コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
忘れない
生まれたばかりの時、私の心臓はザコザコだったんだって。時々、胸に走る鋭い痛みでそれを思い出して、ずっと動悸を感じながら生きてたの。えへへ、ずっと恋してるみたいだよね? 私、生きたいって気持ちと恋愛してたのかも知れないね?
でもね、心臓はそれだけ。ちゃんと赤ちゃんの時に手術して、変な感じはするけど正常に動いてもらえるようにしてもらったから。だから、そっちは大丈夫。胸が張り裂けそうって感じは、そんなに無かったんだ。
その代わりに、次に現れたのが細菌さん。髄膜炎っていうのになっちゃって、手とか足とかが痺れて動きにくくなっちゃったの。男の人だと、勃起不全にもなっちゃうんだって。怖いね? コハルちゃんも、ちゃんとワクチン受けないと勃起出来なくなっちゃうから、気を付けてね?
でも、それでも私は生きてて、息をして──血を吐いてたの。……今度は小児がんだって。ここまで来るともうボスラッシュだね? 病気さんにモテモテで、陵辱されるのってこんな感じなんだって分かっちゃったよ。
本格的にあちこち痛くなって、苦しくて、辛くてね……もうダメだーってなっちゃったの。ちゃんと治療したら結構治る確率あるらしいけど、私は低い方の確率引いちゃった。きっと、ガチャとか回せばよく当たるし、宝くじ買ったら1億円は当たっちゃうツキがあるよね?
それで段々とね、起きてる時間と寝てる時間が逆転してくの。気が付いたら、一日殆ど寝たきり状態。病院の痛み止めはよく効くから、夢の中が私の現実になってたの。実は私は、まだ病院のベッドの上で寝てて、ここに居る私は幽霊だったりするのかも知れないね?
「なんてね、ふへへ」
実は私、転生者でした!
そんなお話をするために、学校の屋上にコハルちゃんを呼び出して、メブキズヒストリーを聞いてもらってたの。シチュエーションだけ見てると、今から告白する感じだね?*1
ずっと、コハルちゃんにはお話ししないとって思ってたし。ちゃんと転生したんだって信じてもらうために、順序立ててお話ししたの。お陰でコハルちゃんも信じてくれたみたいだし、今の私はIQ100億メブキだね?*2
二度と私のIQが2だなんて言わせないし、私の脳みそは射精してないってこれで理解してくれたよね、コハルちゃん!
……それにしても、こっちに来てから本当に身体が軽くて頭も回るの。まるで天使さんみたいにフワフワで、普通ってこんな感じなんだ! って凄く感動しちゃったよ。
イマジナリーお姉ちゃん、本当にこっちに呼んでくれてありがとね。色々助けてくれて、一緒に居てくれるお姉ちゃんがね、本当に大好きなんだよ!*3
「な、何よそれ……」
そんな私の昔話を聞いたコハルちゃんは……泣いちゃってた。あれ?
「ど、どしたのコハルちゃん?」
「っ、バカ!!」
ギューっと、ペロロ様の抱き枕みたいに*4抱きしめられちゃう。……あぅ、心配させちゃったかな?
「コハルちゃん、安心して? 今は毎日三食カレー食べれるくらい元気だから!」
「アホアホメブキ、そんなことしてたらお腹壊すわよ! ……もう、大丈夫なの?」
「うん、眠たくないし痛くもないの。だから、たくさん思い出作れてるんだよ?」
屋上での青春観察から始まった私の青春は、コハルちゃんに出会ってから世界が広がって、みんなに出会ってからお話しするのが好きになっていって、合宿で一生懸命になるってどういうことか知れたの*5。
一日が長くて短い、不思議な感じ。夕暮れまでは長いのに、夜に振り返るとあっという間。でも、全部一緒の景色じゃなくて、一日ごとにちゃんと違うの。もうね、入学してから何年か経ったみたいな感じ。私、時間狭間で迷子になったりしてないよね?*6
「そう、なのね。もう大丈夫なんだ、良かったぁ……」
良かったって言ってくれながら、コハルちゃんは抱きついたまま。コハルちゃんポカポカだし嬉しいけど、このままだと私が抱き枕になっちゃうね?
そうしたら、すっぽんぽんにされた後に、私もイマジナリーお姉ちゃんの下着つけなくちゃダメなのかな? イマジナリーお姉ちゃんは信じられないことにパイパイがあるから、私とサイズが合わないの*7。
多分、水増し申請された違法パイパイだから、頑張って家のどこかにあるはずの、イマジナリーお姉ちゃんのパッドを探してる最中なの*8。本当に私よりおっぱいあるなら、搾乳してぺったんこにしないとだしね*9。
ふへへ、もし本当にイマジナリーお姉ちゃんがデカパイだったら、毎朝搾乳した一番搾りを私が飲むから、今から覚悟しててね?*10
「コハルちゃん、私はイマジナリーお姉ちゃんのブラがおっきすぎるから、スク水抱き枕メブキで許してくれないかな?」
「きゅ、急になんの話してるのよ! てんせーする前の話して、イきたいって気持ちが湧いて来ちゃったの!? 私の目の前で絶頂なんてしちゃダメ、死刑!!*11」
「いくらコハルちゃんのお願いでも、おにゃにーだってしたことないのに、いきなりそれはレベルが高すぎるよ! ほっぺにチューで許して!!」
「なんでチューの話になるのよ! ていうか、そんな話してないし! 変態メブキ!!」
ほっぺにチューしようとしたら躱されちゃって、地面にチューしちゃう。うぅ、これが地球の味なの? 私、地球のお嫁さんになっちゃった? 型月世界だと、つよつよ生命体になれそうな立場、手に入れちゃったのかな?
……ごめんね、地球さん。私はどれだけ望まれても、恥丘になんてなれないから、この婚約は破棄するね?*12
「コハルちゃん、地球との婚約を破棄するから、私の婚約者のフリしてくれないかな?」
「意味わかんない! 第一、メブキがチューしたのは屋上のコンクリートだし! ……心配した私がバカみたいじゃない!!」
「コハルちゃんはバカじゃないよ、天才だよ!!」
「バカにしないで!!」
むにーって、いつものお仕置きをされちゃう。ほっぺ、今日はよく伸びるね? 今日はもち肌、コハルちゃんも大満足しちゃってるのか、いつもよりもむにむに多め。私のほっぺを赤くして、コハルちゃんにガチ惚れしてるってシチュにしたいのかな?
「こひゃるちゃんこひゃるちゃん!」
「お仕置き中に喋らないの! ……何?」
ぺちんとぽっぺを戻してくれたコハルちゃん。頬が熱くて、まるで恋してるって感じがするね? 新しい吊り橋効果だね、これは。今度ウイ先輩に試して、次こそ彼女になってもらわないとだよ!*13
「私の頬っぺた赤いよね? もしかすると、私がコハルちゃんにベタ惚れメブキなんだって、誰かに見つかったら噂されちゃうかも知れないよね?」
「え、イヤよ、メブキとなんて」
「酷いよ!!」
折角、"ベタ惚れメブキ コハルちゃんの吊り橋効果に洗脳されて、身も心も捧げちゃうASMR"をしてあげようと思ったのに!!
「今なら、ラブラブメブキとのシコシコ*14新婚生活ASMRもついてきちゃうんだよ?」
「エッチなのはダメ、死刑!!」
「わ、私がえっちだって、コハルちゃん思ってくれてたの!?」
「違う、シコシコよ!」
「そんなっ、シコシコおうどん屋さんまで摘発するつもりなの!!」
「エッチなおうどん屋さんもダメ、閉店!!」
コハルちゃんは本気だった。本気でおうどん屋さんまで摘発して、世の中からシコシコをゾーニングしようとしてる。過激派シコリスト、下江コハルちゃん*15。流石にやりすぎじゃないかな?
「でも、カレーうどんは美味しいから……許してくれるよね?」
「って、違う! 私はメブキが経営するえっちなおうどん屋さんを摘発するだけだし! メブキが言うシコシコなんて、絶対卑猥な意味だもん!!」
「卑猥じゃないよ、ちゃんとした腰使いで作られたおうどんだよ!*16」
「子作りして作られたうどんなんて不潔! 食品衛生法違反で摘発!!」
いつの間にか、私はコハルちゃんの手によってえっちなうどん屋さんの店長にされ、身に覚えのない罪で逮捕されちゃいそうになってる。おかしいね?*17
「ところでコハルちゃん、えっちなおうどん屋さんって何かな?」
気になったから聞いてみると、一秒でコハルちゃんは返事をくれた。
「コシがあって、シコシコしてるメブキが経営してるおうどん屋さん」
「コシがあって、シコシコしてるアズサちゃんが経営してるおうどん屋さんは?」
「……エッチじゃないから無罪」
「私が経営してたら?」
「エッチなのはダメ、死刑!!」
「さ、差別的発言だよ! えっちなアズサちゃんは許されて、えっちな私が許されないのはどうしてなのかな!!」
「アズサがエッチなわけないし、メブキがエッチじゃない筈ないし!」
コハルちゃんの中で、私はえっちカテゴライズに位置する生き物だったみたい*18。こんなにもヒンニューで、ちびちびメブキなのにね。コハルちゃんはロリコンなのかな? アズサちゃんも大概なのに、私じゃないとえっちじゃないなんて……。
「コハルちゃんはロリロリ興奮罪で逮捕だもん! 一緒に牢屋入りして、おはようからおやすみまで一緒するもん!!」
「メブキなんかで私が興奮する筈ないでしょ、バカにしないで!」
「先生じゃないと興奮できないって、そう言うことなの!!」
「ば、バカ! なんで先生が出てくるのよ!!」
「先生となら、エッチできそうな気がするから?」
「許されるわけないでしょ!? エッチな先生もメブキも去勢! 子作りしちゃダメなんだからっ!!」
コハルちゃんは規制派ならぬ去勢派で、人類を破滅に導く可能性がある終末主義者なのかも知れなかった。これは世界的淫棒だね? 少子化社会が叫ばれているのは、闇のコハルちゃんが暗躍していた結果なのかも知れないね?*19
「もうっ、本当にバカ! なんでてんせー? とかの話をしてたのに、こんなにバカみたいな会話してるのよ!」
「大丈夫、コハルちゃんはバカじゃないって、ちゃんとみんな知ってるの」
「あんたの生暖かい目が、何より私をバカにしてるし! バカバカメブキ!」
「パカパカメブキ? 騎乗位したいのかな、コハルちゃん?」
「しけぇ!!」
真っ赤になりながら叫ぶコハルちゃんは、今日も可愛い。でも、私がお馬さんになっても、本質は猫だからパカパカできないの。ごめんね?
「もぅ……あんたといると、全然真面目になれないのよ」
「コハルちゃんは、いつだって真剣だよね?」
「そういうのじゃなくて……本気で悲しくなってあげられないの!*20」
「私、コハルちゃんにはいつも笑ってて欲しいよ?」
「メブキこそ……そういえば、あんたは大体笑ってたっけ?」
「毎日楽しくて、コハルちゃんと一緒にいられるからねー」
そう言うと、コハルちゃんはお口をモニョモニョさせてから、私の頬っぺたをツンツンってし始めた。お仕置きの時みたいな、むにーってやつじゃなくて、このこのって感じのやつ。何だかこそばゆいね?
「それで……一回死んじゃったって、本当?」
「うん、死んじゃう前と姿も違うの」
「ふーん、前はどんなだったの?」
「えっとね、病気で結構酷いことになってたけど、話さないと信じてくれないかな?」
「……やっぱりいい」
病気って怖いの、自分が崩れてく感覚が手に取るように分かっちゃう。だから、出来れば詳しくなんて話したくないの*21。自分が自分じゃなくなるみたいな、ずっと病気と一緒してるとそんな感じになっちゃうから。聞かないでいてくれるコハルちゃんは、本当に優しいね。
「でも、どうやってキヴォトスに来たの? ……死んじゃったって、言ってたでしょ」
「んーとね、私って死んじゃったって、ふわふわーってなってたの」
「…………幽霊?」
「多分?」
頷くと、コハルちゃんはちょっと後ずさって。でも、首を振ってズンズン近付いて来て、私の手を握ってくれたの。
「め、メブキなんてザコザコ幽霊、手も温かいし、怖くなんてないし!」
「えへへ、コハルちゃん大好きだよ」
コハルちゃんのお陰で、死んじゃった後のことも落ち着いて思い出せる。……うん、私、幽霊だった時があると思う。青い何かを求めてウロウロしてたら、誰かの声が聞こえたの。──それが、イマジナリーお姉ちゃんとの出会い。
『────』
『おや、こんな所でも、客人が現れることがあるのか。……こんにちは』
『────』
『ここは過去でも未来でもない場所。あえて定義するなら今とどこかとの狭間だが、君はどうやってここに来たんだい?』
『────』
『話せないのか……なるほど、死人に口なしか。君は、過去から今に紛れ込んでしまったんだね。見た所、かなり幼い
『────』
『む、言葉を交わせないと言うのは、中々に不便なものだね。君が迷子ということは、私も察することは出来るが……』
『────』
『すまないが、少し触るよ。……なるほど、君は旅をしているのか。楽しいや綺麗を探して、徒然なるままに。だが、そんなことを続けていると、いつしか行き場を失って、何者にも成らなくなる』
『────』
『と言っても、帰る場所がどこかも分からないのか。……これは、幸便なのかも知れないね。──君、蝶々になってみる気はあるかい? ささやかな私の気紛れに付き合ってくれれば、君にも私は与えられるものがあるが……どうだい?』
うん、懐かしいね。イマジナリーお姉ちゃん、会った時から意味深なことを言ってたの。殆ど意味がわからなかったけど、久しぶりに会えた人で嬉しくて、甘えたくなっちゃって、あんまり考えない内にイマジナリーお姉ちゃんをギューってしたら、いつの間にか今の私になっちゃってたの。なんか、よくわからない上に、意味不明だよね?*22
私の体はアストラル体がどうとか、感情に支配されやすくなってるとか、よく分かんないことを言ってたけど、ありがとうって沢山言ってたら、頭なでなでしてくれるようになったの*23。
頭が良くて小難しいロリ狐さんだけど、本質は甘やかせ上手なお姉ちゃん気質って直ぐに私は分かったんだからね! だからイマジナリーお姉ちゃんなんだし、これからもずっとずっと、私を甘やかしてくれて良いんだからね!*24
「よく分かんないけど、幽霊だったあんたに身体をくれたのがお姉さんってことで良いの?」
「そうだよ!」
「そう……なら、ありがとうって言っとかないと」
「コハルちゃん、どしたの?」
「べ、別に、何でもないし! ……話って、これだけ?」
「そだよ。信じてくれてありがとう、コハルちゃん!」
「メブキなんかに、生々しい作り話できる頭なんてないし。だったら、本当だって信じるしかなかっただけだし」
「でも、私を沢山知っててくれて、嬉しいね」
コハルちゃんはもにゃもにゃしながら逡巡して、それから提案してくれたの。
「楽しいこと、沢山しなきゃだし……どこか遊びに行く?」
「んー」
いつもは私があーそぼ! って声掛けるから、コハルちゃんから誘ってくれるのは珍しいし、なんか嬉しい。すっごく仲良くなってたって思ってても、もっと仲良くなれちゃうんだね。
コハルちゃんと一緒にいると、毎日が新しいことでいっぱいで楽しい! でも、新しいことが無くても、コハルちゃんと一緒なら何だって楽しいけどね?
「一緒にえっち本が読みたいかな、今日は*25」
そう言うと、コハルちゃんは絶頂する前の火山みたいにプルプルと震え出してた。火山は普段からおにゃにー我慢してるから、あんなにドクドク出しちゃうんだよね? みんなに射精を掛けちゃうのは迷惑さんだから、クジラさんを見習って、こっそり誰にも迷惑掛けずに絶頂してね?*26
「勇気出して誘ったのに、メブキはエッチすぎ! バカ!!」
「えへへー、ごめんね?」
「本当に、ほんっとうに仕方ないんだから!」
でも、今日はね、なんかコハルちゃんと最初会った時みたいに、二人でドキドキしながらえっち本を読みたい気分だったから。コハルちゃんもブツブツ何か言ってるけど、何だかんだで今日も隣で付き合ってくれるの。隣で、カバンからえっち本を出してくれるコハルちゃんが好きだよ。
この屋上で始まって、これからもずっと続いていく。そんな青春に、心が転がせられちゃう。楽しかった、嬉しくって、キューンってなるの。
だから、いつもありがとうだよ。
これからもずっとよろしくね、コハルちゃん!
「コハルちゃんと一緒してると、親友って何なのか分かっちゃうの。初めてのお姉ちゃんがイマジナリーお姉ちゃんで良かったけど、初めての親友がコハルちゃんなのは嬉しかったなぁ」
「君とコハルの相性が良いのは重々承知だが、付き合わされる私の身にもなってほしい」
「……気持ち良すぎてダメってやつ?」
「私の言語野が侵されているんだ! このままだと、私もメブキみたいにしか喋れなくなる」
夢の中で、イマジナリーお姉ちゃんに抱きつきながら、今日一日の報告してた。私は忘れちゃうけど、お姉ちゃんが日記に書いてくれるから、最近はどんなことを話したのかとか分かっちゃうの。えっちな単語とかの時、文字が震えててかわいいの!
「犯される? 私、おにんにんないよ?」
「おかし違いだ! 君こそ、いと犯しこってなんだ! かしこと最近になって書けるようになったのは偉いが、日記の上でさえ姦し過ぎる!」
「イマジナリーお姉ちゃん、姦しいって漢字ってさ、どうしてあんなにえっちなのかな?」
「またそうやって、君は誤魔化しにかかる! 嬲るの方が百倍エッチなんだ、寝言は寝てから言いなさい!!」
「寝てる最中だよ、私!」
最近のイマジナリーお姉ちゃんは、とってもノリ良くてもっと好きになっちゃった。昔なら、嬲るがえっちとか言わなかったし。精々、"えっちで世界は満たされていないんだ。Hの次にIを見出すべきじゃない、Iの方を優先しなさい"とか言う、クッキングヒーターの回し者になってたくらいだもんね? 勿論、こっちのお姉ちゃんも清楚で好きだけどね!
「ところでお姉ちゃん、これ見て欲しいの」
私は指パッチンして、服を入れ替える。白を基調に、青色が入ったメイド服! スカートからこぼれた黒色のしっぽがニョッキってして、頭には猫耳さんがピクピクしてる。
……そう、私は気づいちゃったの。夢の中なら猫さんメブキになれちゃうってことに! 本物のネコさんになると、指パッチンできなくて不便そうだから、ケモミミ生やしただけだけどね?
「……猫はともかく、どうしてメイド服を?」
「可愛いから!」
猫さんとメイドのマリアージュ。多分、古来からの習わし。エジプトの壁画とか、探せば出てくると思うの。猫さんはあったらしいし!
「お姉ちゃんだけの猫さんメイドなんだよ! 何でも言ってね、ご奉仕頑張るから!!」
「……因みにそのご奉仕だが、何をするんだい?」
「クンニリングスだよ!」
「却下だ!!」
「クリーニングだった!」
「天と地ほどの差なんだ、それは!」
イマジナリーお姉ちゃんは、ハァハァと息を荒らげながら私を睨んでた。私がバターメブキにならなかったのが、残念で仕方ないのかな? もしそうならごめんね、イマジナリーお姉ちゃん。
でも、流石の私でも、いきなりお姉ちゃんのお股はレベルが高すぎるから。まずは足をペロペロするところから慣らしていってね?
「取り敢えず、ふざけたことを考えないことだ」
お姉ちゃんの指パッチンで、お姉ちゃんだけの猫さんメイドは取り上げられちゃってた。まだご奉仕を何もしてなかったのに、酷すぎるね? お姉ちゃんがメイドさんになってたら、私は良いではないかを楽しんだと思うのに!!
「じゃあ私がペロペロされるから、お姉ちゃんが私をクリーニングすれば良いよ! クンニリングスで!!」
「するわけがないんだ、正気に戻れメブキ!!」
スク水に着替えようとした私を取り押さえたイマジナリーお姉ちゃんに、私は正座をさせられちゃってた。そのまま四つん這いに移行して、威嚇の構えを取ろうとしたら、お膝にイマジナリーお姉ちゃんが座ってきてできなかったの。……お姉ちゃん柔らかくて良い匂いだし、まあいっか!
「今日はお姉ちゃんが甘えん坊さんだね? 嬉しいね?」
「甘えているのは、いつだって君の方だよ」
ギューってして、そんな減らず口をやっつけちゃう。今日はイマジナリーお姉ちゃんの方を、赤ちゃん扱いしてあげるんだからね! あっ、そうだ!
「今ならおっぱい出せると思うけど、妹乳業のお乳飲む?」
「飲むと思うかい?」
「甘えてくれて、良いんだよ?」
「君に甘えられてる最中なんだ」
「お姉ちゃんのおっぱいなら、絞って良いってこと!?」
「私で牧畜を始めようとしないでくれ。君をドナドナしようか、少し迷ってしまった」
そーっとお胸に近付けてた手をはたき落とされて、私のお姉ちゃん乳業の夢は絶たれることになっちゃった。妹の夢を叶えてあげないなんて、イケないお姉ちゃんだよ!
「それで、今日のことだが」
「お姉ちゃん乳業のお話?」
「違う。コハルに話したことだよ、メブキ」
今度は、私がお姉ちゃんのお膝に乗っかりながらお話をする。うーん、柔らかいけど、大人のれでぃ的なのじゃなくてロリ的な感覚が強いの。これで私よりデカパイとか自称しちゃうんだから、チャンチャラおかしいね?
「転生のこと?」
「そうだ。君はいま、自分がどういう状態か理解しているのかと思ってね」
「……うーん、良くわかんない」
頑張って頭をスリスリしてると、ちょっと柔らかいところがあった。これって……あ、手で押さえつけられちゃった。抵抗しなきゃだよ!
「だろうと、思ったっ。君は、今は、重なり合った、状態、なんだっ」
「えっちの最中ってこと?」
「違う、キミが好きな、猫の話だっ。こ、こら、やめないか!」
「にゃーんっ!」
猫さんで実験と言えば、有名なシュレディンガーさん家の猫さんのやつだね。エロゲーでも何かいっぱい出てたし、わたし知ってるよ!
「世界の側、キヴォトスは、私か君かを判別できない。ミクロの視点を持たないからだ。だから、勘違いしたまま存在を許容してしまえる」
「ヘイローが同じなら、魂が別でも、まあ良いやってこと?」
「究極的な雑さで言えば、そういうことになる」
ヘイローは箱で、中身の猫さんがイマジナリーお姉ちゃんでも私。ヘイローの形が変わらなかったら、見た目が変わっても大した問題ではないってことなんだね。……ほんとぉ?
「つまり、今日から私がデカパイメブキになったとしても、キヴォトスは優しいから検挙されないんだ! 全裸バンザイってことだね!!」
「ヴァルキューレに検挙されるし、流石にそれは庇えそうにない。いつかやると思ってたと答えるだろう」
「酷いよ!」
一度立ち上がって、今度は正面からギューってしに行く。うん、一番これが、お姉ちゃんを感じられる。やっぱり正常位が一番だって、そういうことなんだよね!
「すりすりーっ! えっへへー、お姉ちゃん毎日好きーっ!」
「それは私もだが、今は大事な話を──」
「お姉ちゃん、窓の外の景色、見える?」
難しい話を続けようとするのを遮って、私は窓際までトテトテと近付く。夢の部屋の窓、その外に見えるのは──トリニティ総合学園を一望できる景色。多分、私の好きが世界に現れてるの。まるで固有結界みたいで、かっこいいね?
「難しいことは分かんないし、ちゃんと理解できないの。ごめんね? でも、どんな事になっても、私はずっとイマジナリーお姉ちゃんにありがとうって思ってるから。こんなに素敵な思い出を心に作ってくれたんだもん、一生物になっちゃってるの。だから、それだけは覚えていてね?」
自分が言いたいこと、全部言っちゃってた。なんか、わーってなったまま、お口が止まらなかったの。多分ね、それはお姉ちゃんのお顔が少し不安そうだったから。多分、私がこれから転生するのって、確実に上手くいったりすることじゃないのかもしれないんだね。
でも、何が正解かなんて知らなくても、何を伝えたいかは私だって分かるの。だって、自分の気持ちだし! もし私に何かあっても、今度はコハルちゃんの背後霊になってでも踏ん張るから。だから何か失敗しちゃっても、大丈夫だよって伝えたくて。
いつも任せきりにしちゃってごめんね、お姉ちゃん。いつか、私に出来ることがあれば何でもするから……今は、一緒にいてくれると嬉しいな?
「──大事な妹との思い出なんだ、忘れるわけないさ」
お姉ちゃんは、いつも以上に私の頭を優しく撫でてくれた。多分、イマジナリーお姉ちゃんが緊張してるのは、もうすぐエデン条約調印の日だから。妹は、お姉ちゃんのことなんて何でもお見通しなんだからね!
応援する気持ちも込めて、思いっきりギューってした。
それから、今なら許されるかなって、お姉ちゃんのイマジナリーおっぱいをツンツンってしたら、ペシって叩かれちゃった。痛いね?
次回、エデン条約締結式です。