五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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「ナギ君。やほ!」

「やっほー、一花。」

 

 

登校時、一花と遭遇した。一人のようだ。

 

姉妹と一緒に行っていないのはなんでだろう。

一人だけ朝起きるの遅くて寝坊気味なのかな。

 

 

「絵になるね。そのポーズ。」

「そう?ありがと。」

両手でカメラを作り、レンズの中に一花の顔を入れる。良い写真ですよ女優さん。

以前、花火大会明けの冬服アピールと同じように、ちょっとしたポージングをしている。

 

 

つくづく、雰囲気のある子だと思う。

少し体を斜めに傾けて手すりに腰を掛け、なんとかのフラペチーノを手にしている。

これだけでも注目を引いてしまいそうだ。目立つ。この店の良い宣伝になるな。

 

実は勉強できないんですけどね。この子。それを感じさせない。

 

 

「新しいクラスはどう?友達出来た?」

「友達・・・そうだね、よく話す子が一人増えた。」

「だれだれ?」

「毛利さんって人。友達が増えるのは良い事だ。」

 

 

毛利さんはあれからも良く話しかけてくる。

川村さん、俺の事をかなり細かく喋っていたようだ。

なんでそんなこと知ってるんだよ と思う事が度々ある。たまに怖い。

 

 

「毛利さんかぁ。綺麗な人だよね!凛としてて大人な女性って感じ。」

「長身を生かしてバレーボールやってるらしい。」

 

 

毛利さんは背が高い。風太郎とほぼ変わらない。

風太郎よりちょっと小さい俺はハイヒール履かれたら完全に終了です。お疲れ様でした。

 

 

「そっちはどう?仕事の方は。」

「この前の映画がようやく撮り終わったとこ!

もうすぐ完成試写会があるはずだよ!」

 

「試写会・・・・良いね。順調そうで何より。」

「ふふふ。周りに自慢しても良いよ?」

「私生活だらしない人はちょっと・・・・」

「うう。その話は他の人にしないでね・・・・」

 

 

完成試写会。

そんなものをやるほど規模の大きい映画だったんだろうか。

社長はあんまり と言っていた気がするが。

ケーキ屋の収録の話だよな。呪いのリプライ だったっけ。

それとも、また別の映画だろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある平日。学級委員長、上杉風太郎は3年1組の面々に頼られていた。

 

 

「上杉学級長!三玖ちゃんに話があるんだけど!」

「ああ、三玖はここだ。」

 

「学級長、これ一花ちゃんに!」

 

 

大人気である。

クラスメートはまだ中野姉妹に対して混乱気味。

五つ子の判別がつけられるのはまだそう何人もいないからである。

俺も一応わかることは周知されているが・・・・

 

 

「有坂くん!これ、四葉ちゃんに!」

「あーごめん。ちょっと忙しい。上杉学級長にお願いしてくれる?」

「わかったー!」

「ごめんねー」

 

 

そういった案件を全部風太郎に丸投げしていた。

上杉学級長にみんなの役に立ってもらいクラスに馴染んでもらおうという作戦。

決して意地悪をしているわけではない。親心である。

名付けて有坂スルーパス作戦。

クラスメートから綺麗に上がってきたセンタリングを風太郎へ綺麗にスルーしていた。

 

 

直接的な友好関係構築のアシストはしないが、これくらいはさせてもらおう。

学級委員長の仕事をやりやすくするためにも大切なこと。

クラスメートからの借りと信頼を今のうちに稼いでほしい。

 

そう言った信頼を得るには最初が肝心。

大抵の人はみんな初対面で得体のしれないクラスメートの人となりを伺っているからな。

 

 

けどあいつ自分からそういうことしないし、多分考えない。

だから俺が投げて強制的にやらせる。スパルタ教育、鬼軍曹有坂。

 

今回は俺が教師だな。風太郎。小学校以来だ。久しぶりにしごき倒してやる。

竹林さんも呼んで来てやろうか?連絡先知らないけど。

 

 

「あああああ!面倒くせぇぇぇええ!!」

 

すまんな、許せ。これもお前のためなんだ、友よ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナギくん、ここなんですが・・・」

「ここかぁ。うーん。ここねぇ・・・・」

 

休み時間中に五月に勉強を教えていた。

 

結局、塾講師のバイトを始めることにしたらしく、かなり心配であった。

が、杞憂だったらしい。最近教えを乞う問題のレベルが上がっている。

俺と同じで学力の向上につながっているようだ。

 

 

「で、こうかな。」

「ありがとうございます。なるほど。」

 

「有坂くん!その子、五月ちゃんで合ってる?」

「ああ。合っているよ。」

「よかったー。えっとね。」

「待った。用事なら俺は失礼するよ。」

「あの、ナギくん。」

「はい?」

 

 

「今日の放課後、またリサーチに付き合ってもらえませんか?」

「リサーチ・・・おお、良いね。またご同伴させてもらおうか。」

「二人でデートするの?」

「デート。ははは、そうだね。確かに考えれば、デートだ。」

「デ、デートだなんて・・・・」

 

今日の放課後は五月のレビューに付き合うことになった。

 

なんかちょっと違和感があったな・・・・今の会話。

五月ならもっとこう・・・・うーん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有坂、空いてるぜコラァ。座れ座れ。」

「こっちよ。」

「ああ。どうも。」

 

 

昼飯時。食堂で前田くんと毛利さんで飯を食う。

彼は唐揚げ定食、彼女はサラダパスタを食べている。

 

 

毛利さんとはそこそこ馴染んでいる。こっちの事がバレバレなので馴染まざるを得ない感じだが。

なんか俺はかなり気に入られている。川村さんに何を吹き込まれたのか。

 

毛利さんはあまり同性とつるまない。

長身でクールビューティな雰囲気がそうさせているのだろうか。

後輩の間でファンクラブがあると茜から聞いた。あとで俺刺されるかもしれない。

 

風太郎はどっかに行っているようだ。

恐らく五つ子と食べているのだろう。

 

 

 

折角なので、気になったことを確認させてもらう。

 

「前田くん。ちょっと見てほしいものがあるんだ。」

 

「あぁ?なんだよ。」

 

「この写真だ。」

 

 

旅館に行った時の写真を見せる。

五つ子全員が五月の格好をしていた時の写真だ。

 

「お、おい。なんだこれ。」

 

「見ての通りだよ。中野さんたち全員に五月の格好をしてもらった。」

 

「・・・凄いわね。これは。全くわからないわ。有坂くんは誰が誰だかわかるの?」

 

「五月本人、一人しかわからなかった。あとはさっぱり。」

 

「こんなん見ても判別できねぇぞ!お前凄いな。」

 

「そう?前田くんならわかるんじゃないかなと思ったんだけど。」

 

「いや、なんで俺・・・・うーん・・・・」

 

 

 

 

「・・・・真ん中の子。これは一花さんだろ?」

 

 

!? やはり。

 

 

「・・・・正解。」

 

「まじで!?」

 

「左から、四葉、三玖、一花、五月、二乃らしい。」

 

「ほかの4人はわかんねぇわ。五つ子ってすげーな。」

 

 

そう。前田くんは林間学校前に一花っぽい三玖の変装を見破る寸前まで行っていた。

だからわかるかと思ったが・・・・その通りだった。

 

 

「前田くん、どうしてわかるの?私は全く・・・・」

 

「なんでって・・・わかるだろ。」

 

「えぇ・・・・・理由無いの・・・・」

 

「いや無いわけじゃねぇけど。こう、説明が・・・」

 

「よすー。有坂くん。彼氏借りてくね。」

「よすー。松井さん。」

 

 

前田くんの彼女、松井さんが登場。

ある程度面識はある。ちなみに同じクラスである。

 

 

「何見てたの?」

 

「コレ。」

 

「うわ。ナニコレ。中野さんたち?ここまで似てるとホラーね・・・・

・・・・って何。あんた他の女の写真見てこんなデレデレしてたの?」

 

「は?いや、デレデレはしてないって!」

 

「・・・・あんた、ちょっとこっち来なさい!」

 

「お、おいコラァ!有坂!毛利!何とか言ってくれぇ!」

 

 

松井さんに耳を引っ張られながら前田くんは連れていかれてしまった。

見破るコツを教えて欲しかったのに。でもあの様子じゃはっきりわからない感じだな。

 

 

「今の、前田くんの彼女?」

 

「うん。松井さん。」

 

「彼、良い女性を捕まえたみたいね。きっとあのまま結ばれるわ。」

 

「そうなの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・REVIVALじゃないか。」

「そうなんです。」

 

本日の放課後。

五月と一緒に風太郎のバイト先のケーキ屋に来ていた。

リサーチレビューの目的地である。

 

 

「例え身内の職場であっても、手を抜くことはしません。

ナギくんもそのつもりでお願いします。」

 

「承りました。」

 

 

五月と一緒にテーブルに着く。

相変わらずのマスクとサングラスである。

こちらも帽子をセット。ただ、風太郎に見られたらまずバレる。

 

だって五月は帽子被ってないもん。

髪の毛が相変わらずピョコンと1本立ってるんだもん。

少なくともそれ切ってこないとダメだよ。四葉くんのリボンみたいなものだ。

 

 

「じゃあ、持ってきてもらいますね。」

「はい。」

 

 

誰が持ってくるかな。風太郎が持ってきたら終わるな。

ん。物陰から誰かがこちらを見ている。3人。

店長、風太郎、・・・・二乃。

 

・・・・二乃?どうしてここに二乃が・・・・

 

 

そうか、そうだった。二乃もバイトを始めているんだった。

二乃に見られても終わりだな。

 

 

あ、二乃がこっちに歩いてきた。終了。即バレです。

お疲れ様でした。シェフの衣装似合ってますね。

こちらに歩いてきているが・・・・・

 

 

!?

 

 

振り返って・・・・投げキッス!

視線の先にはもちろん俺たちの上杉学級委員長。直撃である。

 

 

流石の風太郎もこれにはたまらず顔を隠す。赤いなー。後ろ向いていてもわかる。

耳が赤い。三玖になくて二乃にあるもの。

 

いやー。職場でやるねぇ。公衆の面前ですよ。目の毒。小さい子は見ちゃいけません。

見せつけられる側にもなってほしい。10分の1くらい滅んで欲しい。

 

 

「五月、ナギ。なにしてんのよ。」

「何でバレたのですかぁ!?」

「そらねぇ。」

「レビューの商品でしょ。持ってくるわ。」

「お、お願いします。」

 

 

「うぅ・・・バレてしまいました。」

「その綺麗な長い髪はめだつもん。」

「ナギ君みたいに帽子が必要でしょうか・・・・」

「あなたはロングなので被っても全部は隠せません。」

 

被ったところで帽子を突き破って出てきたりしないよな?

そのピョコンと1本跳ねた髪。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

帰宅。

今日の夕飯は餃子です。

 

・・・これ、肉汁っぽいものが多いな。ただ、味が無い。

野菜の水分か?それとも別の何かか?

肉汁ならもっと旨味があるだろう。有坂くんにはわかるんです。この餃子ダメです。

父さんがふるさと納税で買った冷凍餃子であった。

 

 

 

さて。中野姉妹が一緒のクラスになったことにより学校が騒がしくなった。

これからもこんな日が続くと思うと・・・なかなか疲れそうだな。

 

おかげで、心地よく寝れそうだ。

さて、確かもうすぐ陸上部の県大会だったな。楽しみにしておくか。

 

 

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