。
「そういう事だ、凪。当然お前も巻き込む。諦めろ。」
「はいはい。おとも致しますよ。上杉先生。」
「あ!そういえば、ケーキは無事ですか!」
「大丈夫、五月。回収しているよ。形も崩れてない。
中に入って、みんなで食べようか。」
・・・・・マンションのカードキーはちゃんと回収しておいた。
江端さんに返しておこう。
まあ、カードキーくらいなら再発行はできると思うが、
これを返すことで、江端さんや中野父に誠実さを示し、信頼を得ることは出来る。
これから先、彼女たちがどうなるかわからない。
何かあった時に・・・・帰る場所は必要だ。
その辺は、ナギお兄ちゃんがちゃんと世話をしてやらないとね。
風太郎は、しっかり勉強を見てくれればいいよ。
細事は、こちらに任せておけ。脇役の出番だ。