五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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「昨日は楽しかったか?凪先生」

「わりとね。あと俺先生じゃなくて生徒だったよ。」

 

 

翌日。予想通り学校の図書室に呼び出された。

やはりこうなったか。知識量で完全敗北してしまったからな。

勉強の鬼である風太郎はそのプライドが許さないだろう。

ましてや、社会が得意とはいえ相手は赤点候補の生徒なんだ。

余計に刺激される。

 

 

「この図書室にある戦国時代についての本を片っ端から読む!

何としてもあいつに勉強を教えてやる!屈服させてやる!」

「はいはい。俺はどうすればいいんだい。」

「この図書室の本とダブらないように町の図書館で武将の本を借りてきてくれ!」

「えぇー?そこまでやる?」

 

徹底してるなぁ。それはちょっと予想つかなかった。町の図書館まで行くのか・・・・

 

「わかったわかった。じゃあその取ってきた本写真に撮らせてくれ。メモ代わりにするから。」

積まれた本を写真に収め、放課後は図書館へ向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

「いつの間に図書館はこんなに広くなったんだ?・・・・・知らなかった。」

 

歴史に関する本のコーナーはどこだ?広すぎる。気を抜くと迷ってしまう。

あちこち歩いていると・・・・見知った顔を見つけた。

 

あれは・・・・眼鏡をかけているが、五月ちゃんだ。

 

 

本を読んでいるわけではない。何故ならシャーペンを持っている。

勉強をしている。なんか隣にちょっと上品なお菓子の袋みたいなの出てるのがめちゃくちゃ気になるけど。飲は良いけど食は良いのか?この図書館。

 

どうしよう。声を掛けるべきか。うーむ、一人だとは思うんだが。

でもまだあんまり仲良くないし。それに・・・・

 

 

【・・・では、あなたで良いです。私に勉強を教えてくれませんか?】

【え?俺が?いや・・・・・ちょっと、厳しい・・・かな】

 

 

 

 

 

あのやり取り。勉強を教えてほしいのなら、学校にいる間に声を掛けてくるはずだ。

しかし、俺は掛けられなかった。だから、一人で勉強しなくてはいけない何かが存在するんだろう。

 

うん。邪魔しちゃいけない。人間は基本的には一人だ。困難に一人ぼっちで立ち向かわなくてはいけない時が来る。

 

いつか来るその時に備えて頑張りたまえ。五月くんよ。

決してちょっと気まずい知り合いに声を掛けるのが嫌だとか、そんな理由ではない。本探しに戻ろう。

 

 

 

 

 

思えば最後に図書館に来たのはいつ以来だろうか。

小学生の頃は自分の貸出カードを作るだけでわくわくしていた・・・・気がする。

まあ1か月くらいで飽きたけど。

本だけじゃない。CDやDVDもある。昔からだったか?少し気になるな。

 

しかし・・・・広い。広すぎるぞ。いったい何時からこんなに広くなった?

いつもと違うスーパーマーケットに来たかのようなこの感じ。新鮮。

こういうプチ新鮮な体験というのはボケ防止に繋がるそうだ。

 

「む。この本は去年の。」

 

割と新しめの本もある。至れり尽くせりだな。折角返しに来るんだ。

自分用の本も何冊か借りよう。

しかし何冊まで貸出できるんだろうか?どこにも記載がない。とりあえず持って行ってみる。

 

 

 

 

 

「貸出カードはお持ちですか?」

「昔に1度だけ利用して・・・失くしてしまったようで。」

「新規発行致します。こちらの紙に必要事項を記入ください。」

ふう。とりあえず何とかなりそうだ。小学生の時に数回使ったカードなんて持ってないよ。

 

「貸出は1度に12冊までとなります。」

「あ・・・・すいません。」

 

思いっきり受付に書いてあった。図書館内のどこかにも書いておいてほしい。

はっず。えーっと何を捨てようかな。この本とこの本は内容が若干被ってるかもしれん。

 

この辺にするか。いや待て、まず自分用の本から諦めるべきだろう。

だからこの本とこの本を・・・ん。どれだっけ?

ああ後ろに人が来てしまった。早くしなければ・・・・「有坂さん?」

 

え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「悪いね。おかげで助かったよ、ありがとう五月さん。」

「どういたしまして。」

 

超過した分は五月ちゃんのカードで借りて、事なきを得た。

五月ちゃんに助けられてしまった。かっこ悪いところを見せちゃったな。

 

「それにしても歴史関係の本ばかり・・・・どうしてこんなに借りるんですか?」

「んー・・・・今のマイブームなんだ。」

 

風太郎の事、三玖の秘密。出来れば両方隠しておきたい。

後者は五月ちゃんならバレても問題ないと思うが。

二乃にバレたら終わるな。あの二人は相性が悪い。

一花おねーさんの話によれば だが。

 

 

「・・・・・」「・・・・・」

微妙に気まずい。図書館で助けてくれたこともあり、別に嫌な印象は持たれていないはずだが。

 

なんか・・・・見えない壁を感じるんだよな。俺もあまり自分から話し始める方じゃないからな。

こうやって会ってしまったのだから、どうして一人で勉強していたのか、聞きたいが・・・・

 

 

 

「・・・・図書館で勉強をしていたんです。」

助かった。向こうからきっかけをくれた。

 

「勉強だけなら家でも出来たんじゃない?」

「・・・・・・・・・・・たまには環境を変えることが大事です。」

「そだね。」

 

なんだ今の間は。意味深が過ぎる。だが詮索は良そう。

これ以上気まずい空気にしたくない。

 

「一人で勉強していたのかい。」

「はい。」

「どうして?誰かとやった方が効率が上がるんじゃない?」

「そうは、思いますが・・・・自分の問題は自分で解決すると言いましたので。」

 

ん。あの時の発言か。高級車で降りてきた後の。

 

あんな場当たり的な発言を意識していたなんて。真面目だなぁ。

性格良いんだよ。頭は良くないけど。

 

 

 

こういうタイプはプライドを傷つけてはいけない。あれだ。風太郎と同じだ。

言葉を選びながら時間をかけて目標に持っていこう。急がば回れ。

 

「無理強いはしないけど、一人より誰かしら居た方が良いよ。

問題の回答を見てもピンとこないこととかない?」

「確かにありますが・・・・・あ、雨。」

「え?」

 

ポツポツと雨が降り始めた。まだ小雨だ。急いで帰ろう。

 

「傘は持ってるかい?」

「いえ・・・今日は降らないと思っていて。」

「じゃあコレ使いな。」

 

折り畳み傘ならいつもカバンの中に仕込んでる。役に立つ時が来た。

 

「でもそれでは有坂さんが!」

「さっきの礼だよ。それに家は近い。走れば3分。じゃあね。」

 

返事を受ける前に走ることにした。押し問答をするよりこうするのが一番手っ取り早い。

俺だって男だ。レディファーストの心はある。久しぶりに良い運動をしよう。

走れば3分は嘘。嘘も方便。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・60cmにしとこう。」

 

近くのコンビニに避難し、ビニール傘を買った。

何がレディファーストだよバカ。この本濡らしたらシャレにならないぞ。

つか重くてロクに走れねぇ。俺も時々、詰めが甘い。

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