「良いか!ここでは作者の気持ちと言うより、
読者のお前らが感じたことを書くわけで・・・・なっ」
「「「「「・・・・・・」」」」」
明くる日の休日。2月前半。
今日もテスト勉強だが・・・・午前中の時点で既に5人が限界を迎えていた。
みんなぐでーってなってる。
「えーっと・・・私が感じたことって何だろう・・・・」
このきもーちはなーんだろー
どこぞの合唱曲の状態である。
「問題を解く以前に・・・・みんな集中力の限界だよね。」
「連日勉強ですからね・・・・」
「もー無理だわ・・・・」
「わ、私はまだ出来るよ!」
四葉くんはまだ元気なようだが。他4人はダメそう。
気分転換が必要か。
「・・・・詰め込み過ぎは逆効果・・・・」
「なんだそれ」
風太郎が本を読んでいた、良い教師になるためのいろは と表紙に書いてある。
いつ買ったんだそれ。
「時にはアメも必要か・・・・凪。なにか思いつかないか。」
「アメねぇ。・・・・俺はカラオケ行くくらいかな。」
「カラオケ?アンタ歌得意なの?」
「いや普通。あそこは大声を出しに行くとこだね。
自分の好きな歌をノリノリで歌うのはとても気分が良くてね。普段できないし。」
「へぇ・・・アンタが大声を・・・・意外ね。」
「誰かと行くんですか?」
「いやぼっち。」
あれはあんまり人には見せたくない。
多分引かれる。
「まあ、遊園地で良いんじゃないか?確かあっただろう?」
「そうだな・・・・午後からはオフにしよう!」
「一花!次はあれに乗りましょう!」
「五月ちゃん・・・ちょっと、休ませて・・・」
午後は息抜き、遊園地に来ていた。
五月がいきいきしているのが意外だった。
四葉くんの姿がさっきから見あたらないが・・・・
ん。居た。あのリボン。観覧車にこもっているようだ。
きっと・・・勉強してるな、あの中で。やれやれ。確かにまだ元気と言っていたが。
四葉くんなら、前回は俺だったし、ここは風太郎に行ってもらおう。
「風太郎」
「ん?なんだ。」
「四葉くんが観覧車にこもって何かしているみたいだ。様子を見てきてくれ。」
「あいつ、ここに来てまで・・・・わかった。」
「いってらっしゃい。」
風太郎も勉強しているんだと予想を立てたらしい。
熱を冷ましてもらおう。
にしても・・・・遊園地に来たのは始めてだろうか。
ジェットコースター、メリーゴーランド、正式名称のわからん船の乗り物。いろいろあるね。
パターゴルフまであるのか。これはちょっとやってみたいかも。
お化け屋敷・・・・バイトを思い出して純粋に楽しめないな。お疲れ様です。「ナギ・・・・」
「へぁ!・・・なんだい三玖。」
「?・・・大丈夫?」
「うん。びっくりしただけ。」
意識が他に持っていかれていたので呼ばれたときに変な声が出てしまった。
最近多いなあこれ。
「一緒に観覧車、のろう。」
「観覧車?良いけど・・・・風太郎じゃなくて俺なの?」
「うん。フータローじゃだめ。」
なんかあるらしい。ついていこうか。
あいつも乗ってるんだけどな。
「二人で。」
「はーい。ごゆっくりどうぞ」
三玖と観覧車に乗った。
前後に風太郎達の姿が無いことは確認している。
リボンは・・・・・・うん。見えない。大丈夫。90度違う場所にいるのだろう。
「話があるの。」
「ああ。聞こうか。」
「・・・・決めたの。次の試験が終わって、みんなの中で一番点数が良かったら・・・・
フータローに、好きって伝えるんだ。」
「・・・・・なるほど。良いね。」
告白か・・・・・ついに、この日が来たのか。
ナギお兄ちゃん嬉しいです。おめでとうらいはちゃん。
知っての通り、三玖は姉妹の中で、一番勉強が出来る。
特に問題がなければ、OKだろう。
「チョコの方は?上手くいってるかい?」
「うん。二乃に教えてもらってる。」
「やっぱ二乃か。・・・・あいつの事だからね。チョコを渡したくらいじゃ
日頃のお礼としか思わない。真っ直ぐ想いをぶつけるのが一番だ。」
「わたしも、そう思った。今度の試験で、教師と生徒の関係に一区切り。
・・・・卒業、するんだ。」
「卒業・・・叶うといいね。」
「ただ・・・・もしかしたらライバルがいるかもしれない。」
「ライバル?」
「そう。気づいたかい。今、この観覧車の中のどこかに、風太郎がいる。」
「フータローが?乗ってるの・・・・」
「そう。・・・・四葉くんと一緒に。きっと、二人で勉強してる。
みんながリフレッシュしている間に。まだ元気だって、言ってたからね。」
「!」
「・・・・三玖は一番頭が良いから、
それをきっかけにしようと考えたのかもしれないけど。
絶対に一位を取りたいなら、油断はしない方が良いよ。」
「うん。わかった。」
「応援してる。」
「ありがとう。」
四葉くんと三玖との間には60~80点程度の差がある。
どちらも勉強しているので、その差が極端に埋まることは無いだろう。
だが、これを理由に発破をかけることは出来る。今の状況を使わせてもらおう。
三玖が負けるとしたら・・・・順当に、前回2位の五月かな。
点数の差はあまりなかった。逆転の可能性はある。
だからまあ、今こうして脅かしたわけだが。
気になるのは・・・・一花だな。
恐らく向こうも風太郎が好き かもしれない。
どっちも応援するよ。
「ちなみにこの発言は?他の誰かも知ってるの?」
「言ってない・・・ナギだけ。」
「そう。」
「ナ、ナギは・・・・好きな人居ないの。」
「俺?俺ねぇ・・・・いないね。」
「わ、私たちの中では。」
「キミたちの?そうねぇ・・・・同い年だけど、みんな妹みたいなもんだから。無いかな。」
「い、妹・・・・」
「そう。キミは引っ込み思案、自信をつけてやりたい妹。そんな感じ。
・・・・結局ここまで、風太郎への告白を引っ張ったわけだからね。」
「・・・・ざんねん・・・・」
何がざんねんなんですかね。
キミが好きなのはフータロー君でしょ。
しかし・・・・風太郎と三玖。この両者、関係の分岐点にようやく立ったのか。
・・・・・感慨深いな。二人ともよく知っているから・・・・実ることを願う。
冬休みは既に終わっており、平日の学校。
・・・・既に学期末の試験が近い。
昼休み、同じクラスの教室で一花に勉強を教えていた。
「ここは・・・こう?」
「そう。ではこちらはどうだろう。」
「こう・・・・だよね。」
「よし。良いね。正しく理解している。」
「やった!」
次のテスト、今までになく気合が入っているようだ。
まあ、赤点で転校と言う話は共有されている。
絶対に、落ちるわけにはいかない。そういうメンタルのはずだ。
今の彼女たちは義務感に突き動かされている。
・・・変な無理をしていないと良いんだが。
「中野っち勉強?おひるだよー?」
「あはは。わたしあまり出来ないから・・・・」
「おしごと忙しいんでしょ?しゃーないって!」
「まあ、詰めすぎも良くないか。昼はこの辺で・・・・」
「待って、ナギ君。まだ。もっと教えて。」
「・・・・・・一花?」
ただならぬ表情だ。真剣。
・・・・何があったのかな。
「・・・・・その意気や良し。続けよう。」
「うん。おねがいします。」
水を差すのも良くない。
ここは、流れに身を任せよう。
またある時の平日の昼。
「ナギ君。ここは・・・・」
「・・・・一花。昼食ってからにしよう。」
食堂。一花と二人で食事をしている。
勉強の熱はまだ冷めていない。良い事だが・・・・・どうにも気になる。
食事中ですら勉強をする始末。いつしかの風太郎である。
明らかに様子がおかしい。何があったんだ。
「でも・・・時間が。」
「一花。はっきり言おう。充分だ。キミの教師だからわかる。
既にキミは赤点を回避できるだけの実力をつけている。
赤点回避という点なら、これ以上は過剰だ。」
「・・・・・」
「それでもキミは、続けるかい?なら・・・・理由を聞きたい。気になる。」
直球で聞く。一花にはこれが効く。
変化球、駆け引き。搦め手。そんなものは不要。
「一位を・・・とりたいの。」
「一位?・・・・5人の中でと言う事かい?」
学年1位は不動の満点、上杉先生がいる。間違いなくそこではない。
「うん。これから先・・・・女優と学生の両立をしていく。
その、決意表明として。5人の中で1位を取りたい。それを、今後の自信にしたいの。
これから先、辛くて大変かもしれないけど。その経験があれば、頑張れる気がするの。」
・・・・・なんと。奇しくも、三玖と戦う格好になったな。
今の発言・・・信用していいんだろうか。
三玖の告白を防いで、自分が告白するのではないだろうか。
まあ、どっちでもいい。両者を応援する。俺はそのスタンスだからな。
三玖は告白の件を俺にしか喋っていないと言っていたが。
あの後、誰かにしゃべったかまではわからない。
話を信じる前提で、客観的に見て優先度が高いのは・・・・・一花かな。
三玖のそれはゲン担ぎ。今は調子が良いから告白も成功するはず。その考えだからな。
三玖にもう少し自信がつけば、何のきっかけもなくても告白していいんだから。
対して、これからの両立に対しての自信のため。うん。一花の方が上だろう。
「なるほど。・・・・・・・・仕事の関係で、今は間違いなく、5人の中で一番君が大変だ。
そんな中で、一番を取れれば・・・結構な自信になるだろうね。
だが、それなら風太郎の方が良い。俺では力不足だ。」
「ダメ。・・・・わたしが両立を選ぶことが出来たのは、あの時のナギ君のおかげ。
わたしは、ナギ君の生徒。ナギ君と一緒に頑張りたい。
・・・・・男の子なんだから。最後まで責任、とってよね?」
「・・・・いいだろう。よし。ここからは本気で行こう。ついてきてくれよ。
知らないことがあれば、聞いてくれ。知らないことは知ればいい。俺が教える。
忘れてしまったら、聞いてくれ。人間だ。そんなときもある。
忘れてしまったら、また俺が教えよう。
知らないけれど、聞かないこと。これは・・・・良くない。知識は無限の世界。
聞かなかったことで、キミの世界を広げるチャンスを、失っているかもしれない。
聞くは一時の恥だとしても・・・聞かぬは一生の恥だ。
キミに対して、遠慮はしない。だからキミも、
俺に対しては、遠慮しなくていい。・・・・何でも聞いてくれ。」
「うん!お願いね!」
いつしか、五月に言ったことだ。
責任をとれ、か。確かにそうだ。
あの時の俺の一言が彼女の人生を変えたのなら。俺も付き合うべきか。
友達として、教師として、導き手として。
実力は、あいつに及ばないかもしれないが。
3学期。中間試験はない。期末試験の1発勝負。
期末試験が始まり・・・・そして、結果が出た。