五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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サブキャラクターの外見は決めてないと言いましたが、
茜は確か登場時にルビーのような短髪と確か書きました。
忘れていました。確かそれ以外はないはずです。
少なくとも男性陣は間違いなく書いていない記憶があります。




47

 

「・・・・ええ。五人とも頑張ってます。」

 

 

テストの当日。風太郎は屋上で中野父に電話していた。

俺もいる。

 

「ちょっと・・・・良いですか。今日を持って家庭教師を退任します。」

 

「・・・・・・・」

 

 

風太郎がそう言いだした。キミの事だ。大体5人の点数が予想が出来たんだろう。

俺もある程度は予想がつく。全ての教科で赤点回避は・・・・無理だろうな。

前回と違い、1教科以外赤点という事は無いと思うが。

 

 

「知ってますか・・・二乃と五月が喧嘩をして、家を出て行ったことを。・・・・はい。」

 

 

「・・・それだけですか?何故、喧嘩したのか、気になりませんか。

あいつらが何を考え、何をしているのか、知ろうとしないんですか?

退任したので・・・・・もう、あなたは雇い主じゃありません。

 

少しは父親らしいことしろよ!バカ野郎が!!」

 

 

うわー。

やりたい放題やってるよこの人。その反応、中野父は家出を知らなかったんだな。

 

 

え?この人こっちにスマホ差し出してるんだけど。

は?この状況で俺も喋るの?気まずっ・・・・

 

 

 

「・・・・・もしもし、中野さんのお父さんですか。有坂です。」

 

「有坂くんか・・・・キミも、上杉くんに同じかね?」

 

 

「ご心配なく。そこまで熱くはありませんよ。

ただ、俺はこいつよりも出来が悪いので。俺一人では家庭教師は務まりません。

俺も、退任させていただきます。」

 

 

「そうか・・・キミは融通の利く良い人物だと思っていたのだがね。残念だ。」

 

 

「俺としても残念です。・・・俺は出入りにできるようにと、

五月から家の鍵を預かっていましてね。

江端さんにお返ししておきます。」

 

「ほう、五月くんが・・・・そこまで信頼を築いたとは、意外だよ。」

 

「出来の良い娘さんですよ。母親が居なくなってから、

母親の代わりになるんだと決めたと。

末っ子なのに、背伸びをしていました。・・・・ご存じでしたか?」

 

「・・・・・・・」

 

 

 

「仕事で多忙なのはわかりますが・・・・もう少し、娘さんと向き合ってあげてください。

例え血のつながりがなくとも・・・・・親としての責務です。」

 

「・・・・・キミの貴重な進言だ。肝に銘じておこう。」

 

「恐縮です。では、失礼します。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほれ。終わったよ。五月にスマホ、返しておいてね。」

「お前もムカつくだろ?何か言ってやれよ。」

「仕事で多忙なのはウチの家も同じだよ。

有坂くんは両親に気を遣える男なのさ。」

 

 

 

「あいつら・・・・何点取ると思う。」

「どうだろう。一人当たり合計200点かな。良くて。」

「だよな。間違いなく赤点はある。」

「まあ・・・・仕方ないさ。あの5人は俺たち二人のおかげでまた仲良しに戻った。

それで良しとしよう。」

「世話の焼ける連中だぜ・・・・・・・」

 

 

 

「テスト時間が近い。俺達も行くぞ。」

「そうだね。俺も頑張るよ。」

「凡人め。せいぜい励め。宣言しておこう。俺は100点だ。」

「流石の自信だ。うらやましいことこの上ないねぇ。うちの相棒は。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

期末試験が終わってからは、家庭教師をすることはなし。

カードキーを返してはいないが、使うことはなかった。

 

 

時は少し過ぎ、12月。クリスマスイブ。終業式も終わった。

バイトに来ている。着ぐるみの中である。

 

陸上部との江場部長とは和解し、茜は陸上部に復帰した。

江場部長は部員から結構なお小言を喰らったらしい。

ただ、おかげで駅伝は連覇できたようだ。

 

 

 

「はーい。みなさーん。ノエルちゃんが来てくれましたよー!」

 

佐野さんのアナウンスで入場する。

雪だるまをモチーフにした女の子のキャラクターである。

冬用なので外側・・・・・いや、内側までもふもふだ。

おかげで・・・・・とても暑い。

 

 

 

そう。このバイトとても暑いのである。

真冬のクリスマスといえど着ぐるみバイトはこうなるのだ。

というか真冬の方が辛い。何故なら室内は暖房がガンガンだから。外にして欲しい。

真夏の奥外、真冬の屋内。要注意の季節。

そして視界が悪い。全然見えねぇ。

 

この着ぐるみは大きい目の白い部分からしか外が見えない。

黒目の部分は完全に真っ黒だ。

暗闇と高温の中で何とか前を見て、寄ってくる子供を傷つけないようにしながらふれあう。大変である。

 

あー。こらー。ボコボコ殴るな。このタイプは痛くないけど。

抱き着くのは良し。褒美に頭撫でてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有坂くん。お疲れ様。」

「ふー・・・・疲れました。」

「凄い汗だね。寒いから、ちょっとうらやましいかも。」

「この後が地獄なんですよ。湯冷めみたいなものなんで。」

 

「佐野さんは?この後北条さんのところ行くんですか?」

「・・・・うん。」

 

「クリスマスイブですからねぇ。良いですねぇ。ああ妬ましい。俺ひとりぼっち。」

「ふふ。有坂くんが思ってるようなことはしないよ。」

 

「俺は別に変な想像しちゃいませんよ。

佐野さんのリードで、どこかでクリスマスディナーに行ってそうだ。」

 

「あはは。ご想像にお任せします。

・・・・ん?有坂くん。ちょっと担当の人に呼ばれたから、行ってくるね。」

「はーい。」

 

いいなあ彼氏持ちは。

まあこの二人これでもまだ付き合ってないらしいけど。

腐れ縁に近いらしい。良い縁ですね。ああ妬ましい。

 

 

 

 

「有坂くん・・・・お客さんだよ。良かったね。ひとりぼっちじゃなくて!」

「え?」

 

振り返ると・・・・一花、二乃、三玖、四葉、五月。

5人が立っていた。

 

 

「凄い格好だね、ナギ君。」

「あんた・・・・こんなことやってたの?」

「半袖だけど・・・汗、すごい。」

「有坂さん!お疲れ様です!駅伝、優勝しました!」

「ナギくん、迎えに来ました。一緒に来てください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「風太郎のバイト先はこっちだよ。」

 

5人に風太郎がどこにいるのか聞かれたため、案内をしている。

詳しく聞いていないが、またあのケーキ屋だろう。

 

「・・・・ごめんね。何も言わなくて。

江端さんには話したんだけど。」

 

「江端さんの事、知ってたの?」

 

「ああ、一花。キミと同じようにカウンセラーになってもらった事があるよ。

あの人は素晴らしい人だね。」

 

 

 

「それにしても、驚きました。・・・私たちの赤点が原因ですか。」

 

「そうだね。一つでも赤点を取ったら、辞める。そういう打ち合わせをしてた。

あいつも俺も、責任感はあるからね。」

 

「でも、結果も聞かずに・・・」

 

「わかるさ。キミたちの家庭教師だもん。

流石にわかる。中間よりはかなりまともになってると思うけど、

少なくとも一人一つは赤点があった。違うかい?」

 

「・・・・その通りよ。」

 

「・・・良いね。俺もキミたちのことが少しはわかってきたみたいだ。

・・・・・・・・ほら、風太郎があそこにいるよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

風太郎のバイト先、ケーキ屋REVIVALの前。

 

 

「メリークリスマス。ケーキはいかがですかー!」

 

「やあ、そこのいつも100点で完璧なサンタさん。一つ貰えるかい。」

 

「な、凪・・・・!?お前ら!」

 

「ケーキの配達はできますか。家に届けてほしいのですが。」

 

「はぁ?配達なんてやってない・・・・」

 

「上杉くん!」

 

ケーキ屋の店長が店の中から出てきた。

まーた目にクマ出来てる。ガラ悪いんだよなあ。

喋ればいい人なのに。

 

 

 

 

「おや、有坂くんじゃないか。久しぶりだね。キミも一つどうだい?」

 

「ははは。今日はそのホールケーキで我慢してください。」

 

「大事なお得意様だ。また買いに来てくれよ?

・・・・上杉くん?こっちはもういいから、行ってあげなよ。」

 

「て、店長!?そ、そんな「上杉くん!」

 

 

ホールケーキの箱を手渡される風太郎。

 

 

「メリー・クリスマス。」

 

そう言って店長は店の中へ戻っていった。

うむ。かっこいいな。粋だな。良い男。大人になったらこうありたいものだ。

ただしこの外見は勘弁。

 

 

「ほら、サンタさん。行こうぜ。どこかに向かうみたいだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい。お前らの家はこっちの道じゃないだろ。」

 

「違うよ~?フータロー君。」

「こっちこっち」

 

 

河川敷を歩いていた。雪がさらさらと振っている。時折強い風が吹くが。

良いクリスマスだ。降らないのはしらけるし、吹雪は困る。

程よいホワイトクリスマス・イブ。

しかし、どこに向かっているんだ?俺もわからない。

 

 

「あのさ。黙って辞めたことは悪かった。

でも俺達は・・・もう家庭教師には戻れねぇ。」

 

「・・・・見てください。この人が新しい家庭教師です。

二人にも見せておきたくて。」

 

 

そう言って五月が履歴書を差し出してきた。

うぉーマジで。金髪で肌黒いけどこの人。

 

東京の大学出身で元教師なの。人は見かけによらないね。

 

・・・・・ん?満65歳だと?

 

 

 

 

「・・・優秀そうな人で良かったじゃないか。」

 

「・・・良いの!?このまま次の人に任せて、あたしたちを見捨てんの!?」

 

「・・・・俺達は二度のチャンスで、結果を出せなかったんだ!

次の試験だって、上手く行くとは限らない。・・・だったらプロに任せるのが正解だろう!」

 

「そうだね。これ以上は俺と風太郎のわがままだ。給料も出てるんだし。」

 

 

 

 

「したくもない勉強させられて、必死に暗記して公式覚えさせられて!

・・・でも、問題解けたら嬉しくて・・・・

 

ここまで来たのは、全部アンタらのせいよ!最後まで責任取りなさいよ!」

 

 

 

 

 

「・・・・だが、もう無理だ!俺達はあのマンションへの立ち入りを禁止された。

家にすら、入れないんだ!」

 

「それが理由?」

 

「・・・・・ああ。早く行こうぜ。俺と凪は、もう・・・」

 

 

 

「ふふ。もういいよ。ケーキの配達ご苦労さま!」

 

一花が風太郎からケーキを受け取る。

・・・・・配達、ご苦労様?

 

 

「ここだよ。ここが私たちの新しい家!」

 

「え・・・どういう意味だ・・・・?」

 

 

 

河川敷の道沿いにある小さいアパート。

 

・・・・・・・借りたのか?5人で家を出たのか!

・・・なんてことを。

 

 

「今日から私たちはここで暮らす。・・・これで、障害はなくなったね!」

 

「嘘だろ・・・・たった、それだけのために!?」

 

 

 

 

 

「いいましたよね。大切なのはどこにいるかではなく。

・・・・5人でいる事なんです!!」

 

 

そういって四葉くんはカードキーを放り投げた。

マンションのカギだ。・・・・回収しておこう。

これは、俺の仕事だ。

 

 

 

 

 

あ。風太郎がカードキーをキャッチしようとして川に滑り落ちた。

12月ですよ。また入院するぞあいつ。やれやれ。

川に向かってカードキー投げたけど、全部突風で陸上に帰ってきた。

落ちただけ損だったな。どんまい。

 

 

「大丈夫かい、風太郎・・・・・・・・・・あ!?」

 

 

 

 

 

 

五つ子が・・・・川へ飛び込んでいった!

 

 

 

 

 

 

 

「プハッ・・・・お、お前ら!!」

 

「ぜ、全員で飛びこんでどうするんですかぁ!」

 

「フータロー!大丈夫!?たった二回で諦めないで・・・!

今度こそ、出来る!私たちは、フータローとならできるよ!」

 

「三玖・・・・・」

 

 

 

熱いねぇ。今12月だけどねぇ。

俺省略されちゃった。まあいいか。三玖だし。

 

「三玖~!有坂さんも居ますよー!」

 

「あはは!三玖、ナギ君忘れてるよー!」

 

 

フォローありがとう。

 

 

 

 

 

「ほれ、風太郎。俺の手を使え。」

 

「凪!・・・・流石、お前はいつでも冷静だな。」

 

「いつでもクールで熱くなれないのが俺の欠点だね。お陰で仲間外れだ。」

 

「二乃!上がれるか・・・俺の体を掴んでろ。」

 

 

陸上から風太郎に手を貸す。

風太郎に抱かれながら二乃は救出された。

急に川に飛び込んで体がついてこなかったんだろう。

 

 

 

 

 

「無茶苦茶だ・・・・お前ら、少しは後先考えて行動しやがれ!

少しは凪を見習え!・・・・コレだからバカは困る!」

「わーい。ほめられちゃった。」

 

貴重な瞬間である。

 

 

 

 

 

 

「お前らに付き合ってると馬鹿になってくる・・・・

俺もやりたいようにやらせてもらう。俺の身勝手に付き合ってもらうぞ。

最後までな!」

 

 

そう言って先ほどの履歴書を破いた。

・・・・覚悟を決めたようだ。

 

 

 

 

 

 

「そういう事だ、凪。当然お前も巻き込む。諦めろ。」

「はいはい。おとも致しますよ。上杉先生。」

 

 

「あ!そういえば、ケーキは無事ですか!」

「大丈夫、五月。回収しているよ。形も崩れてない。

中に入って、みんなで食べようか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・マンションのカードキーはちゃんと回収しておいた。

江端さんに返しておこう。

まあ、カードキーくらいなら再発行はできると思うが、

これを返すことで、江端さんや中野父に誠実さを示し、信頼を得ることは出来る。

 

 

これから先、彼女たちがどうなるかわからない。

何かあった時に・・・・帰る場所は必要だ。

その辺は、ナギお兄ちゃんがちゃんと世話をしてやらないとね。

 

 

風太郎は、しっかり勉強を見てくれればいいよ。

細事は、こちらに任せておけ。脇役の出番だ。

 

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