コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
日記
「あにょね、こひぁるちゃん……おかーさんのしきゅーにもどりたいって、そんなことば、ありゅよね?」
「……しけぇ」
「わたしぃ、きがついちゃった。おふとんのあったかさ……これね、たぶんね、おかーさんのしきゅーのなかなの」
「あさからへんなこというなぁ」
「いっしょのしきゅーにいるから、コハルちゃんはね、わたしのいもーとなの」
「あんたがいもーとよ、がきんちょメブキぃ」
私たちの夏休みが始まって数日、コハルちゃんは未だに私の家に居てくれていた。お部屋だって、クーラーをガンガンにつけちゃって、一緒のベッドでスヤスヤしてる。お泊りする時は、他の部屋に埃が被っちゃってるから仕方ないの。
イマジナリーお姉ちゃんのお部屋は、えっちなオモチャでいっぱいだからね*1。コハルちゃんを近付けちゃったら最後、全部持って帰られちゃって、コハルちゃんの終わらないえっち祭りが開催されちゃうから、絶対に近付けられないんだよ。
「おはよぉ、コハルちゃん」
「ん、おはよぅ」
私達はショボショボと目を擦りながら、おはようをした。やっぱり、毎日おはようが言えるって素敵だね。
そういう訳で、コハルちゃんはもうウチの子だからね。ここに住んで、私の生き別れの妹として暮らしていくの! 私とイマジナリーお姉ちゃん、コハルちゃんの三姉妹だよ。今日からよろしくね!*2
「メブキ、ストップ!」
「どしたの、コハルちゃん?」
私が朝ごはんを用意しようとしたら、コハルちゃんが待ったをかける。もしかして、作ってくれようとしてくれてるのかな。でもね、コハルちゃんは私に養われてて良いんだよ。
このまま胃袋を掴まれて、身も心も私のものになっていってね? このまま、この家に住んでくれて良いんだからね!
「その手に持ってるの、何?」
「お鍋!」
「何を作ろうとしてるの?」
「カレー!」
どうしたんだろう、コハルちゃん。こんなわかりきったことを聞くだなんて……今日はシチューの気分なのかな? でも、私はシチュー食べるのは冬にって決めてるの。まだ食べたことないけど、真っ白だしきっと大人な味がするんだと思うよ!
「…………昨日も、一昨日も、三食ずっとカレーだったじゃない」
「おっきなお鍋で作らないと、カレーじゃないの。だからね、たくさんできちゃうのは仕方ないんだよ?*3」
お鍋にじょぼじょぼとお水を注ぐ。この前は普通のカレーだったけど、今度はルーを沢山入れて田舎風味のどろどろカレーにしてあげるの。ご飯がモリモリ食べられると思うし、お米も二合も炊いちゃった。
ご飯は食べきれなかったら、ねこまんま用のご飯としてお弁当にだってできちゃうの。だからね、一分の隙もない完璧な調理なんだよ!
「……イヤ」
「コハルちゃん?」
「もう朝からカレーはイヤって言ってるの!!」
なのに、コハルちゃんはおかしなことを言い出してた。カレーがイヤ? ハヤシライス星人にでも、洗脳されちゃったの? インド人はカレーを飲み物にしてて、えっちな飲み方だってできちゃうのに? 意味が分からないよコハルちゃん!*4
「大体、三食ずっとカレーなんて、太っちゃうじゃない!」
「コハルちゃん、縦に伸びるのは成長って言って、太るって言うのとは違うんだよ?」
「横にデカくなるのよ!」
「どすこいコハルちゃんになっちゃうの? ……あのねコハルちゃん、四股を踏むのは足でおにんにんをいじめる行為じゃないの。シコシコじゃないし、お相撲さんにそんなことされたら、大事なものが潰れちゃってTSしちゃうんだよ?*5」
コハルちゃんは、本当にいつもえっちなことを考えすぎてる。ご飯食べる時にまでえっちなことを考えてたら、お箸もスプーンも進まないよ。えっちなモノのことをオカズって言うけど、それじゃあお腹は膨れない。そんなだから、いつまで経ってもロリのままなんだよ!*6
「カレーばっかり食べてて、お腹も頭がおかしくなりそうなの! あんたは私に、カレーの子供でも産ませたいの!?」
「た、食べ物との異種姦、しかもカレーで? ……コハルちゃん、それはライン越えだよ。カレーはね、もっと美味しくて、楽しく食べなきゃダメなの。カレー触手に襲われてるコハルちゃんが、ジャガイモを出産しようなんて到底許せる行為じゃないよ!」
「違うし! なんでメブキの方が常識人みたいな顔してるのよ! エッチなのはダメ、死刑!!」
「それなら、異種姦しようとしたコハルちゃんも極刑だもん!!」
「してないわよ、ドヘンタイメブキ!!」
性技の味方と化したコハルちゃんを誅するべく、私はモモフレエプロンの内側に仕込んでいた紙パンツに手を伸ばした。これを頭に被せられれば、コハルちゃんは恥ずかしがってイヤイヤすることを知ってるんだからね!*7
「ここで会ったが百年目、そんなに会ってたんだね私達。きっと、前前世辺りの恋人さんだね。そういうわけで、かくごぉ!」
「メブキが恋人なんて、絶対イヤ! おかしな妄想しないで!」
「そうやって、私を傷心させる作戦なんだね。卑怯だよ!!*8」
そうして、卑劣なコハルちゃんに飛びかかった私は、サッと避けられちゃって床へとダイブすることに。……台所は広くないのに避けられるなんて、コハルちゃんはお猿さん並みの身体能力があるのかな? えっちなことをしまくってる人のことを、猿並みって言うもんね。
あ、今日もコハルちゃんにマウンティングされちゃった。毎回負けちゃうなんて、私には敗北系ヒロインの才能があっちゃったのかな……?
「──私に、えっちなことするんだよね?」
「しないわよ、アホアホメブキ。……でもね」
コハルちゃんは、とっても良い笑顔をしていた。まるで、とっても愉快なことを思いついた時のメスガキさんみたい。そして、その手の中には、私が取り落としちゃった紙パンツが収まってて。
……私、コハルちゃんに介助プレイされちゃうってこと? それはね、前世だけでもう十分間に合ってるから、もう要らないんだよ?
「コハルちゃん、私ね、オシッコ一人でいけるよ? 一人で出来るの!」
「なんで私が、メブキのパンツなんか替えてあげないと行けないのよ。……これは、あんたの頭に被せるの」
私の頭にコハルちゃんが紙パンツを被せる!?
「どうしちゃったのコハルちゃん! そんな狂ったこと、コハルちゃんはしない筈だよ!*9」
「あんたが最初にやってきたことじゃない、鳥頭メブキ!」
「気のせいだよ!*10」
このままじゃ、私は紙パンツを頭に着用の上で街中を散歩させられて、謎のエージェントM(メブキ)からコハルちゃんのペットM(マゾマゾメブキ)へと評判が落ちちゃう!
そんなことになったら、私はトリニティでみんなに餌やりをされながら、春風メブキじゃなくてねこねこメブキとして生きていかなくちゃいけなくなっちゃう! 頭がおかしくなりそうだよ!!
「コハルちゃん待って! 私、頭からお漏らしできないの。メブキ汁なんて存在しないから、こんなことしても無駄なんだよ?」
にゃので、必死に命乞いをする。そんな辱めを受けるくらいなら、先生の前でお漏らしする方がよっぽどマシだから。それに、先生は私をエッチな目で見てるらしいし、ワンチャン先生が好き過ぎてお潮噴いちゃったのって言い訳が成立するからね*11。
「メブキ、諦めなさい」
でも、そんな私のお願いは儚く散って、コハルちゃんによる刑は執行されちゃった。今日からねこねこメブキだよ、イマジナリーお姉ちゃん、よろしくね!*12
「それで、そろそろ聞かせてもらうわよ」
「私のスリーサイズのことかな?」
「全部50でしょ」
「寸胴すぎるね!」
あれから、私は紙パンツおさんぽをされることなく、コハルちゃんの欲望により朝ご飯が豚汁になっただけだった。性欲じゃなくて、ちゃんと食欲もあったんだね……良かった。豚汁が食べたいなら、そう言ってくれれば良いのにね*13。亭主関白気質なのかな、コハルちゃんは。
そういう訳で、イマジナリーお姉ちゃん。私は春風メブキ、ねこねこメブキじゃないよ、よろしくね!
「そうじゃなくて、夜のあんたのこと!」
「夜の私……?」
も、もしかして、私がぺたんこ春の名義で夜にこっそり執筆してる、"ツンデレ過ぎる親友は私のことが大好き過ぎて、私への好意が全然隠せていない件について 〜あんたのことなんか、これっぽっちしか好きじゃないんだからね!〜"を見つけちゃったの?*14
あれ、ヒロインの名前をコハルちゃん擬きの下エロコハルちゃんってしてるから、見つかってたら私は今度こそねこねこメブキにされちゃう! まだ書き溜めしてる最中で、ネットには流してないよって言い訳、通用するかなぁ……。
「あのねコハルちゃん、これには海よりも深いワケと山よりも高い言い訳があるの」
「どれだけ言い訳する気よ……まあ良いわ、言ってみて」
「うん、あのね……下エロコハルちゃんは架空の人物で、実際の人物、団体には一切関係ないんだよ?」
「なんの話よ、それは!!」
「ちゃんと、ちゃんと18歳以上だから許して!*15」
「意味分かんないけど、絶対許さないから!!」
何故か私は、襟元を掴まれてガクガクと揺らされていた。まだお腹いっぱい食べてないから大変なことになる心配はないけど、そんなに揺らされたらご飯食べらんなくなっちゃうよ!
「分かったから! キヴォトスにもソフ倫さんを設置するから! だからもうやめて!!」
「エッチなのはダメ、死刑!!」
コハルちゃんは、チューリップ・プリズンの看守さんなの? 人気の女の子をパロディにしたえっち物を創作されることなんて、AV界では常識って前世のネットで見たのに! 心が狭いよコハルちゃん、もっとえっちに寛容であってよ!
「絶対に可愛く仕上げて、下エロコハルちゃんは究極のヒロインとして全キヴォトスに発信されるから! だから、私にえっちな小説の執筆を許してください! すけべなコハルちゃんを書くことを許してください!!」
「しけぇ!!!!」
結局、私のデビュー作になる筈だった、"ツンデレ過ぎる親友は私のことが大好き過ぎて、私への好意が全然隠せていない件について 〜あんたのことなんか、これっぽっちしか好きじゃないんだからね!〜"はコハルちゃんによって闇に葬り去られることになった*16。
そうして悲しみに暮れる私に、コハルちゃんは追い打ちをかけるように、新たな真実を告げたの。
「私、イマジナリーお姉ちゃんに身体を好き勝手にされちゃってたの!?*17」
「なんでメブキが知らないのよ!」
なんと私、毎晩イマジナリーお姉ちゃんによって身体を開発されて、敏感メブキとして生きていくことになってたみたい。待ってよ、どういうことなのイマジナリーお姉ちゃん!!
「コハルちゃん、私妊娠してないよね! 処女受胎したと思ってたら、実は膜がなくなってて先生の子供を身籠ってたなんてことないよね!?」
「せ、先生はエッチだけど、両思いじゃないとエッチ出来ない性癖だから、大丈夫……多分」
「確かに、先生って純愛厨だったもんね*18」
良かった、とても最重要だった私の大切なものは無事だったみたい。単にイマジナリーお姉ちゃんに、えっちな身体にされちゃっただけだったんだね*19。でも、なんでコハルちゃんがそんなこと知ってたんだろう。お姉ちゃんが一人えっちしてるのを知ってるなんて……もしかして?
「あのね、コハルちゃん。もしかしてだけど、イマジナリーお姉ちゃんとレズ風俗ごっこしちゃったの?*20」
一人えっちをしているイマジナリーお姉ちゃんに、偶々それを目撃しちゃったコハルちゃん。コハルちゃんはえっちだから、そのままイマジナリーお姉ちゃんを押し倒して、"今日からあんたは私のエッチなシモベ、下僕じゃなくてエ僕だから"と言って弄んじゃう。実にありそうな展開だよ!
「さっきから、なんで全部エッチな話に持っていくのよ!」
「コハルちゃんとは、えっちな話してる時が一番盛り上がるからだよ!」
「そんなワケないでしょ、あんたが騒いでるだけじゃない!」
「じゃあ、えっちな話じゃなかったら、なんだっていうの!」
「エッチな話じゃないこと!」
夜に起きて、私の身体を好き勝手にしているのに、えっちなことはしていないの? そんなの、多分うそっ子だよ。イマジナリーお姉ちゃんだって女の子だもん、ふしだらな姉ですまないって言うもん!*21
「合宿の最後の日、私たちは戦ってたの。アリウスっていう学校とね」
「え?」
次々と、知らないことを知らされる。一緒に、疑問も頭をグルグルし始める。
私がグーグー寝ているうちに、みんなは戦ってたの? アリウスってどこ? イマジナリーお姉ちゃんと、なんの関係があるかな?*22
「メブキだって気付いてたでしょ。合宿所が穴だらけになってたの」
「で、でも、それはアズサちゃんのトラップが爆発しちゃったからじゃ?」
「あれはアズサのトラップを使って、相手をやっつけた跡」
びっくりする情報に、目が回りそうになっちゃう。でも、そういえばみんな、試験前にとっても疲れ切ってたね。それって、徹夜で試験勉強をしてたんじゃなくて、アリウス? って学校の人たちと戦ってたからなんだ。……みんなと、私の代わりにイマジナリーお姉ちゃんが。
「みんな、怪我してなかった?」
「擦り傷はあったけど、ヒフミが治療してくれたし大丈夫」
「そっか」
何だか、私だけ仲間外れさんになってるね。戦ってるとこにいても、役に立たないと思うけど。けど、ちょっとだけ寂しい。イマジナリーお姉ちゃんのことだって、全然知らなかったし。……お姉ちゃん、私に無理させたくなくて、代わりに戦ってくれてたの?*23
「みんなが大変な時に、ぽやぽやしててごめんね?」
「な、何よ急に。別に謝らなくていいし、メブキは戦えないからしょうがないでしょ」
胸がモヤモヤしちゃって、思わずコハルちゃんに謝っちゃってた。急にごめんって言われても、困っちゃうの知ってるのに。ごめんね、コハルちゃん……。
ほえ? コハルちゃん、ナデナデしてくれてるの?*24
「私が聞きたかったのは、あんたのお姉さんの事情。知らないなら知らないで良いの、だからしょんぼりしちゃダメ!」
……そうだね、コハルちゃんはえっちだし、カレーを嫌がる日あるし、えっちな小説に登場させられるのも嫌がるけど──でも、とっても優しくて強い、私の一番の親友だもんね。私のことなんて、簡単に分かっちゃうよね。
「コハルちゃん、もっとナデナデして。わたし赤ちゃんだから、いっぱい優しくしてくれないと、泣いちゃうんだよ?」
「何が赤ちゃんよ、ガキンチョメブキ。……ちょっとだけだからね」
「だからコハルちゃん、大好き!」
「あ、こらっ、調子に乗って抱き付いちゃダメ!」
頭を撫でられながら、コハルちゃんにスリスリする。ハナコちゃん相手にやるとドキドキするけど、コハルちゃん相手だとなんだか落ち着くね?
えへへ、やっぱりコハルちゃん大好き。次回作の小説のタイトルは、"デレデレ過ぎる私は親友のことが大好き過ぎて、全然の好意が隠せていない件について 〜あにゃたのことが大好きなんだから、覚悟してよね!〜"に決定だよ、こんなの*25。
「これからも、いっぱい甘えさせてね?」
「ダメ!」
「にゃんにゃん!」
「めっ!」
いっぱい、めっ! ってされたけど、それ以上にコハルちゃんは甘やかしてくれたよ。だからね、段々と私もテンションと一緒にIQが上昇していったの。それでね、とっても良いことを思いついたんだ!
「コハルちゃん、私ね、イマジナリーお姉ちゃんと交換日記しようと思うの*26」
「良いんじゃない?」
イマジナリーお姉ちゃん、今日から交換日記の時間だよ? 私もたくさん書くから、イマジナリーお姉ちゃんも、私の身体を好き勝手にした時はちゃんと書いてね!*27
◯月□日
今日はコハルちゃんが家に来て三日目です。着々とうちの家に馴染んでいて、コハルちゃん専用の歯ブラシだって置くようになりました。もう、実質的な同棲状態と言っても過言ではないでしょう。そのうち、私たちの第三の家族にする予定なので、コハルちゃんの部屋をどこにするかを話し合いましょう。
ところで、イマジナリーお姉ちゃんは、小説のタイトルが"デレデレ過ぎる私は親友のことが大好き過ぎて、全然の好意が隠せていない件について 〜あにゃたのことが大好きなんだから、覚悟してよね!〜"になっても、嫉妬致しませんでしょうか?
私は融通がきく妹なので、今なら"シスコン過ぎるお姉ちゃんは私のことが大好き過ぎて、家まで買ってくれる狐な件について 〜私の妹は宇宙一可愛い猫なんだ〜"に変更することも可能です。もし必要があれば、この日記に書いてくれると嬉しいです。
あなたの愛する妹より ま◯こ
◯月✖️日
君の身体を勝手に使ってること、君に日々寂しい思いをさせていること、妹として大切に想っていること、様々書きたいことはあるけれども最初にこれだけは指摘させて欲しい。かしこは手紙の最後に添える言葉であって、女性器を指す隠語ではない!!
出来ればこんなこと、君と最初に取れるコミュニケーションの場で書きたくはなかった。誠に反省して、一から作法を学び直して欲しい。
それからコハルのことだが、もうそろそろ家に帰してあげなさい。君のことを心配して、一緒に居てくれていたんだ。落ち着いてきたのなら、縛り付けておくのは迷惑になってしまう。コハルにはコハルの事情があるのだからね。
今日はウイに会って、依頼を一つしてきた。君の姿で中身が私だったから大変混乱していたが、なんとか飲み込んでもらえた。不安そうにしていたから、また顔を出してあげて欲しい。あと、ウイにはお世話になりっぱなしなんだ、お中元か何かを送っておいた方がいい。
君の平穏を願っている姉より
追伸:小説はいらない