コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
「ハナコ、大丈夫なのっ!」
コハルが事の詳細を知ったのは、先生からのモモトークでだった。メブキが誘拐されて、ハナコがその際に怪我をしたということ。
正義実現委員会の自分が、好き勝手なことをしていても良いのだろうかと逡巡していた最中での報せ。悩んでいた時間を吹き飛ばす勢いで、コハルは押収品室を飛び出していた。
そうしてたどり着いた救護騎士団の拠点で、ハナコは頭に包帯を巻かれていた。ただ、意識はしっかりとあるみたいで、コハルの声に反応して顔を上げた。
「コハルちゃん……ごめんなさい」
いつもフザケ倒していて、飄々としているハナコしか、コハルは知らない。だからこそ、意気消沈している姿にコハルは動揺を隠せなかった。
「な、何よ、私は大丈夫って聞いたの!」
らしくない姿に、思わず声を荒らげてからハナコが怪我をしていることを思い出し、口元をもにゃもにゃさせるコハル。そんなコハルに近付いたハナコは──その小さな身体を抱きしめていた。
思わず猫目になったコハルだが、ハナコの身体が震えていることに気が付いて、何かを言おうとした口を閉ざした。泣いてはいない、けれど……。
「大丈夫じゃないです。少なくとも、メブキちゃんとセイアちゃんは……」
後悔してるんだと、その声を聞いて分かってしまう。コハルは、おずおずとハナコを抱きしめていた。
自身もメブキが攫われたと聞いてショックで、どうしてって思っていた。でも、それがハナコのせいじゃないという分別がコハルにはあって、慰めてあげたいという気持ちも本物だったから。まるでお母さんを慰める子供みたいに、ぎこちない手つきでコハルはその背中を撫でて。
「あんたは大丈夫なのね?」
「…………はい」
渋々と言った感じで捻り出したハナコに、コハルは良かったと小さく呟いた。
「なら、少し待ってて。バカバカメブキを直ぐに連れ戻してくるから」
確認だけ済ませて、直ぐにコハルは踵を返そうとする。その裾を、ハナコはギュッと掴んだ。
「ちょ、ちょっと、何するのよ!」
「どこへ行けば良いのか、コハルちゃんは分かっていますか?」
「それは、い、今から調べてくるの!」
ワタワタするコハルを見て、ちょっと元気を分けてもらえたハナコは、その手を取って自分の気持ちを伝える。自分だけ、ここに残していくのは無しだと。
「メブキちゃんは、身体に問題を抱えていました。だから、この問題を解決したらと……そう急いていました。その結果が、この有様です」
「…………ハナコも、てんせーのこと知ってたの?」
「そういうコハルちゃんは、メブキちゃんに教えてもらったんですね。私は勝手に気が付いて、追及しただけです。だから、そうやって打ち明けて貰ったコハルちゃんが、少し羨ましいです……」
寂しげに言うハナコに、コハルの中でブチっと何かが切れた音がした。メブキが居れば、破瓜? とノンデリ一直線なことを口にしただろうレベルの音だった。
「メブキのことで、私が仲間外れにされることの方がおかしいのよ! 一番の親友なのに、隠し事ばっかり!! 今回だって、メブキのことなのにまた私には何にも話してくれてないし!!!」
「あはは、コハルちゃんには、悪いと思っていましたけど……」
言いくるめようとするハナコの手を、コハルは容赦なく手に取って。目を丸くするハナコに、問答無用で言い放った。
「教えて、どうすれば良いか。どうせあんたのことだし、考えてるんでしょ!」
メブキと同じくらい、ハナコのことも知ってるんだからと言い放って。そんなコハルに、ハナコは目を丸くした後に微笑んだ。
自分の中で、コハルはメブキを何より優先するんだと勝手に思い込んでいたが、それと同じくらいに自分のことも考えてくれている。その気持ちを、きちんと汲み取れたから。
「ふふ、コハルちゃんには敵いませんね」
ようやく、いつもの笑みをこぼしたハナコに、それで良いのよとコハルはフンスと鼻息荒く歩き出した。
「古聖堂近くにある、野戦病院に行きましょう。そこに先生たちがいるはずなので」
「分かった!」
ズンズン歩いていく二人の足取りは迷いなく、それを陰から見守っていたセリナは、応援してますと小さく呟いたのだった。
古聖堂跡近くに、臨時の野戦病院が救護騎士団と救急医学部により設置されていた。トリニティとゲヘナの、記念すべき初の合同作業である。お互いに、相手には治療されたくないと思っていても、そんなことを言っていられるほど余裕のある状況ではない。
瓦礫から引き摺り出されたら直ぐ、近くの救護テントに放り込まれる。何か文句を言おうとしても、そこで待ち受けているお互いの現場責任者を見ると、全員が黙り込まざるを得なかった。
──下手をすれば殺される、治療しにきた奴らに殺されるっ!
そんな声が、聞こえたとか聞こえてないとか。ただ、怪我をして疲れ切っている生徒達は、非常に大人しく治療を受けた事実だけは残ったのだ。
喧騒や慌ただしさに包まれる中、先生たちが居たのはそこから少し離れたテント。──アリウス生の治療場所。救護騎士団や救急医学部の生徒よりも、正実や風紀委員達の方が多い。先生たちが足を止めたのは、その中でも特に厳重に警備されている一角。
「……ミサキ」
「アズサ、久しぶり」
苦しそうなアズサに、無感動なミサキの口振り。どこか温度差がある再会、簀巻きにされてるミサキと、立って見下ろしているアズサという構図が更にそれを引き立てている。
「何が狙いだったの」
「分かるでしょ、百合園セイアの未来予知は強力過ぎた」
「でも、あれはアリウス上げての総攻撃だった。捕虜だって沢山取られてる、この損害は立て直しが効かない。トリニティからの逆侵攻に、今のアリウスが耐えられるはずがない」
「マダムは策があると言ってた。詳細は知らない」
言葉数少なく二人の会話は進む。必要最低限だけの、情報交換と言っても差し支えないもの。冷えた空気の中、アズサの視線だけが険しくなっていく。
指針を与えてくれた恩人、抗うことが無意味じゃないと教えてくれた人。
トリニティで出来た初めての友達、変人だけど優しい女の子。
アズサにとって、既に二人は他人ではなくなっていて。だからこそ、アリウススクワッドがそれに加担しているという事実が、アズサに重くのしかかる。
かつての自分の居場所で、大切な人達だからこそ……。
「──メブキを殺すつもり?」
「……そうかもね」
気が付けば、アズサはミサキの襟元を掴んでいた。冗談は許さないと、その目が語っている。
「アズサちゃん!?」
「止めないでヒフミ、先生も。……他のスクワッドは、サオリ達はどのルートを辿ってアリウスに向かっている?」
「知らない」
「ミサキ、知ってると思うが、私は拷問は不得手でも出来ないわけじゃない」
「それは知ってる、アリウスで一緒に習った」
ヒフミはその剣幕に息を呑み、先生はアズサと声を掛けたが無視をされる。幾ら先生の言葉でも、今のアズサには聞く耳を持てなかった。
「なら、分かるはずだ」
「うん」
それでも、ミサキは態度を変えなかった。出来るはずがないとたかを括っているのではない。そうなったらなったで、もうしょうがないと諦めているのだ。その瞳が、アズサへと呼びかけてくる。
──vanitas vanitatum, et omnia vanitas
誰かの声で脳裏に囁かれたそれに、アズサは……。
「……虚しくても、抗わない理由にはならないんだ」
ミサキの襟元を離して、力なく呟いた。
「そうだね、一生懸命になるのは悪いことじゃないよ」
「先生」
揺れる瞳で、アズサは振り返った。そこには、力強い瞳をした先生が立っていて。
「少し、お話させてもらっても良いかな?」
「私に決定権は無いし、聞かなくてもいい質問」
ミサキのにべもない返しに、先生は確かにねと苦笑するしか無かった。今のミサキが自由に出来ることなんて、会話をするかしないかくらいなものだから。
「マダムって誰かな? 名前っていうよりは、敬称って感じだけど」
「……アリウスの生徒会長」
「マダムってくらいだから大人だって思ったんだけど、生徒なんだね」
「いや、マダムは大人の女性だ」
一瞬、先生の思考が停止した。
「えっと、留年?」
その結果、出力された結論にミサキの顔は非常に味わい深いものになってしまった。
「しているのなら、10年は落第し続けていることになる」
続いて、アズサが真顔でそんなことを言うものだから、もうどんな顔をすればいいのか分からなくなりそうになっていた。
「……………………冗談、言えるようになったんだね」
「先生、冗談なのか?」
「うーん、冗談みたいな存在だってことは、一応分かったかな」
公然とベアトリーチェを侮辱している事実に、ミサキはちょっと頭がついて行けてなかった。ただ、そこから感じ取れたものはあって。
「楽しく、やってるんだ」
素っ気ない口調のままだけれど、少しミサキの声音が柔らかくなっていた。まるで、アズサと一緒にアリウスで過ごしていた時のように。
「ミサキ、私は諦めてない。きっと、いつか……」
「無駄、だってこんな騒ぎを起こしたのは私達」
アズサの溢れた気持ちを、ミサキは直ぐに断ち切った。現実は何時だって虚しいもの。
そうでないと認めるのは、アリウスの生徒にはあまりにも辛いものだから。アズサが、でもっ! 食い下がろうとした──その時のこと。
「世の中には、司法取引というものがあります」
「ハナコ!? 怪我は大丈夫なの!」
「はい、コハルちゃんの愛ある看病のお陰で♡」
「ば、バカじゃないの!? 愛なんてあるわけないし!!」
「なるほど、キモチイイことだけを追い求める関係の方が良いと」
「切り取り報道! ヘンタイ報道するハナコはダメ、死刑!!」
にゅっと、コハルを連れだったハナコがテントに現れた。怪我をしていると聞いて心配していた先生たちは、その変わらなさにホッと胸を撫で下ろした。怪我もそうだが、メブキのことで責任を感じていると先生は想像していたから。
良い方向にハナコがエネルギーを向けられているのは、きっとコハルのお陰だろうとも理解して。思わず、先生はコハルの頭を撫でて死刑宣告を受けていた。先生には、司法取引の余地はないらしい。
「司法取引?」
一方で、いきなり漫才を浴びせかけられたミサキは、思考が停止しかけながらオウム返しをする。それにハナコはウンウンと頷きながら、概要を説明し始めた。
「悪いことをした人が、捜査に協力することで減刑を求める制度です。そして、こちらにいらっしゃるのは、連邦捜査部シャーレの先生ですよ。フフッ」
「……アリウスを売れってこと?」
「違います、アリウスのお仲間を助けるチャンスだと、そういうことですよ♡」
いつの間にか、場はハナコに飲まれていた。フザケながら登場して注目を浴び、話術を以て話を強引に聞かせる。ミサキにとっても、無視を決め込める内容ではなかった。自分だけならまだしも、仲間のことにまで話は触れていたから。
「どういうこと?」
「この度の攻勢、何かがおかしかったと思いませんでしたか?」
「……捨て身過ぎるとは、確かに思ったけど」
ミサキに考える余地を与えながら、ハナコは会話を進めていく。理解を共有しながら、より刷り込みやすくするために。
「きっとですが、先程ちらっと耳にした留年生徒会長さんは、アリウスを捨てますよ」
「……根拠は?」
「あまりにも、全てを使い捨てにし過ぎています。後先を考えていないのは明白、なら結論に至るまでは簡単な話ですよ」
ミサキは反論をする前に、黙り込んでしまった。ベアトリーチェはトリニティの逆侵攻が予想される中、策はあるとは言った。だが、その中身については微塵も語ろうとはしなかったから。件の百合園セイアさえ手に入れて、後は全てを捨て去ると言われれば確かに納得できる部分もあるのだ。
「それが事実だったとして、協力したら許されるだなんて都合の良いことあるわけが──」
「どうせ逃げ出すつもりなら、アリウスの生徒全員の罪を持っていってもらいましょう」
「は?」
スケールの大きな話に、ミサキは困惑が表情に出て。ハナコは調子良く話を進めていく。
「あなた達は、悪い大人に騙されていたんです。彼女に扇動されて決起して、そうして騙されていたことをこのトリニティで知った。そうですよね♡」
話が進むにつれて、ミサキにも理解が及んだ。そして、一概に否定できない内容に舌を巻きながら、少し考える。トリニティやゲヘナへの憎悪は間違いなく、アリウス生全員が持っていた。
だが、だからといって、全員を不幸にしてやるという気概はなくて。あえて形容するなら、どうにもならない現実に怨念返しをしたかったのだ。
理性と経験の間で揺れる狭間で、ふとミサキの脳裏をよぎったのは……。
『……虚しくても、抗わない理由にはならないんだ』
ベアトリーチェの教えではなくて、アズサの溢した苦悩の方だったから。
「何、すればいいの」
「ミサキっ!」
ハナコが微笑みを浮かべる前に、アズサはミサキの拘束用のロープを解き始めていた。純粋な喜びと、愛情を持っての行動。
とても嬉しそうに笑うアズサを前にすると、まぁ、と自分の中で裏切りを正当化できそうな気もしたミサキだった。
「わーいっ!*1」
「あ、洗わないと。……なんでお漏らしの洗い物、してるんでしょうね」
禁断のお漏らし事件の後、私たちは地下水が湧いてる場所に案内してもらったの。地下ってことは、アズサちゃんと初めて会った場所みたいなダンジョンのところなんだね。
キヴォトスって、実は地下ダンジョンでえちえちモンスターが跋扈してる魔境なのかな?*2 みんなが銃持ってる理由も、なんか分かっちゃったね。えちえちモンスターとかに襲われたら、魔物の子など孕みとうないってなっちゃうもんね。
ケモミミとか羽が生えてる子がいる理由って、その子のお母さんが"魔物の子など孕みとうないっ"した結果じゃないよね?*3 マリーちゃんやイマジナリーお姉ちゃんが急に"ま、魔物の血が疼いてっ"って発情期に入ったりしないよね!*4 ……ほんとにしないの?*5
「ねぇ、お漏らしお姉ちゃん*6」
「え? ……わ、私は漏らしてないんですけどぉ」
「漏れそうって言ったのに離してくれなかったのは、年下の女の子のお漏らしを受け止めたかったからだよね……」
「ち、違いますっ! あれは命令で……」
チラッチラッと、お漏らしお姉ちゃんがモデルさん(仮称)の方を見てる。……おしっこ好きなのは、こっちの人?*7
「…………何だ」
「わ、私の膀胱を緩めて、何をするつもりなんですか!」
「……っ!? 違う、確かに誘拐はしたが、そんな拷問はしていない!!」
「ほんと?」
「私がやるならば、こちらを使う」
モデルさんは、銃を取り出す。それで、そのまま私に照準を向けたの。……ふぇ?
「大人しくしなければ、力をもって──」
狙われてるの? それにさっき、もしかして誘拐したとか言ってたよね? え? え? あっ*8。
「ま、また私の服がぁ!?」
じょぼじょぼじょぼと、おしっこが出てきちゃってた。液体は流れちゃうから、そのまま洗濯をしてくれてたお漏らしお姉ちゃんの方に流れていったの*9。
「あにょ、あにょあにょ! いっぱいおしっこするから、撃たないで……」
「するなと言っている!!」
「はぅ」
じょぼじょぼって、また漏れてきちゃった*10。やっぱり、モデルさんはお漏らしフェチのえっちさんなんだよ! 怖いって気持ちを沢山与えて、私のおしっこをいつでも見物できるお漏らし奴隷にしようとしてるんだっ! 酷すぎるよ!!
「な、生暖かい水が来てます!? えへ、えへへ、これが虚しいって気持ちなんですね……。マダムが言ってたのは、こういうことだったんですか……」
「待てヒヨリ、お前はいま錯乱している! そんなはずがないだろう!!」
「でもリーダー、服のお漏らしを洗っていたのに、お漏らしで服を洗ってしまっています。全身アンモニア人間なんて、生きていても仕方ないですよね。お漏らしお姉ちゃんです、私……」
「大丈夫だよ、お漏らしお姉ちゃん! あの人が望んだことで、私たち悪くないの」
「……ほ、本当に?」
「何故その妄言を垂れ流す狂人を信じている!?」
「垂れ流されてるのはおしっこです!」
「クッ、何故こんなことにっ」
モデルさんは、なんかブチギレちゃってた。事実を指摘されたら人間ってプッツンしちゃうらしいし、そういうことなのかな? でも、私にお漏らし調教なんかして、何しようとしてるんだろ?
……地下、移動、携帯のお水、お漏らしメブキ──はっ、そういうことなの!?*11
「地下水に頼らなくてもお水を飲める様に、私を品種改良してるんだね!?*12」
「狂っているのか!?」
「人間をお漏らしドリンクサーバーにして、いつでもどこでも水分補給しようなんて、本当に狂ってるよ!*13 そんな酷すぎること、許されるわけないよ!! いま私が膀胱罪で訴えたら、余裕で勝てちゃうんだから!!!*14」
「誰がそんなものを飲むか!!」
「飲まないのにおしっこさせてるの!?」
「貴様が勝手にしている!!」
発射された銃弾が私の目の前を掠めて、私はビックリしてお漏らしお姉ちゃんに抱きついちゃってじょぼじょぼしてたの。それでね、えっとね……ごめんね?*15
「えへ、えへへへへ。
…………お、終わっちゃいました、私はもうおしっこのにおいをさせて生きていく生物なんです。全ては虚しくて、苦しくて、報われません。それを教えてくれるために、リーダーは銃で沢山おしっこを出してもらってたんですよね? わざとだったんですよね?」
「ヒヨリ、落ち着け。これはお漏らしによる離間の計略だ! やり方が汚いトリニティの策略なんだ!!*16」
「で、でも、分かるじゃないですか! この子をビックリさせたら、お漏らしするって!!」
「そんなことを分かってどうするっ。……姫、何をするっ!?」
お漏らしお姉ちゃんの弾劾によって、モデルさんはいつの間にかガスマスク美少女さんに銃を取り上げられてた。多分、ガスマスクさんはお漏らしが性癖じゃないんだよ。健全さんだね?
「何、任せろ? しかし……そう言われれば、面目もないが……」
手淫みたいな動きで、ガスマスクさんはお話ししてるみたい。多分、直接脳に話しかけてはいないよ。イマジナリーお姉ちゃんは私の脳内に直接話しかけられる様になったら、すっごく便利なのにね?*17
「分かった、すまないが頼む、姫……」
そうして、ガスマスクさんが私の方に来たの。そっと、汚れてない方の水場に案内されて、布でゴシゴシってしてくれてる。アズサちゃんもそうだったけど、ガスマスクしてる人って優しい率100%だよね!
「にゃーん」
丁度いい感じにおしっこ跡をゴシゴシってされて、気持ちよくって声が出ちゃう。むず痒いところをちゃんと洗ってくれて、優しくされてるって分かっちゃうから。絶対ガスマスクの下は美少女だって確信したよ!*18
「えっとね、お名前聞いてもいいですか!」
だからね、下心がムクムクしたの。仲良くなって、モモトークを交換して、どこ住み? って聞くの! ……そしたら、誘拐先の住所とか分かりそうだもんね?*19
「────アツコ」
そうして、しばらく悩んでからお返事くれたの。アツコさんって名前なんだね! 姫って呼ばれてたし、名字は姫初めだったりするのかな? 姫初アツコさん……素敵な名前だね!
「私はね、春風メブキ! よろしくお願いします、アツコさん!!」
「うん、よろしく」
いつの間にか、別の布に石鹸を塗りこんでゴシゴシしてくれてる。凄い、なんか凄いの! これがソープに行った人の気分なのかな? もしかすると、姫初じゃなくて泡姫アツコさんだったのかもしれないね?*20 尊敬しちゃうよ!
「……痒いところ、ない?」
「えっと、えっとね……お股*21」
そう言うと、ちょっとアツコさんのゴシゴシしてくれてたお手てが止まって。それから、私の正面に立って、多分スッと視線を下に落としたの。
「いっぱい出てたよね」
「うん、お陰でなんか喉が乾いちゃった気がするんです。……飲めるかな?*22」
「おしっこで汚れてるから、地下水飲むのは良くない」
「確かに、出してから暫くたったおしっこって、雑菌増えちゃうもんね。飲むなら直に口付けしながらじゃないと、ダメだよね」
「おしっこ、直ぐなら飲めるんだ」
「そうだよ!」
どこからか、そんな訳があるか! って聞こえたけど、何だろうね? カガクテキな根拠がある真実なのに、否定されるなんておかしいね?*23
「私の水をあげるから、今はじっとしてて」
「はい!」
わしゃわしゃ洗われてる私は、今だけは猫さんじゃなくて犬さんだった。ちんちんって言われたら、まんまんしちゃうくらいには*24。生えてないから、そこが妥協点だもんね? アツコさんは、犬の私の飼い主さんなんだもんね!
「そこは、自分で洗って」
でも、いくら飼い主さんでも、ペットのお股を洗うのはヤーってなっちゃうみたい。確かに、私も突如としてイマジナリーお姉ちゃんが"私は君の最愛狐なんだ、洗ってくれ"だなんて言ってきたら、動物病院に連絡しちゃうかもしれないもんね。
「うん、ありがとうございます!」
受け取ったタオルで、こちょこちょとアソコをする。ここをゴシゴシしちゃうと傷ついちゃうから、女の子は優しくしてあげないとダメなの。激しく触手プレイしていいのは、エロゲーかえっち本の中だけなんだよ?
あっ、そうだ、イマジナリーお姉ちゃん! 優しくするのは女の子だけじゃなくて、男の子同士でもそうなの。なんでもね、激しくしすぎると薔薇のようにお尻が咲き誇っちゃうんだって!*25
男の子同士のカップリング、俺に触ると怪我するぜだから薔薇だって思ってたのに、本当は非生産的しこしこっちをして薔薇になってるからだったなんて、そんな真実に気がついた時は震えちゃったよ。
お姉ちゃんもフタナリになったら、先生には優しくしてあげないとダメなんだからね!*26
「……ねぇ、アズサはどうしてる?」
イマジナリーお姉ちゃんが、先生をふたなり開発する中でアツコさんはそんな事を言ったの。そう言えば、最初にアズサちゃんの名前を出してたし、エージェント仲間さんなのかな?
もしかしたら、アズサちゃんが対魔忍みたいになって、トリニティで屈服してるかもって心配してるかも知れないし、安心させてあげないとだよね!*27
「えっとね、アズサちゃんとはお勉強友達なの! テスト前に一緒に勉強したし、補習授業部でも一緒に勉強したんだよ!」
「そう、補習してたんだ……」
「でもね、アズサちゃん賢くて、直ぐに私よりずっと上の点数になっちゃったの。それからね、お勉強さんを私に沢山教えてくれてたんだよ。諦めちゃダメだよって、だから補習テストも合格できたの! きっとアズサちゃんの前世は、DHCたっぷりのマグロさんだったんだね!」
「マグロ?」
アズサちゃん、えっちの時はマグロだった時を思い出しちゃったりするのかな? でも、先生にナデナデされてると嬉しそうだし、うーん*28。
「やっぱりアズサちゃんは、マグロじゃないかも知れない!」
「そうだね、アズサだね」
アツコさんは、クスッと笑いながら優しく私の頭を撫でてくれたの。なんか、ミステリアス属性に加えてお姉さん属性も兼ね備えてるみたい。イマジナリーお姉ちゃん、いま私が感じているこの感情は……恋?*29
「姫、もう良いだろう。ヒヨリの洗浄も済んだ。出発する」
「ひ、姫、私おしっこくさくないですか?」
「……大丈夫、濡れた犬のにおい」
「おしっこよりは、許せそうですね。苦しいのも、辛いのも、くさいのも、全ては仕方のないことですからね……」
「お、お漏らしお姉ちゃん、ごめんね?」
「はい、お漏らしお姉ちゃんです……」
「…………簀巻きにして運ぶか?」
「私が手を繋いで連れて行く」
タオルで私を拭いてくれていたアツコさんが、モデルさんから庇ってくれるように言ってくれてる。私も、ギュッとアツコさんにしがみついちゃってた。理由はね、何かお花みたいな良い匂いがするからだよ! ガスマスクも、アズサちゃんみたいで安心できるし!*30
「……良いだろう。但し、姫を傷付ける様なことがあれば、マダムから丁重に扱えと言われていても容赦はしない」
「安心して、春風メブキは姫始アツコさんを傷付けないって絶対に誓うから!」
「フザケた名前を勝手につけるな!」
「にゃぁん!?」
モデルさんにポコっと頭を叩かれたあと、アツコさんから本名は秤アツコなんだって教えてもらえたよ! ……じゃあ、なんで姫なんだろうね、不思議だね?*31