実は事情を把握してるモブ二人、サウナでの会話記録 作:ばしお
扉を開けて、教室の中へと入った時に俺は確信した。
あ……ヤバいかもしれん。
自分のこれから一緒に過ごすであろうクラスメイト達の雰囲気を見て、治安がもしかしたら最悪かもしれない事に。
取り合えず気配を出来る限り消して、その場に過ごすことにした。
後から先生が来て、説明を受けた後、生徒達は
その後に、疲れた俺は速攻である場所へと向かった。
そう、浴場である。
だが、俺の目的は浸かることじゃない。
流石に直行で来たかいがあってか見渡す限り人はいなかった。
身体を洗い、事前に勝っておいたペットボトルを棚に置いて、そのままサウナ室の扉を開く。
そこには一人だけ、さっき別れた友が一足先に汗を流していた。
「よぉ…」
「遅かったじゃないか」
「いや、ちょっといろいろあってな…」
「そうか、それはご苦労様だな」
「そっちこそどうだったんだよ」
「……まぁ、自我を出さなければ取りあえずは大丈夫じゃないかなと思うよ」
「……杖を突いて歩いてたロリ美少女か……」
「…………なんでそう思う?」
「直感」
「はぁ……お前のそれ、昔から思ってるけど、正確性っていうか…凄いよな、とにかく。もはや未来予知できるんじゃないの?」
「未来予知まで出来たら流石に怖ぇよ…」
ここで素直に認めるあたり、俺の直感力を認めているのだと都度思ってしまう。
俺はある日を境に、第六感ともいうべき、人の善意や悪意その他もろもろの感情を内容の理解を超えて肌感覚で捉える事が出来る直観力が備わった。
最初はコントロールも出来なくて、まるで水道の蛇口を全開にして駄々漏らしたように様々な人の感情を直に感じてしまい、何度も気絶しかけたが、今は限定的に使う事が出来るので苦悶の日々を過ごすことはなくなった。
いや、今でも偶に無意識的に直感が働いてしまい、人の見えなくていい悪意に触れる事もあるから困ってい入るが……。
「……もしかしなくても俺達、過酷な道に自分たちから進んだのかもな」
「そうかもな、さっきあったポイントの説明から、クラスメイトの雰囲気とか見てたらおおよそ事情はわかったからね。」
「無事に卒業できるかも分からんなこれ……」
「まぁ頑張るしかないだろうなそれは」
「俺達も、形式上は多分敵同士になるんだよなぁ。」
「まぁ、だから外ではあまりクラスの事を話すのも良くないかもね、自分達のクラスメイトに聞かれて裏切者と勘違いされたら只じゃすまないだろうし。」
只じゃすまないどころかそちらさんのリーダーは利敵行為がバレた場合、即退学に追い込みそうな気がするが……
「じゃあ、自分たちのクラスは置いといて、DクラスとBクラスについては何かある?」
DクラスとBクラスか……
Dは間違いなく、今は違うかもしれないがこの先脅威の存在になっていくんじゃないかと思っている。理由は明確に、一人の人物がそのクラスにいる事だ。
Bクラスは……仲良さそうでいいな……俺もそっち行きたかったな……。
「Dクラスは今の所例の一人を除いては普通って感じだが、Bクラスはどうだろうな……遠目で見てたら仲良さそうな雰囲気だけど、まだ分からん。取り合えずお前らのクラスが一番優秀な奴多いんじゃないか?」
「まぁ、そうだろうな。」
「あぁ…」
それから俺たちはタオルを頭にかけた状態で床を見つめる様に下を向き無言になった。
今の段階であれこれ話すのもあまり意味は無いだろうとお互い考えている為だ。
俺たちが無事、友人関係を保ったまま学校を卒業したいなら、たとえ二人っきりでほかに誰もいないと言っても、不用意な発言は今後控えた方が良いのだろう。
取り合えず今は只、整う事だけに集中しよう……。
「………」
「………」
お互い無言になって、俺たちは黙々とサウナ―における王道の手順、サウナ、水風呂、休憩を忠実にこなし、整うまで三往復サウナに行った。