五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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「ということで、これが去年人気だった屋台メニューです。」

そう言いながら、風太郎は黒板に文字を書いた。

屋台の人気リサーチを四葉としたらしい。

 

 

3年1組の面々は日の出祭の屋台の種類を何にするか考えていた。

 

順位は、たこ焼き、チョコバナナ、焼きそば・・・・などなど。

 

何でもいいけどな。大抵のものなら何でもできるから俺は。

チョコバナナぬるかったらマジギレする。ちゃんと冷たくしとけ。

好きな食べ物には厳しいぞ俺は。

 

 

「私はたこ焼きに1票。こういうのは奇をてらわない方が良いのよ。

それに、調べたのがアンタなら、その順位は信用できるわ。」

 

二乃がたこ焼きへ1票。フー君と言わないのはここがクラス内だからだ。

 

「たこ焼きなら、バイトで磨いた俺の腕を見せてやるぜ!」

「うん。楽しそうだね。」

 

前田くんと武田くんも同調。

前田くんバイト経験あったんだ。じゃあ任せる。

やりたい人が居るならお任せします。出しゃばりはしない。

 

男子連中は良さそうだが、女子の反応はあまりよくなさそうだ。

二乃は居るけども。

 

そんな時、風太郎が三玖に声を掛けた。

 

「三玖、何かやりたいものはあるか。」

「えっ」

 

「・・・・パンケーキ。」

 

パンケーキか。ちょっと俺は守備範囲外だ。

だが、良いセンスだと思う。他にやるクラスもいないだろう。

ダッチベイビーを作れる人がいるからな。心配いらないはずだ。

 

「去年までのデータにはないですね・・・・」

「いや、ありかもしれん。ナイスアイディアだ」

 

 

「わたしもいいとおもってたー」

「三玖ちゃんありがとー」

クラスの女子連中は満足している。

主にたこ焼きに賛同できなかった人たちから祝福されている。

 

 

「毛利さんは何が良いんだい。」

「何でもいいわよ。だって私達のメインはこれではないでしょう?」

「・・・まあそうかもしれないけど。」

 

聞かなくても良かった。

相変わらず興味のあるなしが激しい人だ。

 

 

 

 

 

 

クラス会議はとりあえずひと段落。

たこ焼きとパンケーキの線が強かった。

 

 

「中野さん!俺たちバンドやってるんだけど、

ライブステージって俺たちも参加できるのかな?」

「もちろんです!」

 

「中野さん。親戚に招待状を送りたいんだけど・・・・」

「ご用意してます!」

 

「被覆部でこんな出し物するんだけど、お客さん来てくれるかな・・・・」

「素敵です!所定の場所にポスターを張っておきますね!」

 

 

「四葉・・・・大人気。」

「なぜ俺のところには誰も来ない。」

「人望。」

 

学級委員長四葉は頼られていた。軍師三玖の冷静な分析が炸裂。

対する俺たちの学級委員長上杉はこのありさまだった。かわいそうに。

 

 

まあ仕方ない。どっちが人気出るかって言われたら四葉だもん。

かわいいし。愛嬌あるし。元気だし。誰にでも優しいし。

うさちゃんリボンだし。

 

 

しかし、風太郎より四葉の負担が大きそうだ。隙を見つけて色々手伝おう。

彼女は仕事を任せてくれないだろうから、無理やり俺がスティールする。

その仕事ならさっき有坂くんがやってくれたよ これが理想。

 

 

「それにしても屋台ね。何でもいいけど、腕が鳴るわ。」

「うん。腕が鳴る。」

「楽しみだねぇ。期待してまー・・・・す?」

 

二乃はパンケーキでもたこ焼きでも何でもいいらしい。

三玖も乗り気・・・・

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「待ちなさい!三玖、あんた調理係やる気!?

外から学区外のお客さんも来るのよ!下手したら近隣住民食中毒よ!?」

「・・・私だって上達してる。」

 

ぷんすこぷんといった感じでほっぺたを膨らませる三玖。かわいい。

 

 

「それに・・・・二乃もいるでしょ。だったら安心。」

 

「・・・・・もちろんよ。私と一緒に作れば万が一にも失敗はないわ!」

 

 

二乃と三玖。またケンカかと思ったが、そんなことはなかった。

丸くなったねぇ。ナギお兄ちゃん嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

今は別のクラスである片倉くんに声を掛けられる。

 

 

「有坂、良いか。」

「やあ、片倉くん。バンドの話かい。」

 

「ああ。今日ライブステージの申請を出す。いいな。」

「勿論だ。喉の準備をしているよ。」

「よし。出してくる。」

 

片倉くんは申請用紙を片手に実行委員室へ向かった。

さて。いよいよ後戻りはできない。気合を入れよう。

喉の調子はいい。高音を安定して出せるようになっている。

あとはどれだけ持つかな。

 

 

「凪。今のは何の話だ?」

「んー・・・・日の出祭当日のお楽しみさ。」

「・・・・また変ないたずらを考えているな。」

「しつれいだなあ、風太郎くんは」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日の放課後。

 

「ナギ君。志望校への判定結果、帰ってきたんでしょ?どうだったの?」

「はい。」

「A判定・・・・すごいなぁ。」

「俺は行けるとこ選んでるし・・・」

 

 

一花の宿泊先に出向いて勉強中。

そんなことを言われたので結果を見せた。

1学期の統一模試の結果を反映した志望校判定である。

 

あの時は風太郎が家庭教師を一手に引き受けていたというのがある。

俺は姉妹そっちのけで勉強をしていた。

もしかしたら今はちょっと落ちているかもしれないが。まあ大丈夫だろう。

 

一花は・・・まあ、関係ない。女優だから。

流石に卒業したらそっち。

 

 

「一花は日の出祭来れるのかい?」

「うーん。3日間全部は厳しいかも。1日は絶対にいくよ。」

「そう。残念だ。」

「ふふ。残念がってくれるの?」

「まあね。」

 

 

全部は来れないらしい。

うーん。何かいいネタはないかな。来てくれそうなネタ。

ロケなんてちょっとわがまま言えばどうにでも調整効くだろ。知らんけど。

学園祭は姉妹全員で楽しもうぜ。

 

 

 

・・・・・一つネタがあるな。

 

 

 

 

 

「・・・・実は。ライブステージの助っ人を頼まれたんだよね。俺。」

「ライブステージ?・・・・ナギくん、楽器を弾くの?」

 

「いや。俺はボーカルをしてくれって頼まれたんだ。楽器は弾かない。」

「歌!?いつやるの!!??」

 

すっげぇ食いついた。予想以上。水を得た魚。

 

 

 

「・・・まだ日程わかってないんだ。ライブするのは俺たちだけじゃないからね。」

「決まったら教えて!絶対見に行くから!」

 

「いやです。教えません。見たかったら3日間全部来てください。」

「えー!!じゃあフータロー君に」

「まだ一花以外の誰にも喋ってません。」

「むむむむ・・・・う、嘘じゃないんだよね?」

 

 

「本当だよ。ただ、俺たちのバンドは仮面をつけるけどね。顔は出さない。」

「なにそれ!もっと気になる!絶対見に行くから!」

 

 

作戦成功。3日間全部来てくれそう。

すまんな織田社長。お宅の女優さん俺が貰ってくわ。

しかしあれだな。一花が喋ったら社長までセットでついてくるかもしれん。

まだ俺のこと諦めてないらしいし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「北条さん、佐野さん。これどうぞ。」

「これは・・・・招待状か。」

「ええ。うちの学園祭です。」

「ありがと。有坂くん。」

 

 

別のバイトの日。

特に世話になっている北条さんと佐野さんに招待状を渡した。

屋台の割引券とかが入っている。

 

 

「有坂のクラスは何やるんだ?」

「まだ決まってないですね。たこ焼きかパンケーキの線ですが。」

「有坂くん、パンケーキ出来るの?」

「いや、そっちは俺も未経験です。」

 

楽しそうではある。しかし実行委員の手伝いとライブの手伝いがあるからな。

どちらにせよ、殆ど屋台には手が出せないだろう。

 

「折角あげたんです。都合付けて2人出来て下さい。」

「そう・・・だね。ありがと。」

「お前と俺で行くのか?」

 

「そうですよ。二人セットで来てくださいね。何せ学園祭です。

カップル割とかあるところはあるんで。」

「俺とこいつはカップルじゃないぞ?」

 

「そこは適当に嘘ついて誤魔化してください。どうせ証明書なんていらないんですから。

そっちの方がお得だから北条さんも嬉しいでしょ。買う時だけ手でもつないでてください。」

「まあ、そうだな。そうするか!」

「・・・・・うん。」

 

 

やれることはやりましたよ。

佐野さん。いい加減はっきりさせてくださいね?

俺は卒業したらバイトもやめるんですから。期待してますよ。

 

 

 

 

・・・・他人の事より、自分をどうにかした方が良いんだが。

これでは、俺も四葉や佐野さんの事をとやかく言えないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある日の学校。3年1組の教室。

 

「パンケーキで良いじゃん!このままじゃ屋台のメニュー決まんない!」

「たこ焼きだって!決まんねーのは女子が頑固なせいだ!」

 

「いい加減諦めてよ男子!」

「去年のデータじゃたこ焼きが1位だっただろ!」

 

「ふわふわのパンケーキだよ!?絶対売れるに決まってんじゃん!」

「たこ焼きが嫌いな日本人なんていねーよ!」

 

 

今日もクラスの会議。

・・・・・・御覧の通りのありさま。

 

真っ二つに分断されていた。男子組はたこ焼き推し。女子組はパンケーキ推し。

たこ焼きのリーダーは言い出しっぺの二乃。

パンケーキのリーダーも言い出しっぺの三玖。

ただし、この二人は周りのこの熱についていけていないご様子。

 

「三玖ちゃんも何かあいつらに言ってあげてよ!」

「え、えっと・・・・」

 

「あの連中を説得してください!二乃さん!」

「ま、まぁ・・・そうね・・・」

 

 

あの二乃ですらこうして周りに押されているのだ。

三玖が発言できるわけもなく。

 

 

 

「有坂!お前はどっちの味方なんだ!」

「俺?どっちでもいいよ。」

「毛利さん!毛利さんはパンケーキのほうが好きですよね!?」

「別に?どちらでも構わないわ。」

 

俺と毛利さんはただひたすらに冷めていた。

いつしかの姉妹喧嘩の時と一緒である。周りが白熱しているとそれを見てやけに冷静になる。

 

ちなみにクラス会議進行役の委員長である風太郎と四葉は、

中立姿勢のためこの争いに参加していない。

 

 

「まあ、そうだね。たこ焼きは俺もバイトでやったことあるからね。

新しい試みでパンケーキをやってみたくはあるね。」

「「「「有坂くんさっすがー!!」」」」

「「「「有坂てめぇ!!裏切る気か!」」」」

 

 

「あら。有坂くんはたこ焼きを作ったことがあるのかしら?」

「うん。バイトでしょっちゅう。色々やるよ。」

「なら、有坂くんの作るたこ焼きを食べてみたいわね。」

「あ、そう?ありがとう。 という訳で1票ずつになりました。」

 

「「「「「もう!この二人はいっつもいっつも!!」」」」」

「「「「「見せつけてんじゃねぇ!!!」」」」」

 

 

なんかひとまとめにされた。

ちなみにパンケーキ派とたこ焼き派の人数は全く一緒であるため、

俺と毛利さんで1票ずつ入ってしまうと多数決の意味をなさない。

 

 

しかしうるさいな。

ちょっと面倒臭くなってきた。とっとと終わらせよう。

一つ抜け道があるはずだ。

 

 

「少しは静かにしてくれ。隣のクラスに迷惑だ。上杉学級長。」

「なんだ、凪。」

「屋台の数はひとクラス1つまでかい?」

「いや、前例はないが・・・・そんなルールはない。」

 

「なら、両方やるのもアリだ。最悪それじゃないかい。」

「・・・そうだが、俺はギリギリまで待ちたい。」

 

「そうだね。だが、保険は必要だ。最悪のケースとして、

とりあえず両方出来る手はずを整えよう。前田くん。」

 

 

「呼んだか有坂コラ」

「呼んだよ。バイトをやっていたそうだが、屋台の設営までやったことはあるかい。」

「一応あるぞ。たこ焼きの屋台じゃねえけどな。」

 

「そう。ならそっちは前田くんが音頭を取ってくれ。

もし、同時にパンケーキの屋台をやることになってしまったら、そちらは俺が面倒を見よう。」

「わかった。そっちに負ける気はねぇぞ。」

 

「良いねそれ。良い心構えだ。だが、俺は別にたこ焼きに協力しないわけではないからね。

そちらも困った時には頼むよ。」

「・・・・おめーにはいくつも借りがあるしな。

しょうがねぇ。ただ、やれるところだけだぞ。コラァ」

 

 

学級長が諦観姿勢のように見えたので、こちらからまとめることにした。

懐かしい。中学校はこうやって風太郎の子守をしていたな。

ちょっとしたトラブルが起こるたびにこうやって代替案、折衷案を探していた。

 

 

そういう時に頼りになるのは、今までの行動の積み重ねによって構築された人間関係。

 

仕方ない こいつの頼みだ 仕事が増えるが やってやるか

そう言ってくれる人は前田くんに限らず、結構多いのだ。

 

 

まあ、もう少し日がある。たこ焼き、パンケーキ。どちらかに折れてくれることを祈る。

現時点で結構な亀裂が入っているから・・・

折れた方からのぐずぐずがかなり大きいと思うが。

 

 

 

「すまんな。凪、助かった。」

「いや。申し訳ない。多分キミら二人の仕事増えた。」

「とんでもないですー!」

 

学級長には謝罪をしておく。俺も実行委員を手伝うので勘弁してもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「有坂くん。ライブステージの時間、決まったよ!1日目の午後!」

「1日目の午後。了解だ。最高の時間にしよう。今日は俺も練習に行くよ。」

 

川村さんから連絡を受けた。

 

 

一花には・・・・・・メール、しておこう。

 

まあ、しょうがない。

折角なら3日間全てを姉妹全員で楽しんでほしかったが。

1日だけで良いか。一花も女優が心の底からやりたいんだし。俺の心が変わった。配慮する。

 

 

『ライブステージは1日目の午後になったよ

忙しいなら 3日間全部来なくても良いよ 正直来て欲しかったけど』

 

 

一花にメールを出した。良いよ。初日だけでも。

きっと4人はそれで満足してくれるはずさ。

 

 

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