コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
ペロロ様が登場する作品、モモフレンズはえっちな作品ではなかった。信じられないことだし、当然の如く何度も"ペロロ様 R-18"とネットで検索したけど、なぜか表示されるのはペロロ様が亀甲縛りをされてる画像ばかり。なんか違う!
ヒフミちゃんに、ペロロ様ってえっちな鳥さんじゃなかったんですねってモモトークを送ろうとして、ふと手が止まる。急に推しのえっちな姿がどうとか送られて来たら、ヒフミちゃんは変に思っちゃうかもしれない。文面を、ペロロ様って亀甲縛りが趣味なのかなに変えて送信した。*1
あ、早速お返事が返ってきた。
『ペロロ様のことを何だと思ってるんですか!』
『ペロロ様で調べたら出てきたよ!』
『ペロロ様、セクシーで検索しないと出てこないんです、そんなの。メブキちゃん、ペロロ様はみんなのヒーローですから、エッチな目で見ちゃダメです』
ヒフミちゃんは、ペロロ様がえっちしない生き物だと思っているみたいだった。あ、でも、好きな人がえっちしまくってるなんてのは、確かにイヤだよね。そっか、ペロロ様がえっちぃことしてたら、ヒフミちゃんは脳破壊されちゃうんだ。よかったぁ、ギリギリで気が付けて。
『ごめんね、ペロロ様は健全に応援するね』
『いえいえ、分かってくれたなら大丈夫です。ペロロ様は健全に推しましょう!』
ペロロ様は清純派アイドル。ヒフミちゃんのために、私の中ではそういうことになった。ちょっと前から枕代わりにしてるペロロ様のぬいぐるみも、何だかお清楚に思えてきた。ぽふんと顔を埋めると、お人形ペロロ様は温かく私を迎えてくれる。いつも枕営業ありがとうね、とってもふかふかで気持ち良いよ。
こんな感じで、ヒフミちゃんとのモモトークは普通にやり取りができていた。恐れていた、"アワビを焼く動画ってどうしてあんなにえっちなんだろうね。脱法えっちコンテンツだね"、なんて誤爆も全然してない。もしかすると、誤爆なんてそうそうしないんじゃ無いかなって思ってもきてる。
……みんなともっと、仲良くなりたい。
えっちな誤爆するのが怖くて、ずっと連絡先を登録してあるのはコハルちゃんだけだった。でも、えっちな誤爆をしないなら、みんなの連絡先を知っていたい。いつでもみんなとお話しできるのは、凄く素敵なことだから。
『えっちなことを話さない私って、変じゃないかな?』
気がついたら、コハルちゃんに変なモモトークを送っちゃってた。えっちなことを話さない私なんて、私以下なのに。
『あんたはいつも変』
やっぱり、コハルちゃんの返信はとっても意地悪だった。でも、ちょっとにやけちゃう。えっちでもえっちでなくても、私は私なんだって言ってくれた気がしたから。
『変じゃないよ! でもありがとう!』
うん、そうだよ。私はキヴォトスに青春をしにきたんだ。青春には、友達が一緒じゃないとだよね! コハルちゃんのお陰で、とっても大切なことを思い出せた。イマジナリーお姉ちゃん、私がんばるから見ててね!
よーし、明日はみんなとモモトーク交換するぞーっ。おーっ!*2
図書委員会のお仕事が終わってから、ドキドキしながらシミコちゃんを呼び止めた。な、なんか告白するみたいな気持ちで、すごく落ち着かない。友達になってくださいって言うの、結構勇気がいるんだ。自分からそんなこと言うの、初めてだし……。うぅ、これじゃあ本当に告白と変わんないよぉ!
「メブキさん、どうしたんですか?」
「えっと、えっとね?」
緊張して、適当に誤魔化してしまいたくなっちゃう。シミコちゃん、いつも優しくしてくれてありがとうって伝えて、回れ右で済ませてもいいかなって。……でも、頑張るって決めたから。きっと、イマジナリーお姉ちゃんも見守ってくれてる。頑張れってほっぺの辺りをギュッと抑えて……よし!
「し、シミコちゃん。わた、私とお友達にニャってください!」
い、言えた! 噛んじゃったけど、しっかり言えたよ!
心臓バクバクで、腕も背中もソワソワが止まらない。シミコちゃんのお顔が、恥ずかしくて見れない。お顔が熱くて、ずっと俯いちゃってる。ドキンと心臓が跳ねるたびに、ビクッと体が震えちゃう。
「……メブキさん」
だから、シミコちゃんの声が硬くて、怒ってる気配がしたことに泣いちゃいたくなった。……ごめんねシミコちゃん、迷惑ばっかり掛けてるのに図々しいこと言って。
「私は、ずっと前からお友達だって思ってましたよ」
硬いままの声でそう言われて、私はパッと顔を上げる。シミコちゃんはむすっとしたお顔で、本に挟んでいたしおりを取り出した。あ、それ……。
「一緒に作りましたよね、しおり。メブキさんが一生懸命に作っているのを横で見てて、自分のことみたいに応援してました。作ってくれたしおりを私にも分けてくれて、本当に嬉しかったんです」
「あ、シミコちゃん、その……」
「あの時から、私は友達だって思ってたんですよ?」
「ご、ごめん、なさい」
「はい、許します。でもちょっとだけ、拗ねちゃいますね」
嬉しい気持ちと、ごめんねって気持ちで胸が溢れてきちゃう。シミコちゃんとは友達になりたいって思うくらいに大好きだったし、何時も優しくしてくれて甘え倒していたから。今更ながら、友達って思ってなかったのにいっぱい甘えてるの、自分のことながら意味不明だね? 大好きって言葉は免罪符になるかな?
「あのね、シミコちゃん。モモトーク、交換してくれる、かな?」
「それも一回、私が断られてましたね」
「うん、本当にごめんね? でも、変なモモトークしちゃいそうで、怖かったから」
「変な、ですか?」
「……シミコちゃんは、急に"マンチカン!"ってモモトーク送っても怒らない?」*3
「猫さんですよね、怒ったりしませんよ」
「そっかぁ」
シミコちゃんは穢れなく、泣きゲーをプレイした時のエロゲープレイヤーの涙みたいに綺麗だった。賢い女の子だけど、きっと無知プレイだってできちゃう。催眠掛ける側なのに、掛けられる立場の方が似合っちゃいそうなのはシミコちゃんの良いところなのかもしれないね。
携帯を持ち寄って、ユーザー情報を交換する。ぽんと、シミコちゃんのアカウントがポップアップしたのが、なんだかとっても嬉しい!
「ありがとう、シミコちゃん!」
迷うことなくマンチカン! とシミコちゃんのメッセージに送ると、仁王立ちの猫さんのスタンプをお返ししてくれた。その子はマンチカンじゃなかったけど、とっても可愛いスタンプ。
「にゃんにゃん!」
「今日のメブキさんは猫さんなんですか?」
ちょっと笑ってくれたシミコちゃんに頭を撫でられて、私の気分はとっても絶好調! きっと無敵で完璧な生物になりかけてるよ!
ごろなぁーん……。
シミコちゃんとモモトークを交換して猫となった私は(気持ちだけだよ!)、そのまま古書館までやって来ていた。えへへ、古関先輩も優しいし、きっとモモトークを交換してくれるよね! だって猫ちゃんだよ? こんなに可愛い私が来たら、古関先輩もすぐに構ってくれるに違いないんだから!
「にゃーん! 古関先輩、春風メブキです!」
「え、うるさっ。……出口はあっちだから」
?
「モモトークを交換して、先輩とお友達になりに来ました!」
「嫌だから、帰って」
???
「便秘でお腹痛いですか?」
「お腹も痛くないし、体調も悪くない。メブキさんが邪魔だから、早く帰って欲しいだけ」
「にゃ、にゃーん?」
「メブキさん、毛が落ちるからここでは動物の立ち入りは禁止」
「人間だったことを思い出しました!」*4
古関先輩は、猫さんに可愛さを見出せない人だった。おかしいね?
「古関先輩と仲良くしたくて……」
「……別にメブキさんのことは嫌いじゃない。それで良いと思うけど」
「えっと、はい……」
上手にお話しできないよぉ。
好きだからです、仲良くしてください! こんなこと、思ってても口に出したら恥ずかし過ぎるし……あぅ。
「そ、そんなに困った顔しないで。分かった、モモトークなら交換してあげるから」
「本当ですか!?」
「し、してあげるから、静かにして」
「ご、ごめんなさい」
ちょっと嫌な顔をしながら、古関先輩はモモトークを交換してくれた。……無理強いしちゃった感じ、これでお友達って断言していいのか分かんない。もしかすると、私と古関先輩の仲はえっちなお友達みたいな関係性に近いのかな?
「な、なんで頬を赤らめてるの?」
「ウイ先輩って呼んでもいいですか?」
咄嗟に、別の話題でお口が滑るのを我慢する。これで私と先輩はえっちな関係ですね! なんて言ったら、絶交されそうだもん。
「別に、いいけど」
「ウイ先輩!」
「も、もう帰って」
やっぱり先輩との間にまだまだ壁があって、すっごく仲良くはなれない。でも、ちょっとずつ仲良くなれたらいいなって思ってるから。ウイ先輩、これからもよろしくお願いします!
えへへ、先輩とまたちょっと仲良くなれて、お友達(仮)にもなれたし、今日はすごい日だね! 友達100人できちゃうかも! なんてね。
あ、あと、ウイ先輩にマンチカン! って送ったら、画像付きで写真が返って来たの。お礼にペロロ様の画像を貼ったら、何故か焼き鳥の画像が送られてきた。今日の先輩の晩御飯かな?
「分かりました、どうぞこちらです」
そして次にやって来た聖堂で、マリーちゃんはあっさりとモモトークを交換してくれた。今まで山あり谷ありだったから、顎クイされながら妹になってくださいって言われる覚悟をしてただけに拍子抜けだよ。
「いいの? マリーちゃんに頼まれたら、この場でスク水にも着替えられるよ?」
「い、いけません! その様なはしたないこと!」
「私、マリーちゃんに何にもしてあげれてないから」
ウイ先輩に対してもそうだったけど、先輩はお友達(仮)だから。マリーちゃんも、そうなっちゃうのかなって。だから、マリーちゃんに要求されたら、恥ずかしいけど我慢して本当のお友達になろうって決意して、どんなえっちなことでも耐えるつもりで来たのに。
「メブキさん。お友達になるのに、そういったものは必要ありませんよ」
「うん、分かるけどね」
友情は――見返りを求めない。きっとマリーちゃんは、そういったことができちゃうんだと思う。でも私は、好きって感情ありきだから。マリーちゃんに対して、何かしてあげたいなって思っちゃう。
「ではメブキさん。もし私から、お友達になってくださいって言っていたら、どうしてます?」
「勿論って言うよ。だってマリーちゃんと仲良くなりたいから」
「その時、嬉しいと感じますか?」
「うん。だってマリーちゃんにそう言って貰えたら、凄く素敵なことだか、ら……?」
一瞬、固まっちゃう。マリーちゃんが言いたいこと、なんか分かっちゃったから。でも、ほんとに? って気持ちもあるけど。
「そうです、素敵なこと。私もメブキさんからそう言ってもらえて、素敵なことだと思っています」
嬉しそうに言い切っちゃうマリーちゃんを見て、ほっぺがユルユルしちゃう。え、えへへ、私とお友達になることを素敵なことって思ってくれるんだ。マリーちゃんがお友達になってくれるのも素敵なことだから、もしかしてお徳用の2倍セットなのかな? チンゲンサイのお味噌汁が1食2杯作れちゃうくらいなのかもしれないね?
「ありがと、マリーちゃん! ズッ友でいようね!」
「ええと、ずっとも?」
「ずっと友達って略だよ!」
「そうなんですか……ふふ、分かりました、メブキさんとはズッ友です」
ギュッとお互いの手を握って、両手で握手をする。マリーちゃんの綺麗なお手々は、その心とおんなじくらいに温かい。というかマリーちゃんにペタペタしてたら、急に抱きつきたくなっちゃうから気をつけないと。ぽかぽかマリーちゃんの手は、ぬいぐるみのペロロ様くらいにフワフワに感じた。
『マリーちゃん、マンチカン! にゃあん』
『ふふ、にゃあにゃあですね』
モモトークで、マリーちゃんは一緒に猫さんになってくれた。お揃いって嬉しいね!
「せんせーい! モモトーク交換して友だちになって欲しいなって!」
「良いよ」
シャーレに来て10秒で、私の冒険は終わってしまった。マリーちゃんと同じく、私とお友達になれるのが嬉しい系の感じなのかな? 先生がそうだとしたら、とっても嬉しい。ちょっと甘えちゃいたいなって頭をにゅっと差し出すと、ポンポンとしてくれる。やっぱり、先生は大人の手をしてて安心しちゃう。甘えることに躊躇しなくていいし、ムフーってなっちゃうね!*5
「先生せんせー、マンチカン!」
「ン・カイの森」
「ふぇ、あ、えっと、リンカン学校!」
先生にマンチカンすると、しりとりが始まっちゃった。先生は先生だけあって、とっても知識が広くて負けちゃったけど楽しかったよ!
……しりとりって、漢字で書くと尻取りなのかな? 私達、もしかしてえっちなことしちゃったのかな? そうだったら、ちょっとテレテレしちゃうね。
「えへへ、楽しかった! 先生ありがとう!」
「私も良い気分転換になったよ。ところでメブキ、モモトークで友達を集めてるの?」
「モモトークに登録してくれた人が、友達なんだよ!」
「そっか。もし友達を集めてるなら、シャーレに当番しに来てくれる子もいるから。何時でも来てくれていいからね」
「うん、仲良くなれそうな子が居たら紹介してね!」
シャーレまでで、今日の私の冒険は終了! 友達になりたい人と全員なれたし、今日はとっても凄い日だね! えへへ、ずっとこんな日が続くといいなぁ。*6
――あ、そうだ。
『コハルちゃん、マンチカン!』
『マン痴漢!? エッチなのはダメ、死刑!!』
『コハルちゃんは親友だよ!』
みんな大好きだけど、私とおんなじことを思ってくれるのは、やっぱりコハルちゃんだった。永遠のえっちフレンズ、断禁の交わりだね!*7