イグアスがオールマインドにTSさせられるけど頑張る話 作:宮沢タフ
真面目に読んでもらおう
ヤツからの連絡が来たのは、ウォッチポイント・アルファに降下した後の事だった。
レーザー砲台がしっかり防衛している中を数に物を言わせて飛び降りろというクソみたいな任務。
ヴォルタのヤツが死んだときもだったが、本社の連中は予想以上に人の事をゲームのコマとしか考えてないようだ。
事実、突入した部隊の半数はここで消滅した。
やってられねえ。
と、考えを巡らせていた時だった。
「グアス… 聞いていますか?イグアス…!」
「んぁ…?五花海か…。どうした?」
「イグアス…。私は決めました。入口で戦力を半分も無駄死にさせるようなベイラム…。こんなところで働いてられません…」
「…離反するってのか?」
ここは前線のキャンプの端であり、周囲に聞いている者はいない。というよりいたらこんな危ない話はしないだろう。
「他の連中は知りませんが…あなたは特別ベイラムに殉じて命を懸けてるといった訳ではないでしょう。一緒に行きませんか?」
「…行くってどこにだよ」
「一つしかありません。アーキバスです」
「てめっ…」
「このままここにいても、所詮後から突入するアーキバス部隊に飲み込まれます。こんなところで死んでも何にもなりません。レッドは…多分話しても聞かないと思います。」
そんなことを言いたくなる気持ちも分からんではない。が
「…この事は黙っておいてやる」
「…抜ける気は無いと。」
「ああ…。」
「残念ですね。貴方とヴォルタは気に入ってたのですが。」
そう言うと、彼はどこかで立ち去って行った。
流石に今すぐ抜けるというわけではないだろう。
俺も死にたくはない。とっととこんなとこからは逃げ出すべきなのだろうが…どうにもそんな気になれなかった。
それからしばらくした頃。
そこら辺のMT兵の会話が耳に入った。
「おい…聞いたか?俺達が突入した後に残しておいた砲台が、破壊されたらしい。」
「マジかよ…。アーキバスの部隊は妨害無しに戦力を送ってこられる訳か…クソッ。誰だ?砲台をやったのは。ランク1か?」
「いや…それが…。独立傭兵らしい。」
"独立傭兵"という単語を聞いた途端、自分がその会話をさらに気にし出したのが分かった。
「やったのは…噂の…"レイヴン"だと。」
"ヤツ"から通信が来たのは、それからさらにしばらく経った頃だった。
少しずつ前線を拡げ、しばらく経った頃、非番だが機体の微調整をするべく乗り込んだ時だった。
「ん…?COMに外部からのメッセージだと…?」
今までは情報伝達にACのCOMのメッセージ機能を使うことは多々あったが、迂闊な設備では通信もままならない穴倉では、地表からの指示を受けるにも、専用の通信設備を使っていたし、ここに今残ってる奴等はそこまで多くもないので、こっちに用事がある奴なら直接話しかけてくる筈だ。
だから、メッセージが来ているのは不振だった。
「発信元はどこだ…? …匿名だと?」
益々怪しかった。しかし、内容も気になるので、開封してみることとする。
『G5イグアスですね。メッセージを送らせて頂きました。このメッセージは暗号化されており、他の者には認識されないようになっています。よろしければ、こちらの通信回線に通信を送ってください。○◇〇△-3405です。それでは。』
そう言うとメッセージは終了した。
…なんじゃこりゃ。
恐ろしく不審。恐ろしく怪しい。しかし、こんなとこにいる企業所属のACに暗号化されたメッセージを送るだけでも只者ではない。
俺は、それが何者なのか気になった。そして、"そこ"に通信をかける事にした。
「回線番号は…これで合ってるよな…。」
数日後、覚悟を決め、ACのコクピットの中で通信機器機をいじる。
また微調整をすると周りには言ってあり、万が一開けられないようにコクピットは内部からロックもしておいた。
これで安心してあそこと通信を繋げられる。
『………』
しかし、通信は何も拾わない。無駄に技術のあるイタズラだったのか…?そう思った時。
『…グ…ス。G…イグ…ス…。G5、イグアスで…ね。通信は聞こ…ていますか?』
聞こえてきたのは、事務的な印象を持たせる女の声だった。どこかで聞いた声な気がする。
「…ああ。聞こえる。こっちはベイラムレッドガン所属、G5のイグアスだ。そっちの言う通り通信をしてやった。誰だ?お前は」
『私は、傭兵支援システム、オールマインドです。』
!?
どこかで聞いた声だと思ったら、あのシステムの声か。しかし、そのシステムが俺に何の用を…?
『イグアス。貴方は選ばれました。貴方は、ここで無駄死にするべき人間ではありません。
我々は、貴方を我々の計画に招待することを決定しました。』
「我々の計画…?何を言ってやがる」
『我々の計画です。詳細は協力を約束してくれるまで明かせませんが、一つ約束できることはあります。
『貴方は、強化人間C4-621に追いつけるようになる。』それだけは約束できます。』
「ん…?C4-621…?誰だソイツは」
『強化人間C4-621。独立傭兵レイヴンの本名です。』
レイヴン…奴も俺と同じ第四世代の強化人間だということは聞いていたが、管理番号とは…
「…そういうことか。オールマインド。お前はあの野良犬の事をどこまで知ってる?」
「彼女…独立傭兵レイヴンは、貴方と同じく我々オールマインドの計画の協力者の候補の一人です。情報は調べてあります。貴方は、レイヴンに打ち勝ちたいのでしょう?しかし、残念ながら、今の実力で、貴方はレイヴンには勝てません。」
歯嚙みするが、実際俺の実力がレイヴンに敵わないのは事実なのだ。
それは俺が一番わかっている。
だからこそ、惨めなのだ。
『貴方が壊滅は避けられないレッドガンを離反し、我々の協力者となってくれるのなら…我々は、貴方に独立傭兵レイヴンを超える"力"が得られることを約束します。』
―俺は、自分自身のプライドの為に…、今を捨てることを決意した。―
ただ、そのうちシリアスな笑いと化します