五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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夏休みのある日。

日程を合わせてプールに来ていた。

風太郎はちょっと遅れてくるらしい。

 

姉妹は俺よりも先に来ているようだ。

プールの入場口についた。市内の中で1番大きい所らしい。

 

 

入場口の脇の看板に注意書きがしてあった。

 

『タトゥー・入れ墨 厳禁』

 

・・・二乃、大丈夫かな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プールの敷地内に入場する。

人多いなー。そういや海行ったけど大して泳いでないな。

行った意味あんまなかった。

 

 

外からなんとなく予想は出来たが、実際入るとかなり広いプールだな。

あのウォータースライダーでかすぎるだろ。滑ってる間に底が抜けたりしないよな。

プールは・・・・小学校以来かな。あの時は陸上終わりにたまに行ってた気がする。

中学校は微妙に遠くて行かなかったんだよな。

 

 

あと俺あんま泳げないし。

背泳ぎとか怖すぎる。鼻に水入ったら死ぬ。

 

 

さて、姉妹はどこにいるかな。

ゆっくりと歩きながら、行き交う人々の会話に耳を傾ける。

 

 

・・・・31℃。水着姿なら、丁度良いんじゃないか。

 

焼きそばね。花火大会のバイトを思い出す。

 

 

・・・・・・・ターコイズブルー?何色か想像できんな。日本語で頼む。

 

 

・・・・・・ナギくーん ん?俺?

 

 

 

 

「ナギくーん!」

 

一花と遭遇した。

プールサイドにある白いプラスチックテーブルとイスに座っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんにちは。一花。」

「ナギ君だけ?フータロー君は一緒じゃないの?」

「少し遅れるそうだよ。間違いなく来るから、心配はいらない。」

「そう。良かった。」

 

 

一花は黒い水着に麦わら帽子をかぶっている。

黒か。意外だな。黄色が好きなイメージがあったんだが。

しかし肌色と黄色は若干被るか。

 

 

「ナギ君?日焼け止め塗った?」

「背中は塗ってないね。」

 

「塗ってあげよっか?あとわたしにも塗って?」

「別に良い・・・・・・・・・・・待った、辞めておこう。」

 

「え?・・・・・・どうして?」

「周り。人が多い。」

「あ~・・・・」

 

 

プールは大盛況だった。

麦わら帽子を被っているだけで、一花は何の変装もしていない。

こんなところでそんなことをしてしまえば、写真を撮られたら一発アウトだ。

 

写真どころか目撃者が居てもまずい。世間はまさにレッドオーシャン。世は大SNS時代。

バズリ王に俺はなる。そんな輩がその辺にうろうろしているだろう。

 

 

二人きりでこうして仲良く喋っているだけなら別に良い。

同級生だからな。全然言い訳が立つ。

 

 

「む~。どこか二人きりになれる場所は・・・・」

「そんな場所ないでしょ。お姉さん。」

 

何とか場所を考えようとしているらしい。

諦めて姉妹に塗ってもらいなさい。俺も背中は塗って欲しいが。

 

「・・・・しかたない。あそこ、いこっか?」

「へ?」

 

場所を思いついたらしい。

ついてこいと合図を出される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここなら、大丈夫でしょ?」

「・・・・・そうかなぁ。」

 

ウォータースライダーの出発地点。かなり高所にいる。

少なくとも、下から撮られることは無いだろう。

 

しかし物陰がない・・・・いや、あるな。

 

 

係員の待合所の裏。

丁度壁になる部分がある。あそこなら見られない。

しかしマットがない。うつ伏せにはなれない。

 

 

 

 

 

「すいませーん。滑りたいんですけど、

その前にボートの確認をさせてもらっても良いですか?」

 

「今はお昼時でお客さん少ないので、いいですよー」

「ありがとうございます!ちょっとそこの裏、借りますね?」

 

ボートを使う気だこの人。マットできちゃった。

時間帯まで頭に入れていたというのか。恐るべき策士。

腹をくくるしかないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふ~。じゃあナギ君。横になって?」

「・・・・・はい。」

 

スライダー用のボートに寝っ転がって、大人しく横になる。

もういいです。諦めました。一思いにやってください。

超ニヤニヤしてんだけどこの人。

 

 

 

 

ピタ

「うぁ!」

「ふふふ。かわいいなぁナギ君は。」

 

 

背中に手を触れられびっくりした。冷たいって。

ひー。背中を。腕を。足を。一花の手が伝っていく。

 

そのまま一回りやられた。

くすぐったい。脇腹やめて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はーい。終わりね?」

「。。。。。。ありがとうございました。」

 

 

日焼け止めを塗られ終わった。

 

俺の初めてが。純潔が。

こんな事をされたのは初めてだ。

背中だけじゃない。全身やられた。背中って言ったじゃん俺。

 

 

そうか、そうか、一花くん。つまりきみはそんなやつなんだな。

なら遠慮なくお返しをしてやろう。エーミール有坂。

 

 

「次、わたしにも塗ってね?」

「・・・・はい。」

 

しかしこれである。お返しと言ったが向こうがノリノリ。

なんとやりがいのない。まあいいか。さっさと終わらせよう。

別にこの程度。

 

 

手に日焼け止めをしこたま塗って馴染ませる。

 

馴染ませた後、直射日光にさらして、温度を上げる。

同じ轍は踏まない。気遣いの鬼。

 

 

 

「あれ・・・?どうしたの?・・・・もしかして、焦らしてる?」

「温度を上げてる。・・・・さっきは、最初が冷たかった。」

「あ・・・・ふふふ。ありがと。」

「おかまいなくー」

 

よし。充分。

満を持して。

 

「行きまーす。」

「うん。」

 

 

一花の背中に触れる。

 

 

・・・・許されるんですかね。コレ。

 

ファンが見たら間違いなくぶっ殺される。

ごめんなさい。許してください。俺が滅ぶので堪忍してください。

 

 

「首は?」

「首も、おねがい。」

「・・・・はーい」

 

 

首は自分で塗れただろ。

そう突っ込んではいけません。従うしかありません。

 

しかし、綺麗な肌だね。日焼け止めを塗っているんだが、

肌になじまず、弾かれてしまわないか心配だ。

レインコートを伝う雨粒のように。

 

 

・・・・本当に俺が触っていいんだろうか。

いよいよもって罪悪感が出てきた。織田社長ごめんなさい。

あんたのとこの女優さんキズモノになりました。

 

責任は取りません。損害賠償もしません。不祥事だと思ってないので。

今後も責任をもって家庭教師をすることで禊とさせて頂きます。辞職はしません。

 

 

 

よし、こんなもんかな。終わり終わり。誰にも見られていないはず。

というかこの光景を撮られたら俺が社会的に終わる。

父さん母さん、先立つ不幸をお許しください。

切腹してきます。介錯は三玖がしてくれるそうです。殿、お頼み申す。

 

 

「はい終わり「終わってない。」

「え」

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・・手と足が、まだ。」

「・・・・はい。」

 

 

手と足は自分で塗れるだろ。

 

 

 

 

そう思った貴方。一花クイズ0点です。後で鉄拳制裁があります。

この場合は黙って従うのが100点です。

 

 

そう・・・・突っ込んではいけません。従うしかありません。

でも絶対塗れるはず。つーか既に塗ってあるはず。今の間は絶対それ。

 

 

ちなみに、胸の脇ってどこまで行ったらいいと思う?

今は水着を付けた状態だから塗らなくて済むが。

外されてたらあぶなかったですね。断固拒否するけど。本当にそこは自分で塗ってもらう。

 

 

 

結局従って、手と足に日焼け止めを塗っている。

 

 

 

・・・・塗ってはいるんだが、なんかつまらんな。

流石にちょっと慣れた。アクションを起こしてみるか。

ナギ君のいたずらのお時間です。

 

 

んー・・・・耳。

 

 

 

耳に息でもかけてみよう。

この人よくやるんだわこれ。俺はされたことないけど。

 

 

 

「・・・失礼。」

「・・うん」

 

声を掛けた後に、耳に手を伸ばす。

顏裏も塗りますよという意味。

 

 

ある程度塗って、顔を近づける。

 

・・・発射。

 

 

 

フー

「わひゃぁ!」

「終わりの合図でーす。」

 

「お客さん大丈夫ですかー?」

「ごしんぱいなくー」

 

一花の甲高い声が響き渡った。

裏にいる係員に心配されてしまった。見られてないから良いけど。

 

 

「も、もう!びっくりさせないでよ!」

「なにをー。キミだって風太郎によくやるじゃないか。

人にやられたことは自分にも帰ってくるのです。」

「そうだけどぉ!ナギ君にはやってないもん!」

「覚えてたのか・・・・」

 

ちゃんとやる人を選んでいたらしい。

それはしつれいしました。

 

 

「ナギ君?」

「うん?」

「ドキドキ、した?」

「え?・・・・まあ、したね。」

「うーん・・・・ダメか・・・・うう。」

 

 

めっちゃしたよ。こんな所を撮られたら終わるとか。

ファンに見られたら殺されるとか。社長ごめんなさいとか。

そういう意味でドキドキはした。命を賭けたスリルですね。メリット皆無だけど。

俺が触っていいのかとしか思わなかった。恐れ多い。

 

 

 

・・・・確かに?やけに冷静だったな?俺。

 

同い年の女性の柔らかな素肌にベタベタと触れていたんだがな。

思い返せば、我ながらかなり冷めていた。

いい加減慣れてしまったから、さっきみたいないたずらをしたわけだし。

 

こういう時って理性と欲望が戦う物だと思っていたが。

全くもってそんなことは無かった。男として終わってるかもしれん。

まあ別に良いか。お一人様ですし。

 

 

 

 

    

「終わりですよおねーさん。さあ、早く降りてみんなと合流しましょう。」

「え~?」

 

えーってなんだよ。一生ここにいる気か。

 

「じゃあ折角だから一緒に滑ろっか!」

「そうだね。ボートあるし。すいませーん。お願いしまーす。」

 

 

「はーい。二人一組でーす。」

「ん?・・・・ああ。確かに。」

 

 

ボートは大きい。そして両サイドに手でつかむバックルが2つずつ。

前と後ろに一人づつという事だ。

 

終点は・・・・ジャンプ台があるな。

難易度と刺激が高いやつだ。空中に吹っ飛ばされるタイプ。

 

 

「どっちにしますかね。」

「わたし後ろね!」

「はーい。」

 

即答したので応答。俺が一花の前に座って、身体を預ける形に。

 

 

 

スタート地点にボートがついたので乗り込む。

後ろの人の足に挟まるような形で前の人が乗り込むので、先に一花。

後から俺が乗り込む。

 

座って一花に頭を預ける。丁度、一花の胸が頭に来るんだが。

この枕いくらですか?

 

「準備は良いですねー?それではいってらっしゃーい」

係員がボートを前に押し出した。

 

 

 

 

ん。結構スピード早くないか。中々サービス精神いいな。あの係員。

ちょっと心の準備が居るぞ。これは最後のジャンプ台を フー

 

「なあぁぁぁぁあ!!!」

「あははは!さっきのお返しだよー?」

 

 

気づいたら一花に頭を掴まれて耳に息を吹きかけられていた。

まともに食らってしまった。痛恨の一撃。

 

 

クッソ。後ろを迷わず選んだのはこれか。

しかしこのスピード。その状態だとシャレにならんぞ。

 

 

 

 

 

「今は危ないから!ちゃんと掴んでろ!」

「あ・・・うん!」

 

頭を掴んでいた右手をこっちで掴み、バックルを掴ませる。

とっさの状況だったので語気が荒くなってしまった。

うわもう前に傾

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄かったねー!ナギくん大丈夫?」

「・・・うん・・・・」

 

心臓バクバク。最後にジャンプ台でボートごと飛ぶシステムとなっている。

 

ちょっと手を放してボートから飛び出てしまった。

見事俺は体で着水。背中から行った。ちょっと痛かった。

 

一花くんキミのせいだぞ。俺は悲しいよ。

あんなときにそんなことしなくていいだろ。

 

「行こうか・・・・」

「うん。ごめんね?」

「いや。良いよ・・・・ちょっと疲れたけど。」

 

 

 

 

 

 

 

 

一花と一緒にみんなを探す。もう風太郎も来ているだろう。

グルグルとあたりを回る。・・・・居た。五月と風太郎だ。

 

「一応見つけた。あとは時期だな。」

「難しいですね・・・・」

 

何か話をしていたようだ。なんの話だろう。

 

 

「おーい。フータロー君!五月ちゃん!」

 

 

 

 

「凪。既に来ていたか。連絡したんだぞ。」

「この格好だとスマホ持てないんだわ。」

 

「ナギくん。探しました。」

「一花と遊んでた。他の3人は?」

「どこかには居るはずだよ?歩いてみよっか!」

「そうしましょう。」

 

 

 

 

風太郎、俺、一花、五月の4人で姉妹を探す。

・・・・早速四葉を見つけた。

 

「上杉さん!有坂さん!お久しぶりです!」

「久しぶりだな。四葉。」

「俺はこないだぶりでーす。四葉はそのリボン濡れても大丈夫なのかい?」

「水を弾く材質の物をつけてきました!」

「水中用かぁ。」

 

四葉は相変わらずリボン着用。

リボンだけ出しておけば息継ぎ出来るとかじゃないよね?

ちゃんと顔出さないとダメだよね?

 

 

「さあー!みんなで遊びましょー!」

「二乃と三玖を探しましょう。」

「二人は一緒にいると思うよ?」

 

二乃と三玖を続けて探す。

 

・・・三玖の水着姿は気になるな。どんなのだろ。

大体ストッキング着てるからな。

ファッションにはそこまで興味が無いが、あれだけはいつも着用してる。

なんかこだわりはあるらしい。素足を見ることが出来るのは貴重です。

 

 

 

 

 

 

お。居た。二乃と三玖だ。

こちらをみるなり走ってきて・・・・

 

「フータロー!」

「フー君!」

 

「「会いたかった!」」

 

「お、おう・・・・」

 

二人してフー君に抱き着いた。

・・・・あらあらまあまあ。二乃はわかるが、三玖もか。

 

「・・・・二乃も三玖も元気だったか?」

 

「「うん!」」

 

 

「って言うか聞いて!コンタクトが流されちゃって、よく見えないの!

本当にフー君なのかしら?・・・顔、よく見せて。むしろよく見て!」

 

「プールに誘ってくれて嬉しかった・・・!

暑いけど平気。日焼け止め持ってきたんだけど・・・使う?というか、わたしに塗って・・・?」

 

 

えー。前者が二乃です。後者が三玖です。

今起きていることは紛れもない現実です。

 

修学旅行の告白詐欺からだいぶ大胆になったな三玖は。

ブレーキの壊れた恋する暴走機関車が一人増えました。大変だね。一花おねーさん。

 

 

 

「あれ。ナギ、いたの?」

「居ないと思ってもらっていいです。」

 

「ナギも日焼け止め塗る?」

「さっき死ぬほど塗られたから良いよ。」

「塗られた・・・・なの??」

「そうです。」

「うらやましい・・・」

「三玖も塗ってもらいな。」

 

多分風太郎は絶対塗らないと思うけど。

 

 

 

「二乃は・・・・タトゥーないんだね。」

「アンタまであたしを何だと思ってるのよ!」

「あはは。そう思うよねー?」

「そうだな。俺も意外に思った。」

 

「フー君の名前なら入れても良いわよ?」

「勘弁してくれ・・・・」

「愛されてんなぁ。」

 

風 と入れるのだろうか。良いね。カッコいい。レディース総長。

ノーヘルでハチマキ巻いてバイクかっ飛ばしてそう。流石っす。

破局したら林と火山を入れましょう。三玖さん大喜びです。これぞ甲斐の姉御。

 

 

「じゃあみんな揃ったんで、早速あそこにいきましょー!」

「あれかあ・・・・」

 

四葉くんがウォータースライダーを指さした。さっきよりはマシ。

今回は滑り台タイプ。さっきは終点にジャンプ台があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「こちらのボートは二人一組でお乗りくださーい

一人用のボートも今は一つありますよー」

 

例によってさっきのボートが出てくる。

7人。・・・一人余るな。

 

「誰が誰と乗る?」

「俺は一人で良いや。6人で話し合いを・・・・」

「待て。凪。俺が一人で乗る。お前は誰かと乗れ。」

 

「ええ?俺さっき一花と乗ったんだけど?いいよそっちで。」

「いやしかしだな。」

 

「フー君はアタシと乗るのよ!」

「ダメ。フータローは私と。」

「ほら。諦めてください。」

「ぐっ・・・・じゃあジャンケンだ!誰と乗るかは完全にランダムにさせてもらう。」

「俺は一人で乗りまーす。おっさきー」

 

 

有坂くん一抜け。早々に一人用ボートをかっぱらう。

頭を下にしてみよう。カメのスタイル。

 

 

 

「お願いしまーす。」

「・・・・バックルはちゃんと掴んでてくださいね?行きますよー」

「はーい」

 

 

 

 

我先にと一番に滑り降りた。

ふむ。やはりさっきのを使った後だと物足りんな。やはりジャンプ台で飛ばなければ。

この程度では余は満足できぬ。ちょっとクルクルして目が回ったが。

 

 

さて。問題の上杉先生は誰と降りてくるかね。

ちょっとゆっくり見学させてもらおう。

 

 

 

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