「ふむ……興味深いな…」
研究所にて、モニターに映されたデータを見ながら男は呟く。
「ヘイロー、だったか……」
どうやらこの男は、ヘイローについて調べているらしい。そして手にしたスマホから、アプリを立ち上げる。
1:悪魔研究者
貴殿等よ。これよりヘイローについての吾輩なりの見解を話す。時間はあるか?
2:普通の名無し
ヴィクトル*1さん!
3:普通の名無し
前に頼んだ件か
4:普通の名無し
そもそもヘイローって何?ってね
5:悪魔研究者
大丈夫そうだな。では説明を始める。先ずはヘイローの特性について、今更だが話そう
そしてヴィクトルはスマホに向けて話し始める。内容は小難しい言い回しや専門用語が多かったので、理解出来るスレ民と、そうでないスレ民とで別れた。
51:普通の名無し
頭がこんがらがる〜
52:普通の名無し
成程
53:普通の名無し
難しい…
54:普通の名無し
済まない、まとめニキ頼んだ!
54:普通の名無し
分かった。簡潔に纏めるぞ
1 ヘイローを持った生徒は、超人的な力や耐久性を持つ。
例 銃で撃たれても痛い程度で済む。重い銃を片手で軽々と放つ等。
2 ヘイローはオン・オフがある。
例 睡眠や気を失った時にはヘイローはオフになり、身体能力も下がる。
3 ヘイローには個人差がある。
例 それぞれの学園の戦闘員が束になっても、突出した個には勝てない事から。
特筆すべき事はこの3つか。これで良いですか?ヴィクトルさん
55:悪魔研究者
ふむ…そうだな。大体は合っている。
56:普通の名無し
サンキュー!
57:普通の名無し
ふむふむ、確かにこんな感じだな
58:普通の名無し
銃弾受けても痛いで済むのは、改めてヤベーよ
59:普通の名無し
限度はあるみたいだけどね
60:普通の名無し
違う世界線では死ぬ事もあるしな
61:普通の名無し
ヘイローの事はおさらいした。んで、これからが本題やろ?
62:悪魔研究者
ああ。吾輩はこのヘイローという特性と、ある技術の類似性を感じた
63:普通の名無し
技術?何かあったけ?
64:普通の名無し
ヘイローと似てる技術…
65:普通の名無し
ふむ
66:悪魔研究者
ハーモナイザー機能*2だ
67:普通の名無し
ハーモナイザー!?
68:普通の名無し
此処でその名前が出てくるとは…
69:普通の名無し
超人的な力を得る。機械だからオン・オフがある。……そして使う奴によって強さが変わる
70:普通の名無し
確かにそっくりだな…
71:普通の名無し
おいおい!ちょっと待て!それならヘイローはハーモナイザー機能だってか!?
72:普通の名無し
ハーモナイザーを起動していれば、銃弾も効かないのはデビルサバイバー*3でも描写されてたな
73:普通の名無し
じゃあブルアカ世界はデビサバと通じてるの!?
74:悪魔研究者
其処については今から話そう
75:普通の名無し
良し!皆少し、深呼吸!
いきなりの爆弾発言に誰しもが戸惑った。スレ民達の浮き足立つような雰囲気を察したまとめニキは、皆に落ち着くよう、画面の前で深呼吸するように書き込む。
…暫く書き込みが途絶えた。
76:普通の名無し
落ち着いた
77:普通の名無し
悪いなまとめニキ…
78:普通の名無し
気にするな。誰でも驚くだろうからな
79:普通の名無し
まとめニキは驚いてないように見えるけど…
80:普通の名無し
あれやろ?周りが五月蝿いと…ってやつやろ?
81:普通の名無し
私達が騒がしかったから、逆に落ち着いたと
82:普通の名無し
そんな所だな
83:普通の名無し
…皆さん、もう大丈夫そうですか?
84:普通の名無し
あっそうだ!ヴィクトルさんごめんね!
85:普通の名無し
俺達は大丈夫だから!
86:普通の名無し
アタシも!
87:普通の名無し
大丈夫そうですね。…では続きを頼みます。ヴィクトル殿
88:悪魔研究者
分かった。先ずは結論から述べよう。分からない、だ
89:普通の名無し
ズコーッ!
90:普通の名無し
気ぃ張って損したわ…
91:普通の名無し
まあ仕方ないでしょう。その場に居ればまだしも、別世界ともなればね…
92:普通の名無し
ヴィクトルさんでもキツイか…
93:悪魔研究者
済まないな…
94:普通の名無し
いえいえ!少ない情報から有難う御座いました!
95:普通の名無し
うーん…じゃあ結局、ヘイローとハーモナイザーが同じかは分からないのかぁ…
96:普通の名無し
でもブルアカ世界に、デビサバ要素がある可能性を頭に入れておくのは無駄ではないだろう
97:普通の名無し
だね。色々な世界と関わってるしねアタシ等
98:普通の名無し
固定概念は取っ払っておくべきか…
99:普通の名無し
取り敢えず話したい事はこれで終わりで良いか?ヴィクトルさん
100:悪魔研究者
……ああ。吾輩からの情報提供は以上だ
101:普通の名無し
そっかー
102:普通の名無し
それにしてもブルアカにアトラス要素が…
103:普通の名無し
可能性だけやけどな
104:普通の名無し
今までの原作世界はそのままだからビックリしたな
105:普通の名無し
ヴィクトルさん有難うね〜
106:普通の名無し
またな、ヴィクトルさん
107:悪魔研究者
…では、吾輩は行くぞ…
108:普通の名無し
さよなら〜(^^)/~~~
109:普通の名無し
お疲れ様でした
110:普通の名無し
それにしてもビックリしたな。ハーモナイザーが─
「ではこれより説明を始めるが、構わないか?」
『準備完了です』
スレ民達が、ハーモナイザー機能とヘイローの関係性について議論している間、ヴィクトルと博識ニキ達が秘密の会合をしていた。
「後の2人もか?」
『ええで〜ヴィクトルはん』
『宜しく頼む。ヴィクトルさん』
通話先にはまとめニキと似非関西弁ニキも居る。
これで役者は揃った。そう思ったヴィクトルは先程省いた解説を始める。
「先ずあの、そうだな…
『穏やかではないですね…』
大凡人間相手に使う単語ではない。その物騒な発言に博識ニキは通話越しに眉をひそめる。
「2つの仮説を話す前に、前提としてヘイローとハーモナイザー機能は同じと仮定するが、構わぬか?」
『構いません』
「分かった。先ずは収穫説からであるな。これは簡単だ─」
確認を取ると、ヴィクトルは収穫説について話し始める。ブルアカ世界、此処ではB.A世界か。この世界の生徒達は、悪魔の食物として育てられていると仮定した説だ。
ハーモナイザーは、MAGを溜め込んだ人間を育てやすい機能だ。
このハーモナイザー機能を生産する時に混ぜ込み、体の一部として活動させる。その名残りがヘイローとして現れるのではないかと仮定した。
「わざわざ子供達だけを生産したのは、感情が激しく動きやすい年頃だからであろうな」
MAGは人間の強い感情から生み出される。子供の感情の発露は純粋でいて、時にとても激しい。
其処から生まれるMAGは大量でとても質が良いだろう。
「そして争いやすくする為、学園という名の国を設置した」
争いは簡単に強い感情を発露させる行動だ。
それに目を付けた誰かは、わざと生徒達に区別を付けやすいよう角や羽を着けたのだろう。
「争えばMAGは体に溜まり、やがて極上の果実が出来上がる」
最初は未熟な果実であろうと、育ちやすい環境を与えれば美味しくなるのが作物というものである。
「後は、性別を偏らせている点か」
『其処にも理由が?』
「この作物に求められるのは安定性だ。どちらの性別も入れてしまうと、何かしらの異分子が現れる。例えば子供を生むとかであるな」
そして女子を選んだのは、精神の発達が男子よりも早いからだろうとヴィクトルは注釈した。
「やがて実った果実は収穫される。その一番実った時期が卒業の年頃なのだろう」
卒業。一般的な意味ではなく、キヴォトスでこの現象が起きると、卒業した生徒達は存在を確認出来なくなる。残るのは名前だけだ。
そしてこれまでの説明から、生徒達の想像出来る末路は…
『生贄、のようなものですか…』
「ここでハーモナイザー機能が活きてくる」
苦々しく呟く博識ニキにヴィクトルは更に語る。
「真実を知った生徒達が暴れても、埋め込んだハーモナイザーの機能を切れば、唯の凡人に成り下がる」
後に残るのは、MAGをたんまりと体に溜め込んだ食物の出来上がりだ。
「此処までが収穫説の仮説だ」
『キッツいわ……』
『仮説とはいえ、気分が悪くなるな』
『しかし、この可能性は低いとヴィクトル殿は考えているのでしょう?』
1つ目の仮説を解説し終えると、ヴィクトルは椅子に腰掛けコーヒーを飲む。
気分が悪くなっている2人を差し置き、博識ニキはこの仮説の問題点について尋ねた。
「ああ、その通りである」
『その心は?』
「やり方が迂遠すぎるな」
似非関西弁ニキの返しにヴィクトルはそう答えた。
幾ら極上の果実を手に入れられるとはいえ、手間がかかり過ぎ、何より面倒だ。
悪魔達も人間に比べれば気は長い方だが、飽きやすくこんなに長く続けられるとは思えない。
何よりこの果実を何処に売り込むというのか。
「なので吾輩としては、実験説が濃厚だと考えている」
『実験ですか…』
「何者かはキヴォトスを1つのフラスコとし、其処で行われている争いにて、生まれる何かを求めているのかも知れない」
『何かとは?』
「流石にそこまでは分からぬ。情報が足りぬからな」
ヴィクトルの言う事も最もだ。あくまでこれは仮説。そもそも何者かは居ないかも知れないのだから。
なのでこれ以上の解説は終わりだ。
『まあ、そもそもヘイローとハーモナイザー機能が一緒とは限らないしな』
『せやね〜スレ民達の皆に不安抱えさせんよう、だから3人で来よったしな』
『所詮は妄想に近いですからね』
そもそもキヴォトスに、MAGが有るのかも分からないのだ。今まで話した仮説は唯の妄想に近い。
しかし、ヴィクトルはこの仮説が気分転換になったのか上機嫌だ。
『先生には話すん?』
『ヘイローに似てる技術が有る位は、話しても良いだろう』
『そこら辺が妥当ですね』
妄想に近い話を言っても困惑させるだけだろう。なのでハーモナイザー機能だけを話す事にした。
『じゃあおおきにな!ヴィクトルはん!』
『有難う御座いました』
『また、機会があれば…』
「ああ、貴殿等のもたらす情報は興味深い。何時でも歓迎しよう」
そして、ヴィクトルとの通話を切った3人。ブルアカ世界はまだまだ謎に包まれているが、それは先生に任せよう。
そう思った3人であった。
ヘイローとハーモナイザー
非常に酷似しているが詳細は不明
博識ニキ
ハーモナイザーとなんか似てね?とまとめニキと似非関西弁ニキと協力してヴィクトルに調査を依頼した。
ヴィクトル
スレ民達からの情報で研究が捗る。なので最近は常に上機嫌。
生徒達
本当は睡眠は必要ないのではと考えた。あれはあくまでMAGを使う状態を軽減する為の行動だと。力に個人差があるのはMAGの生成率が人に寄り異なるから。親が居ないのは全員作られたからと解釈した。
実験説の補足
この説の時の卒業は何処かにエネルギーを溜める為の行為と解釈している。もしくはヘイローの稼働限界がこの年までとも。
先生
卒業について聞いたがお茶を濁した。余り話したくはない内容のようだ。ちなみに研究資料の為、キヴォトスの写真や動画を撮ってもらった。
何者か
居るかも知れないし、居ないかも知れない。