五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

70 / 130
68

 

 

翌朝。

一花は学校に来ていた。当然五月もいる。舞台は整った。

 

「一花。」

「ナギ君。なに?」

「今日の昼、時間あるかい。」

「ふふ。もちろん!ナギ君の為ならいいよ。付き合ってあげる。」

「五月と二人で、屋上に来てくれるかな。話がしたい。」

 

 

 

「五月ちゃんと・・・?ごめん、あの話はまだ」

「それはもういいんだ。俺の方から伝えた。

すまなかったね。他人からさせる話じゃなかった。」

「え・・・・?」

 

「とにかく、別件なんだ。よろしくね。」

「え、うん・・・」

 

 

 

「五月。」

「・・・・・ナギ、くん。」

「読んでくれたようだね。」

「・・・・はい。」

「じゃあ、今日の昼、屋上で待っているよ。」

「わかりました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

屋上。

 

「ナギ君」

「ナギくん」

「・・・・ありがとう。来てくれて。」

 

 

二人は来てくれた。答えを出すことにする。

 

 

「・・・・・・平凡な高校生活を送っていた有坂 凪。

そんな彼の元に・・・噂話が飛んできた。

・・・・なんと、中野 一花と中野 五月は、有坂 凪の事が好きなのだという。」

 

 

「「・・・・・・・・・」」

 

 

「まただね。また噂話だ。いつも俺にまとわりつく。邪魔でしょうがない。

放っておいてほしいもんだ。嫌な思い出が蘇る。昨日の事のように。」

 

 

「ナギ君・・・・わたしは、「所詮は噂話だ。この時、その噂が真実なのか嘘なのか。

それは今どうでもいいんだよ。」

 

 

「キミたち2人には・・・俺の秘密の過去を話した。

だから、もう一つ、知ってほしい事がある。」

 

「何・・・ですか。」

 

 

 

 

 

「俺はもう決めたんだ。・・・・一花、五月。キミたち二人はおろか・・・・

二乃、三玖、四葉。それどころか他のありとあらゆる女性を含めて、

・・・決して男女の仲にはならないと。」

 

「「・・・・!?」」

 

 

「昔、あんなことをやったんだ。そんな奴が、愛する人を幸せになんかできるわけがない。

新たな被害者を増やすだけだよ。」

 

「・・・そ、そんな。ナギ君は・・・変わったんでしょ!?」

 

「変わってないよ。・・・・時々、やってしまう。自分に見境がなくなってしまう時がある。

そしてその度、とてつもなく後悔する。」

 

「そ、そんなことは今まで一度も」

「最初の中間テスト、遅刻してしまったね。

人生初の遅刻でね。中々苛立っていたよ。おかげで、迷子の相手をしていたキミたちに、

心無い言葉を浴びせてしまった。善意で迷子に対応していたのに。

俺はなんてことを言ってしまったんだ。」

 

 

「次は、二乃か。自分の無能さに呆れていた時に、

とんでもないことを言ってしまった。二乃と五月のあのケンカ、

もしかしたら引き金を引いたのは俺かもしれない・・・いや、俺だね。」

 

 

「・・・・四葉にもきついことを言ってしまった。

陸上部の助っ人。なんでそんなものを受けたんだ。そう思った。

そして、現実を見ろと言った。・・・・何が届かない星だ。簡単に届いたじゃないか?

今はちゃんと3年生じゃないか。どうして彼女をもっと信用してやれなかった?」

 

 

 

 

 

 

「・・・・とりあえずパッと思いつくのは、こんなところ?まあ、序の口さ。

探せばもっといっぱい出てくるだろうね。」

 

・・・つい昨日、四葉にも追加で攻撃を入れてしまったしな。

・・・申し訳ない。俺のやり方が悪かった。

 

 

「そ、そんな。わたしたちはなんとも」

「・・・・俺の性格を考えてごらんよ。今まで散々自己紹介はしてきたはずだ。

・・・・キミたちが許してくれても・・・・・俺が自分自身を許せないんだよ。

 

人は傷つけない。そう思っていたのに。・・・こいつ、またやりやがった。

あの時と同じだ。俺は何も変わっちゃいないじゃないか!」

 

 

 

「俺は風太郎やキミたちと違う。何も変わらない。変わってない。

昔のままだ。だから、そのまま他の人と恋に落ちても・・・・

昔と同じように、きっとその人を傷つけるだけ。

 

同じことを繰り返す。そんなのはもう嫌だ。もうあんな目には会いたくない。

今度こそ、自分に絶望してしまうよ。・・・わかってくれ。」

 

 

「だから・・・・決めたんだ。決してそんなことは繰り返さないと。」

 

「「・・・・・・・・」」

 

 

別に、俺とあの子は付き合ってはいなかったけれど。

・・・あれで正解だったかもな。

付き合っていたら、もっと酷いことになっていただろう。

 

 

 

 

 

「以上。・・・・・俺は、これまでもこれからも、君たちの友達であり、教師だ。

だから・・・・これからもいつも通り、宜しく頼むよ。それ以上は決してない。

キミたちが仮に俺の事を好きだったとしても、そんな感情は俺には持てないんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

「「・・・・・」」

 

 

「なんだよ、その顔。

・・・・・こんな昔の事引きずってるような阿呆に何か期待してたのかい。

もっと良い人を探しな。二人とも綺麗でかわいくて、引く手あまたなんだから。

 

・・・ああ、噂話だったね。ごめん。忘れていた。」

 

 

「一花。」

 

「ナギ君・・・・」

 

 

「キミは、特にそうだ。もう成功者の道を歩んでいる。

こんなバカに構っている暇はないはずだ。女優としてもっと活躍できる。

そうすれば、もっと良い男が出てくる。

俺とキミでは釣り合わない。キミが傷ついて損をするだけだ。

・・・・人生相談なら、いつでも乗るよ。それで満足だろう?」

 

 

 

 

「五月。」

 

「・・・はい。」

 

「昨日渡した手紙。そして今喋った俺の意志。

そこに嘘偽りは全くない。・・・・あの時の一花と同じように、

キミもまた、俺に勘違いをしているだけだ。

ちょっと前に尊敬していると言ってくれたのは嬉しいよ。ありがとう。

だが、俺はそんな人間じゃない。

 

・・・強く立派に?逆だよ。弱くて脆い。」

 

 

 

 

「・・・・私が変わることが出来たのは、ナギくんのおかげです。

あなたが居なければ、上杉くんとの関係は修復できませんでしたし、

期末試験で赤点を取って、転校していたかもしれません。」

 

「そう。人の役に立てて嬉しいよ。」

 

 

 

 

「だから、今度は私が・・・・貴方を変えてみせます。」

 

 

「・・・・・・やめた方が良い。無駄なことに時間を使うのは。

人を変えるというのは難しい。時間がかかる。

人を変えるより、自分が変わった方が手っ取り早い。」

 

 

 

「ナギ君。わたしも、五月ちゃんと同じだよ。

ナギ君が居なかったら、女優としてここまで成長してない。

花火大会の時、両立を相談した時。・・・全部、ナギ君のおかげ。」

 

 

「・・・・まあ、同年代にしては人生経験を積んでる自覚があるからね。俺は。

良い指標になれれば嬉しいよ。」

 

 

「だから、わたしも・・・貴方を変えてみせる。

わたしを変えてくれた、そのお礼。・・・・・五月ちゃん。」

 

 

「一花」

 

 

 

 

 

 

「負けないから。」

 

 

「私こそ、負けるつもりはありません。」

 

 

 

 

 

「物好きだね。

・・・・・・まあ・・・・・好きにしてくれ。・・・・止めることはしないよ。

俺からの話は終わりだ。先に教室に戻るよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、有坂。この文を訳して見ろ。」

「はい。想像もつかないくらいに大きな額だ です。」

「うむ。額ではなく金額 にするともっとわかりやすくなるな。」

 

 

その後の授業中。

こちらは普通に授業を受けていた。向こう2人がどうしていたのかはわからない。

席が後ろで見えない。

 

 

全く・・・・・何をバカな。こんな女々しい奴、放っておけばいいだろう。

一体何を考えている。俺もバカだが、君たち二人も大概だ。

 

 

 

ただ・・・・俺も、迷惑だからやめろと言えば良かったんだが。

 

・・・・少しだけ期待してしまった、かもしれない。

風太郎も彼女たちも、変わった。それは間違いない。

だから・・・・・・・・

 

 

 

言えなかったのか、言わなかったのか。自分の気持ちがわからない。

 

また心がグチャグチャになっている。

 

 

 

 

貴方を変える ね。

 

俺も他力本願だな。変わらなければいけないのは自分でもわかってるんだが。

 

どうしても引きずる。他人を頼るのではなく、自分で変わらなければいけないのに。

 

 

 

 

そうしなければ・・・・この先一人で生きていけないのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

修学旅行・・・・どうなるかな。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。