冥冥さんのATMになりたい   作:あっぷるぱい提督

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続きました。

冥冥さんは偽名だそうですが、本名もいつから名乗ってたのかも不明なミステリアスレディなので高専入学時から偽名だったこととします。
また、正確な年齢も分からないので主人公君の1歳上としました。
その他、後々見つかりそうな不都合な点はなんやかんやして押し通しますのでよろしくお願いします。



第2話

 

「そういやあんた昨日の放課後どこかに行ってた?」

「……ああ、推しと会ってた」

 

 体術の授業中(自習)に話しかけてきた同級生-庵歌姫-になんでもない事の様に装って返事をした。

 

 嘘。少し動揺してコイツのへなちょこパンチがちょっとカスってしまった。

 

 ウッキウキで推しに会いに行った事実を知られているかもしれない気恥ずかしさよりも、更に恥ずかしい。

 

 誰にも見られてないだろうな?

 

 正直コイツの攻撃に当たるのは小学生と腕相撲して負けるくらいには恥ずかしい。

 

「あんた一昨日冥冥先輩に振られたとこなのに、もう新しい女に目がいってるのね」

 

「んなわけねーだろ」

 

 なんて失礼な奴だ。

 

 ええい、その目をやめろ。そんな切り替えの早い軟派野郎を見るような目をするんじゃない!

 あとパンチをカスらせたのが嬉しいのか知らんが口の端が上がりかけてんぞ。

 こんなことで喜ぶなよ。

 

 ……ちょっと可愛いじゃねぇか。

 

「事実でしょうが。ていうか推しってなによ? アイドルにでもハマったの?」

 

 アイドルか。そうかもしれない。

 

 恋人になる事をお断りされた俺と、彼女の関係を強引にでも言い表すとすればアイドルとファンのそれと言っても過言では無いだろう。

 

 ……え?ファンと2人きりでご飯に行ってくれるアイドルとか神じゃん。

 

 俺大丈夫?他のファンに刺されたりとかしない?

 今のところ俺以外に彼女のファンは居ないみたいだけども。

 

 なんで分かるのかって?

 

 じゃあ昨日の場面を回想してあげよう。

 なんならそのまま幸せな記憶の海に浸っていたいまであるから遠慮はいらないぞ。

 

 え、歌姫? テキトーに相手しても負けないから心配するな。

 

 

 

 昨日の放課後の事だ。

 

「冥冥先輩!あなたの時間を買わせてください!」

「いいよ。そうだな…1時間10万円だ」

 

 いやぁ、ビックリしたね。値段の事じゃないぞ?

 元々言い値で払うつもりだったし、払える金額だったからな。

 ビックリしたのは、思い付きで放課後にいきなり提案したのに冥冥先輩が即答した事にだ。

 しかも相手は朝に振った相手だ。

 往生際が悪いとかそういったことは考えなかったのだろうか?

 考えなかったんだろうなぁ。ノータイムで返事したもんあの人。

 でまぁ、浮かんでくるのは当然の疑問。

 

「えっと、もしかしてこういう提案された事があるんですか?」

「いや、初めてだよ。なんなら私と交際したいなんて物好きなことを言ってきたのも君が初めてだ」

 

 俺が初めて……改めて思い返してもいい響きだ。

 

 ……いや、これは流石に気持ち悪いな。

 自分が思春期であることを差し引いて考えても気持ち悪い。

 

 あと聞き手のよってはいわゆるパパ活だのをした事があるのか?と同種の質問だ。失礼極まりない。

 冥冥先輩は欠片も気にしていなかったみたいだからセーフだと信じたいが…。

 

 まあ、とにかくそんなわけで俺と同じような提案をしてきたアホは居ない。

 つまり冥冥先輩に好意を持って擦り寄る輩は居なかったと言うわけですよきゅーいーでぃー。

 

 ついでに俺が冥冥先輩に何でこんなぶっ飛んだ提案をしたのかという経緯も説明しておこうか。

 じゃないと俺が人の事を金でどうこう出来ると思ってる人でなしだと思われそうだ。

 

 

 

 放課後から時間を遡ること朝一番。

 冥冥先輩に告って振られた俺は、その後の一限の授業中、魂が抜け掛けているかのように見えていたらしい(歌姫談)

 

 あ、告白シーンの回想はないぞ。

 誰が好き好んで自分が振られた場面を思い返すんだよ。俺はマゾの気はねぇよ。

 

 でまぁ、そんな感じで授業を受けていた俺は、授業後に先生に慰められたわけよ。

 なんでもこの先生も付き合っていた彼女に先月振られたらしい。

 

 ……いや、ふざけんなよ。アンタは付き合えてたんだろうが。こっちは付き合うこともなく振られてんだよ! あ、もしかしてマウントか? 俺は付き合ってたけどお前は付き合えてないの? ってか!? ブッ○すぞ!!!

 

 慰めるフリしてマウント取ってきた(被害妄想)教師の鼻っ面に頭突きをかまそうとした時――

 

「冥冥は強くなることとお金にしか興味のない子だから仕方がないよ」

 

 教師の発したこの言葉で俺は閃いたのだ。

 

 

 お金を払えばデートしてくれるんじゃね?

 

 

 ってね。

 

 我ながら頭の悪い思い付きだったけど、即答で承諾した冥冥先輩のイカレっぷりも中々のもんだよなぁ。

 呪術師に向いてるのは頭のイカれた奴だって先生も言ってたから呪術師としては正しいあり方なのかもしれんが……。

 

 とまぁ細かいことは置いておいて、そんなこんなでデート(1時間10万円)に繰り出したわけだ。

 

「ちょっと!」

 

 いやぁ、今思い返しても楽しかったなあ。

 

「聞いてんの!?」

 

 うるさいぞ歌姫。俺は今記憶の海に浸るので忙しいんだ。

 冥冥先輩はなぁ、デート中に薄くだが微笑んでくれるんだぞ。

 そんでもってデートが終わったら俺への興味なんて欠片も無くなってドライな接し方をするんだ。

 その対応の差がまた見事でなぁ。きっと推せば推すほど味が出ると思うんだよ。

 これからの推し活のことを考えると夢が膨らんで止まらな――

 

「……そのにやけ面やめなさいよ気持ち悪い」

「お前もうちょっと言葉選ぼうか」

 

 あんまり酷い言葉を使うなよ。繊細な俺が泣いたらどうする。

 

 

 このあと本気出して歌姫めちゃくちゃ転がした。

 




歌姫ちゃんの体術レベルに合わせてあげてた主人公くん優しいね(なおその後)
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