五等分の花嫁 ~家庭教師の助手~   作:I-Ris

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マンションから旭高校に戻り、学園祭の様子を見ていた。

 

「あ・・・・中野さん。お世話になってます。」

「おや、有坂君・・・・久しぶりだね。」

 

 

中野父と遭遇。

五月が呼び出すと言っていたな。

 

 

仕事が多忙だと思うんだが、娘からの呼び出しにはちゃんと応じるあたり、

この人なりに娘を思う気持ちはある。

お世話になった恩師が亡くなったから、義務感で仕方なく面倒を見ている

という線は無いと思う。

 

 

「五月から聞いたんですか?」

「ああ。無堂先生と出会ったと聞いているよ。」

 

「その通りです。まあ厄介でしたよ、あのハゲは。

ただ、今の五月なら問題ありません。」

「・・・・かなり、興奮した状態で電話を貰ったんだがね。有坂君、キミの仕業かい?」

 

五月さん激おこ。中野父がこう言うってことは多分よっぽどだな。

 

 

「ええ。ちょっと発破をかけさせてもらいました。あれくらいじゃないと対抗できません。

・・・さっきまでは、泣いていたんですよ。学園祭だというのにひとりぼっちで勉強していて。」

「五月君は教師を目指すのだろう?私も相談されたよ。

・・・私はなんと答えるべきかね。有坂君。」

 

 

「あなたの思うがままに答えればいいんです。

中野さんが向いていないと思ったら、辞めた方が良いと言っていいと思います。

 

率直な感想をストレートに伝えてあげてください。今の五月なら、大丈夫ですよ。

何を言われても、真正面から受け止めることが出来るはずです。」

 

 

「そうか。最近に限れば、私よりも長い時間、五月君を見てきた君だ。・・・・信じよう。

・・・・改めて、娘達が世話になったね。

・・・・卒業までの間ではあるが、これからも上杉君と二人で、宜しくお願いしよう。」

 

「お任せください。」

「これは、娘達がマンションに戻ってくるまでの間、面倒を見てくれた礼だ。

受け取りたまえ。」

「頂戴します。」

 

中野父は去って行った。

心配ないだろう。あの人ならきっと五月の夢を応援してくれるはずだ。

 

渡された茶封筒には、かなりの現金が入っていた。

恐らくは、姉妹が家出してからマンションに帰ってくるまでのバイト代のようだ。

詳しい計算はしないが、多分結構な色を付けてくれている。

ありがたく受けとる。

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・ナギ君ナギ君!」

「あれ。一花じゃないか。今日来てたの?」

 

学校内をうろうろしていたら、お忍びモードの一花と遭遇した。

フードを被っていつもとは違う格好をしている。

こっそりと話しかけてきた。

 

「いまは暇してるの?一緒に回ろ?」

「ああ。良いよ。」

 

ついさっきお金も貰ったし。

一花と手を繋ぎ、出し物をぶらぶらすることにした。

学園祭だし、こっちは制服だし、まあ良いでしょ。

 

 

「パンケーキ食べたの?うちの。」

「あ。そういえばまだ食べてないかも。」

「そっちから行こうか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ!一花ちゃんだ!来てたんだね!」

「久しぶり!パンケーキ、1つちょうだい?」

「頑張って焼くよー!」

 

 

パンケーキ屋台は今日も盛況だった。

最終日の今日が一番勢いがあるかもしれない。

店員は三玖ではなく、クラスの女子だった。

 

 

「おーい。追加の材料買ってきたぞ!」

「ありがとー!もうなくなりそうだからそのまま生地作ってくれるー?」

「いいけど、作り方教えてくれ?」

 

屋台の中には男子生徒もいる。

たこ焼き派とパンケーキ派は和解したのか?

 

 

「たこ焼き組も手伝ってるのかい?」

「そーなの。三玖ちゃんがね。仲直りさせてくれたの。

お客さん増えて大変だったけど、これなら大丈夫だよー。」

「もっと早くからこーすればよかったねー」

 

三玖がそんなことを。

中々予想しづらいな。恐らくは全国3位さんのアシストがあったんではないだろうか。

 

 

「一花ちゃん。出来たよー。こないだのドラマ見たんだー。振られちゃったね。」

「あはは。そうなの。気持ちよく振られる役。」

 

振られる役?・・・俺がエキストラで出たあれか?

台本はそんな流れだったと思うが。

 

 

「クラスのみんな、喧嘩でもしてたの?」

「うん。大戦争だったね。もう解決したようだけど。

・・・あ、教室に行こうか。今ならまだ残っているかも。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「武田くーん。たこ焼きまだ余ってるかーい。」

「やあ有坂くん。・・・・おや。一花さんじゃないか。最近は凄い活躍だね。」

「ありがと!武田くんも見てくれてるんだね?」

 

一部のクラスメートは教室の中でたこ焼きを焼いていた。

出店は出来なくなったが、材料用の一部食材と資金が余っているので、

自分たちで焼いて食ってしまおうという事である。

余った金は返すことになるし。

 

女子連中もいた。やはり完全に和解したらしい。

コンロもまともなものを使用している。問題なさそうだ。

 

 

「前田くん?一花さんが来たよ。絶品を用意してくれるかい?」

「一花さん!よーし、気合入れんぜコラァ!」

「頑張ってね?」

 

前田くん大はしゃぎ。

 

しかし忘れてはいけない。

クラスの隅から友達と喋っている松井さんがこちらを睨んだのが見えた。

 

 

 

この男、周りが見えていない。

まあ、クラスにこの二人が付き合っていることは周知されていないらしいが。

 

 

「一花さん。この間のドラマ、凄かった。

まさかキスシーンがあるとは思ってなかったぜ。」

「そう言われると恥ずかしいなぁ・・・・」

「へー。そんなんやったんだ。」

 

「有坂コラァ。見てねぇのかよ。」

「見れない理由があるんで。」

 

多分そのドラマは俺が出た奴とはまた違うドラマだと思うが。

しかし万が一俺が出演するシーンを見てしまったら困る。

 

 

「ナギ君ナギ君。私キスしちゃったんだよ?」

「うん。さすがだねぇ。」

 

「嫉妬、しない?」

「嫉妬?・・・・・・・・いや?」

「む~」

 

別にまだ彼女じゃないもん。友達だもん。

中野 一花はフリーです。me tooです。

 

ただ、ちょっと見たかったな、そのシーン。誰とやったのかは気になる。

ネットで検索すればすぐに出てくるだろう。調べておこう。

 

 

 

 

 

 

「一丁上がり!一花さん、食ってくれよ!」

「ありがと。いただきまーす!」

 

前田くんからたこ焼きを受け取った一花。

出来立てだぞ。火傷しなきゃ良いけど。

 

「ナギ君も食べる?」

「ああ。もらおうかな。」

 

俺はちゃんと冷ます。外側カリカリだな。このコンロでも充分おいしそうだぞ。

爪楊枝に刺さったたこ焼きをフーフーする。

 

 

「ナギ君。」

「あー・・・なんすか。」

「ソレちょうだい?」

 

 

今まさに食べようとしていたところに声を掛けられた。

これ食いたいの?まあ良いけど。折角俺が丁重に愛をこめて冷ましたのに。

 

「はいこれ。」

爪楊枝ごと渡す。

 

 

「食べさせて?」

「は?」

 

食べさせて?このたこ焼きを?

 

それが狙いかいな。別に良いけどさ。

今クラスの連中がいるんだけど。ここ。

 

 

 

 

「有坂コラァ。一花さん待ってんぞコラァ。」

「有坂くん?レディを待たせてはいけないね?」

「大丈夫よ有坂くん。あなたはやればできる子。」

 

「・・・・写真とか動画とか取らないでね。」

 

 

周囲から集中砲火を浴びる。なんでお前らイケイケムードなんだよ。

みんなのお姉さんでクール系知的大女優の中野一花だぞ。

いつの間にか毛利さんもいた。いったいどのタイミングから現れたんだ。

 

 

「・・・あーん。」

「あーん。」

 

口の中にたこ焼きを入れる。一花に餌付け。

修学旅行の逆バージョンである。あの時は俺がされた。

 

「・・・ふふ。おいしい。」

「よかったねぇ。」

 

 

 

「見せつけやがってコラァ」

「独り身どうし、妬ましいね?前田くん。」

「催促したのはキミたちだろう?」

 

凸凹コンビ、特に前田くんから理不尽にキレられる。

流石に酷くないっすかそれ?

 

 

 

「一花さん?貰ってばかりでは悪いのではなくて?」

「・・・そうだね!お返し、しなきゃ!」

「・・・・・・・・・・」

 

当然と言った流れで俺に爪楊枝の刺さったたこ焼きを向けてくる。

毛利アシスト許すまじ。

 

 

「あーん」

「お腹いっぱいです」

 

「コラァ!」

「有坂くん?」

「据え膳よ?」

 

悪乗りトリオが手厳しい視線とコメントを向けてくる。

クッソ。仕返ししてやる。一人だけなら一矢報いることが出来る。

とりあえず食ってやるか。

 

 

 

 

 

「あー。」

「はい!」

 

たこ焼きを入れられた。教室がおーと湧いた。

こいつら全員見てやがった。見せもんじゃないぞ。散れ。

あとちょっと待って、これ冷ましてない。熱い。噛んだら口の中で弾けた。

 

 

「おいしい?」

「・・・・いひは。あふい。」

「え?あっ・・・・ごめんね?」

 

おねーさんはたまにドジやるんだよなぁ。

あのプールのスライダーの時もはしゃいで手を離してたけど。

 

 

「有坂コラァ。文句言わずに食えや。」

「前田くん・・・・良いのかい?そんなこと言って。有坂くんにも五分の魂だよ。」

「自分で言うか?」

「あはは。みんなもやってみたら?」

 

教室のクラスメートに向かって問いかける一花。

よし、これはチャンスだ。トスが上がった。華麗なるスパイクを決める。

 

 

「前田くん。言われているよ。キミにも食べさせるべき人がいるのではないのかね。」

「あ、有坂!?おま、なんつー事を!俺は焼くのに忙しくてだな!」

「前田くん?僕は聞いていないよ?誰なんだいその人は?」

「一体誰なのかしらね?」

 

毛利さんにはバレているが知らんぷりしている。

良い仕事するねこの人。

武田くんと毛利さんと有坂くんによる前田家への波状攻撃。

これぞ三本の矢。でも相手が前田くんなら1本で良いと思う。3本は過剰。オーバーキル。

しかしそんな前田くんを煽った矢先。

 

 

「ま、丸山さん!このたこ焼き、食ってくれないか!」

「え、ええ!?・・・じゃ、じゃあ、あーん・・・・」

 

「ゆりちゃん!」

「吉川さん!」

 

あれ?なんだこの流れ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室内はクラスの男子が気になる女子に対してたこ焼きを食べさせるという空間になった。

そして当然のように女子からも男子に帰ってくる。学園祭の魔力がなせる業か。

 

それとも恋のキューピット一花大先生の手腕によるものか。

さっきの俺たちにみんなあてられてしまったようだ。

適当にちょっかい出してみよう。

 

「武田くんは誰かいないのかい。」

「僕かい?そうだね・・・・・毛利さんにお願いしようかな?」

「私?そうね・・・・・特別にいいわよ?有坂くんは取られてしまったし。」

 

武田×毛利も成立。

 

 

 

 

 

何と。こんな展開誰が予想したことか。成績優秀で人気の二人。お似合いである。

ただし少なくとも毛利さんはドライ気味。武田くんはどうだろ。ちょっとわからない。

教室は酒池肉林と化した。

 

「あはは。い、いこっか。ナギ君!」

「そーですね。」

 

責任取ってよ。このまま放置ですか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を荒らすだけ荒らして、また屋台の通りへと進んでいた。

 

「熱いの食べたんで冷たいのにしますか。」

「チョコバナナ?そんなに冷たかったっけ?」

「ここはキンキンです。氷。」

 

茜のクラスの屋台に連れてきた。

 

 

 

「いらっしゃ・・・・あ、有坂先輩!お疲れ様です!」

「え?ああ、はい。お疲れ様。」

「ど、どれにしますか!」

 

店員の生徒にやたらと驚かれる。知らない子なんだけど。なんで俺の名前知ってんの。

俺なんかしたっけ。一花に驚くのならわかるんだけど。

 

「どれにする?」

「ふつうのチョコレートかな!」

「じゃあ俺はイチゴで。」

「わ、わかりました!」

 

イチゴのチョコ好きなんだよ。

イチゴはあんまり好きではないけれど。だからこそかもしれん。

 

 

「ど、どうぞ!チョコバナナ2つになります!」

「あざす」

「ありがと!」

「あ、あの!サインをお願いしても宜しいでしょうか!」

 

サインだって。女優さんやるね。

ご飯食べに行った時とか色紙にサインを求められたりするのかな。

 

 

「だそうです一花さん。」

「うん・・・良いよ?」

 

「い、いえ!有坂先輩のサインが・・・」

「は?俺?」

 

俺かよ。なんでだよ。

茜のコーチとしてか?

 

 

 

「なんで俺?」

「そ、その。初日のライブステージ、感動しました!」

 

「え?何の話だい。」

「え、えーと。Aさんですよね!」

 

 

「・・・・・なんでわかるんだい?」

「朝倉がみんなに自慢してたので!」

「あの野郎・・・・・・」

 

このクラスには筒抜けじゃないか。

勘弁してくれよ。

 

 

「・・・俺筆記体書けないんだよ。ごめんね。」

「え、ええ?・・・・じゃ、じゃあ、握手してください!」

「え?は、はい。」

「あ、有坂さんだ!有坂さんがいるぞ!」

「え!ホント!?」

「・・・・ふふ。ナギ君、大人気だね?」

 

 

一花そっちのけ。あいつ、クラスメートにどんな話をしたんだ。

 

 

「アンコールライブどうだったんですか!?」

「うちらになりました。」

 

「ですよね!絶対見に行きます!」

「ありがとう。でも俺だという事はばらさないように。知らん人結構いるんだから。」

 

「しょ、承知しました!皆、わかったな!」

「「「はい!」」」

 

多すぎるだろ。これは出来てしまうのか、有坂ファンクラブ。

毛利ファンクラブの抑止力が出来るぞ。

 

 

「そういや茜が居ないね。」

「茜ちゃんは、今日は陸上の練習をすると言ってました。」

「珍しい。こういうイベント大好きだろうに。」

 

とのことらしい。遊んでたのは昨日だけか。

まあでもインターハイ近いし。あいつも流石に真面目に練習するか。

 

「ありがとうございました!アンコールライブ頑張ってください!」

「ああ。どうも。」

 

何人かと握手をしてチョコバナナの屋台を離れた。

まさかこんなことになるとは。

 

 

「・・・・・・・ナギ君、モテモテだね?」

「そうだね。全く知らなかった。まあ、何日も続かないさ。」

「そうかな?・・・・あ、五月からメール・・・・

ナギ君、ちょっと呼ばれちゃったから、行ってくるね?」

「ああ、行ってらっしゃい。」

 

 

 

この後のライブが少しやりづらくなった。

一花が呼ばれたのは、恐らく無堂の件だろう。

後を追おうかを考えたが・・・・任せる。家族の問題と言ったからな。

 

さて。しばらく一人でゆっくりと充電させてもらおう。

アンコールが近い。充電する。

 






それっぽい雰囲気を出してますが、
別に今後、武田くんとオリキャラがくっつくことはありません。ご安心ください。
前田くんと一花をくっつける話を考えたことはありました。



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