五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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一生懸命頑張れば、誰かが見ててくれる

あるお笑い芸人さんの、座右の銘とのことです。




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「ナギ君。」

 

「うん?どうしたの。」

 

「今日・・・学校サボっちゃおうよ。」

 

一花に手を掴まれ、そう言われていた。

表情は焦っているように見えた。何かしらの理由がある。

そんな雰囲気。頷いてみることにした。

 

 

「別に良いよ。休んでも。一花も休むのかい?」

 

「!・・・うん。一緒に、どこかに行こ?」

 

 

 

顔が変わった。明らかに反応が良い。

・・・従ってみよう。いたずらって感じの反応でもない。

これも演技だったら、俺はこれからキミとの人付き合いを考えなくちゃならないな。

ちょっと引く。そのドッキリ笑えないっす。炎上もんだね。

 

 

「ただし、条件が一つ。・・・・学力が下がるのは困る。

午前中の間は一緒に勉強をする。それなら、一緒にサボろう。」

 

 

そこは譲れない。風太郎からも何やってるんだといわれる。

そもそも一花の出席日数を削るのは痛いが・・・・妥協点はここ。

 

 

「それでいいよ。むしろ、お願い。」

 

え? いいんだ、これで。

勉強が嫌になったわけではないんだね。

 

 

「よし。良いよ。・・・・じゃあ、一緒に不良になろうか。

初めてだ。学校をサボるのは。」

 

あの1件を除けば。あれは……仕方ない。うん。小学生だし。

 

 

風太郎に欠席をメールする。お前に真面目な嘘をつくのは中々貴重だな。

大丈夫。絶対に怪しまれないやり方が一つある。それを使う。

たまたま隣に一花が居たという事にしておこう。

 

 

「欠席の連絡はしておいたよ。サボったとは思われないはずだ。」

「ふふ。ナギ君って嘘が上手いんだね。」

「1つだけ切り札があるからね。俺の体調不良の看病をしてくれてるってテイにしたから、

覚えておいてね。じゃあ、一度帰って勉強しようか。」

「・・・・うん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここはね・・・」

「うん・・・・」

 

 

中野家アパートで一花に勉強を教えていた。

素直に応じてくれている。やはり勉強が嫌だったからサボったわけではないらしい。

一安心。

 

・・・・そういえば、帰ってくるまでは手を繋ぎっぱなしだったな。

あの時つかまれて、そのままだった。

 

 

「ふふ。」

「どしたの。」

「なんでもないよ~?」

 

時折こうして意味もなく笑うのが気になる。

ドッキリか何かがこの後あるのかと思ってしまう。

だったら納得だが。平日にやらないでほしい。

 

 

「ナギ君。ちょっと疲れたかも。休憩しよ?」

「うん。」

 

「わたしはね。ナギ君をもっと知りたいの。」

「そう。嬉しいね。」

 

「だから、わたしの興味がありそうな、面白い話、してくれる?」

「えー?」

 

 

なんだその無茶ぶり。

女王一花は退屈でいらっしゃる。楽しませるがよい。曲芸士有坂。

頭の引き出しから良さそうなのを引っ張り出す。

 

 

「今やってるのは国語の勉強だね。」

「うん。」

「だから、日本語の勉強でもしようか。」

 

 

 

 

「あるお笑い芸人が居てね。その人は昔、ヤンチャだったそうだ。

それで、その時の自分のあだ名は『切れたナイフ』って言ったんだよ。」

 

「切れたナイフ?」

 

 

 

「そう。その人は周りのコントロールや空気感を掴むのが上手でね。

いつも周りを自分のペースに引き込み、

俺のあだ名は切れたナイフだ、と、勢いのあるたったの一言だけで、

周囲を笑いの渦に巻き込んでしまう。とても面白い人なんだ。」

 

「ふふ。きっと凄い芸人さんなんだね。」

 

 

「ただね。この発言を勢いだけで笑って片付けるには、

ちょっともったいないと、俺は思うんだ。」

 

「・・・・・」

 

 

「彼は、切れたナイフ と言ったんだ。・・・・ナイフは刃物だ。元々何かを切るためにある。

何かを切るためのナイフが、既に別の何かによって、切られてしまっている。

これ・・・・よく考えると、落語のような深読みの奥深さがある。」

 

 

「そして、もう一つ。切れたナイフというのは・・・・・・いったいどういう状態なんだろう?」

 

「え?」

 

 

「彼は間違いなく、切れたナイフ と言ったんだ。これが気になる。

 

切れているんだ。ナイフが、切れている。・・・・・折れたナイフ ではないんだよ。

・・・・それって一体、ナイフは今どういう状態でどういう形をしているんだろう?

・・・・ふふふ。様々な形のナイフが想像できる。

 

果たして彼は、本当に『切れたナイフ』と言いたかったのか?

それとも、『折れたナイフ』と言いたかったけど、間違えたのか?

それとも。自分の鋭利さ、尖っていることを表すために『切れるナイフ』と言いたかったのか?

もしかして、怒ったら手が付けられないという意味で『キレたナイフ』と言いたかったのか?

・・・色んな想像が出来て、とても面白い。」

 

「たった一言だけど、そこに小さな間違いのようなものを仕込むことで、

その人の人柄や性格をよく表している。日本語ってのは面白いねぇ。」

 

 

「ふふふ。そうだね。・・・でも、私も多分、そこまで考えなかったかも。」

 

「そう。だからとても勿体ないと思っているよ。あの発言をただ笑って片付けるのは。

とっても高度なボケと、自己紹介を兼ねていると思う。

・・・・・勉強はちゃんとしておきたいものだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。午前中はここまで。お疲れ様。」

「ふいー。疲れたあ!」

 

 

本日の勉強はここまでにしておく。

さて、問題の午後だ。何をするんだろう。

気が変わったので解散。でもいいのだが。

 

 

「午後からどうしますか、おねーさん。」

 

「んー。そうだなあ・・・・とりあえず、フータロー君へのプレゼント。

一緒に買いに付いてきてくれる?」

 

「良いね。行こうか。」

 

 

 

 

 

 

ギフトショップに来ている。

へー。ひな祭りとか端午の節句とかもあるんだ。

 

良さげなカタログギフトを吟味している。

これも中々種類がある。食べ物を重視しているもの。ファッション小物系など。

少し値段を上げれば旅行系なんてものもある。

 

風太郎一人で旅行はしないだろうから、ここはパスだな。

上杉家は3人セット。五つ子5人セットの君たちのように。

 

 

「ナギ君はフータロー君にプレゼントあげたりしないの?」

「あげないねぇ。上杉家は金ないから。余計な出費は控えさせたい。

お返し別にいらないけど、あいつは意外と義理堅いから。返しに来る。」

 

「よく考えてるんだね。」

「同性に誕生日プレゼントはあんまやらないんじゃないかな。

あとプレゼントやお返しを何にするか考えるのが面倒。やっぱり異性から貰ってからだよ。」

 

 

あいつなら異性から貰ったところで大して気に留めない気がするが。

・・・・いや、どうかな。最近の風太郎はちょっと今までと違う。

 

 

二乃、三玖が風太郎への好意を隠さなくなってきたが、

そこから目を背けている。ここ最近はそんな感じが見て取れる。

どちらを選ぶのか、迷っているのだろうか。贅沢な悩みだ。

どちらを選択しても、応援してやりたいし、選ばれなかった方のフォローもしてやりたい。

 

二人とも選ばないという選択も・・・・ある。一花もいるし。

 

 

「・・・決めたよ。これにするね!」

「うん。あいつも喜ぶさ。」

 

カタログギフトをパスしてギフトカードにしたようだ。

汎用性が高いからね。風太郎の希望はお金だからな。カタログよりこっちの方が適切か。

 

 

「ナギ君は?なにか欲しいものない?付き合ってくれたお礼。」

「お礼・・・いや、俺は大丈夫だよ。気にしなくていい。」

「そお?遠慮しなくていいのに。」

 

丁重にお断りする。言ったじゃないか。お返しが面倒だと。

貰ったプレゼントを素直に喜べなくなる。

それに結構厳しいんだろ。家計簿的に。バイト要請出すくらいだしな。

 

 

「用事は終わったけれど。どうする?まだどこか行きたいところがあるかい?」

「もちろん!一緒に行きたいところがあるの!」

「そう。ついていこうか。」

 

行きたいところがあるらしい。ついていくとしよう。

 

・・・まだ詳細な理由がわからない。

一緒に遊びに行くだけなら休日でもいいんだが。

 

まあ、アパートの生活費の件もあり、大抵の休日、一花は仕事だけど。

本当に俺の気分転換の為だったんだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここかぁ・・・・・」

「もりあがっちゃおー!」

 

2人してカラオケボックスに来ていた。

歌いたかったのかな。

 

「ナギくんは大きい声で歌うんでしょ?聞いてみたいなーと思って。」

「あー。一人で行くんだけどなぁ・・・・」

 

 

期末試験の時の話を覚えていたらしい。

確かに言いましたね俺。

 

 

「じゃあ、披露しますか・・・・もちろんキミの歌だって聞かせてもらうよ?」

「ふふ。心配しないで。ちゃーんと私も歌うから!」

 

恥ずかしいんだけどなぁ。引かれないと良いけど。

 

 

 

 

♬~~~

 

 

 

 

 

 

 

 

「む~。なんか思っていたのと違うなぁ・・・・」

 

「えー?最初はこんなものだよ?まだこれからさ。

最初はそうだね・・・・音程を意識して綺麗に歌うモード。

そうやって、喉のウォーミングアップをしているんだ。」

 

 

一花と二人で歌っていた。デュエットと言う訳ではない。

まずは採点の点数を意識して教科書通りの歌い方をしている。

他の人に聞かせるのであれば、このやり方が適切だな。

 

本気を出す前に喉を作っているのである。折角お金を出してカラオケボックスに来ているんだ。

1曲歌ってもう喉潰れましたーではお話にならない。準備運動が必要だ。

 

飲み物は炭酸ではないジュース。烏龍茶を飲んでしまうと喉の油が洗い流されてしまい、

なめらかな発声が難しくなるらしい。昔、カラオケ好きな誰かに聞いた話だ。

炭酸も良くないらしい。喉への刺激がどうたらこうたらとか。

本当かどうかは知らないが、理屈は通っていると思う。

 

 

 

 

「じゃあ、そろそろアクセルを吹かしていこうか。次はどれにしようかな。」

 

「ナギくん、洋楽好きなんでしょ?聞きたいな。」

 

「あれ?合ってるけどそんな話したっけ?」

 

「フータロー君から聞いたの。それで英語が得意になったって聞いたよ。」

 

 

その通り。中学時代に中二病をこじらせて洋楽を聞きまくったせいで、

発音も合わせて英語が非常に得意になった。

ありがとう中二病仲間の平山くん。キミのおかげです。

一部思い出したくないものもあるけど。

部活のアレもそうだが、あの頃のノートは決して見せられない。

 

 

 

「わたしも洋楽好きなんだ。歌えないけど。同じだね?」

「あらそうなの。」

 

一花は英語そんな出来なかったけど。聞く専門か。

折角なので出張家庭教師といこうじゃないか。

 

 

「じゃあ、そうだな・・・・ここでも英語の勉強をしてみようか。

・・・・はい。歌詞と、その和訳だ。

どの単語がどういう意味を持つのか、雰囲気で学んでみるといい。

洋楽は、曲調とは裏腹に、意外な内容の歌詞であることが多いからね。」

 

「うん。ありがと。やってみる。」

 

「じゃあ、ちょっと本気で歌おうかな。」

 

 

 

 

スマホで歌詞と和訳付きのページを検索し、一花に渡した。

今から歌うのは、男性一人と女性一人のコンビの曲。

女性側もちゃんとこちらで歌う。

 

そう。俺は今から、ステージに立つアーティストになる。

 

 

 

 

 

 

 

♬~~~~

 

 

 

 

『一人きりだった夜だけど 嬉しいな あなたがそばに来てくれた

 

これで 俺は一人じゃない』

 

 

しっとりとした神秘的な曲だ。

こういう曲のジャンルを何というのかわからない。

バラードではないと思うんだが。

 

 

『一度 全てを忘れよう』 

 

『大丈夫 今後の事は考えないで』

 

『さあ ガラスの靴を履いて 舞踏会へ』 

 

『シャンデリアの光の中で 共に消えてしまいましょう』

 

『Ah ah ah ah.....』

 

 

 

 

そして、原曲は二人の声が重なる。

 

今は一人だが、誰かと一緒に歌ってみたいものだ。

 

一花は・・・・英語喋れないからパス。

 

 

~~~~♬

 

 

 






元ネタは皆様もご存じだと思いますが、出川哲朗さんになります。
昔は良くこの発言を聞いたのですが、いざご紹介の動画を探したら意外と見つかりませんでした。
テレビを動画化するのはNGなので、仕方のない事ですね。


果たしてどういう意図でこのあだ名が出たのか、一度聞いてみたいです。
ただしこの事に関して掘り下げるのは、ご本人様にとっては良くないのでは と
考えておりますので、私から聞くことは恐らくありません。
とても尊敬しているお方です。
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