ユメ?「何で分かるのかな」 パカ 作:パカパカメロンパンナちゃん
期待が重いぜ…!
羂索もユメ先輩も平和な日常会話が少ないからエアプになってしまう…。まぁいいか!!よろしくなぁ!
キヴォトスの治安が悪化し、行政的な問題が明確に現れてくるようになったころ、失踪した連邦生徒会長が立ち上げた連邦捜査部S.C.H.A.L.E。その先生の着任日がやってきたのだ。
そして各地の機能障害を連邦生徒会長に問い質すべく、様々な自治区から連邦生徒会本部に生徒が押し掛けており、その最中においてシャーレ本部のある区画が不良たちにより占領されていることが伝えられ、先生の着任初仕事として、そこに集った生徒とともにシャーレの奪還に動くのだった。
そして、その一団を遠方から覗く集団がここにあった。
「……っていうのが真人の話だったけど、実際にその通りになったね」
「ふん、あれが先生か…。何の特異性もない貧弱な大人ではないか」
「それは元々知っていたはずですよ。それよりも、我々が注視すべきは彼の指揮能力では?」
「良いことを言うね花御。見たところ、指揮下に入っているのはミレニアムのセミナー早瀬ユウカ、トリニティの自警団守月スズミに正義実現委員会副委員長の羽川ハスミ、それにゲヘナ風紀委員会の火宮チナツ。どれも一定水準以上の神秘を持つ生徒、所謂ネームド級だね。……どうやら指揮能力は情報通りかそれ以上かも」
「……確かに脅威的だな。動きのキレが目に見えてよくなっておる」
「どう?勝てそう?」
「ふん、侮るでない。強化幅であれば儂らの方が勝っておるわ。自力による差はそれだけでは埋められん」
「ですが、指揮下全てにこのレベルでの強化が可能であればどうでしょうか」
「花御も気になるのかな?」
「……いいえ、あくまで推察です。戦いはあくまで手段ですので」
「ぶふー」
「うへー。なんか向こうのほうが呪霊操術みたいだねぇ。ま、あまり多くても返って鈍くなるだろうから、そこは警戒しなくてもいいよ」
ユメ(羂索)、漏瑚、花御、陀艮の4人に加えて、今日は最前線でその行方を見届ける少女がいた。
「へー、落書きの顔じゃないんだ。案外フツー。ちょっとショックだなあ」
あぐらをかき覗き込むように見つめるのは、くすみのあるハイトーンのペールブルーの髪をポニーテールに纏めた女子生徒。
青と灰色のオッドアイで、全身にツギハギのような跡が大量に刻み込まれている。服装としては一般的なセーラー服の上から黒いローブのようなゆったりとした基調の服を纏っている。
「ねえユメ、行ってきてもいいかな?」
「まだ駄目だよ。特に君は替えが効かない上に、多分性格的に合わないでしょ」
「いやいや、もしかしたら聖人君子って感じでアリかもよ?」
「だとしても、現時点ではやめてほしいかなー。君と違って私達は直接知っている訳じゃないからその差があるだろうけど、せめて、対策委員会の時までは接触しないでね」
「はーい」
彼女こそが、真人。
無邪気で子供っぽく、誰とでも優しげに接することから最も親しみやすいように思えるが、その実この五人の中で最も注意するべき危険人物である。
少し後ろ暗いことはしても、なるべく外道行為などは避けていた4人に比べて、真人はそのことに関するブレーキが非常に小さい。
むしろそのような行為や嫌がらせこそを愉しみ、遊びとする外道だ。流石に原典ほどクズではないが、それでも4人と巡り合わなければそこらの住民を実験台にし、キヴォトス最低最悪の大量殺人鬼として手配されていたであろう。
それくらい倫理観が低い。
それでいて仲間や一部の人間に対しては本気の信頼と親愛を寄せるし可能な限り約束は守ろうとするので少々評価に困っている。
「あ、制圧終わった」
「このあとは何もないんだっけ?」
「んー、確かワカモと出くわしたけど…何も問題はないね。うん。後はシッテムの箱を手に入れて、サンクトゥムタワーも役割を取り戻して、本格的にシャーレが動き出す…って感じかな」
「そっか。まあ始発点を見れて良かった。それじゃあ、私達もこれからに向けての準備を始めようか。アビドスから手紙が送られてくる、その時までね」
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「………何で廃墟に来てんの? アビドスに向けての準備って話は?」
真人は、人のいなくなった廃都を見つめながら、不思議そうに呟いた。
ここはミレニアム郊外の廃墟。連邦生徒会より立入禁止の令状が出ている場所である。その原因は武装したロボットが徘徊しており、危険だからというものだが、他にも厄ネタが多くあることは真人も知っていた。
それだけに、ここへ来る理由が分からなかった。アビドスとここに、どのような関係があるだろうかと。そう口にすると、ユメは変わらず柔らかい笑顔で指を立てて応えていく。
「いやいや、合ってるよ真人。今回はここに戦力強化のために訪れた訳だからね」
「戦力強化って、いる? 陀艮は抜きにしても、俺ら4人に勝てるような相手っていたかな?」
自信から来る強い言葉。だがそれは敵を侮っているわけでなく現実問題として彼女らはみな上澄みも上澄み。いざとなれば奥の手もあるし、そのような心配は無用だと思っている。
「あ、言い方が悪かったかな。今回は私の強化と便利さを求めてのことだよ。目的を達成するために漏瑚が気を引いてる間に本題を達成するためのものだね」
「待て、儂はそのような話は聞いていないぞ!?」
前線に立ち、時折襲いかかってかるロボットに対処していた漏瑚が振り返ってハンドガンを撃ち込んでくる。漏瑚の生徒としての戦闘方法はS&W M500を元にした二丁拳銃で高速軌道と高火力の両立による速攻アタッカー。無駄な手間のなさや取り回しなどに漏瑚らしさを感じるスタイルだ。
がなりと共に放たれた弾丸を危なげなくIRON HORUS社製の盾で防ぎ「あれ、言ってなかったっけ?」などと惚ける。
「あるタイミングが来たら対策委員会とカイザー両方の目をそっちに惹きつけてほしいんだ。向こうの上役に見つかったら面倒だからね。近くに花御も配置しておくからいざとなったらそれで逃げてほしい。五条悟の時みたいな態勢だよ」
「……それ程強いと?」
「いや、多分そこまでじゃないよ。ただ出来るかぎりの時間稼ぎな訳だから、その伝達役も兼ねてね。……それに、漏瑚は強い相手とも戦ってみたいんでしょ?アビドスは結構な精鋭揃いだよ」
「……事後承諾とは気に入らんが……まあ、それならば受けてやってもよい」
「はいはーい!俺も闘りたい!」
「だーめ。真人と陀艮は私と一緒に来て欲しいからね」
「ぶふーっ」
「ちぇっ…」
(カイザーと対策委員会を引き付けて、その間に陀艮と俺を連れて何かをする? ゲマトリアと関わったきっかけや、手に入れた情報からすると……。ああ、
詳しく伝えられていない漏瑚を尻目に、考えられる要素からあたりをつけると、納得がいったとばかりに舌舐めずりをした。
その後は、暫く他愛のない会話などを続けていったものの、あまりに目的地に着かないことに漏瑚が代表してユメを問い詰める。
「…おいユメ。少し歩くといってからどれだけ歩くつもりだ? 目的地くらい言わんか」
「ん? ああ、そっか。あれは私一人の時に見つけたものだった。漏瑚、花御、“デカグラマトン”は知っているよね」
「む、ああ、真人の言伝にな。確か、かつてのキヴォトスの支配者達が作った神を証明するAI、ではなく幾度となく返答を繰り返した自販機のお釣り精算AIだったか…」
「それが他の機械に感応を促し、それぞれ独立した
漏瑚と花御による返答に満足気に頷いたユメは「ケセドっているでしょ?」と真人に確認を取る。
ケセド。それはデカグラマトン第四の預言者にしてディビジョンと呼ばれる兵器工場のAIに感化された兵器工場の生産システムを掌握している存在。
そして、その出現場所はミレニアム近郊の廃墟と聞かされている。
「まさか! デカグラマトンを確保するつもりか!?」
その情報を繋げた漏瑚が目を剥いて叫ぶ。
デカグラマトンははっきり言ってかなり強力なAIだ。生徒の中でトップクラスのハッキングの腕を持つ明星ヒマリの干渉をも受け付けぬ能力を持ち、その預言者達の対処には各学園でも選りすぐりの強者を含めた大人数での総力戦が必須とされるほど。
加えてその特異性から漏瑚の趣味としても気になっていた存在のため、興奮からか声音が高くなる。
「惜しい!でもやることは近いね。そもそも、デカグラマトンというのは他のAIを感化することで自意識に目覚めさせ預言者とするもの。よってその殆どはデカグラマトン自らが作った機械じゃない。どれも既にこの世界にあったものなんだ。だからこそ、軍事工場のAIや施設も、同様に複数存在していてもおかしくはない」
立ち止まり、人が最低限通れる程度にどかされた瓦礫を乗り越え、壊れかけのドアに手を翳すと、軋むような駆動音を轟かせて新たな道が開く。
その先には、長年人の目に触れられることのなかった空間が広がっており、埃を被った巨大な球体が中央で沈黙している。
「おおっ!…これって」
「ケセド……ではないのか?」
「ご想像通り。感化され、第四のセフィラと化したケセド、その大本であるディビジョンシステムの同型機。兵器工場として成り立つそのシステム。かつての人類が再現性のある機械として作製していても何もおかしくはない代物。AIとしては既に朽ちているみたいだけど、お陰で余計な酷使もなく機能自体は生きているよ。デカグラマトンの視点から見ればあくまで感化させて独立させなければいけない関係上、管理AIの消えたこれは眼中に無かったみたいだね」
強固な外殻部に触れながら、埃っぽさにケホケホと咳をするユメ。
「合点がいった。コレをこちらで復旧し、生産される兵器を手駒にしよう、という訳だな?」
「んー、大体合ってるけど、ちょーっとだけ違うかな」
「何が違うというのだ?」
確信を持って答えたそれを否定されたことから、やや頬を膨らませた漏瑚が尋ね返す。
「陀艮。これの式とかは解析できそうかな?」
「ぶぅー、ぶふー…。…分からぬ。だが、こうしてAIがいないのなら十分可能だ。術式に頼るまでもない」
問われた陀艮が、よく見るためにお面を外し、可愛らしい素顔を露わにする。
しっとりと柔らかな肌に、ほのかに朱のさした頬。くりくりとした大きな目と小さな口はとても可愛らしく、幼子の愛玩的な可愛らしさと成長途中の少女のような魅力が同居している。
と、同時に、それらから感じられる印象を裏切るかのように、かなりのハスキーボイスが放たれた。
今まで沈黙、あるいは唸るような声しか聞いていなかった陀艮の声に、真人は驚いて声を上げる。
「陀艮って喋れたんだ…。っていうか顔も可愛いし、隠すことなくない?」
「真人、自身の評価で隠している秘め事にそうやすやすと踏み込むな」
「デリカシーがありませんよ」
「あー、そうだよね。ゴメンゴメン」
「いや、気にしないでいい。みんなの前ならばそう苦痛ではないのだ。むしろ、普段から迷惑をかけているこちらこそすまないと思っている」
申し訳無さそうに頭を下げる陀艮に、真人はひらひらと手をふってお互い様だと笑って返す。
その気安く、けれど確かな信頼の見えるやり取りに、ユメとしての記憶が想起される。
(いやいや、何を今更…)
「それで、プログラムやコード、命令系統なんかを抽出できないかな? それと真人、ちょっと私の脳を弄って欲しいんだけど…」
内部のコアを前にして、再びの額の縫合を解いて私の脳を露出させる。
「ぶふー…やってみる」
陀艮が内部情報を解析し、そのプログラムや機構、仕組みを画面に映し次々とデータの取捨選択を行っていく。ユメも共に情報の解析を行い、その頭に真人が掌を置いた。
けれど、軽く掌を見つめた真人は口角を吊り上げ舌舐めずり。
「ホントにいいの? 今のユメならあっさり俺の玩具に出来ちゃうんだけど」
「真人っ!!」
怪しい輝きを放つ瞳に危ういものを感じた漏瑚が血相を変えて叫び、その手をホルスターに伸ばす。
「必要でしょ。それにやる気もない脅しなんて怖くもないよ」
「………ちぇっ、ちょっとくらいびびった顔も見てみたかったのに…。それじゃ、やるよ」
―――「無為転変」―――
「それで、どうじゃ?」
「……うん、中々いいね。悪くないかも」
立ち上がったユメは一見して何の変化もないように見えたが、それはあくまで外見の話。その脳には新たな式が刻まれていた。
腕を軽く下げ、確かめるように振ると、眼前の兵器工場を睥睨して一度瞬きをすると、最早機能を失い朽ちていくだけの筈であった機械達が一斉に起動した。
「おおっ…!」
「ほんとに出来るのかよ…」
「アナタの言う事が荒唐無稽だとは思っていましたが……。普通は考えませんよ」
「ぶふぅー…」
次々と動き出した生産設備は、これまで通りにオートマタやドローンを生成しようとし、ピクリと眉尻を動かしたユメの反応を見るや、複数の関節を持つ百足のようなロボットを生産し始めた。
暫く待っていると、装甲を黒く塗られたロボットが一台完成した。
それはユメの周りを暫く動き回ったかと思えば、ユメが視線を向けた漏瑚に対して凄まじい勢いで突貫していく。
「ふん」
けれど漏瑚は難なくそれをはたき落とし、今度は勢いを増したそれの頭部を的確に粉砕する。
「あー、もう、なんで壊しちゃうのさ」
「貴様が仕掛けてきたからに決まっておろう」
「まあそれはそうなんだけどねえ。……ディビジョンシステムによる強化と神秘による強化も両立できる…か。うへ、これで私も呪霊操術エミュが出来るね」
「……何かと思えば、そんなことのためにここまで来たのですか」
「ぶー」
「呪霊操術……?」
その成果は素晴らしいものだが、動機のせいで呆れたような目がユメに向けられる。
「あ、待って待って。ちゃんと意味はあったよ。元々使い捨てにできる手数と量は欲しかったからねー。それと、これからの予行演習にもなったからさ」
「予行演習じゃと?」
「へえ、ってことは同じようなことをやるつもり?」
「それがアビドスへ行く理由…なのですか?」
「実はもう一つ、欲しいものがあってね―――」
新たに作り上げられていく百足型ロボットを足元に侍らせ、実に無邪気な笑顔を携えて振り返った。
「―――ウトナピシュティムの本船。ちょっとだけ頂いちゃおっか!」
ユメ先輩はもっと明るく活発で楽しそうで情けなくて考えなしで頼りなくて綺麗だった!
陀艮の性格は覚醒後に近いですね。
見た目と声のギャップがFateのアンデルセン先生くらいある