元人間な覇竜の滅竜魔導師がオラリオに出戻るのは間違っているだろうか? 作:匿名さん
「---おや?君は」
「貴方は!」
「【ロキ・ファミリア】?」
ある物を取りに何処かへ行っていたボールスが戻って来たかと思えば何故か【ロキ・ファミリア】の連中もいた。
なにかと縁があるな〜。
「なんだお前ら知り合いだったのか?」
「前に少しな」
「そういえばお互い自己紹介してなかったね。僕は『フィン・ディムナ』。【ロキ・ファミリア】で団長を任されている」
「【ヘスティア・ファミリア】の『アカム』だ」
言われてみれば確かにあの時はベルの話くらいで俺は名乗っていなかったな。
「ロキ達から〝怪物祭〟での話は聞いてるよ。ファミリアの団長として礼を言わせて欲しい。ありがとう」
「あの時は助けて下さりありがとうございました!」
「気にするな」
顔見知り程度の関係とはいえ目の前で死なれるのは嫌だからな。
「おいおい。話はそのくらいにして今はこっちだ」
「そうだね。犯人の目星は?」
「この男が宿を貸し切った時一緒にいたという女だな。全身を覆うような服装だったらしく顔もよく分からないそうだ。男の方も全身鎧姿だったから同じく分からないらしい」
「そんな客よく泊めたわね」
「基本この街は金さえ払えば問題ないからな。で、ご覧の有様だからコイツを取りに行ってたってわけよ」
「『ステイタスシーフ』。ロックされたステイタスを強制的に表示させようというのか。死者を冒涜するようなマネは褒められたものではないが」
普通は秘匿の為に隠されてるらしいがベルのステータスがされてないのは多分ヘスティアのうっかりだろう。
「んな事言ってる場合じゃねーだろ」
「ふむ、ゾウのシンボルか。となると【ガネーシャ・ファミリア】か?」
「そのようだ。名は、『ハシャーナ・ドルリア』。レベル4だ」
「んな馬鹿な!?レベル4の冒険者が何も出来ずに殺されたってのかよ!?」
「そう驚くようなことでもないだろ。冒険者とはいえ人間だ。『睡眠』、『食事』、『入浴』、そして『生殖行為』。これらの最中は油断してしまうものだ」
古今東西、性行為中の暗殺や殺しなんてのは何度も繰り返し起きているものだしな。
ゴ〇ゴ13くらいじゃないか?それでも油断しないのは。
「せっ!?///」
「首から下には特に外傷もないし血痕も床のみ。油断したところを首でも絞めたんだろう」
「荷物を乱暴に漁ってるところを見るとハシャーナ本人じゃなくて彼の所持品が目的ってところだね」
「んで見つからなかったから癇癪を起こして顔を潰したってわけか」
「……ふむ」
本当にそれだけの理由で顔を潰したんだろうか?
殺してまで手に入れたい物がなかった理由にしては呆気なさすぎる。
「……!?……なるほど。これが狙いか」
『フィン早く調べて〜♡』
『ねぇお願〜い♡』
『身体のすみずみまで〜♡』
『こ……の……アバズレ共〜!!』
『フィンが押し倒されたぞ〜!』
『仕方ない!俺が代わりに!』
『いやいや俺だ!』
「……」
「---よぉ。何見てんだ?」
「ッ!?」
騒ぎに乗じて広場から離れた冒険者を見つめる全身鎧姿の男に話しかける。
アイズとレフィーヤの2人が追いかけたからあっちは大丈夫だろう。
「あの女冒険者、何か大事そうに抱えていたな。もしかしたら事件について何か知ってるのかもしれないな」
「……」
「まあ待てよ。今騒ぎになってる事件で面白い話を聞いてな?殺された男は全身鎧姿だったようなんだが、不思議なことに宿のどこにも男の着ていた装備が見当たらなかったらしい。いったい何処にいったんだろうな?」
何も言わずに行こうとする男を引き止める。
服装である程度予想はしてたが、どうやら当たりらしい。
「死体は首から上が潰されてて顔が分からない。着ていたはずの装備もない。となるとこんな推理も出来るわけだ。もしかしたら犯人の女は殺した男の装備を使って変装してるのかもってな」
「……」
「ところでお前、なんで殺された男の皮を被ってるんだ?」
「……っち」
女の声で舌打ちしながら後ろ腰にある剣で斬りかかってくる。
レベル4の冒険者を殺しただけあって中々のスピードだ。……だが、
---ガギィィン!!
「ッな?!」
「お、砕けないな。そこそこ業物だなっと!」
「ガッ!?」
『武装色の覇気』……っぽく魔力で強化した腕で斬撃を受け止め、動きが止まったところを回し蹴りでフィン達の方に蹴り飛ばす。
何度も地面をバウンドしながら建物に突っ込んでいったが鎧着てたし死んではいないだろう。
「あぁ!?俺の店がァ!!」
「ちょっと!?いったい何事!?」
「事件の犯人だ。剥いだ皮と装備で男に変装していた」
「皮を?……そうか。だから頭を潰したのか」
---ピィィィィィィ……
「笛の音?」
『『『キシャァァァァァッ!』』』
「コイツら〝怪物祭〟の!?」
女が突っ込んだ建物の中から笛の音が聴こえたかと思うと街のあちこちから〝怪物祭〟で暴れていたハエトリグサのモンスターが次々と現れた。
〝怪物祭〟での事もこの女が関係しているのかもしれないな。
「あ!居なくなってる!?」
「逃げたか」
狙いの荷物があるアイズ達の方に行ったんだろう。
レベル4の冒険者を殺したとはいえアイズはレベル5だし多分大丈夫たろう。
『『『キシャァァァァァッ!』』』
「フッ!」
次々に生えてくるモンスターをなんちゃって武装色で強化した爪で切り裂く。
この程度の硬さなら滅竜魔法を使うまでもない。
『AAAAAAAAAAAAAA!!』
「ん?……なんだあのモンスター?」
上半身が人、下半身が植物の巨大なモンスターがこっちに向かって逃げるアイズ達を追っていた。
他の2人を無視して風をまとったアイズに反応してるところを見るとハエトリグサのモンスターの進化体なのかもしれないな。
『AAAAAAAAAAa』
「とりゃあぁぁぁ!」
「ハアッ!」
「ふっ!」
「レフィーヤ!以前やった連携を覚えているな?アレをやるぞ!」
「はい!分かりました!」
「あっちは大丈夫だな。なら」
大剣を片手にアイズへと襲いかかる女に意識を向ける。
アイズなら大丈夫だろうと思っていたが風を纏った状態で押されていた。
「便利な風だなアリア」
「どこでその名前を!」
「さぁな?」
アイズを『アリア』と呼ぶ女だったが当のアイズもその名に覚えがあるみたいだった。
なにやら訳ありっぽいな。
「カハッ!?」
「終わりだ」
「ところがぎっちょん」
ダメージて動けないでいるアイズとトドメをさそうとしていた女の間に割り込んで拳を受け止める。
同じく動こうとしていたフィン達には悪いががちょっと確認したいことがあるから譲ってもらうぞ。
「またお前か!」
「さっきの続きといこうじゃないか」
「貴様!」
女が拳や蹴りを繰り出すが捌き、逸らして無効化する。
筋はいいが技術もないから余裕でさばける。
「一応きいとくが何が目的だ?」
「素直に答えるとでも思うか?」
「思わないな。だから、力づくで聞き出すとしよう」
「がぁっ!?」
パンチを交わして女の懐に潜り込み肘を打ち込む。
八極拳でいうところの『頂肘』という技だ。
「そら、どんどんいくぞ?」
「ぐっ!」
そのまま流れるように肘や拳を女に打ち込む。
独学のなんちゃって八極拳だが武術家でもない相手には余裕で通じる。
「カッ!」
「がはぁ!?」
最後の掌底で心臓を穿たれた女が地面から生える結晶を砕きながら後ろへ吹っ飛ぶ。
一応手加減はしたがそれなりのダメージにはなってるだろう。
「……くっ。第1級……レベル6か。分が……悪いな」
「大人しく話す気になったか?」
「ほざけ。……ヴィオラス!」
『『『キシャァァァァァッ!』』』
呼びかけに応じたハエトリグサのモンスターが女を守るように俺に向かってきた。
その隙をついて女は逃げだすがタダでは逃がさんよ。
「『覇竜の剛爪』」
「グッ!!」
振るった爪の軌跡にそって放たれた斬撃でモンスターはバラバラに、そして女は切断された両腕と深く切り裂かれた胸から血を流しながら下へと落ちていった。
「……逃げられたか」
崖の下に広がる湖に女の姿は何処にもなく、水面に赤い血が混じった波紋が漂っていた。
気がつけばお気に入りがこんなにも( °∀° )ワーォ