五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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書いていて一番楽しかった話です。
7000文字ですが、あっという間に書けました。





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「お面が出来ましたよー。」

「おー。ナギっち仕事早いねー!」

 

夏休みのライブハウス。

お面が出来たのでバンドメンバーに渡す。

伊達くんの面をまだ仕上げていないが、再調整の可能性もあるので、

早めに話を持っていった方が良い。

 

 

「良い面だな。実用的だ。これが終わっても記念に取っておく。」

「ふふ。私も。いつかはこれを使ってもう一度やりたいね。」

 

「川村さん。まだ本番始まってもいないよ。まるで終わったみたいなコメントだ。」

「あはは。そのとーり。」

 

 

「じゃあ1回通すぞー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やってるわね。有坂くん。」

「毛利さん。キミも来たのか。」

「ええ。俳優デビューした金の卵をプロデュースしに来たわ。」

「・・・・その話やめて・・・・」

 

 

毛利さんが練習を見に来た。

何か教えてくれるらしい。

 

 

「有坂くん。シズクからダンスを習ってみて。」

「ダンス?毛利さんダンスできるの?」

「ええ。これでも私、小学校のころアイドルをやってたのよ。」

「意外だねぇ。」

 

「でしょう?でも、やってるうちに他のメンバーの子を応援するのに夢中になっちゃって。

自分に向いてないと思ってやめたわ。だから楽しみよ。あなたを仕上げるの。」

「えぇ・・・・・」

 

毛利さんからダンスを学ぶことになった。

 

 

「現時点で何か知っているものはある?」

「ジャンル不問でバラバラ。ムーンウォークくらいならできるよ。」

「へぇ。見せて頂戴。」

 

中二病とバイトの弊害でちょっとしたダンスは出来る。

 

 

 

右足を爪先立ち、左足を真っ直ぐ後ろに引きずる。

 

後ろにある程度下げたら足の状態を逆に。

 

後ろにある左足を爪先立ち、右足を後ろに引き下げる。

これを繰り返す。

 

 

 

 

 

「中々ね。その靴は滑りにくいようだけど、それだけできれば問題ないわ。

下がるとき、首を前に出すことを意識してね。体の位置よりも頭を少し前に出しておくことで、

移動距離が多くなったように見えるの。全体の横幅が増えるから。」

 

「首ね。わかったよ。」

 

「今、それだけできるのなら、本番は滑りやすい革靴にして。

スライド系のダンスをメインにしましょう。ムーンウォークは必殺技ね。」

 

「ああ。教えてください。」

 

 

「よし。有坂が練習をしている間、私達もやるぞ。」

「そうだなー!まだお面に慣れてないぞ!」

「負けてられないね。」

「ナギっちだけには良いカッコさせないしー。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある程度練習をしたところで、毛利さんが話しかけてきた。

 

「有坂くん。着信が来てるわよ。前田くんね。」

「ああ。ありがとう。前田くんが電話とは珍しいな。」

「きっとあの連絡ね。」

「あの連絡?」

 

 

「気づいていなかったの?今日、クラスのみんなで海に行っているはずよ。」

「あれ?そうだったっけ。毛利さんはなんでここに。」

 

海・・・そうだな。

そういやそんな話があったような気がする。

しかし前田くんから電話がかかってくるとは。初めてかもな。

 

 

「なんでって・・・・当然、貴方がいる方に行くわよ。リンもいるし。」

「・・・・・もしもーし。」

 

聞かなかったことにして着信に出た。

という事はこの人、最初から俺がここに来るってことをわかってたんだろ。怖すぎる。

 

 

 

 

 

 

「おい有坂、今どこにいんだよ。」

「おつかれー。海にいるんだって?」

 

「そうだ。上杉も来てんだぜ。お前も来いよコラァ。あいつが呼べってうるせぇんだ。

自分のスマホが電池切れだからってよ。」

「何じゃその理論。忘れてたんだってば。

まあいいよ。今から行くよ。」

 

「クラスの他の連中も待ってんだ。早く来いよ。……そうだ、スイカを一つ買ってきてくれや。」

「スイカね。わかったよ。」

 

「パシってわりぃな。頼むわ。」

「はーい」

 

 

通話はそこで終了した。この事をすっかり忘れていた。

 

 

「毛利さんは?行くの?」

「いえ、遠慮しておくわ。ビーチは隠れる場所がないから。」

「どうしてそんなに隠密行動したがるんだい?」

 

 

「みんな。有坂くんはクラスの用事を忘れていたから、そちらへ行くわ。」

「ナギっちいってらっしゃーい」

「どこへ行くの?」

 

 

「海。クラスの皆から連絡があったんだけどすっかり忘れてたよ。」

「まだ夏休みだ、こちらを優先しなくていい。行ってこい。」

 

「有坂ー!このお面にするから、ちょっと見やすくしてくれ!」

「了解。貰っておこう。」

 

 

伊達くんからお面を受け取った。

水着を取りにいかないといけないしな。どのみち家には一度戻る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっつ・・・・死ぬわ。」

 

炎天下の中、海に向かって自転車を飛ばしていた。

風がぬるい。サウナ状態。爽快感ゼロ。

風太郎はバイク運転できるんだよな。バイクのスピードなら涼しいだろうか。

乗ってみたい。

 

 

「ハァ・・・・ハァ・・・・休憩・・・・」

 

丁度、旧中野家のマンションの前まで来た。後もう少しだ。

 

帽子をかぶってきて正解だった。

休憩がてら日焼け止めを塗っておこう。もう遅いかもしれないが。

 

 

日焼け止めを塗っていたら、いつものリムジンがマンションの前に止まった。

久し振りに見たな、この光景。

 

 

「あれ?ナギじゃない。あんた汗だくじゃない。何してんのよ?」

「二乃?・・・・いや、みんな居るじゃないか。どうしてここに。」

 

 

荷物を持ってリムジンから降りてきた中野姉妹と遭遇。

5人全員いる。

 

?・・・ここにいるという事は、父親と完全に仲直りしてマンションに戻ってきたのかな。

 

 

「今ね、お引越し中なの。」

「引っ越し?あのアパートを出たのかい?」

「古いアパートで、解体されるそうなんですー・・・」

「あー。なるほどね。」

 

確かに古き良きアパートって感じだったからな。

50年くらい経ってるんじゃないだろうか。

 

 

「一旦マンションに戻ってきたわけだ。」

「そうよ。また、次の場所が見つかるまでね。

・・・そうそう。ナギ、あの作戦は上手く行ったわ。ありがと。」

「作戦・・・・ああうん。はい。」

 

 

二乃がそんなことを言ったが、なんの話だ?覚えてない。

まあいいか。

 

 

「ナギくんはこれからどこかに行くんですか?

もし時間があるならマンションに・・・・」

「残念ながら、今から海に行くんだよ。風太郎に呼ばれてね。」

 

 

「海・・・・クラスみんなで行く話?」

「そう。キミたちも行っていると思ったんだが、引っ越しが被ったのなら仕方ない。」

「上杉さんは行ってるんですか?」

 

 

「ああ。前田くんからお前も来いと電話が来たんだ。

俺は忘れてて別の事をやっていた。風太郎もいるようだよ。」

「意外・・・・フータローは出不精だと思ってたのに。」

「なんだかんだクラスの皆とは馴染んでるからね。あいつは。」

 

 

クラス開始当初の有坂スルーパス作戦は良き成果を上げていた。

今日、ちゃんと参加しているという事は、風太郎もしっかりとクラスの一員という事だ。

おめでとうらいはちゃん。ふーたろーお兄ちゃんは人気者だよ。ナギお兄ちゃんも嬉しいです。

 

 

「じゃあ、休憩も終わったし、俺は行くよ。」

「気を付けてね?事故にあったり、熱中症になんかなっちゃだめだよ?」

「ああ。ありがとう一花。」

「また会いましょう。ナギくん。」

「うん。次から教える時はこのマンションに来るよ。五月。」

 

 

自転車をこいで走り始めた。

もうすぐだ。大海原が俺を待っているぜ。泳げないけど。

プカプカ浮いているか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海に到着。来たのは何年ぶりだろうか。覚えていない。

この独特な磯の香りがする潮風を嗅ぐと、懐かしさを感じるんだが。

 

 

「おお、やっと来たか有坂、遅かったじゃねぇーかコラァ。」

「久しぶりだね有坂くん。みんなで君を待っていたよ。」

 

「それは光栄だ。主役は遅れてやってくるものさ。前田くん、武田くん。

ほら、頼まれたスイカだよ。」

 

 

水着姿の前田くんと武田くんの歓迎を受ける。

武田くんまた光ってる。ローションでもつかってるの?いやそれはテカりか。

 

風太郎もいた。

 

 

「凪。遅かったな。お前が来たのなら、今からスイカ割りをやるぞ。」

 

 

「良いけど、スイカ一つではつまらないだろう?

 

ハラハラドキドキが欲しいな。・・・・・誰がもう一つのスイカをやるんだい?」

 

 

 

 

 

 

「・・・・前田だ。」「・・・・前田くんだね。」

「俺かよ!ふざけんな!」

 

ごめんね前田くん。

悪乗りした二人を恨んでくれ。言い出したの俺だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ナギ君だー!」

「ごめん。忘れてたよ。今から合流だ。」

「あれ?ナギ君って結構筋肉あるんだね?」

「ナギくんは着やせするタイプなんです。まあ、バイトの都合上ね・・・・」

 

クラスの皆と交流。

我らが3年1組学級長、上杉 風太郎はスイカ割りに挑戦していた。

 

 

 

「上杉くん右右ー!」

「ひだりひだりー!」

「どっちだよ!!」

 

 

「90°右向いてもっとずっと前だぞー」

「ふざけんな凪!それ海じゃねぇか!波の音で分かるわ!!」

 

 

バレたか。なんだよ、結構楽しんでるじゃないか。

折角なのでスマホで動画を回す。貴重だぞ。この映像。

 

 

 

目隠しをした風太郎の前にはスイカが一つ。すぐ近くに前田くんの頭が一つ。

さて、どっちをカチ割るかな。

 

この光景、SNSに上げたら絶対炎上すると思う。

撮った動画は使い終わったら、念のためすぐに消しておこう。別にSNSやってないけど。

 

 

「その辺だぞー。」

 

 

「・・・・よし。南無三!!」

「っだーー!!いってぇ!!!」

 

 

振り下ろした棒は無情にも前田くんの頭にジャストミート。

クラスメートから爆笑と歓声が起こった。

 

綺麗に逝ったな。流石照準のずれたリーサルウェポン上杉。

打率1割で20本くらい打ってそう。スタメンに置こうとは思わないけど。

 

 

劇場型だな。サヨナラホームラン打って食いつなぐタイプ。ドラマチック。

コアなファンから愛されそうだ。一発ロマン砲。

だから人は彼を代打の神様と呼びます。

 

 

 

 

 

「はーい前田くんお疲れ様でーす。あー。出血してますねー。

ちょっとしみますよー。」

 

「わ、ワリィ有坂・・・・あぁぁぁ!!」

 

「そんな痛かった?ごめん。」

 

「有坂くん。絆創膏、置いとくよ。」

 

「はい武田くんどーも。」

 

前田くんのおでこが見事にやられていたので応急手当。

タンコブになってちょっと血が出てる。普通に目立つなぁ。

前田くん茶髪オールバックだもん。振り下ろされた瞬間終わったわ。

 

 

 

「ほれ、風太郎。最後にやっちゃって。カメラで撮ってるから。」

 

「ああ。割らせてもらう。」

 

 

目隠しを取ってスイカを前に差し出す。

風太郎がスコーンと行った。綺麗にヒビが入った。

 

「割れないねぇ。ヒビだねぇ。」

 

「ぐ・・・・」

 

ノーパワー。これでどうやってスタンドに持っていくんだ。

思いっきり引っ張ってファールポールにぶつけるしかないぞ。職人技だな。

 

 

 

「武田くんトドメはよろしく。」

 

「僕に任せてくれたまえ。」

 

 

仕方ないのでスイカは武田くんがヒビの部分から手で割った。

この力よ。流石は4番主砲。これぞ甲斐の虎。まさに風林火山。

 

 

「お客さん筋トレが必要ですねー。」

 

「うるさい。俺の性分にはあわん。」

 

「有坂くん。後はお願いするよ。」

 

「はーいみんな割れましたよー。そこの海の家で包丁借りてきますからねー。」

 

「有坂よろしくなー!」

 

スイカを回収して、切り分けよう。

こういう細かい仕事が、脇役の俺の仕事。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スイカをカットしてクラスの皆に配っていた。

 

 

 

あれ?らいはちゃんがいる。

なんでだろ。風太郎が連れてきたのかな。

 

 

「らいはちゃんも来てたのかい?」

「ナギさんこんにちわー!」

 

 

「学級長の妹さんなの?」

「そう。中学1年生。スイカおまちー。」

「ナギさんありがとー!この間のチーズケーキ美味しかったです!」

「よかったねぇ。作った甲斐があったよ。」

 

 

「有坂くん、ケーキなんか作れたの?」

「人生で2回目です。当分作らなくていいや。」

 

「えー!?私もチーズケーキ食べたかったぁ!」

「良いけど、作るときは買い出しから付き合ってもらうよ。

現実を見てから食べると背徳感というスパイスが追加される。」

「ど、どんなケーキ作ってるの・・・」

「あれはまさに悪魔の味だね。」

 

 

クラスメートと交流する。こんな人いたっけ。

最近俺もかなり適当になってきたな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

砂山に埋もれている風太郎を見つけてスイカを渡す。

クラスメートに埋められていた。されるがままである。

 

 

「ほら風太郎。食べていいぞ。」

「この状態でどうやって食えと?手は使えんぞ。」

「中野さんたちげんきー?」

「俺に聞くな。凪に聞け。こいつなら週1で会ってる。」

「マジ?超うらやましいんだけど。家の場所教えてくれよ。」

 

 

 

「教えても良いが、今は入れないよ。

風太郎、あの子たちはマンションに戻ったよ。」

「あいつらが?何があったんだ。」

 

 

「あのアパート、古すぎて解体されるそうだ。強制退去。

今日はその引っ越しで来れなかった。さっき偶然マンションの前で会ったんだよ。」

「そうか・・・その方が良いだろうな。」

 

「あのマンションに住んでんのか!?すげーな!」

「オートロックという鉄壁を解除しないと訪問できませーん。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有坂くーん。こいつ引き上げるの手伝ってくんない?」

「松井さん。これスイカね。・・・前田くん、まだ埋まっていたのか。

麦茶ならあるよ。一度水分補給した方が良い。」

「好きで埋まってる訳じゃねぇよ・・・・」

 

 

前田くんの体はまだ地中の中だった。松井さんがそばでビーチパラソルと共に休憩中だった。

風太郎は体を横にして埋められているが、前田くんは縦にして埋められている。

どんだけ砂掘ったんだろう。テレビの落とし穴レベルじゃないか。俺は何もしてないぞ。

 

しかしあれだな。バッターが風太郎で良かったな。

武田くんだったらおでこが大変なことになっていた。

ごめん前田くん。いたずら仕掛けたの俺だからさ。ちょっと罪悪感。ちょっとだけだけど。

 

 

「武田くーん。前田くんの発掘を手伝ってくれ。はいスイカ。」

「いいとも。前田くん。ちゃんと自己主張しないと熱中症になってしまうよ?」

「散々しただろコラァ!」

 

 

 

 

「もー。暑いんだから。あんまり大声出さないでよ。頭まで埋めるわよ。」

「は、はい・・・・」

 

 

完全に松井さんに主導権を取られている前田くん。

毛利さんの言う通り、いい奥さんになるな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一度クラスメートたちから離れ、一人になる。

少し疲れた。ひとりぼっちで充電の時間だ。

 

 

良いね。つくづく仲のいいクラスだ。

みんな思い思いに遊んでいる。全員が同じことをしているわけではない

というのが良い。別にこういう時、団結感はいらない。結束できるときに結束出来れば良い。

 

あ、埋められていた風太郎の顔にビーチボールが直撃した。隣でバレーボールなんかするから。

 

 

 

「♬~~~」

 

こういう光景を見ると、あの曲の口笛を吹きたくなる。というか吹く。

みんなでワイワイガヤガヤ。それを冷静に遠くから見る俺。

良いね。あの曲のシチュエーションのよう。五つ子たちが居ないのが残念だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「♬~~~」

 

 

「・・・・・口笛、上手いのね。」

「にゃあああぁぁぁぁ!!!」

 

滅茶苦茶びっくりした。

耳元でいきなり囁かれた。

イスに座っていたんだが驚いて横に転げ落ちてしまった。怖いからホントにやめて欲しい。

俺よりいたずらが上手い。勝てるわけがない。

 

 

 

「有坂くん。私にもスイカを頂戴。」

「・・・・・毛利さん。来てたの。」

「あ、有坂くーん?凄い声が聞こえたけど大丈夫?」

「・・・・・うん。寿命は少し縮んだけど。」

 

今の俺の声でクラスメートも呼んでしまった。

神出鬼没のインビジブル毛利。

バンドメンバーを見ていたのではなかったのか。

 

 

「あの後、リンたちも遊びたくなったみたい。

早めに練習を切り上げてどこかへ行ったわ。貴方が居るから此方に来たの。」

「毛利さんって・・・・有坂くんと付き合ってるんですか?」

 

 

「そうなれたらいいわね。素敵。けど、私はファンの一人に過ぎないから。

彼の進路や運命を左右させたくはないわ。・・・芸術品は、見て、楽しむのよ。」

「へ、へぇ~・・・大人ですね!」

「何を言っているのか俺には意味がわからないよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「有坂!バレーボールやろうぜ!あと一人足りねぇんだ!」

「あいよー。毛利さんこれ宜しく。風太郎を撮ってくれるかな。」

 

お誘いがかかった。充電はある程度できた。

俺のスマホを毛利さんに渡す。

 

「任せて。二刀流ね。」

「・・・一つしか渡してないけど。」

 

「当然、私は貴方を撮るわ。」

「・・・・・・・・・・・・そうですか。」

 

色々言いたいことはあるが、言わないことにする。

この人は多分言ったところでやめない。どうせ隠し撮りする。アルバムみたいに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラスのみんなとらいはちゃんで遊び倒し、

すっかり辺りは暗くなってしまった。らいはちゃんは寝てしまった。

風太郎お兄ちゃんによる膝枕の時間だ。

 

「上杉・・・・まだいてぇぞ。」

「何度も謝っただろ・・・・」

「絆創膏は貼ったけど・・・・その上から冷やそうか?」

 

「まだめそめそ言ってんの?男らしくなーい。有坂くん。はいこれ。」

「どうも。」

 

松井さんからジュースを受け取る。

抹茶ソーダではないな。安心。

 

 

 

「ま、あの時は笑ったよ。楽しかった!上杉くんも楽しそうで良かったよー!」

 

「え?・・・・・俺、楽しそうだったか?」

「うん。そう見えたけど・・・・違った?」

 

超楽しんでただろ。

らいはちゃんのセットパワーもあるかもしれんが。

 

 

 

 

 

「この後花火をするけど、上杉くんはどうだい?」

「いや、らいはが寝ちまったからな。俺は帰る。

・・・・みんなに宜しく伝えといてくれ。」

 

 

「!・・・・意外だね。上杉くんからそんな発言を聞くなんて。

クラスに馴染んでいる証拠だ。」

「そうか?元からこうだっただろ。」

「それはない。」

 

前田くんから素早いツッコミが入る。

そうだね。俺も同感だ。

 

 

 

「そうそう。前なら砂に埋められたところでキレ散らかしてる。」

「凪・・・昔の俺はそんなに尖っていたのか?」

「うん。いとも簡単に情景が想像できる。」

 

 

「そうだね。1年の時と比べたら、驚くべき変貌だ。

何が・・・・・・いや、誰がキミをそうさせたのか、聞くまでもないね。」

 

 

当然。あの5人。

素晴らしい変化だ。

 

 

「よし。じゃあ帰るわ。凪はどうする。」

「俺も。明日ちょっと早いんだ。」

 

「有坂最近何してんだ?バイトって感じじゃねぇぞ。」

「秘密だよ。まあ、そのうちわかるさ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「海に来たのは数年ぶりだ。お前やクラスの連中と遊んで、楽しかった。

・・・ただ、何か足りないと感じちまった。」

 

「そうか。そう思うのは良い事だよ、きっと。」

 

「・・・・凪。お前、空いている日はあるか。」

 

「構わないよ。お前のためならいつでも開けよう。どっか行くかい?・・・・7人で。」

 

「・・・プールにでも、行くか。」

 

「良いね。キミからあっちに連絡して、決まったら教えてくれ。」

 

「ああ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自宅に帰った後、五つ子に動画をメールしておいた。

 

風太郎が前田くんを割るシーンと砂に埋められているシーン。

有坂厳選チョイス。きっと喜んでくれるだろう。

前田くんを割る動画はその後ちゃんと削除した。これが正しいネットの使い方というものだ。

 

 

 






18:12に細部の修正を行いました。

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