青く透き通ったソラに、導きの星を 作:新人しくじり先生
「車窓から鳥を見た日」
電車……いや、古ぼけた客車の座席に座った少女が喋っている。
「全て、私の
カタン、カタンと線路の継ぎ目を走る列車の車窓から差し込んだ夜明けとも黄昏とも取れる曖昧な光を背に、かろうじて白い制服らしき服装と判別できる少女がその対面となる座席に座る自分に話しかけていた。
「私の、私自身が選んだ
逆光に少し目が慣れる。そこでようやく目の前に座る少女の姿が白亜の上等な制服に身を包み、それでいて脇腹辺りを中心に怪我を負っているのか服には幾つもの血痕が付いているのが分かる──ただそれでも、顔だけはよく見えなかった。
「私は、超人じゃなかった。神様なんてなれなかった」
懺悔を、己の罪を口にする彼女。本来ならきっと心動かされてしまいそうな光景だというのに、何故かそれが
「きっと貴方は今の私の話は忘れてしまうでしょうが、それでも構いません」
目の前の少女は喋る。そんな彼女の奥、車窓の外には白いヒトガタ──鳥でもなければ飛行機でもない、文字通り人型のナニカが白い雲を引いて飛んでいた。
「──我々は望む、七つの嘆きを
──我々は覚えている、ジェリコの古則を」
少女の口ずさんだ警句のような文言。意味も分からず理解も不能であるというのに、何故かその言葉はたった一度でその脳裏に焼き付いていた。
「大事なのは経験ではなく、選択。貴方にしか出来ない選択、貴方たちでなくては選べない過程の数々」
ふと、車窓に目線を移すと透き通ったソラを飛んでいた人型のナニカ──搭乗した者の四肢を補強するように作られた機械の巨人──はいつの間にかこの客車を引く汽車と並走していた。
「で……すか…ら先…生、…彼…女と……共に、ど…うか…………」
急速に遠く
「────」
ただその一方で、大気を劈く轟音と共に。
客車の一角、自分の座るすぐ側の座席側の壁を破壊して、先程まで列車に並走し飛んでいた白い人型機体に乗った人──黒の少女が現れる。
「さあ、行きましょう。先生、今度こそ──を終わらせるために」
車内を漂う緑の粒子と共に、砕け血濡れた装甲の奥に覗く空色の髪と碧い瞳。
伸ばされた手とそこに浮かんだ、確かな慈愛と祈りに。先生と呼ばれた自分の意識は、その瞳に引き込まれていった。