黒狼鳥女のヒーローアカデミア   作:極限獰猛傀異克服歴戦王辿異種黒狼鳥

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全ての場面において最適な武具は存在しない(アイスボーンの黒龍武器とかは例外)


目先の結果だけに惑わされるな

「わぁ……!!!」

 

 遂に始まった高校生活の(早)朝。私はアパートを出てダッシュで向かい(もちろん交通ルールは守って)、雄英の校門に立つ。入試の時も思ったが、やはり大きい。

 

(……ちょっと早すぎたかな?)

 

 辺りを見回してみると、他の生徒が全然いない。流石に徒歩十分の距離で5時出発は早すぎたかな? まぁ門は開いてるし、窓から光が漏れてる。入っても大丈夫だろう……たぶん。

 

 


 

 

 楽しみにしすぎて忘れてたけど、入学式は9時からだった。4時間近く暇を持て余しちゃうのは流石に不味かったか……まぁ、けっこう校舎広いし、今のうちに道とか覚えておこうっと。

 

「知ると知らぬじゃ月とすっぽん〜。ならば知ろうよ周りの道を〜」

 

 即席の歌を歌いながら、私はふと気がついた。

 ……私の所属するクラスの教室、どこだっけ? 

 

(んーと、パンフレットは確かここに……ッ!!)

 

 パンフレットを取り出す為にポケットをまさぐっていると、突然後ろに気配が現れた。飛び退きつつ後ろを向くと、一人の男が立っていた。私には見るだけで分かる。この男、めちゃくちゃ強い!! 

 警戒しつつ戦いの構えをすると、突然男が口を開いた。

 

「お前、来るの早すぎな。確かに予定より早く到着するのは極めて合理的な行動だろう。だが、度を過ぎれば周囲に多大な迷惑をかける非合理的な行動になる事を覚えろ」

 

「……へ?」

 

「あ、自己紹介を忘れてたな。お前が所属する1-Aの担任、相澤だ」

 

「た、担任ですか……」

 

 自己紹介の後もまだ疑ったままの私を見た相澤先生(?)が、首にかけている名札を手に取って見せてきた。……ホントに教師で、しかも担任。顔も名札の写真と一致するし、何より即席の変装の類いじゃ無理なくらい……その、年季の入った不潔さ。うん、思っても口に出さなかった私はきっとえらい。

 

「……あの」

 

「何だ」

 

 私は恥ずかしさを堪えながら、相澤先生に質問する。高校生にもなってこんな事を聞くのは恥ずかしいけど、聞かなかったら余計ダメだ。しっかり言おう。

 

「1-Aって、どこですか……?」

 

「はぁ……あそこを右に曲がれば1年の教室がある。ちゃんと覚えるように。あと、教室に俺が来るまで勝手にうろつかないように。いいな?」

 

 相澤先生にため息をつかれ、半ば睨まれながら丁寧に道順を教えてくれた。……うん、あんまり問題を起こして退学とかさせられたら本末転倒だし、じっとしてよう。

 私の席は廊下側から2列目の1番後ろだった。喜ぶにも落胆するにも中途半端で微妙な位置だなぁ……。

 


 

 イメージトレーニングで暇を潰し、8時頃になると何人か他の生徒が教室に入ってきた。やっぱり5時出発は早すぎた。次からはあと2時間くらい出るのを遅らせよう。何人かこっちに視線が向いていたけど気にせずイメトレを続ける。

 

 ………………人の気配も増えてきたし、そろそろ切り上げよう。そう思って目を開けると、半分以上は集まって席に座っていた。

 

(色んな奴がいるなぁ……私みたいなガッツリとした異形型はほとんど居ないかぁ……)

 

 私が言うのもアレだけど、みんなキャラが濃そうだ。間違えて覚えたりするようなことは無さそうでちょっと安心。

 あ、これから3年共にするつもりなんだし、挨拶くらいはしなきゃね。まずはお隣さんだ。……って、この子……。

 

「そっくり……あ、自己紹介しなきゃね。私は玄竜 烏姫。これから3年間よろしくね」

 

「そっくり……? ……あぁ、そういう事か。俺は常闇だ。そして……『ヨウッ! ヨロシクナ!』相棒の黒影(ダークシャドウ)だ」

 

「へぇ……これが常闇くんの個性なんだ」

 

 常闇くんのお腹辺りからニュルっと出てきた……なんだろう、なんか蠢いてるし影とはちょっと違うんだよなぁ。……まぁいいや。喋る個性が出てきた。

 黒影(ダークシャドウ)の喉を撫でながら常闇くんと出身校とか実技の事を話していると、相澤先生の気配がした。

 

「お友達ごっこがしたいなら余所へ行け。ここは……ヒーロー科だぞ」

 

 寝袋に入ったまま立った──器用だなぁ──相澤先生は、ゼリーを一瞬で飲み干して静かになるのを待つ。

 

「……はい、静かになるまで8秒かかりました。時間は有限、君たちは合理性に欠けるね……担任の相澤 消太だ。よろしくね」

 

 私はこの人予め知ってたから特に驚かなかったけど、常闇くんや周りの人達は驚いて固まってしまっている。相澤先生はそれに目もくれず、寝袋から何かを取り出した。

 

「早速だが体操服着てグラウンドに出ろ。体操服は机の中に入ってるからな」

 

 そう言われて机の中を覗いてみると、雄英高校のジャージが入っていた。相澤先生が居なくなった後もみんな困惑気味で動けてなかったけど、私は気にせずジャージと見取り図を取り出して更衣室を探す。あ、結構近い。

 


 

 ジャージを着て相澤先生に指定されたグラウンドに向かうと、中学の時によくやった体力テスト用の白線とトラックが用意されてた。何となく相澤先生がやらせたい事は分かったけど、フツーこのタイミングでやる? 

 

「お前達には個性把握テストを受けてもらう」

 

「「「個性把握テスト!!??」」」

 

 まぁ、要は私達の実力とかを見ておきたいんだろうけどさ……その為に入学式とか諸々の手続きをすっぽかしちゃって大丈夫なのかな? 隣の子も同じようなことを思ったのか、慌てたように相澤先生へ聞いてみる。

 

「入学式は!? ガイダンスは!?」

 

「さっきも言っただろう? 時間は有限。ヒーローを目指すのに、そんな悠長な行事出てられないよ」

 

 一理あるような、でもちょっと違うような……まぁ私達がどれだけ文句を言おうと覆す気は無いだろうね。というか相澤先生も行事をすっぽかす許可取ってるだろうし。そうじゃなきゃこんな暴挙はすぐに止められてるはずだもの。

 

「ソフトボール投げ、立ち幅跳び、50m走、持久走、握力、反復横跳び、上体起こし、長座体前屈……中学の頃からやってるだろ? 個性禁止の体力テスト。国は未だ画一的な記録を取って平均を作る事に躍起になってるが……合理的じゃない。文部科学省の怠慢と言ってもいいだろう」

 

 途中愚痴が挟まったけど、言いたい事は理解出来る。まず私みたいな個性を使わない事が不可能な異形型が存在してる時点で個性禁止のルールが破綻してるし、そもそも個性も含めての成績を計測しないと意味が無い。だって個性禁止ってそれ、手を抜いてやれと言われるのと変わらないじゃんか。

 

「そうだな……玄竜、お前中学の時ソフトボール投げ何mだった?」

 

「あ、私ですか? ……確か74mだったと思います」

 

 いきなり呼ばれて間抜けな返事をしちゃった……私、ちっちゃい物投げるのそんな得意じゃないんだよねぇ……。相澤先生が放り投げてきたボールをキャッチして交互に見る。

 

「んじゃ今回は個性アリでやれ。違いが明確な方が実感も湧くだろうしな」

 

「あー……相澤先生? 私、個性使うと手が使えないんですけどどうすれば……」

 

「……そうだったな。なら足でやっても構わん。ただし、円からは出るなよ?」

 

 果たして足で投げるのはソフトボール投げなのだろうかと思いつつ、ボールを地面に置いて"抑え"を外す。

 

「なんと……!!」

 

「変身したぁ!!??」

 

「カッケェ!!」

 

 思っていたよりずっと好意的な感想が来てちょっぴり嬉しい。……っとと。今は目の前の事に集中しなきゃ。

 右足でボールを掴み(ソフトボールが小さくて結構難しい)、片足で立ちつつスイングして投げる。

 

「「速っ!?」」

 

 水平に飛ばしたボールが見えなくなってしばらくすると、相澤先生の持っていた端末から電子音がした。

 

「記録、『722m』。このように自分の最大限を知ることはヒーローの素地を作るための第一歩だ」

 

 よかった……初めてやったから変な方向に飛ばないかちょっと不安だったんだよね。

 ほっと息を吐いていると、歓声と共に楽しげな声が聞こえる。振り向いてみれば、常闇くんも笑みを隠しきれてない。

 

「なにこれ、面白そう!!!」

 

「ほう……面白そう……か。ヒーローになる三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい? よし! ではトータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

 

 相澤先生が不機嫌そうな顔をした瞬間、周囲は一瞬で黙り、不安そうに彼を見つめる。……ん? ………………除籍処分!?




玄竜ちゃん、普段"は"まともです。

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