五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

66 / 130


アニメベースのお話です。
原作だとかなりの違いがありとても驚きました。




64

 

学校、ある休み時間。

風太郎とトイレにいた。連れションである。

 

「どうだ?統一模試対策の調子は。」

「俺かい?順調だよ。」

「……」

「……」

「……俺にも聞けよ」

「……調子は「完璧だ」知ってるよ……」

食い気味で返すんじゃない。

 

 

全国統一模試。3年生は来年進学への道を歩む。

切っても切れないイベントだ。結果により志望校への合格確率の判定が出る。

 

風太郎と同じ大学には行けないだろう。死ぬ気で頑張ればギリギリ届くかもしれない。

だが、そんなことをして入った所で、4年間もその頑張りが続く訳がない。決別の時が来た訳だ。

 

 

そんな事を思っていたら、風太郎の右隣にいた生徒が話しかけてきた。

 

「上杉くん?大変そうだね。」

「誰だお前」

「武田くんだぞ。同じクラスの。」

 

覚えといてくれよ。

 

 

武田 祐輔。

 

試験結果1位、上杉 風太郎

2位、武田 祐輔

この字面を今まで何度見たことか。不動の1位と2位である。

 

 

しかし、毛利さんの話では前回の試験で風太郎の成績がガタ落ちしたらしい。

どうせ1位だろと思ってみてなかったが、2ケタまで落ちたとか。

……そう思ったら、さっきの完璧も怪しいか。

 

 

「中野さんたちの家庭教師、大変でしょ?」

「・・・何故それを知っている。」

「僕の父がこの学校の理事長でね。中野さんのお父さんとは、

兼ねてより懇意にさせて頂いてるよ。」

「金持ちネットワークかぁ。」

 

どうせ武田くんもハイパー金持ちに違いない。

なんかいつもキラキラ光ってるし。夜道は反射材いらないね。

 

 

「しかし・・・・今のキミに家庭教師をする余裕なんてあるのかい?」

「……何が言いたい?」

 

「キミに勝利し、学年1位になった僕に、家庭教師を任せたいという話が出ているんだよ。

・・・・・フフフ、ッフッフフ・・・ようやくキミから学年1位の座を奪い取った・・・・・・

 

やったぁー!勝ったぁ!YES!! Oh! YES!!!」

 

「武田くんって結構面白いんだね。」

 

急にはしゃぎだした。夏の子供かな?

ちょっと親近感がわいた。多分この人良い人だ。仲良くしたい。

 

 

 

 

「上杉くん!長きにわたるライバル関係も、ついに終止符が打たれたのさ!!」

「いや、だからお前誰だよ。」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・え?

・・・・・ほら、ずっと2位で君に迫っていた武田祐輔・・・・」

「知らん。今まで満点しかとってなかったから、2位以下は気にしたことがない。」

「王者の思想だね。」

「なっ・・・・・!」

 

 

風太郎の言うこともわかる。

 

テストと言うのは理論値がある。満点の事だ。

100点満点を取っていればそれ以上の点数は存在しないため、

自動的に1位もしくは1位タイが確定する。

だから下の人間など確認する必要がないのだ。

100点しか取ってこなかったし、テストは対戦相手が紙であり人間ではない。

 

知らぬは天才ばかりなり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図書室に集まって、久しぶりに姉妹と対統一模試の勉強会となったが・・・・

 

「よし。5人揃っているな。勉強会を始めるぞ。」

「えっと・・・・武田くんも一緒に?」

 

武田くんがついてきた。話があるようだ。

 

「上杉くん。キミはこんなことをしている場合じゃないだろう?

もっとやるべきことがあるはずだ。」

「何の事だ。」

 

 

「はっきり言わせてもらえば、彼女たちが君の足枷になっているという事さ。

上杉くんが家庭教師を辞める事・・・・・それは他ならぬ上杉くんの為だ。」

 

 

「足枷って・・!」

「キミたちのせいだ。キミたちが上杉くんを凡人にした。

いい加減、彼を解放してもらえないかな。」

 

中野姉妹に勉強を教えていたせいで、自分の勉強に身が入らず、

学年1位から落ちた。そういう結論だ。その辺は、俺も同意見。

 

前回の試験は転校がかかっていた。絶対に落とせなかった。

だから家庭教師には特別熱を入れていた。

凡人の俺は人に教えることで逆に成績が上がっているんだが。

 

 

「武田くんは風太郎の事が好きなんだねぇ。」

「有坂くん。キミにその分野で負ける気はないよ。」

 

否定しないんだ。キミ風太郎の事好きすぎでしょ。

からかったつもりだったのに。負けた。勝てねぇ。格が違う。流石不動の2位。

 

 

 

「その通りだな。俺はこいつらのせいで凡人になった。

 

だが、去年の夏まで・・・・この仕事を受けていなかったら、

俺は凡人にすらなれていなかっただろうよ。

 

教科書を隅から隅まで理解することで、俺は全てを知った気になっていた。

 

 

・・・・知らなかったんだ。世の中にこんなバカどもが居たという事を。

 

 

俺がこんなにもバカだったことも。・・・こいつらがいる限り、俺達は勉強に付き合う。」

 

 

・・・冗談キツイな。お前のどこが凡人だというんだ。

正真正銘の天才だよ。それは俺のセリフだ。

 

 

 

「御託はいらないよ。結果で示してほしいな。

・・・・次の全国模試。彼女たちを教えながら順位2桁を取ってみてほしい。

 

そうすれば僕も認めよう。・・・・有坂くん、今回は手助けしてはいけないよ。

君に教師を全て任せる抜け道が出来てしまうからね。」

 

 

それは……どうなんだろう。今までよりも条件が厳しい。

最近は俺も役に立っていた自覚はあった。

姉妹が仲直りした時の流れで、一花と五月は俺の担当っぽい所があった。

今回は風太郎に5人全員の負担がかかる。

 

 

「……だそうだよ。どうする。上杉先生。」

「……あまり俺を舐めるな、武田。1ケタだ。

こいつらに勉強を教えながら、1ケタを取る。それで構わん。

こいつらは足枷じゃない。それを証明してやろう。」

 

「1ケタだって!5人を教えながらだよ?……無理に決まってる。」

 

 

「凪、お前は自分の勉強を優先しろ。お前の順調程度では俺の足元にも及ばん。

今回は俺一人で充分だ。」

 

「わかった。お言葉に甘えよう。」

 

 

風太郎がいつになくやる気になったので受け入れる。水は差さない。

 

 

 

 

 

 

 

変わったなぁ。本当に……

お前も、彼女たちも……変わった。

 

 

何も変わってないのは、俺だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

統一模試までは自分の勉強に集中する予定だったが、ある相談を受ける。メールが来た。

 

『上杉さん かなり辛そうです 何とか出来ませんか』

 

四葉くんだ。

 

気持ちはわかるが。中途半端に手助けするのが一番後味が悪い。

責任感が強く、プライドの高い男だ。そもそも受け入れてくれないだろう。

 

抜け道を探して、助けることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

学校の図書室。もう夜遅い。

恐らく、姉妹に勉強を教えた後に自分の勉強をしていたのだろう。

風太郎は・・・・死にかけだ。今までこんな目のクマを見たことはない。

かろうじて起きてはいる。

 

「風太郎。」

「……凪か……何しに来た。あいつらはもう帰った。」

「だから来たんだ。使え。」

 

使いきりタイプのホットアイマスクをボックスごと渡す。

 

 

「……どうせいつものように睡眠時間を削っているんだろう?

……睡眠時間を削るなら、睡眠の質を上げてバランスを取るしかない。

寝る時にそいつを使ってくれ。結構効くよ。俺のお気に入り。」

 

安眠効果がある。リラックスするアロマ付き。

 

 

 

「……恩に着る。」

 

「誕生日プレゼントだ。おめでとう。今日は早く帰れ。

家でらいはちゃんと親父さんが、きっと待ってる。」

 

「そうだな。だが、もう少しやらせてくれ。」

 

 

姉妹に勉強を教えるという直接的な支援は出来ない。

だから風太郎本人のサポートをする。

風太郎自身もだいぶきているようだ。特にトラブルなく受け取ってくれた。

 

 

 

 

 

日が過ぎ……統一模試が終わり、結果が出た。

 

 

1ヶ月後に結果発表。

俺の結果は、集中できたお陰か、全く問題なし。全て160点を超えている。

 

 

風太郎は……満点こそ取れなかったものの、全国3位をマーク。

やり遂げた。8位の武田くんすらも上回る。

 

 

 

それでこそだ。やはりお前は………俺の認める天才だ。

 

秀才?努力家?・・・・・違う。

そもそも常人はそこに至るまでの勉強で、心が折れる。持っていたペンを投げ出す。

これは努力の証?こんなこと、死ぬ気で頑張れば誰だって出来る?

俺はとてもそうは思わない。理論上は出来るかもしれないがな。

そんなもの、机上の空論だろう。そう言うのならやって見せて欲しい。

そうでなければ俺は認めない。

 

 

試験当日にならないと、実際の成果の出来はわからない。それに問題の内容もわからないんだ。

ある程度予測は出来るものの、相手の正体の詳細が掴めないんだぞ?

対人、対チームであるスポーツは明確な対戦相手がいる。

専門的な対策が出来る。しかし勉強は違う。

 

 

問題集の問題全てがそのまま出るなんてことは基本的にあり得ない。

今やっていることが本当に適切か?この勉強法で間違いはないのか?

やっているうちにそんな迷いが生じてしまう。その迷いは、俺の手を鈍らせる。

 

 

そんな中で黙々と努力を続けるなんて・・・・

ゴールの見えないマラソンをするようなものじゃないか?

・・・・少なくとも、俺は無理だ。

 

 

ただひたすらに努力を続けることも、一種の才能だと思う。努力の天才だ。

その点に関してキミは……誰にも負けない才能がある。

謙遜するな。風太郎、キミは間違いなく、天才だ。俺が認める。

だから、胸を張って誇って欲しい。俺は天才だ と。

 

 

 

 

 

そう言ってくれなければ・・・・・凡人の俺は・・・・とてもみじめになってしまうから・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が変わり、陸上部。

二人目の天才・・・・茜の様子を見に来ていた。

1年生には顔が効くようになったので、もうためらいなく顔を出せる。

 

「凪センパイ!柔軟しますよ!手伝ってください!」

「……ああ。」

 

 

 

一応、茜の面倒を見てはいるんだが……正直、茜は既に全国トップレベルのスプリンターだ。

このまま俺が対応していいのかどうか、迷いがある。

今はもう、11秒8台が安定しているレベルまで来ている。

 

俺は素人だからな。ちゃんとした指導者が欲しい。そうすれば、タイムももっとよくなるはず。

旭高校は陸上強豪校じゃない。専門家もいない。

 

 

「……茜。」

 

「なんですか?」

 

「誰か良いコーチに心当たりはないのか。」

 

「コーチ?センパイがいるじゃないですか?いらないっすよ?」

 

「……俺は短距離の世界では素人だ。限界がある。

良いコーチがつけば、お前はもっと早くなれる。」

 

「言ったじゃないですか。自分はセンパイと一緒に速くなりたいんです。

そうでなきゃ……走る意味がないんです。」

 

 

またそれか。もうそんなことを言っていられる状況ではない。

お前はこの国の宝かもしれないんだぞ。

俺のような平々凡々に付き合ってどうする。お前と俺じゃ住む世界が違うんだ。

 

 

「……もうワガママを言ってはいられないんだ。お前はもしかしたら、

全国一早くなれるかもしれない。そんな奴を素人が指導して良いわけがない。」

 

「センパイの教え方……自分は好きです。早くなるためだとしても、

決して嫌なことはやらせようとしません。私たちランナーの意思を尊重してくれます。」

 

「……柔軟は無理矢理やらせただろう?」

 

「最初はそうだったっす。でも、今は好きになりました。

体がのびーってなった所で止めてもらうの、気持ちいいです。」

 

「なら、他の練習も……」

 

「センパイの言いたいことはわかります。でも……スタートの練習だけは、やりたくないです。

絶対に嫌です。センパイ以外の人がコーチになったら……絶対、やらされます。」

 

 

……そう。これが問題。

柔軟は嫌がりつつも受け入れる。そして今では欠かさないようになった。むしろ付き合わされる。

 

しかし。頑なにスタートの練習だけはしようとしない。一番改善するべき部分のはずだが。

 

 

 

 

「………………」

 

「こればっかりは、凪センパイでも聞けません。

スタートの練習だけは……絶対に、やりません!」

 

「……わかった。なら、それで良い。やれることをやろう。」

 

「本当ですか!?」

 

 

 

「ただし、条件が一つ。俺が卒業するまでだけだ。お前が3年生になったら、

絶対にコーチを付けろ。卒業したら、俺は二度と来ない。」

 

妥協点を考えた。この辺だと思う。

そもそも大学に行けばここ周辺から俺はいなくなる。

 

 

「……でもそれじゃ、自分の走る意味が」

 

 

「ちゃんと見るから。お前の走りを俺が見ておけば良いんだろ。

ちゃんと見て、メールするから。それで我慢しろ。

どのみち、卒業したら俺はここに来れないんだ。」

 

 

「……はい。それで良いです!センパイ!卒業まで宜しくお願いします!」

 

「よし。やるぞ。」

 

 

能力のピークが今じゃないと良いんだが。仕方ないのでそれで妥協。

俺が卒業したら、この関係も終わりだ。

 

前回のパフォーマンスにより、既に結構な知名度がある朝倉 茜。

大学サイドも放っておかないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凪、何が良いと思う。」

「お前も俺に聞くのか……」

 

いつしかを思い出すやり取り。

休日、風太郎に上杉家に呼び出されて5人の問題集を作っていた。

問題集を作って終わりと思ったが、相談があったようだ。

 

かなり前だが、林間学校の時、四葉くんに肝試しを手伝ってもらったので、

そのお礼をしたいらしい。そして、何をプレゼントするのが良いか。その相談を受けていた。

 

 

「……お手製の問題集でもあげれば。キミらしい。」

「先程らいはにやったらいらないと言われた。」

「本当にあげたのか……」

「ナギさんお兄ちゃんなんとかしてー!このままじゃ四葉さんが可哀想だよー!」

 

冗談のつもりだったのに実行済みだった。そらいらない言われるよ。

四葉くんなら苦笑いしながら受け取って使ってくれると思うけど。

 

 

「ちょっと悩むが……俺ならリボンをプレゼントする。」

「リボン?あいつはいつも付けているだろ。」

「つけてるからプレゼントするんだろ?前にチェック柄をつけてきたのを忘れたのかい?」

「チェック柄……?」

 

本気で覚えていないらしい。なんでお前は勉強しかできないんだ。

お前の頭の中の四葉テストもチェックが流行中だぞ。良かったな風太郎。

どんまい四葉くん。彼は珍しくテスト0点でした。

 

 

「緑色がメインの安いリボンでいいから。きっと喜んでくれるはずだ。」

「しかし俺にはセンスがない。ついてきてくれ。」

「真顔で言うなよ……らいはちゃん。お願いできる?」

「いいけど……折角だから、四葉さんと買いに行ったら?」

「……確かに。ありかも。」

 

 

緑色を選んでおけば外さないと思うが、確実じゃないかもしれない。

風太郎と四葉くんがデートする格好になるが、四葉くんなら二乃と三玖も気にしないと思う。

この二人は最初から仲良かったし。

 

 

「わ、わかった。そうする。あと」

「一つ言っておくよ。誕生日プレゼントのお返しは自分で考えてくれ。」

 

 

「何!?」

「もらったんだろ。5人から。それは自分で考えろ。

協力はするから。アイディアは自分で出してくれ。」

 

「ま、待て!ならそっちを頼む!四葉はこっちで」

「もうダメです。リボンって言っちゃいました。有坂ライフラインは1回しか使えません。」

「ぐぅっ!?」

 

「さっきも言ったとおり、協力はするからさ。頼むよ相棒。」

「……わ、わかった……」

「あ、俺はプレゼントのお返しいらないから宜しく。」

 

もう人のプレゼント考えるのは勘弁してくれ。

それじゃ俺がプレゼントをあげない意味がないじゃないか・・・・

 

 

 





  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。