五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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前田くんと五月と別れて帰宅。

ホワイトデーに何を買うかは決まったようだ。

前田くん一花の好きな人わからないのかよ。それじゃダメだよ。

うちの相棒と一緒だよ。

 

 

 

 

 

日は過ぎ、修了式。2年生最後の日。

在籍の3年生はこれをもって卒業となる。陸上部の江場部長も、次からはいないだろう。

 

 

「有坂。寂しくなるな。」

 

「片倉くん。そうだねぇ。」

 

「・・・・お前は、面白い奴だ。次も同じクラスになれることを願う。」

 

「そうだね。俺だって。いざという時に、一番頼りにできるのはキミだった。」

 

「そうか……感謝する。」

 

 

 

 

「片倉ー!帰るのか!」

 

「伊達。」

 

「やあ。伊達くん。」

 

「おー!有坂!クラス替え残念だなー・・・」

 

「ははは。そう言ってもらえてうれしいよ。俺も残念だ。キミのパワーには助けられたからね。」

 

「また一緒だと良いな!」

 

「ああ。もちろんだ。」

 

 

 

 

「有坂くん。これで、さよならだね。」

 

「川村さん。まるで二度と会えないみたいな言い方しないでくれよ。寂しくなる。」

 

「ふふ。寂しがってくれるんだ。ありがと。」

 

「当たり前だよ。」

 

「有坂くんが一緒のクラスだととても楽しいから・・・・また、一緒が良いな。」

 

「俺もだ。キミが居るとクラスの雰囲気が良くなる。また、頼むよ。」

 

「うん。お互いね。・・・そうそう、春休みのこの日、空いてるかな?」

 

「その日は・・・・バイトだなぁ。ごめん。ライブチケットでしょ?」

 

「ううん。来れないなら良いの。

もう有坂くんに頼らなくていいくらいには、お客さんいるんだ!」

 

「あれ。ホント?だったらなおさら見に行きたいな。また声を掛けてくれないかい。」

 

「ありがとね!」

 

 

 

 

「ナギっち~もう帰っちゃうの~?」

 

「屋代さん。いつまでもここにいるわけにはいかないだろう?」

 

「そうだけど~。ナギっちいないとつまんないよー。

いっつもこっちの想像を超えてくるんだもん。」

 

「ははは。ナギっち依存症にはご注意してほしいね。」

 

「あははは!そーいうとこだよ。違うクラスになったら遊びにいくから!」

 

「そりゃまた。騒がしくなりそうだ。」

 

「ちょっとー!どういう意味!それー!」

 

 

 

 

 

 

「さて・・・帰ろうかな。」

 

「おいコラァ。有坂。俺を忘れんなよ?」

 

「前田くん。忘れるわけがないだろう。ホワイトデー、上手く行ったかい。」

 

「おう。お陰でな。今度は俺がうどん奢らせてもらうぜ。」

 

「それは良かった。」

 

「ただ、お前と五月さんの3人で一緒に選んだことを話したら、怒られちまった・・・」

 

「そりゃだめだよ。彼女の前で他の女性の話をしちゃ。」

 

「女ってのは気を遣うぜ・・・・じゃあな。次も同じクラスだったら、宜しく頼むわ。」

 

「ああ。期待しているよ。前田くん。」

 

 

 

 

クラスメートの友人たちに別れを告げ、卒業式を終えた。

一花はまあ、これからも会うからな。改めての挨拶はいらないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

卒業式を終えて真っ直ぐ帰宅。

家で乾燥した洋服を畳んでいた時にスマホが鳴った。

着信だ。・・・中野 マルオだと?

 

 

「はい。有坂です。」

 

「有坂くん。中野だ。」

 

「お世話になっております。」

 

「世話になったのはこちらの方だよ。

期末試験、おめでとう。君達の勝ちのようだね。」

 

「ええ。そういう事になりました。」

 

「娘たちに、君達の立入禁止を解除するから、マンションに戻るようにと言ったんだがね。

あのアパートに住み続けるようだ。」

 

「え?そうなんですか?」

 

「・・・・知らなかったのかい。」

 

「ええ。全く。」

 

「そうか。まあ関係のない事だ。要件を話そう。

君に礼をする準備が出来た。来週の週末は空いているかね。」

 

「週末・・・・ええ。何もありませんよ。」

 

「君を・・・ある旅館へ招待しよう。準備しておきたまえ。」

 

「旅館ですか?」

 

「熊虎 と言う名前の旅館だ。娘たちの祖父が経営していてね。私達もそこへ向かう。

礼も兼ねて、同級生が一人居た方が良いと思い、君を招待させてもらうよ。」

 

「はあ。ありがとうございます。」

 

「ではそのつもりで。江端から詳しい連絡をさせよう。」

 

 

旅行のお誘いと来た。マンションの一室が良かった。

 

そしてすぐ追加のメールが来た。母さんからだ。

『旅行、いってらっしゃい』

 

・・・・・・手を回すのが早すぎる。

しかしどうやって。うちの両親と中野家はどういう関係なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

週末。

家の前に呼んでもいないタクシーが止まっている。

これに乗れと。そういう事らしい。

 

「有坂さんですね。お待ちしてました。」

「はい・・・」

「では、出発します。」

 

 

「目的地にはどれくらいかかるんですか?」

「20分前後になりまして、そこからはフェリーです。

体調等が悪くなりましたらご連絡ください。」

 

 

船の移動も含めると中々時間がかかるようだな。情報を整理しておこう。

 

中野父は私達も行く と言っていた。

つまり、中野家が居るはず。父、姉妹。江端さんもいるのかな。7人。

 

旅館は、娘たちの祖父が経営と言った。

既にいない母方・・・・中野母の父だろう。中野父が私の父 と言わなかったから。

 

 

そして期末試験をクリアし、俺と風太郎のマンション侵入禁止は解除された。

しかし、姉妹たちは戻るつもりがない。なんでだろう。

 

あのアパート暮らしが気に入ったのならわかるんだが、お金は一花負担。

続けるなら、他の4人が何かしらバイトするなりした方が良いだろう。

それとなく促しておくか。

 

 

・・・・何故、俺が招待されたのか。ちょっとわからない。

同級生が一人いると良いと言っていたが。自分と姉妹のコミュニケーションが気まずいから、

間に俺を挟もうというのだろうか。それだと責任重大なんだが。でも江端さんで良くない?

単純な礼という線もあるが、こればっかりはあの人に直接聞かなければわからないな。

 

 

旅館で俺が何をするべきなのかが見えてこないが・・・・とりあえず自然体でいかせてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「到着しました。こちらの道に沿って歩けば、ある観光スポットに到着します。」

「はい。ありがとうございます。」

「またお帰りの際は、またこちらの方にお出迎えをさせていただきます。」

「よろしくお願いします。」

 

 

船で離島に到着。そこからまたタクシーで揺られ、山道に降ろされた。

山道と言うほどきつい道ではない。道に沿って歩き出す。

 

・・・・ここから何分歩くのかを聞いていなかったな。

まあ、良いか。先が見えない楽しさもある。

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく歩き、整備された高台に来た。

チェックポイントのようだ。崖際には手すりがあり、見晴らしも良い。山の中なので緑一色だが。

 

鐘がある。結婚式の教会であるようなタイプだ。

ヴァージンロードのようなラインが引かれており、二人で手を繋いで道を歩き、共に鐘をならす。

そんなイメージだな。折角なので鳴らしてみる。

 

リンゴーン

 

 

うん。普通に鐘。

一人で鳴らすと寂しくなってくる。滅べばいいのに。先に進もうかな。

 

「・・・・・ナギさん?」

 

ふと、声を掛けられた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・らいはちゃん?どうしてここに。」

「お兄ちゃん!お父さん!ナギさん居たー!」

「おお!ナギくん!こんなところで合うとは奇遇だな!」

「凪・・・・どうしてここにいる。」

 

上杉家が現れた。

父、風太郎、らいはちゃんと3点セット勢ぞろいだ。

ああ。キミたちも招待されたのか。なら良かった。俺の考えすぎかな。

 

 

「俺は・・・招待されたんだ。中野父に。」

「招待?あの旅館にか?」

「ああ。祖父が経営してるって言っていたよ。・・・風太郎達こそ、どうしてここに。」

「スーパーの懸賞で旅行のペアチケットが当たった。」

「マジかよ・・・・」

 

違ったわ。まあ中野父と風太郎は相性悪いからな。

強運、そして偶然が過ぎる。

あれって本当に当たるのか。たまにレシート張って応募してるけど。

いっつも商品券応募してるのに当たったことない。

 

 

「中野家を見なかった?来ているはずなんだけど。」

「あいつらも居るのか・・・・・」

「「やっほーーー!!」」

「ん?」

「あー!五月さんだー!」

 

 

らいはちゃんが横で山彦に呼び掛けていたら・・・

その隣に五月が居た。合流したようだ。

 

 

「五月。こんにちは。」

「ナギくん!?と、上杉くんまで!?な、なんでここに!」

 

その反応。俺が来ることは聞いていなかったようだ。

 

「五月~早いよー・・・って上杉さん!有坂さん!」

「う、嘘・・・・!?」

「あら。ついてるわね。」

「フータローと、ナギも当たったんだ・・・・」

「こんにちは。みんな。」

「お前ら・・・・どうしてこんなところで。家族旅行かよ。」

 

やはり五人全員が居た。

 

「そう・・・まさに、家族旅行だ。だが、気を付けなければいけないよ。

旅にトラブルは・・・・・付きものだからね。」

「有坂様、上杉様、お久しゅうございます。」

 

「あ”ぁ”ぁぁ・・・・」

「あ、お世話になります。」

 

「やあ、有坂くん。早かったようだね。ゆっくりしていくと良い。」

 

 

中野父と江端さんもいた。

風太郎は中野父を見て凍り付いている。まあ、仲悪いよね。

というか風太郎は今ナチュラルに無視されていたぞ。ちょっとかわいそう。

 

 

「五月くん、何をしているんだい。江端から早く昼食を受け取ってくれ。」

「はい。」

「あ、あの、先日は」

「さあ、久しぶりに全員が集まったんだ。楽しませてもらおう・・・家族水入らずの時間をね。」

 

風太郎が中野父にアプローチしたが完全にシャットアウト。

会話する気ないそうですよ先生。

 

「有坂くんも、申し訳ないが今はそういう事で、宜しくお願いしよう。」

「わかりました。俺の方は旅館へ向かいます。」

 

 

「だ、そうだよ風太郎。二人とももう行っちまったぞ。一緒に行くか?」

「そ、そうだな・・・」

 

らいはちゃんと上杉父を追いかけることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お化け屋敷みたーい!」

「やってるんだよな?」

 

上杉家とともにチェックイン。

古い旅館だ。部屋は悪くなさそうだが。

白髪の老人が受付をしている。この人が祖父だろうか。

 

「・・・・・・・~~・・・・・」

「・・・すみません、よく聞き取れなくて。」

「・・・・ゆっくり・・・していけ。」

「あ。はい。ありがとうございます。」

 

良い人だった。ちょっとびびった。こわいです。髪長くて顔が良く見えないんだもん。

どうやら中野父から俺の事に関して連絡が行っていたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に入り、荷物を置いて一息つく。

良い部屋だ。これを一人で使えるのか。贅沢だな。

大体旅館で一人で泊まるときって割高だから、行く気をなくすんだ。

貴重な経験かもしれない。

 

少し休んで、旅館の中をぶらつく。

 

・・・温泉。男女とは別に混浴がある。珍しいな。

まあ女性は入ってこないだろう。家族用という用途かな。

 

ちなみに混浴で若い女性が入ってくるまで待ち続ける行為をワニと呼ぶらしい。

みんなはやめましょう。どうせ入ってこないよ。俺はそんな夢を見ません。アイアムリアリスト。

 

 

 

「ん。五月。」

「お疲れ様です。ナギくん。」

 

五月と出会った。

 

「キミたちの父親に招待されたんだよ。俺はあの部屋に居る。」

「そうだったんですか。」

「どういう理由で招待されたかがわからないから、ちょっと困惑気味だね。」

「・・・ここは、私達のおじいさんが経営している旅館ですから。

ゆっくりしていってください。」

「そうだね。とりあえず、純粋にそうさせてもらおうかな。では、また。」

 

五月と別れ、いったん部屋に戻る事にした。

温泉入ってこようかな。

考えすぎかな。単純なお礼かな。

 

 

 

 

 

 

 

「ふぃ~~!極上!混浴のおかげで、家族みんな、ついでにナギくんとも風呂に入れたな!」

「お兄ちゃんとナギさんものぼせる前にでてねー?」

「あいよー。ありがとーらいはちゃん。」

 

 

温泉に入ろうとしたところ、

上杉家とバッティングしたので、一緒に混浴に入ることにした。

 

「なあ、凪。」

「うん?」

「この中で五月以外を見たか?」

「五月以外・・・・そういえば、見ていないね。」

「俺もだ。あいつら、どこへ行っているんだ?」

「さあねぇ。父親が同伴だからねぇ。その辺が怪しいよ。」

 

 

 

 

「・・・・なんだこれ。」

風呂から上がったところ、風太郎の衣服の上にメモが乗っていた。

「0時、中庭?・・・五月からだ。さっき、話したいことがあると言われた。」

「おおぅ。熱いねぇ。真夜中の決闘。果し合いだ。」

「・・・・茶化すな。」

 

 

話したいことね・・・・なんだろう。

五月も風太郎が好き?1対4のバトルロワイヤルですか?まさに大乱闘。

一体誰がラストスタンドになるのか。

 

四葉くんがストレスで大変なことになりそうだな。

絶対あの子はみんなを応援 みんながんばれ ってなるぞ。

四葉くんはえらいなぁ。俺も同じことしてるけど。

 

 

 

 

 

部屋に戻ったところ、テーブルの上にメモが置いてあった。

23時に中庭に来てください 

 

・・・・・どうやら、俺にも果たし状があったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指示にしたがい、23時。

中庭に向かった。・・・暗いな。

これから1時間後、風太郎も呼び出される。同じ内容だろうか。

 

 

・・・・足音。誰かが来た。

 

「あ・・・・ナギくん。来てくれたんですね。」

「五月。やっぱり君か。風太郎を呼び出したのもキミだから、そうだと思ったよ。何の用だい。」

 

 

「・・・・ナギくんは、私達との関係をどう思っていますか。」

「関係・・・・・教え子、友達・・・・かな。」

 

「私達は・・・・その関係を終わらせたいと思っています。」

「・・・・というと?」

 

 

「教師と生徒という立場を取り払い・・・・対等な関係になりたいです。

私達は、あなたの妹ではありません。」

「対等・・・・別に俺は、自分に優位があると思っていないけど。

妹・・・あの発言がキミの癪に障ったのなら謝るよ。ごめん。」

 

 

「いえ、そうではありません・・・・いち教師といち生徒ではなく・・・

一人の男子生徒、一人の女子生徒として・・・」

「・・・・・五月?声が震えている。寒いのなら中に入ろう。無理しなくていい。」

 

「そ、そうですか。一旦中に・・・・」

「・・・?・・・・・五月、じっとしていてくれないか。」

 

 

五月の手を掴み、止まらせる。

・・・・・なんだこれは。何か変だぞ。

 

「・・・・?ごめん。ちょっと、顔を近づけさせてくれ。」

「あ!ナナナナギくん!?」

 

 

両手で五月の顔を掴み。こちらに引き寄せる。

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーー違う。」

「え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「キミは・・・・・・・・誰だ。五月じゃない。」

「・・・・・・・」

 

 

 

「キミの顔は・・・・あの時、正月の福笑いの時によく見た。だから、顔を近づければ、わかる。

誰かはわからないけど。キミは五月じゃない。五月は・・・そんな眼をしていない。」

「あ・・・え・・・ナギ、くん・・・?」

 

 

 

 

「キミは、誰なんだ。他の4人のうちの誰かだろう?・・・・・何故、こんなことをしている。」

「・・・・・・!」

 

 

 

走って・・・・去っていった。

・・・・・・・・・・いや、間違いない。あれは五月じゃない。

他の4人のうちの誰かだ。

 

 

 

風太郎も同じことをされるのだろうか・・・・・・

このまま、中庭のどこかに潜伏して待っていよう。

 

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