黒狼鳥女のヒーローアカデミア   作:極限獰猛傀異克服歴戦王辿異種黒狼鳥

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ヒーローに有るまじき戦闘狂

 試験から1週間ほど経った頃、雄英から封筒が届いた。中に入っていたプロジェクターが首席合格である事を伝えた頃には、私はウサギのお姉さんの家の窓をクチバシで突き破っていた。もちろんそれにキレたお姉さんに思いっきり蹴り飛ばされてノックダウン。正直、あの蹴りは普段の何倍も鋭かった。

 30分くらい説教されたけど、その後首席合格だって事を伝えたら頭をワシャワシャと撫でながら褒めてくれた。

 それと気になった事がひとつ。私が引越しで数年会えない事も伝えた時に、お姉さんは何だか意味深な事を言ってきた。「とりあえず5月まで待ってろ」って……どういう事なんだろう? 

 

 


 

 遡る事1週間前。雄英高校の教師達は、ヒーロー科の最終的な合格者の決定と組み分けを行っていた。

 

「実技総合、成績出ました」

「救助ポイント0で2位とはなぁ──」

 

 入学試験を隠しポイントとして設けたレスキューポイント0でありながら2位(それも(ヴィラン)ポイントだけで見るならトップタイ)で合格した爆豪 勝己や、逆にレスキューポイントのみで合格した緑谷 出久を評価、称賛する声。

 彼らは共通して今年は特に将来有望な生徒達を迎え入れられそうだと認識していた。……約1名に対してを除き。

 

「おいおい、こりゃあ……」

「むぅ……」

 

 やがて玄竜の映像が投影されて、彼らは唸る。その原因は彼女の経歴か、試験中の姿か、それともその両方か……。

 1人の教師が彼女の経歴を読み上げていく。

 

「……玄竜 烏姫。個性は『鳥竜』で異形型に分類。周辺家庭を含め組織的ヴィランとの交流は無く、平時の素行は至って普通だが今まで計4回の暴行を起こしている。しかし本人の過失は見られず」

 

 素行に多少の問題こそあれど、一応許容範囲内のものではあった。しかし、彼女の持つ個性が教師達の頭を悩ませる。

 

「個性は鳥類と爬虫類の中間と思われる生物の姿を得る個性で、5歳からは本人の意思で抑制されて人に近い姿をとっている。また個性の影響により、異常なまでの戦闘欲求を持ち、過去3回に渡って投薬等による抑制が試みられたが、全て失敗。抑制は限りなく不可能に近い……ですか」

 

 それからしばらく、玄竜の異常すぎる戦闘欲求が制御出来るか議論が行われるが、やはり芳しくない。

 

「……幾ら実技試験で1位とはいえ、我々が彼女を一切のトラブル無く制御し、プロヒーローに育て上げる事は不可能でしょう。3年間他の生徒に危害を加える可能性も考慮すれば、彼女は落とすべきです」

 

 強さは間違いなくある逸材を落とす事を残念がる声も多かったが、彼らは玄竜という危険極まりない爆弾を制御できる可能性が低いのも同時に理解していた。生徒の安全を確実なものへとする為に、玄竜の合格は取り消しの方向に傾いていた。

 クラスの振り分けに話題が移ろうとした時、司会を担当していた男の尻から振動音がした。

 

『……悪ぃ切り忘れてた。2,3分で済ませるからそんな目で見るなってイレイザー』

 

 男は同期の彼に白い目を向けられながら会議室の外に出る。数秒の沈黙の後、困ったような声で男が話しているのが会議室からも聞こえた。彼はいつも声がデカいのだ。

 

『なんだよ急に。今会議中だって…………what? なんでお前が玄竜 烏姫の事を……お隣さんだァ!? ……あぁ……うん……え、つーかなんでウチの実技結果を……カンて…………いやそんな事俺に言われても…………あー分かった、分かったって!! 一応伝えるけどあんま期待すんなよ?』

 

 珍しくテンション低めで戻ってきた彼の説明をまとめると、某ラビットヒーローが"玄竜は私のお隣さんで、素行はヒーローとしても保証するし対応方法もメールで送るから、合格ラインにいるならちゃんと通せ。伝えなかったら雄英まで行ってお前の事蹴っ飛ばすからな"……と伝えてきたそう。

 何故実技試験の結果が分かったのかや会議中のピンポイントに電話をかけたのかは置いておいて、実際に送られてきた(彼女が作ったにしてはかなり丁寧な)対処マニュアル等を見れば……想像していたよりかは簡単に制御可能だと分かった。次第に前向きな意見が増えていき、合格させる運びに傾いてきた。

 まさかの外部からの援護射撃でひっくり返った場の意見だったが、それでも1人納得しきれていない者がいた。

 

「…………しかし、それでも彼女はヒーローには向いていません。その点に関しては2位の爆豪とは比較にならないでしょう。彼はヒーローになりたいという根本は他の受験生と変わりませんが、玄竜は戦闘そのものを目的としている。いつかその違いが決定的なものにならない今のうちに落とすべきかと」

 

「……確かに、君の懸念もよく分かる。言葉だけの保証に頼って決めるのは危ういし、未来に不安も残る。……だけど、僕は彼女の話を聞いてリスクを背負うに値する価値があると思ったのさ」

 

 人なのかと聞かれたら答えに困る上司の意見を聞いている彼は、やはりまだ納得できていない。

 

「価値……ですか。俺にはその価値が何なのか分かりません」

 

「……それはね、彼女が"異常を受け入れて社会に適応しようとしている"からだよ。……君も納得しきれていないだろうし、もし僕の予想が外れて失敗した時の保険も欲しい……だからどうかな? ここは推薦枠とも違う、言わば特別枠として彼女を迎え入れるというのは!!」

 

「……つまり、ヒーロー科を41人にするということですか? 今年はオールマイトの件もあります。マスコミ連中が何を言うか……」

 

「だからこそ、ちょうどいいんだよ。ちょうど、実技で同点の生徒がいたからね。公式には同点のためと発表しよう。国の方も僕が何とか納得させるのさ」

 

 信頼している上司にそこまでやると宣言されたら、一介の教師に過ぎない彼は認めざるを得ない。……このまま否定的な姿勢をとるほど、彼は空気が読めない訳でも無い。

 

「……ひとつだけ、お願いがあります。俺自身の目で、彼女がどういう存在なのか確認させてください」

 

「もちろん、そのつもりだったのさ」

 

 ……彼は、やはりこの哺乳類には敵わないと思いため息をつく。




マジでギリギリ。作者の脳の稼働率も限界ギリギリ。

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