青く透き通ったソラに、導きの星を   作:新人しくじり先生

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時計じかけの花のパヴァーヌ編
「要塞都市襲撃」


 

 

 

荒野の真っ只中に聳え立つ要塞都市「エリドゥ」、そして要塞都市の名に恥じぬ幾つもの兵装ビルを備えそこから吐き出された幾つのもの対空砲火により彩られたソラを翔ける閃光がふたつ──

 

ひとつは紺色の重装甲をしたヒトガタ。その両の腕に多銃身機関砲(ガトリング)を更に3門束ねたゲテモノ武装*1を携え、背部兵装には高機動飛行翼(ウイングユニット)を兼ねた光学(レーザー)兵器*2を装備。蒼白い尾を引き飛ぶ彼女──C&C所属コールサイン04、飛鳥馬(あすま)トキ──は、要塞都市の摩天楼の狭間をかけ抜けつつもうひとつのヒトガタ──烏を追って弾幕を吐き出し続けていた。

 

《流石……ランク9、独立傭兵「R.A.V.E.N(レイヴン)」。機体性能はHC(アビ・エシェフ)*3の方が遥かに上……そのはずですがAC(模造品)でここまで戦えるとは想定以上です》

《……》

 

圧倒的な弾幕により抉り取られ崩れ落ちる摩天楼。しかし(レイヴン)と呼ばれたもうしとつのヒトガタは、周囲に緑の粒子を漂わせ、立ち昇る火の粉と黒煙だけでなく満天の月光を背に要塞都市上空に滞空していた。

 

《しかしここは私たちの本拠地(ホームグラウンド)、早急に終わらせます》

 

再びあらゆる砲門を目の前の白いヒトガタへと向けるトキ、如何に技量に勝る目の前の独立傭兵とはいえ要塞都市の全力バックアップ──銃弾が到達前に撃墜するアクティブ防護システムと、死角の攻撃をも回避する未来予知に近い回避支援システム──を受けたHC(アビ・エシェフ)の性能に追い縋るにはAC単機の機体性能では文字通り「不可能」」。

 

《──レイヴン》

 

しかし、そんな月光と硝煙に塗れた戦場に届いた声はこれまで「不可能」を「可能」としてきた(大人)の声であった。

 

《やはり独立傭兵を動員したのは先生ですか、ですが今更何を?いくらランク9が「最優」の傭兵なのだとしても状況は詰み、会長の下には通すつもりはありません》

《そうかも知れない。()()()、彼女の意見に有効な反論ができなかった時点で間違いなのかも知れない》

 

()()()対象を選ばずに無差別に放たれた先生からの通信、それを受けて先生への最後通牒を兼ねた問いを投げ掛けたトキに対し先生は少しばかり後悔を滲ませたような声色で答える。

 

《でも私は先生なんだ。確かに「AL-1S」は本来古代人(無名の司祭)が作った終末兵器だったのかもしれない、本当は彼女がキヴォトスを滅ぼす運命に決定付けられた魔王(無名の女王)なのかも知れない。でも今の「アリス」はまだ私の生徒なんだ。彼女がゲーム開発部を、「勇者」であることを諦めないなら、私はまだ未来を諦めたくない。諦めないよ》

 

生徒(子供)を守る、先生(大人)の決意。確かに大人が誰かを説得する理由としてはいささか感情的で、楽観的と誹られてしまう程度の内容ではある。だが決してその時の最善の選択が結果としての最良の選択だとは限らないように、望んだ未来を掴むために誰もが団結し邁進する理由がそんな理由でも構わないのだ。

 

《だから──》

 

幾つもの爆発、多方面からの爆音と共に要塞都市から火の手が上がる。

 

《ネルたちも成功したみたいだね》

《っ⁈コレは……一体っ⁉︎先生、貴方たち何をっ‼︎》

 

兵装ビルから吐き出される花火だけでなく、次々と文明の光を失ってゆく要塞都市。と同時にトキの付けたヘッドギアに幾つも表示されるエラー表示と明らかに低下してゆくHCの性能に、彼女はこれまで一切見せなかった明確な焦りを見せる。

 

《たった今エリドゥへの送電施設、そして自家発電設備の正副予備のその全てを破壊した》

 

確かにアバンギャルドやアビ・エシェフは強力だ。だがそれも要塞都市の全力バックアップがあってこそ、ミレニアム製の代物がいくら規格外の機能や性能を有するものであっても既存の常識──その稼働には莫大な電力を必要とするなら、それらを止めてしまえばいい。

 

《そんな無茶苦茶っ⁉︎いくら先輩方が特記戦力なのだとして、わざわざ無差別に通信を繋いだのも時間稼ぎだったと⁈》

 

先生の答え合わせにエリドゥの性能と構造、腐っても要塞都市であり生命線である電力設備の防衛システムの強靭さを理解しているトキはあり得ないと断じる。断じるが、実際に都市全体の灯りが失われ機体の性能が落ち続けている現状にトキは現実として受け入れざるを得なかった。

 

 

 

《仕切り直しには十分だ、レイヴン──トキの方は、頼む》

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

●X-AG/HC Abi Eshuh(アビ・エシェフ)

トキ専用の背負式の強化外骨格。

ミレニアム生徒会長かつ天才アーキテクトでもある調月リオが組み上げた機体であり、新型軍用強化外骨格たるACの雛形となったキヴォトスでも他の追随を許さぬ超性能*4を有する機体。

要塞都市とともに極秘裏に開発、建造されたが都市建設の資金不足解消のためにリオが設計を一部外部企業に売却し意図的に流出させたため現在は便宜上HCの型式番号を使用している。

またミレニアム技術の粋を凝らした最新兵器であると同時に、「名もなき神」や「無名の司祭」由来の技術を一部反映した発掘兵器としての一面もある。

 

Weapon

R-ARM:AW-GT01-GAN三連装回転式多銃身機関砲

L-ARM:AW-GT01-GAN三連装回転式多銃身機関砲

R-BACK:EC-O300収束レーザー砲

L-BACK:EC-O300収束レーザー砲

Flame

HEAD:AE-1HE

CORE:AE-1CR

ARMS:AE-1AR

LEGS:AE-1LG

Inner Parts

BOOSTER:BST-AE-1

FCS:FCS-AE

GENERATOR:GN-AE-1

Expansion parts

EXPANSION:PULSE ARMOR

 

 

 

*1
AW-GT01-GAN三連装回転式多銃身機関砲

*2
EC-O300収束レーザー砲

*3
Heavy Cavalryの略、ACよりも高性能な重量機体

*4
要塞都市エリドゥとの接続が前提ではあるが

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