青く透き通ったソラに、導きの星を 作:新人しくじり先生
キヴォトス北東部に位置するミレニアムサイエンススクール、連邦首都であるD.U.に勝るとも劣らぬ規模の超高層ビルが建ち並び天上には幾つもの飛行船が浮かんでいる。誰が言い始めたのかは不明なものの「最も栄えた学園都市」と称されるこの科学都市は、キヴォトスで
《──傭兵支援システム「オールマインド」よりお知らせします。登録番号RZ27、識別名レイヴン。依頼「廃墟探査_深度5」の件について依頼人から報告を求める通信が届いています》
《レイヴン、聞こえるかしら?》
そんな先進都市の一角、その中枢に位置する超高層ビル「ミレニアムタワー」から発されたソレは傭兵支援システム「
《あらあら、まさかこんな朝早くから下水道に流れる汚水の濁音を聞くことになるとは思いませんでしたわ》
そしてミレニアムタワーから発された凛とした声の通信とは別に、ミレニアムでも特に存在を秘された地点から発された通信から聞こえた声は涼やかであれ、そこには途轍もない悪意が丁寧に丁寧に練り込まれていた。
《……聞こえているよ。
そんな腐れ縁染みた彼女たち「
《──さて、下水女とのお喋りはここまでにして……レイヴン、依頼の報告をお願いしますね》
通信開始からたっぷり10分程時間を使ってのいつもの
《……了解。前回の依頼に引き続き、今回は目下最終深度と目されている深度5の探査を実施。詳細は先にエアが送信したレポートの通り、先日探査した深度4までと同じく廊下には幾つか隔壁が作動済みかつ経年劣化から崩落の恐れがある以上過剰な火力となり得るACを使う訳にもいかず生身での探査続行。
やはり通路には朽ちた
深度5最奥、その先に存在する閉ざされた開かずの扉
小火器程度ならばともかく、重火器や爆発物などの使用は以ての外。当然それらの類が満載のACを着込んで探査などできるはずもなく、単独かつ生身での探査を迫られたプラナだったがその探査自体はおおむね何事もなく完了させているのだから流石の独立傭兵である。ただ……、
───あの感覚……センサーではあれ以上の反応は無い。なのに何故……?
《どうしたのかしら?レイヴン?》
《……いや、あの扉。それにあの廃棄された古代兵器の生産工場……本当にアレで最深部だったのだろうか》
おそらく古代人の兵器廠であったのであろう、廃墟エリア地下に広がる巨大な廃工場。レイヴンの持ち帰った情報からヒマリやリオが解析したところ、放棄されて最低数年から最大数万年の振れ幅で経過していると予想されたその建築物は、開かずの扉以外にもその中に実際足を踏み入れたレイヴンへと言いようのない違和感──更なる
その後、プラナの報告だけでなくオペレーターのエアが纏めたレポートを交え、今回の依頼で得られた情報を精査つつ次回の調査依頼──「未踏破領域探査」──について仲が良いんだか悪いんだかトントン拍子で話を詰め始める
《ふむ、では次回の依頼内容はこれで良いでしょう。また
《ところでレイヴン、今貴女は何処に?》
纏まり出した話し合いに、ふと今まで特に口を挟むことなく黙ったままだったプラナに対しヒマリは今彼女が何処にいるのかを問う。廃墟探査のためにミレニアムからそれ程遠い位置にはいないであろう彼女に今すぐ直接会えないか、そんな思惑で問うたヒマリ。
《エンジニア部、その部室だよ》
そんなヒマリの問いに答えたプラナ。あっけからんと答えられたその場所はミレニアムスタディーエリアの一角、ミレニアムの誇る天
「やあ、
オールマインド経由の通信会議が始まる少し前。ミレニアムハイスクールの誇る天災技術屋にして割と問題児な「エンジニア部」の部室にて、そのエンジニア部の部長である
「頼んでいたものは?」
「つれないね。勿論、完成しているとも」
出迎えられて早々に要件を伝えてきたそんな風情の欠片も無いプラナに、ウタハは何処か慣れたように微笑むとプラナを連れて施設の格納庫へと向かう。
「さあ、着いたよ」
そして2人が向かった先、格納庫とは銘打たれているものの研究室や開発室と見紛うばかりにさまざまなな機材や工具が散らばった部屋。
「「XGN/DR-01 GN Drive」……その試作品さ」
雑多な部屋の中心、数多の作業
「説明書については、整備士用のコトリくん*3渾身の超大作とそれを作るのに掛かった時間の3倍以上を掛けて要約した忙しい人向けの簡易マニュアル付き。ついでにヒビキくん*4に頼んで新しくパイロットスーツも新調しておいたよ」
「性能は?」
「理論上は出力上限値までは無制限に電力供給が可能さ、ただしこの子「粒子炉くん1号」まだ試作品でね。普通に消費する分には問題ないんだが、重量の割にEN容量と使い切った際の復元時補充EN量の上限値が少しばかり心許ない。その辺りについては今後も改良していくつもりだよ」
手渡された簡易マニュアルを手に現物と性能諸元を見比べつつ、実性能を尋ねるプラナ。そんな彼女に対し
「任せてくれたまえ。七つの古則の一番目、「
ジェネレータ開発裏話
「ところで君の装備は基本
「アナハイムはアナハイムだもの。十分監視と牽制ができるならばともかく、信用できない点に関しては確実に信頼できる」
「ははっ……酷い言いようだ。……うん、まぁ、そうだね。技術屋としてはともかく、人としては信用ならないのは確かだ」