続編を望む声が多くあったので追加で作成しました。
本編がバドエン、あとがきにハピエン置いときます。
「っらぁっ!!」
目の前の憎い相手の胸ぐらを掴み上げ、そのまま壁に叩き付ける。
「っぐ…」
「逃げずにやって来た所だけは褒めてあげる…なんて言うわけないでしょ!!」
そのまま、間髪入れず鳩尾に蹴りを入れる。
「い゛っ!!ぎ…」
腹部を押さえ俯く宇沢の髪の毛を引っ張り、無理矢理上を向かせる。
「ねぇ?なんでアイツにあんな酷いことできるの?アイツが何かしたわけ?」
「……ぅえ…」
「アイツが!お前に!何したかって!聞いてんだよ!!!」
そのままビンタをかます。ブチブチと音を立て、髪の毛が何本か抜ける。
「…っ!…っ!」
「アイツに虫食わせたのお前だろ。私が来た時、アイツの目の前に居たもんねえ!?」
「……そうっ…です!私が、なんにも悪いことしてない◯◯を…傷付けました!」
「開き直んな…よっ!!」ガスッ
「っぐぅ…!わ、たしは…あやまら、ないと…いけないんです!」
「そんな権利が、まだ自分にあると思ってんの!?裏切って、あんなことまでしといて、今更謝って。そんな虫がいい話、あるわけ無いでしょ!!」
何度殴り付けても、蹴飛ばしても、立ち上がるレイサ。
元々情に厚く、無抵抗の人間を嬲る趣味など無いカズサ。この辺りから、拳に込められる力も弱くなっていく。
「わかって…ます。ゆるされ、ないことくらい。でも…」
「くっそ…そんな目で見ないでよ…」
土埃まみれになり、制服はボロボロ。
鼻からは血が出ており、髪もボサボサになってしまっている。
しかし、その眼には決意が宿っていた。
ロクデナシ共と付き合っていた頃の迷いだらけの眼ではなくなっていた。
自分も友人として認めていた、『宇沢レイサ』がそこに立っていた。
「…◯◯に謝りたい?」
「っはい!」
「…分かった、連絡はしてあげる。でもアイツが嫌って言ったら、その時は諦めて。」
「ありがとう…ありがとうございますっ!」
「うん、うん。そう…分かった。良かったね宇沢、会ってくれるってさ。校舎裏に来てだって。」
「分かりました!本当に、本当にありがとうございます!!」
自業自得とはいえ、ボッコボコにした相手からこうも心からの感謝を聞けるのは珍しい。
(このまま、何もなければ良いんだけど…)
ボロボロの姿で駆け出すレイサを見送る。
(さて、私はどこ行こっかな~…)
「…◯◯っ!!」
校舎裏に着くと、◯◯は既に居た。
ずっと謝りたかった、自分に居場所をくれた親友。
私が自分勝手に切り捨て、傷付けた相手。
「レイちゃ…宇沢さん!?どうしたのその傷!」
こんな私に対しても、何よりも先に心配してくれる。
こんなに優しい友達に対して、私は何をした?
これまでの出来事を思い出し、声をあげて泣き出してしまう。
「ま、待ってね?これ、取り敢えず綺麗な水と絆創膏と…あと…」
鞄から次々と医療用具を取り出す◯◯。
慣れた手付きで傷口を洗い流し、消毒してくれる。
「…ごめ゛ん…なざい゛!!」
「ぅえ!?な、何のこと?」
「だいじな、◯◯を傷付けて、裏切って、ごめ゛んなざい゛ぃい!!」
「あぁ、そのことか。別に大丈夫だよ、あの子達に合わせるためにやってたんでしょ?僕が気持ち悪いのは事実だし。」
「ぢがい゛ます!!◯◯は最高の友達ですっ!…っあ、ち、違うんです。あんなことしておいて友達だなんて…あやまり、たかっただけで。私…」
「…僕は、レイちゃんと友達に戻りたいな。」
「ゆるして…くれるんですか?また、友達になってくれるんですか!?」
「間違うことなんか誰にでもあるしね。僕なんかで良ければ…」
「◯◯ぅ!!…ありがとう!ありがとぉございますぅう!!」
感情が抑えられなくなり、目の前の男性に飛び付く。
「わわっ!?ちょ、レイちゃん!?」
「う゛ぅ~…◯◯…◯◯ぅ!!」
「……参ったな…あ゛ぐっ!?」
胸板に顔を埋め、頭を擦り付けていると、突然苦しそうに呻く◯◯。力が抜け、私に倒れかかってくる。
「ははっ…やった、やってやった!ざまーっ!!ははは!バーカ!!」
◯◯の背中の向こうで笑うのは、私の『お友達』の内の一人。
こちらを一瞥すると、そそくさと走り去って行った。
「◯◯っ!?いやっ…返事、してください!◯◯っ!」
「レイ…ちゃん。楽し…かった、よ。あり、が」
灼けるような背中の痛みに耐えながら、どうにか笑顔を作り、言葉を紡ぐ。
彼女が気に病まないように。優しい彼女の、一生の枷にならないように。
「いやっ…いや!いやです!!血が、血を…どうにか、しなきゃ…私が…」
パニックに陥る彼女を宥めようとするが、腕は上がらない。声も出ず、ヒューヒューという気の抜けた笛のような音か、弱々しい咳しか出ず、余計に彼女を焦らせてしまう。
「やだやだやだやだ!!◯◯!死なないでください!!私を、一人にしないでください!!」
必死に傷口を押さえてくれるが、流れる血は止まらない。撃ち込まれた弾丸は一つや二つではないので仕方の無いことだ。
(あー…もう、無理かな…)
遠のく意識。最後に見たのは、最愛の親友の泣き顔。
(こんなはずじゃ、無かったんだけどなぁ…)
目の前の女の子はもちろん、スイーツ部の皆にも悪いことをしたなぁと思いつつも、眠気には勝てず。
必死に呼びかける声も、次第に聞こえなくなっていった。
「…参ったな…っ!?」
突然の銃声に驚き、振り返る。
「杏山さん!?」
「あっぶな…嫌な予感って当たるんだね…」
もう少しずれていたら、直撃していたであろう位置の地面にできた弾痕に身震いする。
「ぐぐ…くそ、くそぉお!!」
「宇沢に変なこと吹き込んだやつだね?前ので懲りたと思ってた、よっ!!」
先程宇沢をボコボコにした時よりも力を込め、正拳付きを鳩尾に叩き込む。
「ぐぶっ…!!」
「へぇ、今ので落ちないんだ。」ガツン!
腹部へのダメージで前のめりになり、無防備になった頭にゲンコツを叩き込むと、勢いのままに地面に倒れ伏した。と同時に、トリモブのヘイローが消える。
「助かりました……その、死んでません?」
「大丈夫だと思うよ。本気で殴ってないし。」
「地面にめり込んでるんですけど…」
「それより、なんか良い雰囲気だったのに邪魔してごめんね?いや、コイツが悪いんだけどさ。」
そう言われ、自分達の状況をお互い確認する。
みるみる間に紅潮していくレイサ。
「こここれは!ちがくて、その…あばば…は、離します!今離します!」///
「照れなくても良いのに…取り敢えず、今日のスイーツ部の話題は決まりだね。」
「やめてください!ちがいますから!」///
「そんなに言ったら、◯◯が可哀想だよ。ねえ◯◯?」
「うぅ…いや、ちがくてその…◯◯は素敵ですが…」///
「ぶっちゃけラブなんでしょ?」
「うぅう…そ、それは…はい…」///
「だってさ、◯◯。どうすんの?」
「えぇ…そ、その、僕も好き!(クソデカ大声)」
「じ、じゃあ、付き合っちゃいます?」///
「う、うん…」///
お互いに口をもにゅもにゅさせながら、顔を真っ赤にさせてにへへと笑い合う。
(ちょっとからかおうと思ったらカップル誕生しちゃった…おもしろ。)
その後、ばっちりスイーツ部にネタにされた。
なお例の三人は、杏山さんの睨みもあり手出ししてこなくなった。
最近は何をするにもレイちゃんと一緒にいるので、自然とイジメも止まり、今ではカップル弄りに変わった。
恥ずかしいのでやめてほしいのだが、レイちゃんが幸せそうなので良しとする。