五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

67 / 130
65

 

 

平日。

今日も朝が来た。最近は色々と考えることが多い。

色んな人間関係についてだ。あれから、武田くんは風太郎をさらに気に入ってまとわりついてる。

友達が増えて良い事だ。

 

 

前田くんと風太郎も色々あって引き合わせた。

前田くんは既に林間学校の事情を知っているので、もうモヤモヤは無いはずだ。

 

毛利さんは・・・・うん。ちょっと怖い。

最近は得体が知れない。俺は気に入られてはいるんだが。

ファンってなんだよ。俺はあの人になんもしてないぞ。

 

 

 

 

5時47分か・・・・微妙な時間だ。いつもいつも。

二度寝するかは迷う。まあ、とりあえず起きて・・・・・

 

ドクン

 

 

・・・・血管の脈動を感じた。こめかみ・・・・いつものやつか。

 

ん?・・・・この感じ、既に熱があるな。

寝た後は基本的に調子が良いんだが。これは珍しい。長引くタイプだ。

 

まあ、今1回薬を飲んで、学校に薬を持ち込めば問題ないだろう。

おでこに冷たい奴を貼る。とりあえず薬を飲んで、様子を見よう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「朝礼を始めるぞー、連絡を受けていないが、有坂が居ないな。

誰か事情を知ってるやつはいるかー?」

 

「有坂さんが・・・?」

「珍しいわね。この間も休みだったけど。一花と一緒だったんでしょ?」

「え・・・うん。まあ。」

「五月病…?」

「み、三玖。私をじっと見ないでもらえますか?」

 

「有坂の野郎、またサボりかコラァ。」

「前田くん。寂しい事を言わないでくれるかしら。」

「そうだよ?彼は前田くんとは違うんだ。」

「俺はこう見えてもサボったことはねぇ。」

 

 

 

「先生。」

「どうした上杉ー」

 

「先生、凪……有坂くんからメールが来ました。

熱が出ているという事で、休むそうです。」

「またか。最近体調をよく崩すようだな。」

 

 

「あいつは・・・頭痛持ちなんです。不定期に体調を崩します。

最近は頻度が多いですが。」

「頭痛持ちか・・・・大変だな。頭痛って熱が出るものなのか?」

 

 

「画像がついてます。・・・・・39.6℃の体温計。」

 

「39℃だと!?ず、頭痛だけじゃないのか?

インフルエンザ並みじゃないか!」

 

「っ!?」

「あ・・・おい!中野くん!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

頭が痛い。何も動けない。食欲が湧くはずもない。

何も口にしていないのに……吐いてしまいそうになる。

 

 

薬を・・・切らしていた。市販薬で済むんだが。買いに行ける自信がない。

たどり着く前にぶっ倒れるかもしれない。

今日は無理だ・・・・・・・・風太郎には先ほど、メールを出した。

・・・仮病を使ったバチでも……当たったかな・・・・

 

 

じっとしていれば少しはマシだ。

動けば動くほど辛い。左目をえぐられているような感覚。

眼の奥の裏側から針で突かれているような感覚。

時間の解決を、願うしかない。

 

 

・・・・・・・・・メールが、来ているようだ。

風太郎からだ、何とか確認する。

 

・・・・・・・・スマホの光が眩しい。光を目に入れたくない。頭が・・・

 

 

『一人そっちに向かった』

 

 

向かった?・・・・誰が何をしに来るっていうんだ。

こうなったら何もできないぞ・・・・・・

 

ピンポーン

 

 

その誰かが来たようだ・・・・・・・時間をかけて、玄関に向かう。

 

 

・・・・うるさい。何度も鳴らさないでくれ。耳から頭を刺激される・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「ナ、ナギくん。大丈夫ですか。」

「・・・・五月・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

五月が居た。キミの事か・・・・

しかし何を・・・・

 

 

 

いや。今何時だ。

・・・・9時は過ぎている。ドラッグストアが開店しているはずだ。薬を・・・・・

 

 

「五月・・・・・・・このお金で、この薬を買ってきてくれないか・・・・

その辺の薬局で売ってるはず・・・・」

 

「は、はい!」

 

「おねがい・・・・・」

 

空のパッケージとお金をわたす。

戻って・・・横になろう・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どこへ行く気だ。一花」

「フータロー君・・・・わたしも、ナギ君のお見舞いに」

「ダメだ。お前は仕事の関係で出席日数が少ない。

ここにいてもらうぞ。」

 

「で、でも!」

「五月が行っている。一人居れば十分だ。

それに、お前が行くことを凪は望んでいない。先ほどの出席日数の話でな。

 

・・・この前は通学中にアパートに避難したらしいな。

あいつの家の場所、知らないだろ。俺は教えないからな。」

 

 

「そうよ一花。フー君の言う通り、五月に任せておけば良いわ。」

「うん・・・五月なら、大丈夫。」

「心配ですけど、信じましょう!私もおうちの場所がわかりません・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ナギくん・・・戻りました。」

「どうも・・・・」

 

薬を飲む。これは鎮痛と解熱の効果。

 

自然治癒で39℃前半までは下がってきている。

薬を飲めば……いい所まで落ちてくれるはず。

 

「もう大丈夫・・・飲んで、1,2時間すればよくなる。

ありがとう。学校に戻ってもらって」

「・・・・ダメです。今日は一日いますから。」

「・・・・・そう。リビング、好きに使って・・・・」

 

やり取りをする元気もない。

部屋に戻ってとっとと寝る・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・む。」

「ナギくん。ごめんなさい。起こしてしまいましたか?」

「・・・・うん。でも、薬が効いている。明らかに楽になろったね。」

 

ぐったりと寝ていたら、五月がベッドの隣にいて、手を握ってくれていた。

・・・・ありがたい。実際はどうであれ、心が強くなる。

自分の回復を願ってくれている人がいる。

 

 

「俺は大丈夫。リビングに戻って、勉強でもしてて。」

「はい。何か欲しいものはありませんか。」

「そうだね・・・新しいおでこのやつと、オレンジジュース取って来てくれるかな。

どっちも冷蔵庫に入ってるよ。」

「わかりました。」

 

少し、甘えさせてもらおう。

……母親代わりだね。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・ふー。」

 

 

薬のおかげでかなり落ち着いた。

37℃後半。頭痛も、体を動かさず止まっていればほぼない。

・・・・腹が減ったな。何か食べよう。リビングへ向かう。

 

 

「ナ、ナギくん。もう大丈夫なんですか」

「うん。かなり良くなった。ありがとう。何か作るけど、食べる?」

「・・・はい。」

 

あ、食べるんだ。作ります。

 

 

 

「頭痛薬を全部使ったことを忘れててね。おかげでこんなことになってしまった。」

 

「39.6℃と聞いたんですが・・・頭痛持ちというのはそんなにつらいのですか?」

 

「うん。最高に調子が悪いとそれくらい出る。人によるけど、俺は1,2年に1度かな。

後は細かいのが日頃からポツンポツンと。

でも、薬を飲まなくても翌日にはそれが平熱に戻る。不思議なもんだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昼食を終えて一息つく。

 

「結局、お昼までいてもらっちゃったね。ごめん。」

「いえ。無事でよかったです。上杉くんから欠席の連絡を聞いて・・・・

思わず、飛び出してきてしまいました。」

「・・・・皆勤賞じゃなかったっけ。」

「確か、そうですね・・・」

 

 

マジか。勿体ない。

ありがたいけど。そこまでせんでも。

まあ、一花が来るよりはマシか。

 

 

「勉強、するんでしょ。統一模試は終わったし、見ようか。」

「大丈夫なんですか・・・・?」

 

「大丈夫。自分の事だ。よく知ってる。薬をちゃんと飲んで、あとは運動さえしなければいい。

おでこのこれは、外すつもりないけどね。」

「ふふ・・・・じゃあ、お願いします。」

 

「うん。良い勉強会にしよう。」

 

 

 

「この間の模試、どうだった?」

「・・・・・・・・・」

「あー。」

 

思ったよりも手ごたえはよくなかったらしい。五月は大学進学目指してるらしいからな。

まあ仕方ない。切り替えていこうや。

 

「大丈夫だよ。今回からは風太郎だけじゃなくて、俺も居るから。

ここから伸ばしていこう。まだまだ時間はある。焦る必要はない。」

 

 

「一喜一憂の必要はない。最後に勝って、笑えていればいい。

一時の悔しい敗北の味も、知らずに君の糧になっている。

また一つ、成長しているはずだよ。」

 

「・・・・はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし。お疲れ様。」

「はい。ありがとうございました。」

 

夕方。結局マンツーマンで授業してしまった。

途中休憩がほぼなかったので下手したら学校よりも勉強している。

もう17時だし。

 

俺はダメ押しで薬をもう一度飲んでおく。

1日2回なので今日はこれでおしまい。

五月おかーさんの看病のお陰で早い内に立ち直れた。

 

本来は自分の両親を頼るべきなんだが。

・・・何もしなくても大体1日で治るからな。

俺が我慢すれば何とかなる というのが頭にあった。お陰で迷惑をかけてしまったな。

 

 

「今日はありがとう。おかげで助かったよ。」

「いえ、私も勉強を見てもらえてよかったです。」

 

「・・・・あれは本当につらくてね。いつもはあそこまで熱が上がらないんだけど。

ここまで悪化すると、本当に何もできなくなる。回復できたのは五月のおかげだ。

本当にありがとう。」

「そんな・・・当然のことをしたまでです。」

 

 

 

今回はかなりの重度だった。珍しい。

重度の方が察知もしやすくて対策しやすいんだが、その対策が出来なかった。

五月が居なければ今も38℃くらいはあっただろう。感謝している。

 

 

「だから・・・お礼がしたい。」

「お礼・・・ですか?」

「そう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「五月、君のお願いを一つだけ、なんでも聞こう。」

 

「・・・・・・」

 

「もちろん、俺が出来ることに限られるけれど。」

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

素直で真っ直ぐな眼が、俺を捉える。

 

 

 

 

この長い沈黙。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミも意図はわかっているんだろう。頭によぎっているんだろう。

 

 

今なら、あの事を話してあげても良いよ。

 

 

俺はキミにそう言っている。それくらい感謝してる。

 

 

ここまで早く回復できたのは、五月のおかげだ。

 

 

 

 

・・・・・・良いよ。答えてあげるから。

 

 

飛び込んでおいで。勘違いから、目を覚ます時間だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・わかりました。1つ、お願いがあります。」

 

 

「いいよ。何でも聞こう。」

 

 

 

・・・・俺が冷静なまま、喋ることが出来れば良いんだがな。

まあ、別に幻滅してもらっていい。

 

君の見ていたものは、蜃気楼に過ぎない。

憧れなど……一時の、気の迷いだ。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。