コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
「シミコちゃん、久しぶり!」
「メブキさん、お久しぶりです。ちゃんと赤点回避できましたか?」
「できたよ! だからね、"赤点メブキ 学園最弱の頭脳と笑われて追放されたが、本当は脳が海綿体だった件について。戻ってきてと言われてももう遅い"は始まらないの*1。ごめんね、シミコちゃん」
「最近はネット小説に凝ってるんですか?」
「私いまね、小説書いてみてるの。今度シミコちゃんも読んでみてね!」
「なるほど、楽しみに待っています」
久しぶりに図書委員会のお仕事をするために、図書館に来たよ。本当は補習のために夏休みの間、私はお休みってウイ先輩が言ってくれてたけど、イマジナリーお姉ちゃん棒を作るのにお金が必要になったからね。仕方ないね?*2
「……そういえば、シミコちゃん。何か、変わったことなかったかな? その、ウイ先輩とかに」
けど、そのイマジナリーお姉ちゃん棒で思い出したの。そういえば、ウイ先輩はシスターフッドのお姉さまによって、年上系妹にされちゃいそうなことを。嫌だよ私、いつもの年上系彼女だったはずのウイ先輩が、次に会った時には私をおねーちゃんって呼んでくる……の?
あれ、それも悪くない? 偶に恋人同士でやるイメージプレイみたいな感じ? ……場合によっては、見逃すこともやぶさかじゃないかもしれないね?*3
「メブキさんが気にしてるのは、シスターフッドの方のことですね」
「やっぱり、妹に?」
「何がやっぱりなのか分かりませんが、ウイ先輩はどちらかと言えばものぐさな姉かと」
「年上系彼女だよ?」
「でも先輩、全然掃除もしませんし、放っておくとご飯も食べないで古書を解読してますよ?」
「……シミコちゃん、ウイ先輩の彼女ヅラしちゃダメなんだよ!」
私、本当に恐ろしいことに、いま気がついちゃったかもしれない。今まで、変な間女さんにウイ先輩がNTRされることを恐れてたの。だって、引き篭もりの先輩にドスケベできるのなんて、そもそも宅配便のお姉さんくらいしかありえないから。……そう、思ってたの。
シスターフッドのお姉さまが現れた時、そうきたかって思った。……でも、真実は違ったのかもしれない。今まで、ウイ先輩とずっと一緒にいて、いつでも手を出せる位置にいる女の子がいた。──そう、シミコちゃんだよ*4。
もしかすると、シミコちゃんはNTRゲーの幼馴染竿役枠で、純愛催眠NTRを敢行しようとしている可能性があった。あいつになら任せられる、そんな甘い幻想を抱いて、一体何人もの主人公がNTRされちゃったことか。
……でも、シミコちゃんがそんなことしないと思うんだけどな。だって、私にだって優しいし、心優しき催眠メガネさんだし。ん? あれ、もしかして、私がNTRされてる立場? こんなにシミコちゃんのことが好きになっちゃってるってことは、そっちの方の可能性が高め?*5
か、考えれば考えるほど、ドツボにハマってさあ大変だよ!!
「し、シミコちゃん、念のために聞くけどね、私、シミコちゃんの恋人さんなの?」
「……メブキさんの中で、どんなストーリーが引かれてるのか、ちょっと気になっちゃいますね」
あれ、否定されない? 私、ウイ先輩のことを恋人さんだと思ってただけで、実はシミコちゃんの彼女さんになってたの!? 真のNTRとは、付き合ってた二人同士が気が付かないうちに別の彼女さんをこさえていると、そういう状況のことなの!?*6
「ど、どうしよう。シミコちゃんのことちゃんと好きだから、全然ヤな気持ちになれないよ! ふしだらな彼女さんで、本当にごめんね!!」
「メブキさんは彼女じゃないですよ」
「???」
私はシミコちゃんの彼女さんだけど、彼女じゃなくて、ウイ先輩は妹系彼女になっちゃって、シスターフッドの人がお姉様で……なんかもう分かんなくなってる!
あ、待って、分かったかも!
ウイ先輩やシミコちゃんがおかしくなったのは、あのシスターフッドのお姉さまが現れてから。まずはウイ先輩から、次にウイ先輩と親しいシミコちゃん。そういうことなんだね、これは。
──これは全部、シスターフッドの全人類妹化計画による現象なんだよ!*7
「あれ、じゃあ次は私なの?」
「メブキさん?」
「シミコちゃん、私も妹にされちゃうの?」
「メブキさんは、確かにあのお方の妹さんらしいですね」
「やっぱり!?」
どうしようイマジナリーお姉ちゃん! 私、ハナコちゃんの誘惑を振り切ったのに、このままじゃどこの誰とも分からないシスターフッドのお姉様方に妹にされて、妹百人できるかなを達成させられちゃう!!*8
家にそんなに部屋がないから私ベッドを追われて、妹階級社会の中で劣等妹として*9倉庫か車のトランクで寝ることになっちゃうよ! そんなの野良猫も同然だよ、私は家猫さんなのに!*10
「ヤダヤダヤダ!! 私はイマジナリーお姉ちゃんの妹だもん! 妹結社になんか与したくないもん!」
「……メブキさん、一度情報を紙に書き起こしてもらえませんか?」
「ふぇ?」
「きっとそうしたら、情報が整理されて誤解が解けると思います」
シミコちゃんはデータキャラさんだから、そういうデータを欲しがってるのかな? いざ、妹教団と戦う時になって、こんなデータ私の中にはないです! なんてことにならないようにしてるんだね。
……そうだね、シミコちゃんの武器は催眠メガネだけじゃない。優しさと賢さが、シミコちゃんの一番大切な部分だもんね。
「私、しっかりとシミコちゃんに陰謀……ううん、シスターフッドの淫棒を届けるからね!」
「そのイントネーションの違いが一体何なのか分かりませんが、こちらをどうぞ」
シミコちゃんから紙とペンを貰って、私は今回の淫棒劇について書き記していく。ウイ先輩のおかしな挙動、突如として現れたシスターフッドのお姉様、私がいつのまにかシミコちゃんの恋人になってたこと、全人類妹化計画の一端。
それらを全部書き出して、シミコちゃんにこの壮大な淫棒劇を提出した。きっと、シスターフッドの野望を打ち砕く催眠メガネとしての業務に役立つようにって願って。
シミコちゃんは、読み進めながらプルプルしていた。まるで、緊張をほぐすためにスイッチオンされたウイ先輩棒に共鳴するみたいに。きっと、あまりに恐ろしい淫棒に、武者震いしちゃってるんだね!*11
そうして、全てを読み終えたシミコちゃんは、何故か息も絶え絶えになっていた。だいじょぶかな?
「メブキ、さん」
「なあに、シミコちゃん」
「……正直に言います、面白かったです」
「んん?」
面白い、どういうことかな? もしかして、噂に聞く"楽しかったですよ、メブキさんとのお友達ごっこ"ってやつ!? 私、シミコちゃんにも脳破壊されちゃうの!?*12
「許してシミコちゃん!」
「多分、また何か思考の飛躍がありましたね。落ち着いてくださいメブキさん、変なことは何もしませんから」
「……脳破壊、しない?」
「しません」
「恋人さん、やめたりしない?」
「元から違いますから、そもそもやめられません」
……照れ隠しかな?*13
「ふふ」
「シミコちゃん、何だか楽しそう?」
「はい……メブキさんの頭の中は、いつだって物語られているんだと思うと、何だか素敵だなって*14」
「え、わたし素敵かな!」
「私はそう思います」
な、なんか急に褒められちゃった。胸がキュンキュンしちゃうね? ルート分岐入っちゃってた? しばらく会えない期間が、二人の心をより近づけちゃうやつ? えへへ、遠距離恋愛してたんだね、私とシミコちゃんって。初めて知ったよ!
「あのね、ヴァージンロードを二人で歩くために、まずは健全なお付き合いから始めようと思うの」
「ごめんなさい、メブキさん。私、他に気になってる人がいます」
「は、え?」
ん? なんかおかしいね?
わたし今ね、脳内メブキシミュレーターの中で、シミコちゃんエンドの赤いヴァージンロードを二人で歩いてたの。そうしたらね、急にシミコちゃんが他に好き人がいるって……。訳わかんないね? どうして私、結婚式場から花嫁さんを取られちゃってるのかな?*15
「お相手さん、聞いてもいいかな?」
「……先生です」
ほっぺを赤くしながら、シミコちゃんは頑張ってお口に出してくれた。そっかそっか、先生なんだね。それなら仕方ないね、私だって先生好きだし!
………………なんていうと思ったのかな?
ウイ先輩棒、最大出力……うん、よく震えてる。これなら、先生のお尻に直接地震を発生させられちゃうね。ネットで見る淫棒論の人工地震がどういうものか、先生に教えてあげないとね? 先生をメス堕ちさせて、私のお嫁さんにしたら、みんなの旦那さんになんてなれないもんね*16。
「メブキさん」
そんな私のおててを、シミコちゃんはギュッと握ってきた。私のことが好きなのかな?
「ダメですよ」
にっこりと、笑いながらそんなことを言う。なんか既視感。あ、あれだね、図書館で初めて会った時みたいなんだ。……え、わたし催眠掛かられそうになってるの!?*17
「シミコちゃん待って! 話せば分かるよ!!」
「何が分かるんですか?」
「私がシミコちゃんの思いを断ち切るために、このウイ先輩棒で先生のお尻を開発しにいくのを!」
「ウイ先輩棒!?」
ビックリしたみたいに、シミコちゃんは先輩棒をマジマジと見る。それこそ、ウイ先輩のおにんにんを初めて見たみたいに。
「言われてみれば、ゆるキャラみたいになってますけど、確かに似てます……」
「だよね!*18」
シミコちゃんと心を通い合わせた私は、早速出発しようとする。でも、やっぱりシミコちゃんは手を離してくれない。余計に、にっこり度が増してる気がするよ、何でかな?
「ダメですよ?」
そして、再放送みたいにおんなじ言葉が出てくる。シミコちゃん、壊れちゃったの?
「何でかな?」
「メブキさん、よく考えてみてください。そのウイ先輩が、先生のお尻に入ったとします」
言われて、想像してみる。先生の中で蠢く、ウイ先輩棒を、……先生、お尻気持ち良さそうだね!*19
「それって実質的に、先生とウイ先輩がそう言うことをなされている。そうはなりませんか?」
「ほえ……?」
シミコちゃんに言われて、想像してみる。ウイ先輩と先生の、そういう場面を。
『先生、こんにちは』
『え、君は?』
『古関ウイと言います、あなたのお尻を開発しにきました』
『何で!?』
『古書に曰く、善良な大人のお尻を開発することで、生徒は無限の古書力を得ることができると書いてありました。そういう訳で、私との古書ックスを受け入れてもらいます』
『待って! 私は男だよ!!』
『はい、明日からはメス堕ち古書奴隷ですので、どうかよろしくお願いします』
『うわーーーーーーっ!?』
こういうこと? でも、なんかウイ先輩がウイ先輩じゃなくて、単なるウイ先輩の姿をした竿役さんになっちゃってたね*20。ウイ先輩、全然似てない竿役さんにしちゃってごめんね、次はちゃんとウイ先輩の竿役しっかりするから安心してね!
「どうでしたか?」
「全然ウイ先輩じゃなかった!」
「なるほど、まるで意味を掴めませんが、嫌な気持ちになりませんでしたか?」
「うん、なった。ウイ先輩はもっと、ダル甘気怠っクスするもん。こんなアクティブなの、ウイ先輩じゃないよ!」
「そっちに解釈違いを起こしちゃったんですか……でも、私の気持ちもわかってくれましたか? 私、先生とメブキさんがそういうことするの、嫌な気持ちになってしまいます」
「先生はえっちしない生き物で、実は先生が末代なのがシミコちゃんの解釈なのかな?*21」
「恋人さんと、思いを伝え合いながら先生はそういうことをすると思うんです!」
「そういえば、先生は純愛厨だったね!」
シミコちゃんの言葉で、とても大切で重要なことを思い出した。そうだ、先生はハーレムルートは封鎖されてると思い込んでる系男子だった。実はね、トリニティの女の子全員をお嫁さんにしていいんだよってことに気が付いてないの、先生は! そっか、じゃあ別に大丈夫だね?
そういえば、カッとなって忘れちゃってたけど、私も先生のお嫁さんになるし、みんなもなるんだから何も問題なんてなかったや!*22
「シミコちゃん、ありがとう。私、とっても大切なことを思い出せたよ」
「人の心を取り戻してくれて、安心しました」
私たちはブンブンと手を繋いで、それから先生の素敵なところを本を整理しながら、お話しし始めた。
えっとねシミコちゃん、先生の象さんはパオーンじゃなくて、ビクンビクンビュッビュッって鳴くの、すごいよね?*23
「メブキさん、一ついいですか?」
それから、シミコちゃんといつもみたいに小声で雑談しながら、本の埃をパッパってしてる時のこと。
「どしたの、シミコちゃん」
「メブキさんのお姉さん……いえ、やっぱりメブキさんのことで、聞きたいことがあるんです」
「いいよー」
そう言えば、イマジナリーお姉ちゃんが日記になんか書いてたけど、シミコちゃんに内緒事してるのかな? なら、私まで隠し事するのはちょっと意地悪だよね。転生したのは内緒にしてるけど、それ以外ならできるだけ答えてあげたいな*24。
「メブキさん、あなたのことを調べたんです。でも、それで分かったことは、トリニティに入学してからのことばかり。その前の、中学生の時のメブキさんのことは全然分からないままでした」
あ、ダメだよ、それは答えられないやつ。転生したっていうの、絶対に話せないもんね。シミコちゃんなら信じてくれるかもだけど、コハルちゃんにいうまで、待っててもらわないとだよ。
「だから、これは仮説です。合ってるかどうか、答えて欲しいですけど答えなくても良いです。聞いてもらって良いですか、メブキさん?」
「え、えっと……うん」
私、ヤダって言えなかった。だって、それってシミコちゃんが、私のことを一生懸命考えてくれたことだろうから。聞くだけ聞いて、実はメブキさんは転生者系女子じゃないですかって聞かれた時だけ、まんぽぽと答える……よし、これで行くよ!*25
「メブキさんは──先生と同じ、外から来た方なのではないですか?」
……なんか、際どいけど答えられそうな質問だね。そっか、お外、そう答えれば良いんだ。シミコちゃんは頭が良いね、すごく参考になるよ。
「う、うん、そうだよ! 私、お外から来たの!」
「それでイマジナリーお姉さん、百合園セイアさんとメブキさんが共生関係になったのは、あなた方のどちらか、もしくは両方がそうでないと立ち行かない状況にあるから、そうですね?」
「うん! ……うん?」
あれ、勢いで頷いちゃったけど、いまのシミコちゃんの言葉、遠回しに私とイマジナリーお姉ちゃんが困ってるってことを分かっちゃってる? ど、どうしよ、余計なこと言っちゃったかな?*26
「そのパターンは……」
シミコちゃんは、何かを言おうとして、それでもなんかお口のあたりでモゴモゴしてる。なにか、言い辛いことを聞こうとしてるのかな。あ、でも、深呼吸して、元に戻ったみたい。そうして、とっても真面目さんなお顔で、声で、お話を始めたの。
「外からキヴォトスに来る子供は、世界を跨ぐ時にヘイローを獲得します。それは数が少ないですが、実際に文献などで幾つかの事例があるものです。逆に、外の大人がヘイローを獲得してやってくる例はありません、先生などはこの例にあたります」
ふんふんと頷く。そうなんだね、初めて知ったよ。子供なら、ちゃんとヘイローがニョキってするんだね。……あれれ?
「ですが、メブキさんのそれは、百合園セイア様のものです。調べたから分かります、そのヘイローはメブキさんのものではない。ここから導き出せる結論は、つまり……」
も、もしかして、この流れって……。
「メブキさん、あなたが大人であるか──亡くなられた状態で、キヴォトスにやってきたということです」
やっぱり、転生しちゃったことバレちゃってる!?*27
「そうじゃないかって思って、心配が晴れなくて、でも補習を受けてる最中のメブキさんにそんなことは聞けなかったから……」
シミコちゃんは凄く辛そうに、胸の辺りを抑えてる。……私が、一回死んじゃってるんだって気付いちゃったから。そうだね、転生するってことは、一回死なないといけないもんね。どうしよう、心配してるシミコちゃん見てると、私までお胸がギュウってしてきちゃう。
「でもね、シミコちゃん。実はアダルティメブキの可能性も……*28」
「メブキさんが大人な訳ないです、今まで付き合ってきたんですから、それくらい分かります」
「ま、まんぽぽ!」
「そういうところが、メブキさんって感じですけどね」
何故か私のまんぽぽは、微塵もシミコちゃんに通用していなかった。全然誤魔化されてくれない、困っちゃうね。でも、ちょっと笑ってくれてる。シミコちゃんの優しいところだね、こういう感じの。
「メブキさん、急に居なくなったりとか……しませんよね?」
でも、不安がシミコちゃんにピトってしちゃってて、辛そうにさせちゃってる。私、シミコちゃんにたくさん心配させちゃってたんだね。……ごめんね、シミコちゃん。でも、安心して欲しいよ! 私、絶対にイマジナリーお姉ちゃんと一緒にご飯食べたり、ゲームしたり、えっち本読んだり出来るようになりたいもん。だからね、安心して欲しいよ! 絶対、大丈夫になってみせるから!!*29
「しないよ、大丈夫。私、一回死んじゃってるから、もう無敵なの」
シミコちゃんのおててを握る、ちゃんと温かい。それに、私の手もちゃんと温かいよね? それを分かってくれたら、きっと大丈夫だから。
「死んじゃってるとか言われると、やっぱり不安です」
「じゃあね、約束しよっか。私、トリニティに来てから約束破ったことないの!」
私が小指をニュって差し出すと、シミコちゃんの落ち込んでいたお顔が、やっと笑ってくれた。シミコちゃんは物静かな美少女だけど、笑ってくれてる方が素敵だって思えちゃうね。単に、私がシミコちゃんの笑ったお顔が好きなだけかもしれないね。
「メブキさんの子供なところ、結構好きですね」
「ほんと? やっぱりシミコちゃんとは両思いだね! 先生に二股してもらおうね!!」
「先生はそんなことしません!」
「じゃあ、二人で先生の彼女さんになろうね?」
「……メブキさんの子供なところ、好きですけど困っちゃいますね*30」
そうして、私達は指切りした。勝手に居なくならないって、いつだってお話できるよって。
「メブキさん、私の方でも何か調べておきます。どういう状況かハッキリとはわかりませんが、何か私に出来ることがあるなら、その時に役立ちたいので」
「シミコちゃんは、会った時からずっと優しいね」
「メブキさんも、ずっと楽しくいてくれてますね。そういうタイプのお友達、実はメブキさんが初めてなんです」
「えへへー、好きになってくれて良いんだからね!」
「お友達としては、とても好きですよ」
「まずはお友達からだね、お友達料金って必要かな?」
「友情を数字にするには、私たちはまだまだ子供ですよ」
シミコちゃんと約束して、私たちは作業に戻っていった。間を空けつつ、時折思い出したみたいに雑談して。先生がテクノブレイクするのは、一体何回出した時なんだろうという話題を粉砕されながら、普通の空気に戻っていったの。
──信じててね、きっと大丈夫だから*31。
◯月◎日
今日はシミコちゃんと色々と話しながら、イマジナリーお姉ちゃん棒を作成するために図書委員会に復帰しました。別に図書委員会のみんなで、イマジナリーお姉ちゃん棒を作成するって意味じゃないです。ただ、シミコちゃんとお話しする中で、タダでは済まない事態が発生しました。
なんと、シミコちゃんに、私が転生者だってことが、バレてしまったのです。シミコちゃんは、トリニティで屈指の催眠探偵なので、あんあん椅子探偵の私では、安楽椅子探偵のシミコちゃん相手には勝てなかったということなのかもしれません。
ですが、どうか安心してください。シミコちゃんはあれから、私が転生者であることを内緒にしてくれるって言ってくれました。転生者だとバレてしまうと追放されてしまうのはお約束なので、そんなことがないように今後も内緒にしていこうと思います。
あと、シミコちゃんと約束を交わしました。先生のお嫁さんに、二人でなるというものです。でも、嘘はついてないけど、言ってないこともあります。それは、トリニティのみんなで先生のお嫁さんになるという野望です。二人でお嫁さんになった後、みんなもお嫁さんにしちゃえば大丈夫ですよね! みんなで幸せになれたら、それは素敵なことだなって思いました。
あなたの愛する妹より しこしこ
◯月▲日
君がイマジナリーお姉ちゃん棒なるゴミを作るのに口座のお金に手をつけなかったこと、シミコの知性のこと、君たちの温かな友情のこと、様々書きたいことはあるけれども最初にこれだけは指摘させて欲しい。違う、そうじゃない! どうしてかしこしこから"か"を抜いてしまったんだ、一番重要なところなんだ、それは! しこしこだと、完全に自慰行為なんだ。
こんなふざけたこと、君と触れ合えるこの場において言及なんてしたくはなかった。そもそも、自慰などという文字を何で私が書かなければならないんだ! 誠に反省して、一から作法を学び直して欲しい。
シミコについては、君に丸投げしてしまったが、私がどう話そうとしてもカドが立ちそうだった。上手く伝えられる自信がなかったから、君から伝えてくれて助かった。私が大丈夫と言っても、恐らく彼女は根拠を求めてくるだろうからね。
今日はシスターフッドと、今後のことについて相談をしてきた。胡乱な組織ではあるが、その組織力はトリニティでも屈指のものだからね。仲良くしておくことに、越したことはない。そう言えば、マリーが心配そうにこちらを見ていた。君が君らしく見えないというのは、他人をとても不安がらせるのだろうね。また、彼女とも話をしてあげてほしい。
君の毎日の彩りに心躍らせている姉より
追伸:先生をテクノブレイクさせたら許さない