コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
紫煙が漂う空間、夢と夢の狭間で百合園セイアは対話をしていた。セイアの眼の前には、煙管をふかしている一人の少女があって、彼女こそがこの空間の主なのだ。
「それで、何が惜しかったのかえ?」
「な、何でもない!!」
「ほぉ、好いた
「っ、全部見ていたのか、趣味が悪すぎる!!」
真っ赤になって怒るセイアは、自分が端ないことをしていた自覚があった。だから、余計に怒りが込み上げてくるのだ。敢えて言うなら、自慰行為を両親に見られてしまった時の怒りにも似ていた。
「それで、
「待ってくれ、これ以上からかわれると拗ねてしまいそうだっ」
ムスっとした顔でむくれているセイアに少女、クズノハはケラケラと愉快そうに笑った。笑われたセイアは、慌てて顔を揉みほぐす。そう言えば、自分のムスッとした顔はお漏らしをしそうなメブキにそっくりだと言われたことを思い出して。
だが、今は本来のセイアの身体に戻っている。ムスッとしたところで、そこにあるのは可愛らしくムッツリしてしまっている少女の姿だけ。お漏らしの兆候は、どこにも見当たらなかった。
「すまぬな、これがあれだけ世を儚んでいた少女の末路かと思えば、とんだものだと思ったまでよ」
「むぅ……」
クズノハの言葉に、セイアは反論しかけた口を噤むしかなかった。クズノハとの初めての邂逅、ある意味で共犯関係になった時のことをセイアは思い出した。
『其方、とんでもないことをしてくれたのぉ』
『ここは?』
それは、メブキと接触してキヴォトスに招き入れた直後のこと。他人の夢の狭間に、セイアはいきなり呼びつけられたのだ。そこには、如何にも困ったと言わんばかりの少女が煙管をふかしていて。セイアは、一瞬彼女のことを、非行少女だと思ってしまった。格好もなんか如何わしいし、と自分のことを棚上げして。
『妾の空間、
唐突に語りだした内容は、セイアにとって覚えのあるもの。むしろ、狙ってそうしたのだから、正しく彼女の行動は報われたといって良いだろう。
『……未来が不安定になり、幾つにも分岐する可能性が生まれた。そういうことか』
『本来ある筈のない異物を交え、未来を撹拌する。……褒められた行いではない。様々な可能性を内包するということは、悪しき選択を選ぶ余地もあるということじゃからな』
気怠そうに告げる少女は、見た目の年齢よりも大人びて見える。本当に少女なのか、それも疑わしく思えるくらいに。語る内容も、まるでそういったことを体験してきたかのような経験の重みがあって。
『なるほど、迷惑を掛けてしまったのか。それはすまないことをした、謝る。……だが、私が抗うための手段として、そういったことが必要な事態だったんだ。申し訳ないが、今更止められもしない』
『そこよな、其方も考えがあったのじゃろう。不可逆であった未来を覆す、その一石を投じる必要があった。そこは否定せん、同じ預言者の
『同じ預言者、貴女は一体……』
それが、セイアとクズノハの出会い。未来を不安定にしたことで、クズノハの視る未来にさえ干渉してしまったが故の繋がり。未来視の特性を知り、未来に抗っているセイアに手を差し伸べなければ惨事になりかねないと思ってのクズノハの介入だった。
最悪、セイアが失敗して死した時のバックアップでもある。そんな彼女にだから、セイアも身体の本体を預けていた。安全な場所、白昼夢である筈なのに現と夢が交わるこの空間に。
ただ、だからと言って、善意だけでクズノハは手を貸したわけではない。未来の安定化こそが、彼女が第一に望むことであるのだから。
「では、約定を果たしてもらおうかのぉ」
その言葉に、セイアは素直に頷いた。最早、自身が経た試練を乗り越え、それは無用の長物と化しているものだったから。
「分かった、この並行世界を視る能力、持っていってくれ」
その言葉に、クズノハは然りと頷いて。
「その能力は、取り上げた後に厳重に封印させてもらおう。恐らくは、それでこの生じた歪みは改善されるであろうて。無事に、其方の妹君もこの世界に認められておるしな」
安定するのは良いことよな、とセイアの頭部に手をそっと押し当てて。──数秒後、百合園セイアを百合園セイア足らしめていた、大事なものがごっそりと抜けていく感触があった。けれど、セイアはそれに逆らうことなく受け入れる。一種の、開放感さえ伴いながら。
「終わったぞ」
「ありがとう……今までのことも、全て含めて」
「構わぬ、滅多にない経験ではあったしのぉ」
セイアの感謝に、クズノハは実におおらかに答えた。セイアにとっては笑い事ではなかったが、微笑を浮かべているクズノハにとっては、そういう類のイベントごとだったのかもしれなかった。
「それで、お主はこれからどうする?」
クズノハは、預言者で無くなったセイアの今後の身の振り方について尋ねた。セイアは、ふむ、と少し考えてから……。
「家に帰るさ、妹が待っている」
それを棚上げして、まずは自身が行いたいことを真っ先に持ってきて。クズノハは、また愉快そうに笑ってしまっていた。
お布団さんは、私を離してくれないイケない恋人さんなの。どうして、私のことをそんなに好きなんだろうね? 私も沢山大好きだから、これって純愛なのかもしれないね?
「……う、ん……朝、か。メブキ、起きなければいけない時間だよ」
でも、そんな私とお布団さんのピロートークをお邪魔してくる存在が居たの。私の大好きなケモミミ横乳貧乳ロリお姉ちゃんにして、ようやく一緒に暮らせているセイアお姉ちゃん。昨日、私とお布団さんと3Pした癖に、こうして直ぐに冷めちゃうのは良くないことなんだよ!
「おねーちゃん、と、おふとんさんは、からだだけ、のかんけい……」
「むしろ、それ以外の方が怖いよ。もし、私がキミより布団の方を愛していると言ったらどうするつもりだい?」
お姉ちゃんと、お布団さんが……?
『フ、フフ、キミの身体は本当に良いね。メブキなんかの抱き心地より、数倍は上回っている。あんなロリ湯たんぽ位にしかならない妹なんて、冬場以外に必要ないんだ!』
『フヘヘ、ソウデスヨネ、ケモミミヨコチチヒンニュウロリオネエチャン』
『あぁ、キミの身体はメブキなんかよりもとっても良いよ!』
は? お姉ちゃん、何言ってるのかな?
そんなこと、お天道様が日干しを許しても、私がお布団野郎を許せないよ。中身の羽根を、全部ハメドリくんのと取り替えるよ、フザケないで!!
「だ、だめぇぇーーーーーーーーーーーー!!」
私を籠絡しようとしてた、お布団のシーツをぶん投げて、ガバ(おまんまんが破れる音じゃないよ!)っと起き上がった。そうして、隣にいたパジャマお姉ちゃんに抱きついて。
「お姉ちゃん、おはようだよ!」
「うん、おはよう。……キミは毎日、もう少し大人しく起床できないのかい?」
「毎回ね、間男のお布団が私を誘惑するの。お姉ちゃんは、しっかり私を護らなきゃダメなんだからね?」
何時も通りの、朝の挨拶をする。何時も通りにお姉ちゃんにおはよう出来るって、毎日が素敵だね!
「今日は私が朝食の用意をしよう」
「えー、私がカレーを作ってあげるから大丈夫だよ?」
「それはキミが食べたいだけだし、第一、気が狂いそうになるんだ。なんで三日三晩カレーで平気と思っているのか、問い糾したくはあるが……」
「カレーだからだよ?」
「この答えしか返ってこないからね、全く」
朝食は毎日交代制で、代わりばんこに用意してるの。でも、お姉ちゃんはお料理できないので、毎朝コーンフレークに牛乳をぶち込むだけなんだよ。酷いね?
でも、コーンフレークのブランドがシスコーンだから許してるの。遠回しにした私への告白だからね、お姉ちゃんってば本当に私が好きなシスコン狐なんだから!!
「いってきまーす!」
「いってきます」
お家を出る時も一緒、お姉ちゃんは甘々シスコン狐だから”一緒に登校したら友達に噂とかされると恥ずかしいし”なんて悪魔みたいな断り文句は言わないし、それにね……。
「セイア様、春風さん、ごきげんよう……今日も一緒にご登校ですか?」
「ごきげんよう。……妹だからね、メブキは」
「えへへ、おはようございます! 妹です!!」
ちゃんと知り合いの人とかにも、私が妹だって言ってくれてるの! 実は影で私が、妹にされちゃったって言ったから、ちょっと関係性を勘違いされちゃってるけど。でも、そんな関係性が毎日楽しくて、心地いいよ!
「シミコちゃん、おはよう!」
「メブキさん、おはようございます」
学校について泣く泣くお姉ちゃんと分かれた後は、教室に行って真っ先にシミコちゃんにおはようする。私が死んじゃった時、シミコちゃんが調べてきてくれたワザップのお陰で助かったって先生も言ってたし、それから私にとってはシミコちゃんは命の恩人なの! だから、ちょっと贔屓しちゃってるんだよ!
「……メブキさん、わたくし達も居ますよー」
「おはようございます、みんな!」
「春風さん、円堂さんのことが好きすぎでは?」
「うん、親友だもん!」
そう言ったら、教室はきゃーーって黄色い声で包まれたの。シミコちゃんは、言葉通りの意味です! 変な意味はありません!! とお顔を真っ赤にして言ってる。可愛いね? だからね、私も助けてあげなきゃって思ってね。
「そうだよ! シミコちゃんが好きな人はせんせ、モゴモゴ」
シミコちゃんは先生が好きで、いつか足湯に行っちゃって私に足舐めされるのって言おうとしたところを、シミコちゃんにお口ブロックされて言えずに終わっちゃう。シミコちゃんは恥ずかしがり屋さんだね! ……どうしてずっと、私のお口を塞いだままなのかな?
「メブキさん、言って良いことと悪いことが世の中にはあります。乙女の秘密は──勿論悪いことです」
「むーーーーっ」
ちょっとシミコちゃんにお仕置きされちゃったけど、私も報復チュッチュを手にできたからセーフだよ! メブキさん、誰にでもキスするのは悪いことですよ、と叱られちゃったけど気持ちよかったから大丈夫だよ!
お昼休みになって、私は学食へ。お姉ちゃんはご飯が作れないから、お姉ちゃんが朝ご飯を作る日は毎日、学食でご飯を食べることになるの。お弁当にシスコーンは詰めれないからね。仕方がないことなんだよ。
「メブキ?」
「あ、アズサちゃん! ヒフミちゃんも、こんにちは!」
「はい、こんにちはです。メブキちゃんは、これから学食ですか?」
「そうなの、お姉ちゃんは毎日カレーは嫌だって言ってるから、その内に品種改良してカレーしか食べれない狐さんにしちゃうんだよ!」
「いえ、毎日カレーは脂分が苦しいですよ」
「メブキも、一緒に食べる?」
「うん!」
学食では、毎日違う人が私とご飯を一緒してくれるの。今日はヒフミちゃんとアズサちゃんで、私はカレーを注文したよ!
「それでメブキちゃん、セイア様からアリウスの人達について聞きましたか?」
「アツコさん達のこと? ううん、知らないの。今、療養施設にいるって聞いてるよ?」
療養施設、ちょっと危険なフレーズ。大抵、そーゆーところにはえっちなお医者様がいるって、抜きゲーの法則で存在しているから。特にアツコさんは、あんなえっちなレオタードを着てるから心配で、何度もお姉ちゃんにアツコさん達大丈夫かなって聞いたの。
でも、お姉ちゃんはミネ団長が院長だから大丈夫だって言ってくれてたし、ミネ団長はデカデカおっぱいの持ち主だから男の娘な筈ないから一安心だね。
「療養施設とは名ばかりの監視場、私以外のアリウス出身者は裁判が終わるまでは身動きが取れなくされている」
「えと、アツコさんやサっちゃんさん、それにヒヨリちゃんは無事なのかな?」
「無事だし、ここでミサキの司法取引が効いてきている。罪が無くなった訳では無いが、エデン条約機構の奉仕機関で身元を預かることになりそうだ」
「一緒にメブキちゃんやアツコさんを助けるために戦った仲間ですし、本当に良かったです」
「ほへー……ご奉仕って、えっちなご奉仕のこと?」
「違います」
もぐもぐしながら、アリウスのみんなのことをお話する。最初、私を誘拐した罪で訴訟されたのかと思ったけど、実は大規模テロを起こしたって聞いてビックリしちゃったの。10代の非行か何かかなって思ったけど、悪い人に騙されちゃってたって聞いて納得したよ。それも、あのお花触手怪人さんだったし。
「あの触手の人、交番で指名手配されてたね?」
「はい、先生が連邦生徒会に注意喚起をして、ヴァルキューレでも手配状が出たそうです」
いま交番に行くと、この顔見たら110番って触手さんのお顔が掲載されてるの。触手を操ります、えっちなことに注意してくださいって書き足したら、ヴァルキューレ警察学校の人に怒られて罰金取られちゃったよ。おかしいね?
「全てではないが、多くのことはマダムが発端であることは確かだ。……マダムが現れる以前に育っていた憎悪も、マダムが持っていってくれた。それだけは、感謝するべきことなのかもしれない」
「私は、やっぱりあの人の事を許せそうにないです。でも、いつかやり直せる機会があれば良いですね……」
「そうだね、今ならAVの竿役需要だってきっとある筈だもん」
「メブキちゃん、幾ら悪い人でもエッチなビデオに出演させようとしちゃダメですよ」
ヒフミちゃんにメってされて、はーいとお返事する。何はともあれ、アリウスのみんながえっちな奉仕作業とかを無理やりやらされなくて良かったよ!
放課後! 実はお姉ちゃんはティーパーティの偉い人(エロい人だよ!)で、生徒会長になれる器だって聞いた時はビックリしちゃったよ。でも、ナギ様やミカさんと仲良くしてる姿はとっても素敵で、みんなが憧れるお姉様っぽい空気感を出してて納得もしたの。お姉様の器だから、私のお姉ちゃんにもすんなりなれたんだもんね?
そういう訳で、セイアお姉ちゃんはお仕事が忙しいの。私も、図書委員会があるから、会えるのはお家に帰ってからになっちゃう。一緒に帰ろうとしても、中々ご一緒できないことが多いからね。でも、それまで寂しくなんてないから大丈夫!
「メブキさん、こんにちは」
「あ、マリーちゃん! こにゃにゃちは!!」
こうして、私が歩けば知り合いに出会っちゃうもんね。今日はマリーちゃん、セイアお姉ちゃんの次くらいに私のママかお姉様になってくれる素質を持った最高のネコさんなんだよ!
「マリーちゃん、実はね、マリーちゃんの体操服を遠目から見れたの! すっごく可愛かったよ!!」
「体操服が、ですか?」
「うん、可愛いから先生に写真付きで送っちゃった」
「め、メブキさん、不埒なことをしてはダメだと、何度も言ってますよね!」
「でも、可愛いんだもん……」
いつもお清楚なマリーちゃんが脱ぐと、そこには花の香りを見るだけで漂わせてくる女の子の姿があったの! 脱いでも清楚なんて凄いね? でも、どうしてだろう……私の胸はにゃんにゃんしちゃうの。
「メッです」
マリーちゃんにメってされると、にゃーんってなっちゃう。ウイ先輩やヒフミちゃん、セイアお姉ちゃん相手にもだよ。ハナコちゃんにされてもなりそうだけど、ハナコちゃんは私をメってしない優しいお姉ちゃんだからね。
多分だけど、これは私のお姉ちゃん感度センサーなんだって思うな。お姉ちゃんになって欲しい人相手に発動するセンサーで、私の心のネコさんが毎秒ビクンビクンってしちゃうの!
「ごめんね、マリーちゃん。私、好きな子にイジワルしちゃうみたいだから……」
「そういう時こそ、心を落ち着けて祈りましょう。清らかな心で、思い遣りの心を育めばそういったことも落ち着きます」
「私はいつも、マリーちゃんをえっちだって思ってるよ!」
「思ってはいけません!!」
お顔が真っ赤なマリーちゃんは、やっぱり天然記念生物だって連邦生徒会に直訴されて然るべき何だと思うよ。だって、こんなにも可愛いんだもん!
「イジワルしてごめんね?」
「……素直に謝ることが出来るのは、メブキさんの良いところですね」
でも、イジワルされると困っちゃうって知ってるから、最後はちゃんと謝らないとダメなの。マリーちゃんは優しいから、嫌な気持ちに蓋をしてくれてるけど、だからって調子に乗りすぎるとダメだもんね。……今度、マリーちゃんにいつもありがとうって、プレゼント上げようかな?
「マリーちゃん、マリーちゃんが好きな大人のおもちゃって何かな?」
「大人の……?」
「えっとね、知らないなら先生が詳しいと思うし、聞いてみて欲しいな!」
「分かりました、ですが私は子供ですけどね」
大人の……えっちなおもちゃ。セイアお姉ちゃんの部屋に溜め込んでいたものは、全部捨てられそうになっちゃったけど、何とか頑張って家の倉庫に隔離することで手を打ってもらったよ。
そうじゃないと、私が初めて一人えっち、つまりはおにゃにーする時は先生じゃなくてお姉ちゃん相手にするよ! って交渉したら、複雑そうなお顔で認めてくれたの! でも、お姉ちゃんだけじゃイケない気がするし、シチュは先生とお姉ちゃんの3Pになりそうだけどね!
「メブキさんは、あれからお変わりなく?」
「毎日が楽しいよ!」
そう答えると、マリーちゃんはにっこり笑ってくれたの。
「メブキさんの毎日が、楽しいことで満ちていますように」
「マリーちゃんがお話してくれて、今も楽しいよ!」
私の言葉に、でしたら良かったですって言ってくれたマリーちゃんは、そのうちに聖女様になれるシスターさんだった。エロゲーだと攻略ヒロイン枠だよ、やったね!
「ウイ先輩ウイ先輩ウイせんぱーい!」
「う、煩すぎる。居なかったら寂しいし、どこか行ってると心配になるのに、近くに居られるとウザすぎるっ」
「私、ウイ先輩の心に住めちゃってるんだね。嬉しい!」
「きゅ、急に何? あ、でも否定できる要素も少ない。さ、最悪すぎる……っ」
私はいつの間にかウイ先輩の心に住み着いていて、なくてはならない空気メブキになっちゃってたみたい。ウイ先輩が白雪姫みたいに眠っちゃったら、私がいっぱいチューしてあげるね? セイアお姉ちゃんが私のチューで目を覚まさなかったのは、多分私のお姫様がウイ先輩だっただけだろうし!
「今日からは古書館に毎日来ようと思うけど、いいですか!」
「良いわけがない、毎日追放するから」
「でも、それだとウイ先輩棒のお墓、古書館に作ったのにお参り出来ないから……」
「は?」
ウイ先輩棒、最後は私と先生を護って格好良く爆発した私の愛棒にして、もう一人のウイ先輩。私はあの勇姿を忘れないために、ウイ先輩が居てる古書館にお墓を建てたの。
ちゃんとカラーコピーでラミネートしたウイ先輩棒の写真も貼ってあるし、これなら何時でも偲んであげられるもんね。昔インターネットで見た、京大ってところの受験の時に作られる像を参考にしたよ!
「どこに作ったの、そんなのっ」
「えっとね、あっちの方!」
古書館の最奥、そこにひっそりと本と埃に囲まれているウイ先輩棒のお墓があるの。私くらいしかお墓参りしてあげられないから、私が卒業しちゃったら年一くらいでしか来れなくなっちゃう。だから今のうちに、沢山お参りしてあげなきゃなんだよ!
「て、撤去するから、連れて行って!」
「? でも、私と先生を護ってくれたんだよ? 先生にとっては、ウイ先輩棒がウイ先輩なんだよ?」
「本当になんてことをッ!」
「ダメ、撤去しちゃダメーーーっ」
ウイ先輩棒みたいに立ち上がったウイ先輩に、必死に組み付いてその凶行を止めに入る。
「ウイ先輩棒が可哀想だよ!」
「私の方があまりに可哀想」
「違うもん、ウイ先輩は可哀想じゃなくて可愛いんだもん!」
「人の好意がこんなに鬱陶しいだなんて、知りたくなかった!」
私とウイ先輩は必死に格闘して、隙を見て私はウイ先輩の髪の毛をスンスンする。……今日もコーヒーと本の落ち着く匂いだね!
「へ、変態!」
「好きーっ!」
「好意は免罪符にならない、シスターフッドの商売が成り立たなくなるからっ」
「でも、スキスキなの!」
そうして5分くらいわちゃわちゃして、私とウイ先輩は息をハアハアするくらいに疲れちゃったの。まるで、恋人がする大切な行為をした後みたいだね?
「…………分かった、ゴミ箱には捨てないから、古書館以外の別の場所に移動させて」
「えっと、図書館で良いですか?」
「良くないけど、シミコが勝手に撤去するから良い」
「シミコちゃんはそんなことしないもん!」
「図書館に対するシミコの認識を甘く見てる」
「そかなぁ?」
ウイ先輩とシミコちゃんへの解釈バトルを繰り広げつつ、ウイ先輩とイチャイチャする。こうしてツンツンしてる先輩だけど、シミコちゃんから私が居なくなった時はずっと落ち着かなくて、イライラしてたって聞いたし、本当は私のことが好きって分かってるの。
だから、先輩が卒業しちゃう時に告白して、いつか恋人さんになっちゃうから覚悟しててくださいね? 先生のハーレムを築く計画、一緒に完遂しましょうね!
「とにかく、ウザくない程度になら遊びに来ていいから……」
プイって顔をそらして、そんなことを言うウイ先輩は本当にツンデレさんだった。だからね、私は元気よく、はいってお返事したの。そうしたら、ウイ先輩が頷いてくれるのを知ってたから。ウイ先輩、いつもウザい私に付き合ってくれて、ありがとうだよ!
それで、気が付いたら夕方。シミコちゃんと一緒に図書館を閉館しつつ、それが終わったら私は屋上へと向かった。そこが、いつもの待ち合わせ場所だから。
「コハルちゃん、お待たせ!」
「別に、待ってないし。楽しみになんてしてないからっ」
屋上で、コハルちゃんが待っててくれてた。勿論、用意してあるのはえっち本。
屋上に行くと、何時も通りにコハルちゃんが居てくれてる。それって、何だかとっても嬉しいことだよね。朝にお姉ちゃんにおはようして、夕方にコハルちゃんとえっち本を読む。毎日は少しずつ変わってるけど、変わらないで居てくれるって安心するから。
「えへへ、お邪魔します!」
私の定位置はコハルちゃんの隣で、一緒になってゴロンってえっち本を読む。慣れた肌色、着衣えっちが最近のトレンド。一緒にページを捲って、一緒にドキドキしちゃう。一緒になって、ロリババア狐さんが堕ちそうになりながら抵抗しているページで、手に汗を握って応援する。
「頑張って、ショタおにんにんに負けないで!」
「歳取ってるなら閉経してる筈でしょ、1×歳に負けちゃダメ!」
あんあんヘコヘコしてる行く末を、ページを捲って確認しようと私とコハルちゃんはして──。
キィっと擦れる音がしたことに、ビクッと反応して飛び上がっちゃう。だってそれは、屋上の扉が開く音だから……。
ま、不味いよ! えっち本を読んでるの見つかっちゃったら、全トリニティで私達が読んでた本が罪状のごとく読み上げられちゃって、不適切図書としてえっちに対する弾圧が始まっちゃうかもしれないよ!! か、隠さなきゃ!
えっち本を読んでた時くらいドキドキしながら、私とコハルちゃんは二人のお尻にえっち本を敷いて隠したの。もし立てって言われたら、私とコハルちゃんはお尻愛ごっこの最中だから無理です! って反論できる態勢だよ!
「こんにちは、コハルちゃん、メブキちゃん♡」
そうして、現れたのはスク水姿のハナコちゃんだった。……良かったぁ!
「こんにちは、ハナコちゃん!」
「もう直ぐこんばんはになりますね、二人共」
ホッと一息つけたけど、コハルちゃんはどうしてだかおにんにんの様にいきり立ってた。どうしたのかな、えっち本読んでムラムラしちゃったの?
「な、なんで今日も水着で歩いてるのよ! エッチなのはダメ、去勢!!」
あ、そっか、コハルちゃんは正実だから、えっちなのは検挙しないといけないんだ。えっち本を一緒に読みすぎて、忘れちゃってたよ!
「フフ、そうしてコハルちゃんがお顔を真っ赤にしてるのを見たくて……と言ったらどう思いますか?」
「死刑!!」
「あらあら」
でも、こうしていると、何だか懐かしいね。私がハナコちゃんを初めてみた時、こんな夕暮れの時だったもん。あの時、ハナコちゃんを一目みて、この人は女神様なんだって確信したんだよ!
「今日のハナコちゃんも可愛いね!」
「今日のメブキちゃんも素敵ですね」
立ち上がって、ハナコちゃんにぎゅーってすると、ハナコちゃんは優しく迎え入れてくれたの。やっぱり、慈愛の女神様だよ!
「め、メブキも興奮しちゃダメ、身体に悪いでしょ!」
「コハルちゃんも一緒にぎゅーってしよ?」
「ダメに決まってるでしょ!」
「にゃん」
「あんっ」
私はコハルちゃんに引き剥がされて、ハナコちゃんにピッタリ出来なくなっちゃった。ちょっと残念だから、今度はコハルちゃんをぎゅーってする。好きな人は、何回だってぎゅーってしても許されるもんね!
「あ、もぅ、本当にしょうがないんだから、メブキは!」
「えへへ、コハルちゃん好きーっ!」
「あらあら♡」
私がハナコちゃんにぎゅーするのは許せないけど、自分がされるのは許しちゃうコハルちゃんは嫉妬深い女の子かもしれなかった。可愛いね?
「ところでコハルちゃん、メブキちゃん。このエッチな本ですが……」
ヒョイッと、私達が立ち上がった後に残されたえっち本をハナコちゃんは拾って、ニコニコと私達の方に振り返ったの。
「一緒に読んでいたんですか?」
「そだよ!」
「ば、バカ。メブキのバカ! そんなこと教えちゃダメ!!」
ハナコちゃんにウソはつけないから、ウンって頷いたらコハルちゃんが慌ててお口を塞いできたの。もう手遅れだし、前にもう教えちゃった後なのにね? えっちでビュッビュってされてからノーカン扱いしても、赤ちゃんは出来ちゃうんだから手遅れなのと一緒だよ!
「残念ながら、もう聞いてしまいました♡」
「一番知られちゃダメなヤツなのに、どうしてくれるのよアホアホメブキ!!」
「あうあうあう」
ガクガクされる私は、もしかすると遠目から見たら腰をヘコヘコするコハルちゃんを受け入れちゃってるみたいに見えてるかもしれなかった。
「……二人は、とても仲が良いですよね。羨ましいくらいに」
だからか、私とコハルちゃんが子作りしてるって思っちゃったハナコちゃんは、そんな勘違いを口にしちゃってたの。
「ち、違うよハナコちゃん! 私とコハルちゃんは赤ちゃんなんて作ってないの!!」
「してるわけ無いでしょ、私に生えてないしメブキは小さすぎるし、あり得ないこと言わないで!」
「こ、コハルちゃん、去勢されちゃったの!?」
「死刑!!」
「やーだっ!」
さっきの三倍くらい揺すられてる私を見て、ハナコちゃんは何だか寂しそうに、ちょっと微笑んで。
「では、お二人の関係性はどんなものですか?」
そんなハナコちゃんの笑みに、胸がちょっとキュウってしながら、私はハッキリと答えたの。初めて会った時からこれまで、色々あったけど一番こうだって思っている答えを。
「コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんだよ!」
「メブキのバカ! …………違わ、ないけど」
私が言って、コハルちゃんが認めて、ハナコちゃんはそれに頷いて。それでね、すっごく珍しくモジモジしながらハナコちゃんはお口を開いたの。
「……では、そのえっち本を共有する仲に、私も入っても良いですか?」
「は?」
「二人がその本を共有していることは、茶化しを抜きにして大切なことだと分かっています。その特別な仲に、私も加わりたいと思ってしまいまして……」
そう言えば、ハナコちゃんはセイアお姉ちゃんが忙しくなってから、あんまり一緒に居られなくなっちゃったみたい。私は帰ったらお姉ちゃんに会えるけど、ハナコちゃんはそうじゃないもんね。寂しい、よね……。
「ねぇ、コハルちゃん」
「……なによ」
「その、良いかな?」
「……別に、良いけど」
コハルちゃんも、察してるみたいに口をアヒルさんにしてる。私はウンって頷いて、ハナコちゃんに向かい合ったの。寂しそうにしているお顔を、何時ものニコニコ笑顔になってもらうために。私もコハルちゃんも、ハナコちゃんが大好きだから!!
「──ハナコちゃんも、私達とえっち本を共有する仲になってくれますか?」
あの日にコハルちゃんがしてくれたみたいに、今度は私からハナコちゃんにえっち本を差し出して。ドキドキしながら、ハナコちゃんを上目遣いで見つめて、それでね……。
「──はい、よろしくお願いします」
えっち本を受け取ってくれたハナコちゃんは、新しくえっち本を共有する仲になってくれたの。えへへ、みんなでえっち本を共有する仲になっちゃったね!
「もうっ、メブキもハナコも、ほんっとうに変態で仕方ないんだから!」
コハルちゃんはプンプンしつつ、ロリババア狐さんが屈服する寸前で最初のページに戻ったの。今度は、ハナコちゃんともえっち本を共有する為に。
毎日、変わらないと思ってることでも、少しずつ変わっていくことはやっぱりあるみたい。でも、やっぱり最初に始めた時の意味は変わらないの。
例えば、私とお姉ちゃんが先生と結婚しても、ただいまって家に帰る度に言い続けるように。
例えば、おにゃにーデビューした私がテクノブレイクしちゃっても、それでも太陽が登ってくるみたいに。
例えば、ハナコちゃんとえっち本を共有するようになっても。
大事な絆が紡がれるって意味が残るなら、ハナコちゃんともっと絆を紡げるのなら、それはやっぱり素敵で良いことだなって事だもんね。
そういったことが、明日も明後日も、1年後も10年後だって続いていくの! だから、生きてるって嬉しいことなんだよ。悪いことが続くことがあっても、明日は良い日になるってちょっとは信じられるから。今日は、昨日より良い日になったから。明日も良い日になるって、そう思えるの。だからね?
「えへへ、コハルちゃんもハナコちゃんも、これからよろしくね!」
明日が良い日になるって魔法を、私は一言、夕暮れの屋上で掛けたんだ。今なら、みんなでキリエだって歌えちゃう!
「歌おう、コハルちゃん、ハナコちゃん! 嬉しい時のキリエを!!」
「えぇ、また!?」
「フフ、あの日に聞こえてきたのは、やっぱり二人の歌だったんですね」
「今日はハナコちゃんも一緒だからね!」
それから、みんなで歌ったキリエは、初めて歌った時よりちょっと上手になってたの。
今日の私は、昨日の私よりお歌が上手!
だからね、明日の私は今日よりきっと、成長してるよ!
毎日、私もみんなも、頑張って生きていこうね!
だって私達は、生きてる内には、そういうことが許されてるんだもん!
拝啓お兄ちゃんへ
妹は元気にやっています。生きる良さが分かって、毎日がキラキラしているのです。えっち本を共有する友達も、ケモミミ横乳貧乳ロリお姉ちゃんも手に入れちゃいました。
お兄ちゃんは元気ですか? だったら、私は嬉しいです。もし元気が出ないのならば、妹の日常を覗いてみてください。私は日々頑張ってるから、もしかしたら元気を分けてあげられるかもしれません。
過酷シコシコ あなたの幸せな妹より
皆様のお陰で、何とか完結まで漕ぎ着けられました。
感想、お気に入り、評価、ここすき等、とても励みになっていました。
本当にありがとうございました!!