五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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3学期、期末試験が終わった。

 

風太郎のバイト先であるケーキ屋に集まることとなっている。

俺はまあ、そこそこだ。いつもと変わらない。家庭教師の上振れで平均80ちょいである。

風太郎もどうせ100点だろう。

 

問題はやはり、五つ子。

一花と三玖の事も気になるが、一つでも赤点があれば、転校。

審判の日だ。

 

 

 

 

「センパイ!陸上部に行きますよ!」

「悪い茜。手伝ってやりたいが、今日はちょっと無理だ。

ちなみに今回の試験は?」

 

「センパイが見てくれなかったからちょっと下がっちゃいましたよー!」

「今回はちょっとな。許せ。」

 

結果を見せてもらったが、平均50ちょい。別にいいだろ。進級出来れば。

大学からスポーツ推薦で頑張れ。

 

「わかったわかった。準備運動だけ付き合ってやる。」

それが終わったら行くからな。今日は気が気じゃないんだ。

中野姉妹の運命の日だから。

「む~。仕方ないですね・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

茜を柔軟でシバき倒し、ケーキ屋REVIVALへ向かう。

ちょっと遅くなってしまった。皆もう来ているだろう。

・・・・緊張するな。

 

「こんちわ。」

「凪。遅かったな。」

「茜に捕まってた。」

「有坂さん!わたしやりました!」

「よし。四葉くんえらい。」

 

 

四葉くんが回避できているのなら、恐らく問題は無いだろう。

全員回避できているはずだ。あとは・・・・

 

「誰が・・・・一番だったんだい。」

「まだ二乃がいないけど・・・・わたしだよ。ナギ君。」

「一花!・・・・やったね。」

「ありがと。ナギ君の個人授業のおかげだよ?」

 

右手を上げ、一花とハイタッチを交わす。

 

・・・・右にいる三玖の視線が痛い。あとで弁明しよう。

しかし、やり遂げたか。この子は。恐れ入ったよ。

 

 

「個人授業なんてしてたのか?お前ら。」

「ああ。昼休みは離してくれなくて大変だったよ。」

「・・・・しらなかった。」

 

 

ジト目でそういうこと言わないでください三玖さん。

怖いです。

 

 

「五月と三玖も、当然合格だろう?」

「はい。危ない教科もありましたが、赤点はありません。」

「もちろん。あとちょっとで一花に勝ってた・・・」

 

問題なし。あとは二乃。

 

 

「試験突破おめでとう!今日の分は上杉くんの給料から引いておくから

好きに食べてくれたまえ!今日はお祝いだ!」

「もー店長ったらー!冗談バッカリー!」

 

 

という事らしい。あざす上杉先生。

ゴチになります。マジ感謝っす。

やっぱ風太郎お兄ちゃんはちげぇわ。

 

 

「ありがとうございます!・・・でもまだ一人来てなくて。」

「二つ結びの子が先に来て、これを置いていったよ?」

 

 

そう言って店長が結果表を出してきた。

二乃の成績表だ。・・・・大丈夫。ギリギリ赤点を回避している。

しかし、何故これを置いていったのだろう。

 

 

「上杉くん。その子からキミに伝言だ。・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

 

店長から耳打ちを受け取った風太郎。

・・・・どこかへ行くようだ。

 

「風太郎。どこへ行く。」

「祝賀会は全員参加だ。・・・・二乃を連れてくる。」

「上杉くん。裏のバイクを使っていいよ。」

「店長、ありがとうございます。」

 

 

二乃を迎えに行ったようだ。

・・・・連れてこれるだろう。先に祝賀会を始めていよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ナギ。」

「三玖」

 

ちょっと席を外したタイミングで三玖がついてきた。

聞きたいことはわかっている。

 

「・・・・一花から言われたんだ。今後、学業と女優の両立にあたり、

テストで1位を取り、自信にしたいと。」

 

「!・・・・そう、だったの。」

 

「・・・やっぱり、聞いてないか。ただ・・・俺はこの一花の発言、

ちょっと疑っていたんだ。一花は風太郎が好きで・・・・

もしかしたら、三玖の妨害をと思ったんだが。」

 

「いや・・・わたしはナギにしか喋ってない。」

 

 

「俺も誰にも喋ってない。ということは、あれは本心か・・・疑ってしまったな。

ごめんね。そういう理由があって一花に勉強を頼まれてね。教えてたんだ。」

 

「理由があるなら、良い。・・・うらぎりものかと思った。

それなら、一花が1位で良かった。あんしん。一花には頑張ってほしいから。」

 

「怖いっすそれ」

 

三玖に弁明は出来た。

すれ違いだったようだ。三玖の恋心が叶う日を、再び待とう。

 

「そろそろ二人も戻ってくるでしょ。戻ろう。」

 

「うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「上杉さーん!二乃を連れてきてくれたんですねー!こっちですよー!」

「おう」

 

 

風太郎と二乃が現れた。

 

・・・・ん。二乃の顔がかなり赤いが。何があった。

玄関で立ち止まってこっち来ないし。まあいいか。

前もこんなことがあったな。風太郎が川から二乃を救出した時だ。

 

「有坂くん、このケーキを運んでくれないかい。」

「はーい。あ、これください。」

「780円だよ。」

「はい・・・・」

 

赤点回避でえらいのは中野姉妹だけなので、俺は自腹&手伝いになってしまった。

上杉先生、話が違うじゃないですか。

この店のケーキはおいしいから別に良いけど。

風太郎が帰ってきたので手伝いは任せよう。厨房でケーキ食べよ。

 

 

「ぼくは少し休憩入るから、あと宜しくね。」

「あ、店長。プリン一つ取り起きしても良いですか。」

「良いけど・・・好きだったっけ?」

 

 

「いや、バレンタインのお返しに」

「「!!!????」」

 

風太郎・・・・お返し・・・・だと・・・・

貰って終わりだと思ってたのに。成長したなぁ・・・・・おめでとうらいはちゃん・・・

風太郎お兄ちゃんは立派になったよ・・・・・・

 

「キミは仲間だと思ってたのに・・・・・・裏切者っ・・・・・!!」

「いや、妹のですけど。」

「そっちかよ」

 

らいはちゃんかよ。もっといるだろもっと。いや大事だけどさ。

三が付く二文字の人とか。貰ったんじゃないのかよ。

つかこの店長独り身か。

 

 

「なんだ、そういう事か。あの五人の誰かから貰ったのかと思ってたよ。」

「・・・・ありえないですよ。」

「え?もらってないの?」

「もらってねぇ。お前ももらってないだろ。」

「まあないけど。」

 

・・・・もらってないの?なんで?

作ったんだろ?

 

三玖は・・・遅めのバレンタインという事で、試験に1位だったら渡す予定だったのかな。

それしか思いつかないが。

 

 

「ご苦労様。店長さんは?」

「二乃、今奥に行ったよ。」

「あ、そ。・・・・お礼を言おうと思ったのだけど。」

 

二乃が厨房にやってきて、こちらをチラ見した。

アンタは向こうにいってなさい ・・・・・そんな表情だった。

 

 

怖いので一時撤退。

さっきの事と言い、二乃は何かあるな。何をするかさっぱりわからないが。

 

「ちょっとトイレに行ってきます。」

 

 

 

 

 

 

 

 

トイレを済ませてちょっとだけ時間を潰す。

三玖のチョコだけはわからないな。なんか中途半端だ。

せっかく俺が徹夜覚悟で失敗作食べたのに。

あげるだけあげても良かったと思うけど。

どうせ風太郎は家庭教師のお礼って捉えるだろうし。

 

 

ピロリン

スマホに通知。・・・・・・何?

意外な人物からメールが来ている。

ほう。面白い。後日つきあってやろう。

ただ、俺だけじゃ無理だな。専門家が欲しい。

 

さて、もういいかな。厨房に戻ろ。

 

 

 

 

「あれ。」

「あら?」

 

トイレから出た瞬間、一花とばったり遭遇した。

 

「ナギ君、どこにいたの?」

「厨房で手伝い。そしてケーキ食べてた。」

 

「厨房かぁ。私たちのところに来ればよかったのに。」

「上杉先生がひとりぼっちになるからねぇ。」

「わたしも、ちょっと厨房見てみよっかな。」

 

 

一花もこっちに来るらしい。

・・・・二乃の話が終わっていればいいが。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・なんて求めてないわ!」

 

厨房近くの廊下。声が聞こえてくる。

 

「この声は・・・・二乃?」

「一花、静かにした方が良い。」

「う、うん。」

 

二人して廊下の壁に体を近づけ、身を隠す。

 

「ほんとムカつく。・・・対象外なら、無理にでも意識させてやるわ。」

 

「アンタみたいな男でも、好きになる女子が地球上に一人居るって言ったわよね!?

・・・・それがあたしよ!残念だったわね!」

 

「・・・・!?」

 

 

・・・・・・・・・・告白。告白をしている。二乃らしい、素直じゃない遠回しな告白。

 

二乃が、風太郎に。・・・・顔が赤かったのは、バイクで迎えに行ったときに、何かあったな。

 

一花は・・・・驚いている。二乃の気持ちは知らなかったらしい。

 

 

「・・・・・厨房には、入れないな・・・・」

 

「・・・・・」

 

「こっそり、戻ろうか。音を立てずに。」

 

「う、うん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「大変なことになったね。これで3人か・・・・」

 

「うん・・・・・・・・3人?」

 

「うん。一花、二乃、三玖。みんな風太郎が好き。だろう?」

 

「え・・・?いやっ、私は」

 

「この前の撮影、俺も見てたんだよ。この店で撮影してた時。

たま子って役だったでしょ?」

 

「た、確かに社長からナギ君が来てたって聞いたけど・・・・」

 

 

「厄介なことになりそうだからその場から逃げ出してね。

ほとぼりが冷めてから戻ってきたら・・・・一花が風太郎の肩を借りて寝ていたのを見た。

あれを見て、そう思ったんだけど・・・・寝たふりだったでしょ。あれ。」

 

「うん。でも、あれは疲れてたから・・・」

 

 

「疲れてるのなら寝る。それは通らないだろう。キミの場合ならなおさらだ。

いや・・・・一花殿は策士だなぁと思ったよ。ふふふ。」

 

「そうかもしれないけど・・・・」

 

 

「風太郎が好きなんでしょ?応援してるよ。

応援するのは、キミだけじゃなくて、二乃も三玖も。みんなだけど。・・・・戻ろうか。

うらやましいねぇ。しかし良い事だ。」

 

「・・・・・・・・」

 

 

 

テーブルへと向かい、三玖、四葉くん、五月と合流した。

ケーキを一口ずつ分けてもらい、その日はこれで解散となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

 

「お、来たか有坂。わりぃな。呼び出して。」

 

「構わないよ。前田くん。」

 

 

 

昨日のメールの差出人は前田くんだった。

あれからも松井さんと続いているらしい。林間学校から逆算すれば、3,4カ月になるか。

良いね。

ホワイトデーのプレゼントを一緒に考えてくれとの連絡だった。

俺は人選ミスだと思う。恋愛経験ねぇよこちとら。

 

 

「で・・・候補はあるか?」

 

 

「リサーチはばっちりだ。松井さんはスイーツ好きと聞いているよ。

だからまあ、ケーキで良いんじゃないかね。」

 

 

「そうか・・・そうだな。高いアクセサリーとかじゃなくて良かったぜ。」

「3,4カ月でそれを渡すのは・・・・どうだろうね。アリかな。

俺も女性と付き合ったことが無いからわからないや。」

 

 

値段によるか。大人ならそういうので良いと思うけど、まだ学生だからな。

食べ物で良いんじゃないですかね。

1年継続すれば、そういうアクセサリーかな。ナギお兄ちゃんの恋愛観はこんな感じです。

てか前田くんお金あるのかな。

 

 

 

 

ということで、二日連続でケーキ屋に来ていた。

 

「やあ有坂くん。また来てくれたのかい。嬉しいね。そちらの方は?」

 

「ど、どもっす。前田っす。」

 

「友達を連れてきましたよー」

 

「お客さんは増えるのは大歓迎だよ。」

 

今日も変わらず店長が頑張っていた。

風太郎はいないっぽい。どこでなにやってるんだろ。

 

 

「あ、有坂。何が良いんだ。わかんねぇぞ。」

「俺もそんな詳しくないんだわ。だから助っ人をお呼びしました。

中野 五月さんです。どうぞ。」

 

「よろしくお願いします。」

「お、おう。よろしく。」

 

専門家をお呼びし、店内に待機させておいた。出来る男有坂。出来る女五月。

どうやら五月はその道では結構有名人らしい。詳細は聞いていないが。

 

 

 

「彼女の好みは?」

 

「・・・レモン系だな。すっぱいのが好みだったはずだ。」

 

「で、あればこちらのレモンケーキにマドレーヌを合わせるのが良いでしょう。

チョコレートが良いのであれば黄色いレモンのガトーショコラもあります。

一番人気はこのフランボワーズのショコラなので、これをセットで頼むのも良いでしょう。」

 

「・・・・色々あるんだな」

 

頼もしすぎる。流石ですお母さん。

これなら安心だ。

 

 

「まあ、当日は持ち帰ってプレゼントで良いとして、

なんか実際に食べてみたらどうだい。」

 

「そうだな・・・・じゃあこれとこれと・・・・中野さん、あんまり甘くない奴は・・・」

「それならこの抹茶の・・・・」

 

「先にテーブルついとくよ。」

 

「有坂くん?キミは注文しないのかい?」

 

「はい・・・・・・・・」

 

昨日結構食ったんだけど。店長の圧力に負けた。

俺に厳しくない?この人。風太郎の友達だから?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

店内のテーブルに着いて、ケーキを味見しながら3人で会話していた。

珍しいトリオだな。我ながら。

 

「あれから上杉の野郎はどうなんだ?」

 

「あれから・・・・?」

 

「いや、一花さんと付き合ってるんだろ?」

 

「!? ナナナナナギくん!上杉くんと一花は付き合ってるんですか?」

 

「あぁ。それね。嘘です。」

 

「なっ・・・・・何ィ!」

 

「前田くんを振るための嘘です。二人はまだ付き合っておりません。」

 

「かぁぁぁぁ・・・・・やっぱりかぁ・・・・」

 

「松井さんと結構上手く行ってるから、もうばらしても良いかなって。」

 

「・・・・そうだな・・・・あいつとこうなったのもお前らのお陰だしな。

じゃあ一花さんはお前と付き合ってんのか?」

 

「いや?あの人は他に好きな人が居るようだよ。」

 

「マジかよ!誰だそいつ!」

 

「誰なんですかナギくん!」

 

「・・・・・・俺も知らない。

一緒に住んでる五月はわかると思ってたんだけど。

知らないんだね・・・・」

 

 

・・・・・知っているのは俺だけのようだ。

でも五月ってそういう恋愛系には無頓着かもしれないな。

 

そんな感じで、前田くんとまた一つ仲良くなった。

 

 

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