コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
ハスミ先輩さんから頼まれたのは、何か現れたテロリストを捕まえてってお話だった。にゃんで? って思ったけど、今のトリニティとゲヘナで争いが起こるのはマズイからなんだって。そんなせーじ的理由で、私達は爆風飛び交う中心地に向かってるの! まだ漏らしてない、うん、まだ漏らしてないよ!*1
『ねえ、メブキは置いていった方が良くない?』
『任せて、ヘイローあるから先生の肉壁になれるよ!』
『自分を大事にして、メブキ』
『先生もね!』
置いていかれそうになっちゃったけど、こんな状況で仲間外れにされちゃう方が怖いから、無理やり付いてきたの。それに、何にも出来ないわけじゃないよ? 銃はもってないけど、スタングレネードはイマジナリーお姉ちゃんが用意してくれてたし*2。
いざとなったら、本当に先生を守るヒロイン役になっちゃうからね! 最初にウイ先輩棒、次に私が先生を守ってあげるの! ……痛いのはヤだから、出来るだけテロリストさんを近付けないでね、みんな?*3
「ハスミ先輩と一緒、一緒の任務!」
「コハル、肩に力が入りすぎると失敗しますよ。適度な緊張感、吸って吐いてを繰り返してください」
「コハルちゃん、ひっひっふーだよ」
「う、うん。ひっひっふー、ひっひっふー……本当に合ってるの、これ?」
「肩の力は抜けましたから、間違いではなかったみたいですね」
それに、補習授業部のみんなだけじゃなくて、今回はハスミ先輩さんも一緒! 屋上で見てた時も、すごく射撃が上手だったし、コハルちゃんが尊敬するのも分かるくらいに強いの!
テロリストが相手だから、きっと凶悪なレイパーなんだと思うけど、挿入される前にハスミ先輩さんが去勢してくれると思うからちょっと安心感があるよね。先生のお尻は、きっと守り抜けるはずだよ!*4
あっ、あそこに居る四人組がそのテロリストさんなんだね! ……全員女の子だけど、本当にレイパーさんなの? 何か全員キャラ濃そうだし、実はレイパーじゃなくて性技の味方だったり……あ、追いかけてきた警備員さん達がスナイプされて薙ぎ倒されてる。だ、大丈夫なのかな?
「舐めた真似をしてくれるものです、美食研究会。その対価、安くは済ませませんよ」
ハスミ先輩さんが怒った顔をして、そのままスナイパーライフルをパンって撃つ。すると、それはテロリストさん……の背負っていたお魚に直撃して爆散。金色のお魚さんは頭が亡くなって、黒焦げになっちゃってる。……スナイパーライフルってそんなだっけ、怖いね?
「マグロがーっ!?」
「ぜひお造りでと思っていましたが、ウェルダンステーキになってしまいましたね」
「おや、あちらは先生……に、トリニティの生徒達、ですね⭐︎」
「水族館からの追撃もありますし、先生を相手に勝てるとも思いませんが……」
「ば、バラバラに逃げたら、生存率上がるんじゃない?」
「むーっ、むーっ!?」
「大丈夫ですよ、フウカさん。死なば諸共、捕まっても罪は半分こです。半分こは嬉しいと、最近になって気が付きましたからね。先生と共に過ごすと、新しい発見に溢れています」
「んーっ!?」
エ、待って。あそこで簀巻きで抱えられてる女の子、フウカたんじゃないかな? もしかして、誘拐されちゃってる!? このままだと、レズ風俗に売り飛ばされて、コハルちゃんに性欲をぶつけられる存在になっちゃうの? そんなの、あんまりな人生だよ! あわ、あわわ!?*5
『勉強、頑張ってるね。私は愛清フウカ、先生に様子を見てきてあげてって言われたの。はい、どうぞ』
『あ、ひゃい! ありがとうございます……これ、アイス?』
『うん、そう。アズサにも、はい』
『フウカ……ありがとう、補給は重要だ。フウカは良く分かっている』
『え、まだ勉強してるの? 二人共、頑張りすぎると逆に効率が落ちるよ』
『うん、でもまだ頑張りたいから! あ、フウカたん先輩、アイス美味しかったです! ありがとうございます!!』
『フウカたん先輩って……もう、先生ったら、変な呼び方教えて。それならまだ、フウカたんで……良くないけど、ややこしいのより良いかな』
『うん、フウカたん!』
『ちょっと待っててね、お夜食持ってくるから』
『え?』
溢れ出す、フウカたんとの思い出。
シャーレの当番としてやって来たフウカたんは、お勉強さんと3Pしてた私とアズサちゃんに、差し入れでおやつだったりご飯だったりを用意してくれたの。あの時に食べたおうどん、とっても美味しかったなぁ。それに、アイスのレシピも置いていってくれて、偶に私もおやつを作れる系女子に成れたの!
その優しさが煩悩の数だけありそうなフウカたんが、誘拐犯に捕まってレズ風俗に沈められようとしている。そんなの、司法が許しても私が許さないよ! えっちな犯罪はダメ、拘禁、だよ!*6
「コハルちゃん、やっちゃって!」
「メブキが仕切らないで! ……やるけど、先生!」
「うん、分かってる。まずはフウカを助けるよ」
でも、私はか弱き生き物だから、他の子に頼るしか無いの、ごめんね? これが終わったら、みんなのパフェ代何とか私が払うから頑張って!
「メブキ、スタングレネード投げれる?」
「え、う、うん」
「ハルナ……あのフウカを抱えている銀髪の子の前に、何とか落として」
「わかったよ、えーい!」
ピンを抜いて、私の女の子投げしたスタングレネードは銀髪の女の子の前、には微妙に届かなかった。けど、アズサちゃんが放った銃弾がグレネードを掠めて、落下地点が上手い具合に変わって、無事に銀髪の女衒さんの前に落ちて炸裂したよ!
……幾ら凄腕エージェントさんとはいえ、凄すぎないかなアズサちゃん。
「あら、これは……」
「ーっ」
無事に私が投げたフラッシュグレネードは作動して、テロリストの足が止まる。そこに、コハルちゃんが組み付いて拘束し、ヒフミちゃんがフウカたんを確保する。
「クッ、私の目が……」
「大人しくして、暴れたら撃つわよ」
「ハルナ、投降して」
コハルちゃんにマウンティングされて、銃を突き付けられたテロリストさんは、ちょっと考えてから大人しく銃を手放した。そうだね、不利な状況でコハルちゃんにいつでもえっちされる体勢なんて、降参しないととんでもないことになっちゃうもんね。
「……分かりましたわ、先生。流石に片手が塞がっていては、どうしようもありませんでしたわね」
「フウカたん、大丈夫!?」
ヒフミちゃんにロープを解かれて、猿轡も解かれたフウカたんは、苦しそうに呻いていた。ギャグボールじゃなくて猿轡だったのは、テロリストのせめてもの良心だったの?
「うぅ、眩しい、目が……」
「ご、ごめんね、フウカたん。でも、無事で良かった。えっちなことされてない?*7」
「その声、メブキ?」
「そうだよ、久しぶり!」
「うん、久しぶり……そっか、トリニティ生だったよね」
おめめをしょぼしょぼさせて、フウカたんは若干焦点があっていない目で私を見上げた。フウカたんの太ももをサワサワして、バイブが入れられてないから確認する。……うん、プルプルしてないし大丈夫だね!*8
「な、何してるの?」
「フウカたんが無事か、確かめてたの」
「そ、そうなんだ」
「フウカたんが可愛いから触った、なんて訳じゃないんだからね!」
「……本当だよね?」
「えっちな気持ちで触ってなかったから大丈夫だよ!」
なんか微妙な顔になっちゃってるフウカたん。本当のことを言ってるのに、おかしいね? 煤で汚れちゃってるフウカたんの服をパンパン(えっちの音じゃないよ!)とはたいて、先生の元に一緒に向かう。先生の下には、さっきのテロリストがグルグル巻きにされちゃってた。
「他の美食研のメンバーは……」
「そちらは……ツルギが向かったようです。恐らく、直に拘束することでしょう」
「大丈夫なの?」
「……取り敢えずは、今のツルギはシャーレの所属ということで」
先生たちは相変わらず難しいお話をしていて、テロリストさんは放置プレイを食らってる。でも、グルグル巻きで、これから正実の感度3000倍のお部屋送りになる筈なのに*9、とっても泰然としてる。なんでだろ、無痛症だから怖くないとか? 感度3000倍の部屋に送ってあげたら、治療になるのかな……あ、フウカたん、テロリストに近づいたらダメだよ!
「ハルナ、少しは反省した?」
「フウカさん、こうして捕まってしまい申し訳ありません。風紀委員会には、フウカさんは3割しか責任がないと伝えますので」
「全く反省してないのね。明日の仕込みもあったのに、急に連れ出して! 今日は徹夜確定なのよ、全く」
「では、モモッターで格安食堂を喧伝しておきましょう。明日は食堂を閉めて、1日くらい休まれてください」
「……そういえば美食研のアカウント、大体のゲヘナ生にフォローされてたわね」
「えぇ、偶には自分の朝食を優雅に作り、のんびりした朝を過ごされてください」
あれ、フウカたん、テロリストの人と仲良いんだ。なんだっけ、クロロホルム症候群? 眠姦レイプされちゃったけど、身体を通じて心も通わせちゃったとか?*10
うむむ、なんだろうね、私よりなんか仲良さそうだね? 悪い人から助けてあげたって思ったんだけど、余計なお世話さんだったかな? WSS(私が先に好きだったのに)的な何かだよ、こんなの。なんだか面白くないよ!
「フウカたん、この人悪い人じゃないの?」
「メブキ、心配してくれてるの?」
「そうなの、仲良さそうで嫉妬なんてちょっとしかしてないんだよ!」
「フウカさん、こちらの方は?」
「トリニティ生のメブキよ」
「初めまして、春風メブキです。趣味は、大人のおもちゃをお姉ちゃんのお部屋に溜め込むことです!*11」
「まあ、これはご丁寧に。私は黒舘ハルナ、美食研究会の部長を務めております」
「……えっちな部活動なんです?」
「え、えっちな部活動ではありませんわ」
「本当ですか?」
「本当ですわ」
一縷の望みを懸けて、ハルナさんの美食研究会は女の子を試食するえっちな部活動なんじゃないかなって聞いてみたけど、全然そんなことはなさそうだった。こんなの絶対におかしいよ!*12
「メブキ、暴れん坊のハルナより、頑張って勉強してるあなたの方が偉いって思ってるからね」
「ほんと?」
「それは妬けますわね」
「ハルナはまず、心を入れ替えるところから始めて」
「いつだって誠心誠意、真心を込めて活動していますのに」
やっぱり、二人とも何だかとっても仲良さげ。フウカたんってば、あんたのことなんか全然好きじゃないんだからね! って言い出しそうな勢い。私に言ってくれてもいいんだよ?
「ハルナさん? は、フウカたんが可愛くて、意地悪しちゃうの?」
「意地悪などはしておりませんわ。ただ、美食は高級食材だけあれば、完成するものではありません。優れた料理人がいてこそ、味わい深くなるものですから」
「確かに、フウカたんのお料理はとっても美味しいよね」
「ふふ、あなたは味が分かるのですね」
「……褒めてくれてます?」
「ええ、その舌は大事に育ててください」
なんか褒められちゃった! 実はね、私って褒められるの大好きなの! イマジナリーお姉ちゃん、聞こえてる? 私、褒められるの、とっても大好き! だから、夢の中ではよろしくね!*13
それにしてもハルナさん、褒め上手だなんて、実は悪い人じゃないのかもしれないね?
「メブキ、他の人たちも捕まえたらしいし、ハルナを拘置所に連れて行くよ」
「うん、ハルナさん歩ける? 大丈夫?」
「この黒舘ハルナ、この程度で弱り切るほど柔ではありませんわ」
「辛かったら言ってね?」
「メブキ、なんでテロリスト相手に懐柔されてるのよ!」
「コハルちゃんコハルちゃん、美食研究会はえっちな部活動じゃないんだって!」
「当たり前でしょ、バカなんじゃないの?」
大切な真実を伝えてあげたのに、コハルちゃんはなんだか冷めた目をしてた。ツンとして、敢えて言うなら格好つけてる感じ。あ、そっか、ハスミ先輩さんの前だから、去勢された猫さんみたいに大人しいフリをしてるんだね。可愛いね?
「ハスミ先輩さん、先輩さんもコハルちゃんを褒めてあげて欲しいです!」
「メブキのバカ、急に何言ってるの!」
「でも、褒められると嬉しいって、ハルナさんがさっき教えてくれたの」
「だからそいつテロリスト! お菓子もらったら初対面の人でも、そのまま付いて行くつもり!?」
「それ知ってる! ハイエースってやつだよね、車の!」
「ハイエースって何よ」
「えっと、誘拐犯さんレイパーの人が主に使う、横長の車のことかな?」
「そんな車、存在しちゃダメ! エッチな車は検問、廃車!!」
コハルちゃんを褒めてもらおうと思ったら、えっちな車の話になっちゃってたね。おかしいね?*14
「……」
「あ、ハスミ先輩!? 違うんです、いつもこんな会話してる訳じゃありません!」
「いえ、仲が良いのはいいことです」
「いえ、メブキと仲は……悪くないですけど、私は頭おかしくないんです!」
「人の悪口を言うのは、あまり感心できませんね」
「んーーーーっ!?」
コハルちゃんは、頭抱えて崩れ落ちちゃった。分かる、八方塞がりだと、悲しみのあまり現実逃避でエロゲーしちゃうもんね。よくあったから、私はその辺りプロだよ!
「ハスミ先輩さん、コハルちゃんはいつも優しいです」
「分かっていますよ、コハルは自慢の後輩ですから」
「え、自慢の、後輩!?」
「そうですよ、コハル。あなたは頑張れる子で、正しいことに前向きでいられますから。今日は頑張りましたね、よくやりました」
「は、ハスミ先輩に褒められちゃった……えへへ」
コハルちゃん、今日はたくさん褒められたね! いつも一生懸命だからね、みんなそんなコハルちゃんを見てるもんね。憧れの先輩にも褒められちゃうなんて、良かったね! 私が褒められてる訳じゃないのに、コハルちゃんが褒められてるのを見てると私まで嬉しくなっちゃうの。不思議だね?
それから、ハルナさんたち美食研究会をハイエースっぽい正実の車に乗せて、私達はトリニティとゲヘナの校境線まで来たの。先生、車も運転できたんだね。キヴォトスでは無免許運転が今の流行りらしいけど、先生はキチンと免許証を持ってたよ、偉いね?
「フウカたん、ハルナさん、元気でね!」
「メブキ、食べたいものがあったら言ってね。シャーレで会えたら、そこでまた作るから」
「私、今度は肉じゃがが食べたいよ!」
「分かった、今度は先生も含めて、みんなで食べよっか」
「うん!」
「シャーレでお食事会、今から楽しみですね、メブキさん」
「とってもだよ、ハルナさん!」
「しれっと混ざろうとするな」
ゲヘナ側から迎えに来た……救急車に乗ってた人達は、先生とちょっとお話ししてから、美食研究会の人達とフウカたんを乗せて帰って行ったよ。救急車で迎えに来たの、どこか怪我しちゃってた人がいたのかな? ……テロリストだけど気の良い人たちだったし、怪我してないと良いな。
「ねぇ、先生」
「どうしたの、メブキ」
「トリニティの拷問は感度3000倍だけど、ゲヘナは何かあったりするの? さっき来てたのは救急車だし、お医者さんごっことか?」
「トリニティには、そんなものがあるんだね……」
「ある訳ないでしょ! 先生なのに、メブキのアホアホ発言に騙されないで!」
「そうなの?」
「あんたもあんたで、なに不思議そうな顔してるのよ!」
合宿所に帰ってから、私はコハルちゃんにほっぺを引っ張られてた。愛情が足りてないのか、今日はあんまり伸びてないね? メブキマスターのコハルちゃんにしては、ぶきっちょさんだよ。
「でも、感度3000倍の部屋がないと、コハルちゃん巨乳になれないよ?」
「なっ、そのうち成長するもん! ぺたんこのメブキと一緒にしないで!」
「そっか、コツコツするタイプなんだね、コハルちゃんは。それなら、帰ったら一緒にお風呂で豊胸体操しようね?」
「しない!」
「私はハナコちゃんを目指すから、コハルちゃんはハスミ先輩さんを目指そ?」
「メブキがハスミ先輩の名前を口にしないで!」
コハルちゃんは、まだ私のほっぺをグニグニしてる。そんなに触っても、ほっぺじゃおっぱいの感触は得られないのにね。コハルちゃんは脱法おっぱいの二の腕を知らないのかな?
「……なんで?」
「ハスミ先輩が、エッチな人みたいになっちゃうでしょ!」
「ハスミ先輩さんは、元々えっちな身体付きだよ?*15」
「バカバカバカ、バカメブキ! エッチなのはダメ、死刑!!」
「ハスミ先輩さんを死刑にするなんて、酷いよコハルちゃん!」
「死刑なのはあんた!!」
私のほっぺを、むにょーんと伸ばすコハルちゃん。急に扱いが上手くなったけど、どうしたのかな。コハルちゃん、実は怒ると指先が器用になる異能の持ち主なの? それで女の子達を、えっちに沢山逮捕してきちゃったの? 冤罪えっち、楽しかった?
「あはは、何だか怒涛の一日でしたね」
「そうですね、夜のお散歩がこんなに激しくなるなんて、私初めてでした」
「うん、でも楽しかった」
「私達も! ね、コハルちゃん」
「……まあね」
私のほっぺはようやく解放されて、今日一番のヒリヒリが残されちゃってた。今日のコハルちゃんは、乱暴指先テクニックだったね。いつもは、もうちょっと上手なのに。みんなから褒められちゃって、テンション爆上がりだったのかな?
「もう遅いですし、そろそろ寝ましょうか。明日の勉強に支障が出ると良くないですし……」
「うん、もうクタクタだよ。おやすみなさーい」
「みんな、お疲れ様。おやすみ」
「せんせー、お休み……」
コハルちゃんには、後日どんな冤罪えっちをしたのか聞くことにして、今はベッドに直ぐに潜って、目を閉じたよ。今日はいろんな出来事がいっぱいあって、ベッドに入るとお目めが重くなっちゃったから。
今日もいっぱい頑張ったから、ふにゃふにゃだよ。あ、イマジナリーお姉ちゃん、今日もいっぱいお話聞いてね。あと豊胸体操一緒にしようね?*16
「全く、胸を揉みしだくことの何処が豊胸体操なんだ」
夜中の時間帯、パチクリと目を開けた彼女は、辟易した顔で呟いた。まだ変な感覚が残ってる気がして胸を摩るが、肉体的には違和感はなし。つまりは、精神にメブキに揉まれまくった感覚が残ってしまっていた、最悪である。
正しい豊胸体操について、調べて冊子を置いておこうかと思案して。彼女、イマジナリーお姉ちゃんは部屋から一歩踏み出した……その時のことであった。
「捕まえました♡」
ドアを開けた瞬間、誰かにギュッと抱きしめられてしまっていた。すわ、メブキかと驚愕したが、彼女は夢の住人と化していて、何より今の自分がメブキの身体を使っているのだからあり得ない。そもそも、メブキの身体にしては柔らかすぎた。
恐る恐る顔を上げた彼女の目には、今日も今日とてスク水の纏ったハナコの姿。ニコリと笑いかけられて、引き攣りながらイマジナリーお姉ちゃんも笑顔を返した。
「お久しぶりですね……ふふ」
「スマナイネ、ナンノコトカワカラナイカナ。ハナコチャン」
「あら、でしたら身体に聞いてみましょうか。自分で言うのも憚られますが、メブキちゃんは私が大好きですから。このままスリスリしたら、まもなく想像妊娠してくれるはずです」
「それは嘘だ!? 幾らメブキでも、妊娠する努力をするだけで、本当にお腹が大きくなる訳がないんだ! ……あっ」
常日頃、メブキの中で芸人の如くツッコミを入れ続けてしまっていた経験が、ここに来て裏目に出てしまった。あまりにおかしな発言を、スルーできなくなってしまっている。大根極まっていた演技も相まって、最早逃れようのないドツボへと嵌ってしまっていた。
「色々と聞きたいことがあるんです──セイアちゃん」
イマジナリーお姉ちゃん──百合園セイアは、深々とため息を吐いてから、大人しく先生の部屋へと連行されることになっていた。こうなることが分かっていたから、わざわざ先生にも名前を告げなかったのに、と若干拗ねてしまいながら。
「ところでセイアちゃん、しばらく見ない内に面白くなりましたね」
「鏡を是非見てもらいたい。私の友人は、深夜に学校指定の水着で徘徊なんてしていなかった」
「ふふ、事情がありまして」
「どんな事情だ、それは。私の妹も誑かして……」
「その妹ちゃんの身体を好き勝手にして、隅々まで支配しているセイアちゃんには言われたくないです♡」
「……私が元に戻れることがあれば、メブキが私の部屋に不法投棄している諸々をハナコに譲渡しよう」
「それは一体?」
「大人のおもちゃだ」
「──セイアちゃん、本当に面白くなりましたね」
次回、(部分的な)情報開示回。