コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
「コハルちゃんコハルちゃん! 見て、えっち本!」
「こ、校則違反〜っ! エッチなのはダメ、没収!」
遂にあの日、ブラックマーケットで購入したえっち本をコハルちゃんと読む時が来た。今回は一捻りして、普段は読んでない様なえっち本だから、今からとっても楽しみなんだ。イマジナリーお姉ちゃんも楽しみにしててね!*1
「全く、どこで手に入れて来たの……よ? この本、タイトルおかしくない?」
「そうかな?」
本には、"中納言の屈辱 下民のめこに屈するなぞ!"とタイトルがある*2。今までの華やかなえっち本とは違う、渋めの官能小説を買ってみたんだ。表紙には、位の高そうな日本貴族っぽい人が童女っぽい女の子に縛られて、地面に転がされているものになってる。メスガキものだね、官能小説は初めてだから楽しみだなぁ!
ペラペラとページを捲ると、昔のえっちなセリフがいっぱい書いてある。しきり首を傾げるコハルちゃんは、もしかしたらセリフの意味を理解できていないのかも知れなかった。
【無様なり中納言の。縛につき転がされたる心地を語りけりや】
【麻呂が主なぞに屈する訳無し。めこなぞ恐るるに足らず】
【麻呂の珍宝殿を粗末に扱うなぞ、あなや! あなや!】
【笑止、斯かる珍宝なぞ珍宝に非や。我の満宝殿に包まれて、粗末なる乾物を果たさせれや!】
【めこめこめこ、開珍するなりや! い、逝く】
【弱し弱し中納言! それなるままに滅びれろ!】
………………
…………
……
「えっちな本で古典も勉強できるなんて、すごいねコハルちゃん!」
「な、なんか違う……」
「これで勉強しなくても、古典の点数上がること間違い無しだよ!*3」
「それも違う……」
「コハルちゃんは古典の勉強頑張らないとだね!」
本は何故か没収されず、コハルちゃんに差し戻された。もしかしなくても、絵が付いてないとコハルちゃんはドキドキできないのかも知れない。コハルちゃんは内容が分からなかったみたいだし、楽しめてしまったのは私だけ。そう考えると、買い物に失敗してしまったかも知れない。ごめんねコハルちゃん、今度はちゃんと目でわかるえっちなものを買ってくるね!
「それでコハルちゃん、もう少ししたら試験らしいね。テストなんて初めてなんだけど、コハルちゃんは自信ある? 私は国語と古典しかないよ!*4」
「ふふん、私はあんたみたいなバカじゃないの。正義実現委員会のエリートなんだから、2年生のテストを受けるわ!」
「と、飛び級しちゃうの? コハルちゃん……」
びっくりして、コハルちゃんをまじまじと見ちゃう。だって、2年生のテストが解けるなら、3年生のテストだってすぐに解けるようになっちゃう。すると、もう学校にいる必要のなくなったコハルちゃんは、あっという間に卒業しちゃうんだって、そう気がついたら凄く寂しくて。
「しない、正義実現委員会を3年頑張るから」
「よ、よかったぁ」
コハルちゃんのいなくなってからの学園生活。それを想像してみると、やっぱり酷いことになっている。えっち本を求めて頭がおかしくなってしまった私が、次々と走馬灯みたいによぎってく。
禁書棚からえっち本を略奪し、シミコちゃんに読み聞かせてもらおうとする私。ウイ先輩に、いにしえのえっち本を修復させようとする私。マリーちゃんと一緒にスク水を着て、あの日のスク水美少女を探し求めに行く私。ヒフミちゃんに、ペロロ様が陵辱される小説を読み聞かせる私。ミネ団長に、心の治療をされちゃう私。先生のパソコンを、えっちな履歴で埋めまくる私。正義実現委員会に包囲されて、えっち本と共に爆散する私。
色々と酷かった*5。もしコハルちゃんが飛び級したら、この未来に辿り着くと考えると、震えが止まらなくなっちゃう。コハルちゃんは、きっといるだけで世界を救ってくれる存在なんだね。世の中の人が全員コハルちゃんみたいな人なら、世界は桃色に染まって綺麗だろうね。
「でも、コハルちゃん、勉強できるんだね。古典が読めなかったのに意外だね」
「あんなの古典じゃないから。何よ珍宝殿、満宝殿って。めこめこめこも意味分かんない。バカじゃないの?」
「夏の蝉みたいな風情のある文章だよ」
「気持ち悪いだけじゃない、あんなの」
コハルちゃんは風流を解してくれない、現代的なリアリストだった。シミコちゃんならわかってくれると思うけど、いきなり官能小説を見せたらびっくりしちゃうかも知れないから、ウイ先輩に今度聞こうかな*6。
「大体、最後の逝くって死んじゃってるじゃない!」
「コハルちゃん、風情のある貴族の達し方なんだよ」
「そんな訳ないでしょ、女の子も滅びれろとか言ってるし!」
「照れ隠しだよ!」
「照れてる要素がちっともない!」
「言葉の響きを聞いて。えっちでしょ?」
「エッチなのはダメだけど、エッチなのをバカにしてるもんこれ!」
私たちの議論は、結局結論がつかないままに終わっちゃった。古典文学は、コハルちゃんには早かったのかも知れない。勉強って難しいね?
「フンだ。メブキなんて赤点で、夏休みにずっと補習しとけばいいし」
「コハルちゃんこそ、古典だけ赤点で一緒に勉強漬けになっちゃうんだよ? 一緒に勉強しようね、一問正解するごとに頭撫でてね!」
「私はバカじゃないもん。バカはメブキだけだから、一人で補習してなさいよ」
「ヤダ!」
「ヤダじゃない!」
正直なことを言うと、私はもう半分くらい諦めてる。初めての夏休みを補習で過ごす。とっても残念だけど、勉強ができないんだから仕方ないかなって思ってる。でも、そこにコハルちゃんがいてくれたら、とっても楽しいと思うんだ。補習だって、お友達と一緒なら青春なんだって思うし!
「私、コハルちゃんとなら、補習だってヤじゃないよ?」
「あんたがイヤ何じゃなくて、補習がイヤなの! 2年生のテスト受けて補習とか、バカみたいじゃない!」
「おバカなコハルちゃんでも友達だよ?」
「バカって言うなーっ!」
笑顔でコハルちゃんの手を握りシェイクする。ズッ友! あ、おてて振り解かないで。怒ったりもしないで!
「あんたと一緒にしないで! バカの仲間になんてならないんだから!」
「そうだね。私達はえっちっち同盟だから、ウマシカ同盟じゃないもんね」
「〜っ、あんたがエッチ過ぎるから、仕方なく見せてあげてるだけ! 私はエッチじゃないし!」
「いつもありがとう! コハルちゃんのお陰で、私は頭おかしくならずに済んでるよ!」
「いつもおかしい癖に」
「おかしくないよ!」
おかしいのは間違いなく、私じゃなくてエロゲーが無くてえっちな本を売ってくれないキヴォトスだった。何でだろうね、本当に。DMMもDL siteも企業努力が足りてないよ、早くキヴォトスに来てね!
「ねぇ、コハルちゃんって勉強できるの?」
「当たり前でしょ、正義実現委員会に入部してるんだから」
「それだったらね、勉強教えてもらえたりするかな?」
暗黒の夏休みへのせめてもの抵抗に、お勉強会を提案する。このままじゃ、青春的なイベントを全てスキップして、夏休みはぼっちっち(ぼっきっきじゃないよ!)勉強会が始まっちゃう。それなら、せめてそうなる前に、青春のキラキラ的なことをしておきたかった。ちょっと興味あったんだ、お友達と仲良くお勉強会って。
「何で私が、そんなことしなきゃいけないのよ」
「補習前に、コハルちゃんと青春したいから!」
一緒にえっち本を読んで、なにも隠し事をしないでいられるお友達。お勉強会をするなら、お家に呼ぶってお約束があるもんね? お家に最初に呼びたいなって思ってたのは、コハルちゃんだから。
「ダメ……?」
「べ、別にダメじゃないけど」
「えへへ、やた!」
嬉しくて、コハルちゃんのおててを繋いで踊ろうとする。あ、避けないでコハルちゃん。せめてカバディだけでもしよう? あ、ダメなんだね……。
「お勉強会、私の家でやろうね!」
「いいけど、家にエッチなものがないかチェックするからね」
「うん、大丈夫だよ!」
だって、買わせてもらえないんだもん。胡散臭そうな目で見られてるけど、家では健全だってことをコハルちゃんに教えてあげないとね! R-18指定のものは、今カバンに入ってる中納言の屈辱だけなんだよ!*7
「えへへー、コハルちゃんとお家でお勉強会、楽しみだなぁ」
「勉強が楽しみなんて、変なの」
「友だちとやると青春っぽいもん!」
コハルちゃんの為に、中納言の屈辱はベッドの下へと仕舞っておくよ。見つけたらプレゼントしてあげるから、頑張って探してね!
「なんかカレーくさくない?」
「友達の家に来て一言目が酷いね?」
そうして放課後。ドキドキのお家にお友達初招待したところでのコハルちゃんの言葉だった。カレーの匂い、ダメかな? カレーの匂いで食欲もりもりだよ?*8
「換気扇回さずにアレ作ってるの、バカなの?」
「カレースープだけじゃないよ、お味噌汁も作ってるよ!」
「あんたはバカだったわ、バカメブキ」
「そんなこと言ってると、お夕飯のカレー作ってあげないよ?」
「なんにも聞いてないんだけど?」
「コハルちゃん、一緒にご飯食べて!」
「……まあ、いいけど」
「チンゲンサイ入れるね?」
「死刑!」
コハルちゃんはまだ、チンゲンサイをえっちな野菜だと思い込んでいた。その内、新種のマンゲンサイも見つけてくれそうな勢い*9。もし見つけてくれたら、チンゲンサイと一緒にお味噌汁にしてあげるからね。植物図鑑にも、マンゲンサイを発見した下江コハルって書かれると思うし、そうなったらコハルちゃんは一躍時の人だよ!
「じゃあ勉強、しよっか」
「ここじゃ嫌、カレーくさいし」
「……カレーアンチ、なの?」
もしかすると、コハルちゃんはカレーに苦しめられた過去があるのかもしれなかった。羽交い締めにされたコハルちゃんの前で、多くのえっち本がカレー鍋の中に沈められる。そんな悲しい過去があるのなら、このカレーに対する憎悪も理解できるかもしれない。
「大丈夫だよ、コハルちゃん。カレーは敵じゃない、美味しい食べ物なんだよ」
「お腹空いて集中できないから嫌って言ってるの!」
そう言って、コハルちゃんは二階へと上がっていってしまった。良かった、コハルちゃんはカレーを憎んでいるわけじゃなくて、カレーの匂いでお腹空くのが嫌なだけだったんだね。美味しいもんね、カレーはとっても。
「コハルちゃん、私の部屋はこっちだよ」
二階には幾つか部屋があって、階段から一番近い部屋が私の部屋。メブキってプレート掛けてるからすぐに分かるよ! 他にはお姉ちゃんってプレートと、お客様ってプレートが掛けられてる部屋がある。イマジナリーお姉ちゃんの部屋、通販の倉庫にしちゃってごめんね?*10
「なんか、物が少ない?」
「お姉ちゃんの部屋に、いらないものは置いちゃってるから」
「ふーん」
さて、お勉強の時間だねってタイミングで、コハルちゃんはゴソゴソとお部屋の探索を始めていた。タンスに勉強机、それからベッド……あ、まだ中納言の屈辱を隠してないのに! 早いよコハルちゃん!
「これは?」
「ペロロ様の人形!」
ペロロ様のお人形とにらめっこするコハルちゃん。相当に迷ってから、そっとベッドの下へとペロロ様は隠されてしまった。没収されるほどじゃないけど、検閲されるレベルだったみたい。見た目はどうしてもえっちだもんね、ペロロ様。でも悲しき性欲モンスターじゃないって、モモフレンズのアニメで私は知ってしまったから。今度一緒にモモフレ見ようね、コハルちゃん。そんな作品じゃないって分かってるのに、いつえっちが始まるのか気になってしまうキャラクター造形が最高だから!
「これは?」
「書きかけのポエム!」
机の上にあったのは、私が才能を迸らせたポエムのノート。”薄くひらひらと、素敵なそよ風”とか”時折かおる塩素のにおい、夏の足音”みたいなことが書いてある。それだけなのに何故だか、このノートは没収されちゃった。ただ、えっちだと感じた時のことを書いただけなのに、おかしいね?
「こ、これ……」
「あ、それは……」
そうして探索を続けるコハルちゃんは押入れも開けて、その中にあった一つのボトルを手にして、プルプルと震えていた。ぬらりと粘性のある液体、垂らすとテカテカと妙な光沢を出しちゃうえっちアイテムその一。
「ローション、だね」
「バカ、エッチ、何でこんなの買うの!」
「あ、待って、コハルちゃん。捨てないで。スク水に塗ると、過去一えっちになるってわかったんだ。今度あの時のスク水美少女に会った時に許可貰って掛けたいの! あ、その前にコハルちゃん使ってみる? 私のスク水コハルちゃんには小さいけど、えっちで可愛くなるって思うよ!」
ローションを投げ捨てちゃおうとするのを押し留めて、コハルちゃんにもオススメする。自分でやってみた時は、スク水がえっちになっただけで私にそこまでのえっちさを感じることが出来なかったから。コハルちゃんのスク水ローションで、お胸をきゅきゅんさせたいなって。あれ? ブチって何かが切れる音がしたね。何だろ、コハルちゃん切れ痔だったりするのかな?
「エッチなのはダメ、死刑!!」
「あ、やめて、ローション捨てないで!」
ボトルをぶん投げようとするコハルちゃんを、取っ組み合いを挑む私。けど、当然の恒例の如くに、私は組み伏せられそうになって……。でも、ジタバタ必死に私も抵抗した結果……。
「「あっ」」
ローションがぶち撒けられて、私達はベトベトのぬらぬらになってしまっていた。そっか、この前使った時の締め方を緩くしてたんだった。コハルちゃんは、まるでえっちなナニかを掛けられてしまったみたいに、硬直して動かなくなっちゃっていた。真っ赤っかなお顔に、ベトベトのお汁……。
すっごくえっち!
中納言の屈辱のところを音声で聞いたら、どんな感じになるんでしょうね……。