コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
「マリーちゃん、いらっしゃい!」
「はい、メブキさん。お久しぶりですね」
合宿所にマリーちゃんがやってきたよ! まさかのマリーちゃんも、シスターフッドの妹検定に落ちちゃってこっちにきたのかなって思ったけど、そうじゃないみたい。アズサちゃんとお話しして、アズサちゃんって優しいね? ってお話をしてたの。
なんでもね、アズサちゃんはいじめられてた子を助けて、そのついでに正実の部隊ともドンパチしたんだって。正実の拠点で、くっ、殺せってなってたアズサちゃんの裏に、そんな事情があったなんて知らなかったよ。催淫弾? の倉庫を占拠して戦ってたみたいなの*1。
「アズサちゃんは偉いね?」
だからね、ナデナデしてあげなきゃって思って、アズサちゃんの頭におててを伸ばすと、サッと避けられちゃった。もしかすると、エージェント特有の決まりで、後ろに立ったり頭撫でられるのはダメなのかな?
でも、偉い子は褒めなきゃいけないから、アズサちゃんと鬼ごっこになったの! 全部紙一重で私のおててを避けてくアズサちゃんに、私もピョンピョンって飛びついていくの。でも、全然当たんない。アズサちゃん、回避性能がコハルちゃんより高いの、流石だね?
「アズサちゃん、ナデナデさせて!」
「メブキに撫でられる理由がない」
「私がアズサちゃんを褒めてあげたいんだよ?」
「別に、褒められることでもない」
アズサちゃんは、結構頑固者なところがあるよね。結局、アズサちゃんをナデナデできなかった私は、代わりにマリーちゃんをナデナデしたの。……ま、マリーちゃんのケモ耳をにゃんにゃんしたかっただけなんだからね、勘違いしないでよね!*2
「め、メブキさん? どうして私を?」
「マリーちゃんをナデナデすると、一年で20%病院に行かなくて良くなるってデータがあるんだよ?」
「どこのデータなのですか、それは!」
「春風メブキ脳内研究所だよ!」
「メブキさんの頭の中!?」
ぴょこぴょこ動く、マリーちゃんのお耳。修道服に隠れちゃってるけど、いつだっておめめを向けちゃう魅力があるの。私、ずっとこれがしたかった!
でも、こんなことされたらびっくりしちゃうって思ってたし、ずっと我慢してたけど……お勉強さんが夜まで寝かせてくれなくて気が狂いそうだから。マリーちゃんに癒してもらわないと、もうおかしくなっちゃいそうだから!*3
「ひゃん!? め、メブキさん、そんなにいっぱい触らないで下さい……っ」
「マリーちゃん、ごめんね? でもね、こうすることでしか私の心の渇きは癒されないの。マリーちゃんは、私のためにケモ耳カフェを開いて欲しいね?」
「な、何を言って……こ、このような行いは不埒ですっ。あ、スリスリしちゃダメですメブキさん!」
「にゃーーーんっ!」
私の内なるケダモノは、いつの間にかこんなにも大きくなってた。私の心の中で、巨大猫さんが立ち上がる。全長13m、なんと男の人の平均的なアレの100倍の大きさだよ! だから、本能的にマリーちゃんにスリスリしちゃったのも、しょうがないことなんだよね?*4
「うぅ、どうか誤ったメブキさんに、悔い改められる機会をお与え下さい……」
「ごめんね、マリーちゃん。ヴァルキューレ警察学校の人が来たら、大人しく逮捕されるから許して……」
「そ、そこまでは望んでいません!」
言いながらスリスリを続けていた私は、誰かさんに脇を抱えられて、ヒョイと持ち上げられちゃった。あぁ、マリーちゃんのお耳ー!!
「メブキ、マリーが困ってるのに続けるのは違うよね?」
「先生……」
先生はメッて目をしていた。マリーちゃんを見ると、ちょっと苦笑いみたいな感じで微笑んでる。……そっか、楽しくなっちゃってたけど、困らせちゃってたかも。
「ごめんね、マリーちゃん。好き好きーってなっちゃって、ヤなことしちゃってたね……」
「いえ、困ってはいましたが、嫌ではありませんでしたから。今度は、私の許可を取ってしてくださると助かります」
「うん、ありがとうマリーちゃん。……撫でて、良い?」
「早速!? ……ちょっとだけでしたら」
それから一分だけ、私はマリーちゃんのお耳を堪能した。内なるケダモノは、さっき先生とマリーちゃんに調教されて、私の心の中でゴロンとお腹を向けている。だから、程良い感じで切り上げることができたんだよ!
「えへへ、ありがとうマリーちゃん。困ってたらいつでも言ってね? 今日のお礼に、いつでもすぐに駆けつけちゃうから!」
「いいえ、メブキさんも助けが必要ならば、いつでもお声がけください。私もすぐ駆けつけますので」
マリーちゃんは、いつだって清楚で可愛くて優しい。多分、えっちな本にだって、そう書いてあるよ。早くマリーちゃんと仲良くできるえっちな本、出てこないかな? マリーちゃんに、ほら見て? マリーちゃんったらこんなに薄着って絶対に言えない言葉を言ってみたいし。
「マリーちゃん、玄関まで送ります」
「ハナコさん……何か事情があるのですね」
「さあ、どうでしょう?」
あと、マリーちゃんとハナコちゃんが仲良しさんっぽくて、ちょっとだけ意外な感じ。でも、2人ともフローラルな香りがするし、もしかして癒し系女子同盟なのかな? 確かに、この2人なら聖水がたくさん売れて、みんなを浄化しちゃうと思うしね。折角だし、お写真撮っとこ。
またまた、模擬テストのお時間。何回も立ち塞がってくる厄介さん、まるで間桐慎二くんやジルベール・ジルベルトさんみたいだね? でも、もうそろそろ、私の方がお勉強さんを調教する立場に立てても良いはずだよね? 今まで好き勝手してくれたお礼、たっぷりしてあげるね?*5
第2次補習授業部模試、結果――
阿慈谷ヒフミ:72点
結果――合格
白洲アズサ:60点
結果――合格
春風メブキ:49点
結果――不合格
下江コハル:49点
結果――不合格
浦和ハナコ:38点
結果――不合格
???
おかしいね、全然私の方が分からせられちゃってる……。騎乗位マウントに成功したって思ってたけど、実際は下から突き上げられてビクンビクンさせられてたってこと? 私、こんなに脳みそさんがガバガバになるくらい詰め込んでるのに……ふざけてるのかな?*6
「ヒフミちゃんヒフミちゃん、偉い人の足を舐めにいくのって、どうやったらできるかな?」
「早まらないで下さい、メブキちゃん! 点数はかなり上がってるんです、あと11点なんですよ!」
「……不妊治療みたいに、長くならない?」
「なりません!」
「知恵袋、ちゃんと知識宿るかな?」
「宿ります」
ヒフミちゃんは力強く、私の脳裏にお勉強さんの子種が注がれると断言してくれた。そっか、ヒフミちゃんがそうまで言ってくれるなら……信じても良いかも*7。
お勉強さん、あなたのデカすぎる知識棒は、私のちっちゃいのに全然サイズが合ってなくて、たくさん溢れちゃってるけど、溢れても注ぎ続けてね? いつか、あなたの子だよって60点を超えた答案を持っていくから!
「やった! やっとアホのメブキに追い付いたっ」
そして、点数が変わってきてるのは私だけじゃなかった。あのコハルちゃんが、遂に追い付いてきた。もしかすると、このまま追いつかれることなく逃げ切れるかなって思ってたのに。やっぱり、何だかんだでコハルちゃんも賢いよね。
「コハルちゃん、次も一緒の点数を取ろうね? 一人シコシコ賢くなっていくのは良くないからね!」
「せめてムクムクって言いなさいよ! エッチなのはダメ、死刑!!」
なるほど、コハルちゃんはコスコスするのは絶対に許さないけど、おっきくなっちゃうのなら全然許せちゃうんだね。良かった、もし私が何か事故で男の子になっちゃったら、すぐに去勢されちゃうんじゃないかってずっと怖かったから。これで男の子になっちゃっても、堂々と勃起出来ちゃうね?*8
「じゃあムクムク賢くなっちゃダメだよ?」
「何言ってるのバカメブキ! エッチなのはダメって言ってるでしょ、死刑!!」
「……流石にそれは理不尽じゃないかな?」
「わ、私もそう思うけど、あんたが口にしたら何でも卑猥に聞こえるの!」
コハルちゃんは、私をとっても卑猥なナニかだと思っているみたいだった、酷いね? 確かに今朝したおしっこは黄色かったけど、それで穢れきった女の子扱いは納得できないよ! ずっとおしっこが透明じゃないと、乙女じゃないっていうんですか!*9
「コハルちゃん、確かに私はマリーちゃんやハナコちゃんみたいに清楚じゃないよ?」
「ハナコが? あんたには一体何が見えてるの?」
「それでもね、例えおしっこが黄色くても乙女だって私は思うな? 爽やかな味はしなくても、レモン的な清涼感がある筈だよ!」
「一体何の話してるの!?」
「私が卑猥物じゃないって話だよ!」
「それは嘘よ、メブキは卑猥だもん」
「違うもん!」
コハルちゃんは、もしかすると私のことが好きすぎて、とってもえっちに見えてしまってるのかもしれなかった。だって、私が卑猥とか……そんなの、こけしさんを見つけてもスケベ呼ばわりしちゃう女の子の反応だよ。……電動マッサージ器メブキってことなの!?*10
「えいっ!」
「な、何でひっついたのよ」
「もしここで、私がプルプル震え始めたらどうするかな?」
「……ウザすぎる?」
「違うよ。私はバイブレーションメブキで、コハルちゃんは実質的に海綿体扱いの、生殖器コハルちゃんになっちゃうの」
「なるわけないでしょ! 下品すぎるメブキは死刑、八つ裂き!!」
プルプルと震え始めた私を、コハルちゃんは躊躇もなく投げ飛ばしてくる。痛いね? でも、これでコハルちゃんもえっち物扱いされる辛さをわかってくれたと思うな。私、えっちな女の子じゃないもん。ちょっとえっちなのが好きなだけな、ピュアピュア女の子なんだよ。キラキラだって、snowで盛りまくればちゃんと用意できるんだから!*11
「えっち物扱いされちゃう悲しみ、これでコハルちゃんにも伝わったよね?」
「……でも、メブキがヘンタイなのは事実だし」
「コハルちゃんと私、2人でえっちっちシスターだね」
「巻き込むなぁ、バカ」
話は平行線を辿りそう、決着のつかないお話……そうだね、今回はコハルちゃんと同点だったし、文字通りの互角だったもんね。あれ、テストの話から、どうしてこうなったんだっけ?
「コハルちゃん、やめようよ。私たちのおけけはまだまだ生えてこないの、こんなことしてても不毛なの。恥丘はいつだって、丸いままなの」
「……そうね、確かに。でも、それはそれとして、エッチだから死刑よ」
私達はそれから、答案を見せ合いっ子して間違ってる場所をこしょこしょする。一人でお勉強さんを屈服させられないなら、2人がかりで攻めちゃえばいい。お勉強さんはいつも澄ましたお顔をしてるけど、今この瞬間だけは肉お勉強さんになっちゃうの。私とコハルちゃんが2人本気になったら恐ろしいってこと、見せてあげるね!
そうして夜、メブキとコハルが脳の酷使の果てにビクつきながら眠りへと旅立った後、先生の部屋にノックが響いた。連日訪れているヒフミが今日も来てくれたのだと思い、扉を無防備に開ける先生。けれど、扉の向こうに立っていたのはヒフミではなかった。――スクール水着姿のハナコだったのだ。
「ふふっ、こんなに簡単に迎え入れちゃうなんて、不用心ですね♡」
戸惑った先生の視線が、水着に一旦向いてからそっと視線を外して。その反応に、可愛いなぁ、とハナコはしみじみと思いながら部屋へと入室した。コハルやメブキの反応も大好きだが、こうして素直に照れてくれるのもハナコ的にはおいしい反応なのだ。
「悪いオオカミさんなら、先生は食べられてしまっていたのでしょうが、残念ながら私はオオカミさんではありません。……相談があってきました」
相談、の言葉が耳に入って、先生は真っ直ぐにハナコを見ていた。先程あった照れは綺麗に消えていて、真摯に生徒の話を聞いてくれる先生の目。いつも見ている、導く人の瞳。
この人のこれも、ちょっとしたペルソナなのかな、と思いつつもハナコは素直に相談事を口にした。ともあれ、この人がいつも生徒のために一生懸命で、それで補習授業部のみんなは――自分も含めて助けられているから。いつか、この人の素顔を見つめてみたいなと思いつつも、今はそれを封印して。
「アズサちゃんとメブキちゃんのことです」
ハナコが口にしたのは、先生とヒフミもよく調べている最中の2人だ。シミコやミカからの報告でおおよその感触は掴めているが、もっと詳しい情報が欲しいのも事実。だから、先生は耳を傾けようとして。
「し、失礼します先生。昨日より遅い時間になってしまってすみません。じ、実はーー」
扉を開けて、ヒフミが入室してきた。部屋にいたハナコと視線が合い、更に彼女がスクール水着でいることに気がつく。その瞬間、ヒフミの頭脳は、あっと何かを察してしまっていた。ヒフミも、メブキやコハルほどではないが、立派な年頃の女の子だったから。
「本当に失礼しましたぁ!」
そこから生じた誤解を解くのに、先生はちょっと四苦八苦してしまっていた。ハナコの方も、昨日の晩にヒフミが先生と会っていたという事実に、異様な興味を示してしまっていたから。
「なるほど、これからについて先生に相談を……」
「ハナコちゃんも、先生に相談したいことがあったんですね」
結局、誤解の元であるハナコの水着を着替えさせることで、ようやく決着がついた。疲れ気味の先生を気にしつつ、2人は先生に相談事を語っていく。ハナコはまずはアズサのことを、毎晩出掛けて朝まで帰ってこない、殆ど睡眠だって取れていないであろうこと。何かに対して、戦う意志を、使命感を持っているからこそ休もうとしないこと。
「アズサちゃんもですが、メブキちゃんもです。こちらは規則性はありませんが、夜にふらふらと出掛けてしまう。……それにご存知ですか? その時のメブキちゃんは、メブキちゃんではないことを」
「メブキちゃんで、ない?」
「――イマジナリーお姉ちゃんだね」
ヒフミは首を傾げたが、先生は即座に答えを用意し。ハナコはそれに知っていたのですねと頷いて、ヒフミは語感の意味不明さに混乱してしまっていた。
「メブキちゃんの意識がないとはいえ、体を動かすだけでも脳を使うものです。あれだけ勉強しているメブキちゃんには、勝手に徘徊されるだけでもかなりの負担になるでしょう。2人とも、このままでは体調を崩してしまいますよ?」
ハナコの指摘に、先生とヒフミは少し言い淀んで。更にハナコは畳み掛ける。純粋な気持ち、この合宿で抱いたみんなへの好意からの心配だった。
「先生とヒフミちゃんもですよ? みんなのために頑張って、こんなにクマを作って……。確かに試験も大事ですが、落ちてしまってもただの落第です。みんなの健康と比べられるものではないと思いませんか?」
実に正論で、言い返しようのない事実だった――これが、通常の試験ならば。
「ただ、ただ落第で済む話ではないんですっ! あと2回、どちらも不合格なら……退学なんです! 私たちは、トリニティを去らないといけなくなるんですっ」
だから、ヒフミの必死な声が、逆にハナコへと刺さってしまった。詳しく事情を尋ねるハナコに、先生とヒフミは言っていなかったこの合宿の裏の話を全て話した。
ハナコも当事者で、恐らくずっとこれまで手を抜いて試験を受けてきたのだろうというのが、ハナコを調べた上での2人の結論であったから。しっかりと巻き込んで、味方にしてしまうつもりで話をして。
「通常の校則ならば不可能なことを、シャーレの権限を悪用して可能に……」
2人の話を聞いて、ハナコは少し胸が痛んだ。自分が楽しくしている裏で、周りは本当に必死だったことに気がついたから。本気でなかったという負い目が、急にハナコに追いついてきたのだ。
ヒフミからの、本気ではなかったんですよねという確認するためだけの問いかけも、今のハナコには少し痛かった。事情は分かった、次からは何も手を抜かないでいこうとハナコは決意表明までして。
「ありがとう、ハナコ」
先生は、本当に心をくすぐるのが上手だと、その浮かべている笑みを見てハナコは思って。他の補習授業部の部員のことも脳裏に過ぎって、この問題について解決する必要があるとハナコは強く感じていた。
「こんなことを企むのは、まあナギサさんしかいないでしょうね」
少し指向性を持って考えるだけで、ハナコの頭脳は事態の様相を把握する。幾らかの空白がある点には、より突き詰めていけば明白になるだろうと結論づけて。
「ナギサさんらしいとは言えますが、相変わらず狡猾な猫ちゃんですね」
「ね、猫ちゃん……」
自分が尊敬しているナギサを猫ちゃん呼ばわりされて、ヒフミは苦笑するしかなかった。ただ、これだけのことをしているナギサを猫ちゃん扱いできるハナコに、ヒフミは確かに心強く感じて。
「先生、メブキちゃんの……もっと言えば、イマジナリーお姉ちゃんの資料はありますか?」
にこりと笑っているハナコは、少し楽しそうな感じさえ漂っていた。頭の中では、様々な計算が飛び交っていて、それを出力するのを楽しんでいる節すらある。
「良いけど……どうするの?」
先生からもらった資料を読み込んで、やっぱりとハナコは思って。疑いを確証に変えて、ハナコはイマジナリーお姉ちゃんをもう巻き込んでしまおうと心に決めて。
「元々、あの子の任期でした。それなのに雲隠れして、1人高みの見物を決めて私達のことを特等席から眺めている、悪い狐ちゃんがいます」
先生の表情に、理解の色が灯る。
「自分が観客でないことを、思い知らせてあげましょう。まだ、狡猾な猫ちゃんより性悪な狐ちゃんの方が、味方をしてくれそうですから」
ハナコはとっても良い笑顔で、イマジナリーお姉ちゃんの首根っこを引っ掴む宣言をした。疑問符が浮かんでいるヒフミに説明しながら、先生も確かに頷いていたのだった。
「くちゅん……この服では腋を出していないが。やれやれ、メブキに無理をさせすぎたかな? 今日のところは帰って休むことにしよう」
一方で、今日も暗躍しているどこぞのイマジナリーお姉ちゃんは、そんなことを知る由もなかった。