コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです!   作:ペンギン3

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シャンプーハット

 それは、雨の日のこと。

 

 しとしとと優しく雨が降る中を、ハナコは傘を差して歩いていた。そして、校舎から出て家に帰ろうとした時のこと──ふと、小さな声で“にゃーん”と鳴くか細い声を耳にしたのだ。

 

「あら?」

 

 どこか聞き覚えのある、春の匂いがする声を辿って歩いた。

 そうして、たどり着いた先には……。

 

「メブキちゃん、こんな所でどうしたんですか?」

 

 段ボールの中に丸まったメブキが、スク水姿でブルブルと震えていた。段ボールには、“捨て家猫です、拾ってください”と書かれた紙も存在していた。

 

 あまりに謎めいた状況だが、ハナコは自らも服を脱いでスク水になり、その脱いだ服をメブキへと被せた。震えているメブキを、温めてあげたくて。

 

「は、ハニャコちゃん、こにゃにゃちは……」

 

「はい、こんにちは」

 

 被せた服は、ぐっしょりとメブキの肌に付着していた雨で透けてしまったが、その暖かさでメブキは震えながらも声を出せるようになった。そうして、メブキはハナコへと告げたのだ。

 

「ハナコちゃん、拾ってください!」

 

「はい♡」

 

 意味が分からない上に唐突な提案を受けても、ハナコは自然体のままだった。この子が突飛なのも、突発的なのも、ハナコにとっては日常に過ぎないのだ。

 

 差していた傘をメブキに預けて、両手で捨て家猫を自称する彼女を抱き上げた。小柄ながらも30kgあるメブキを、ハナコは悠々と抱き上げていた。流石はキヴォトス人である。

 

「今日からハナコちゃんの家猫さんになるね!」

 

「うふふ、まずはお家に帰りましょうか」

 

 メブキの宣言に、セイアと喧嘩をしてしまったのだろうということを察して、ハナコはそれに明確に回答することなくそのまま帰路へとついた。さて、まずは事情を聞かないと、なんて思いながら。

 

 

 

 一方で、それから10分後のこと。

 慌てた様子で、制服が汚れるのも厭わずに雨の中を走ってきた少女が一人いた。

 

「キミは一体何を考えているんだ、雨の日の、こんな所でッ!」

 

 怒りと心配を滲ませたまま飛び込んできたのは、メブキの最愛の姉にして、靴とスカートが泥んこ狐になっている百合園セイアだった。

 

 しかし、そこで彼女が目にしたのは、もぬけの殻になった段ボールと拾ってくださいと書かれた濡れて滲んだ紙のみ。

 

「……メブキ?」

 

 困惑狐が動揺しながらスヤスヤFOXとなり、消えた妹の行方を追うことになった少し前の出来事だった。

 

 


 

 

「セイアお姉ちゃんは、邪痴淫虐なイジワル狐さんだよ! 本当に許せないのっ!」

 

「そうですね、セイアちゃんはエッチです」

 

「ハナコちゃんの言う通りだよ!」

 

 私ね、今日はお姉ちゃんへの抗議のために家出したの。

 そうして、お姉ちゃんのねこねこメブキじゃなくて、誰かさんの飼い猫メブキになれば、お姉ちゃん反省してくれるかなって。

 

 でも、今日は雨が降ってて、よくよく考えたら休日さんだったの。雨が降ってきたから慌ててスク水に着替えたけど、雨と休日さんのせいで誰も近くを通ってくれないし。

 

 見つかりにくいのかなって思って、古書館の前から校門(肛門じゃないよ!)近くまで来たの。

 

 するとね、ハナコちゃんが見つけてくれたんだ! やっぱり、ハナコちゃんは世界一素敵なおねーさまだね!

 

 そうして今、私たちはハナコちゃんのお家にいるの。今日から私、ハナコちゃんの家猫さんだからね!

 

 タオルで頭、拭いてくれてるし。

 もう私を飼ってくれるフラグなんだよ、これは!

 

「それで、セイアちゃんと何があったんですか?」

 

「聞いてハナコちゃん、あのね!」

 

 思い出すと、おこーって気持ちのあまりプルプル震えちゃう。でも、我慢してハナコちゃんに伝えようと、むすっとしたお顔をしながら伝えようとして。

 

「メブキちゃん、おトイレですか?」

 

「うん、おしっこ!」

 

 そう、これはお姉ちゃんに対しての、怒りのおしっこなの。お姉ちゃんは、反省して私と連れションしなきゃダメなんだからね!

 

 

 そうして、お姉ちゃんへの怒りをじょぼじょぼした後、くしゅんってくしゃみが出ちゃった*1。身体を温めてた、怒ってるって気持ちが流れて、今の私は冷え冷えメブキと化してるんだね。

 

「なんか、ブルブルする。……ウイ先輩棒、私のおててじゃなくて身体に帰ってきちゃったのかな?」

 

「雨に打たれてたんですから、寒くて震えてしまっているんです。このままだと、セイアちゃんの心みたいに冷たくなって、風邪をひいちゃいますよ」

 

「うー、それはダメだよ。お姉ちゃん、心配しちゃう……」

 

 私が風邪ひいちゃったら、お姉ちゃん悲しくなっちゃう。それは、幾らイジワルなお姉ちゃんでも可哀想なの。心配、掛けたくないよ……*2

 

「でしたら」

 

 ごめんねって気持ちになりそうなところで、ハナコちゃんは私の頭をナデナデしてくれて。

 

「一緒にお風呂、入っちゃいましょうか♡」

 

「っ、うん!」

 

 お姉ちゃんへのごめんねって気持ちは、ハナコちゃんのその一言でどっかイっちゃったの。

 

 ハナコちゃんとお風呂!

 その言葉だけで、身体がポカポカして来ちゃった!

 ふへへ、私だけ良い思いしてごめんね、お姉ちゃん*3

 

 

 

「わーい!」

 

「メブキちゃん、先にシャワーを浴びましょうか」

 

「はーい!」

 

 お風呂場に突入後、湯船の膣内に入ろうとした私は、先にハナコちゃんにキレイキレイしてもらうことになった。確かに、ちゃんと濡らしてから入らないと、湯船ちゃんも痛がっちゃうかもしれないもんね!

 

「ハナコちゃん、それは?」

 

「シャンプーハットです」

 

「おー、久しぶりに見たよ!」

 

 昔、病院でつけてもらってたやつだ!

 お薬の副作用とかで、途中から私の頭は男の人の亀さんみたいにツルツルになっちゃったから、必要無くなったんだけどね!*4

 

「メブキちゃんのために、用意してました」

 

「嬉しい、ハナコちゃんありがと!」

 

 本当は無くても髪の毛洗えるけど、ハナコちゃんからのプレゼントだったら毎回使っちゃうもんね! 泡が目に入らないから、髪の毛シャカシャカRTAだってできちゃうし!

 

「ふふ、どういたしまして。それではメブキちゃん、座ってください」

 

「お邪魔します!」

 

 ハナコちゃんに促されて、椅子に座ったの。それからシャワーでじゃばーってしてから、髪の毛を上の方で纏めてシャンプーハットを被る。全部、ハナコちゃんがやってくれたよ!

 

「私、クラゲさんみたいだね!」

 

「前から思ってましたが、メブキちゃんは髪の毛が長いですね」

 

「えへへー、ずっと長いのが良いなって憧れてたんだよ!」

 

 転生したら、憧れのふわふわな長髪になってたの!

 

 その代わり、私のおまんまんの毛は全然生えてこないけど、これが等価交換さんなのかな? おまんまんが無作地帯になる代償なのかな? でもね、髪があるの嬉しいから、全部許せちゃうんだよ!

 

 最悪、おまんまんのおけけはコハルちゃんにお願いして、植林すれば良い話だし! ブラックジャックさんも、そうやってお顔の怪我治してたもんね!

 

 一つだけ問題点があるとすれば、コハルちゃんのおまんまんもツルツルってことなんだけどね。

 私とお姉ちゃんにコハルちゃん、3人合わせてツルツルペタペタシスターズだよ!*5

 

「……よかったですね、メブキちゃん」

 

「うん!」

 

 クラゲさんみたいに、シャンプーハットで溢れちゃってる髪の毛越しに、ハナコちゃんがナデナデしてくれてる。お姉ちゃんも、一緒にお風呂に入る時、私の頭、ナデナデしなきゃだよ!*6

 

「では、洗います」

 

「ハナコちゃんなら、ちょっとだけ強引にしても良いんだよ?」

 

「優しくしますね♡」

 

「はーい」

 

 私の髪の毛に、ハナコちゃんのおててが入った。わしゃわしゃーって感じで、まるでペットの犬さん猫さんを洗うみたいにしてくれてる。

 

 ハナコちゃんはとっても上手で、気持ち良くて喉がゴロゴロしてきちゃう。このままハナコちゃんが洗髪店を開いちゃったら、週に7回通わないといけないね?

 

「にゃーん……」

 

「メブキちゃん、気持ちいいですか?」

 

「うにゃーーん……」

 

「ふふ、嬉しいです」

 

 以心伝心おまんまんで、私とハナコちゃんは通じ合えてた。お姉ちゃんも、にゃーんの極意を早く体得しないと、私が猫さんになった時に大変なんだからね*7

 

「ハニャコちゃん……」

 

「どこか痒いところがありますか、メブキちゃん」

 

「スリスリ、しても良い?」

 

「どうぞ♡」

 

「にゃーん!」

 

 そうして、私はハナコちゃんにスリスリしながら*8、シャカシャカ洗われちゃう。もう気分は完全に猫さんで、ハナコちゃんは私の飼い主さんに他ならないの。

 

 だから今度、ヒフミちゃんとお姉ちゃんに、アヘ顔ビデオレターを送らないといけなくなったの。ごめんね、二人とも。私、ハナコちゃんの家猫さんになっちゃうから!*9

 

 帰ってきて欲しかったら、二人も私とお風呂してね?*10

 

 

 そうして私は、あわあわに負けない最強のハナコちゃんシャンプーハットを武器に、ハナコちゃんにお姫様みたいに髪の毛を隅から隅まで洗われちゃったの。

 

 シャワーで流された後、タオルで優しく拭かれちゃった。お陰で、まだ乾いてないけど、私の髪の毛はツヤツヤしてるんだよ。嬉しいね!

 

「私もハナコちゃんの髪、洗っても良いかな?」

 

「メブキちゃんったら、嬉しいです」

 

「それからそれから、ハナコちゃんの女神様な身体も洗って良い?」

 

「はい♡」

 

「やったよ!」

 

 お礼に、私はハナコちゃんに精一杯ご奉仕をした。髪の毛を、まるで男の人の亀さんを扱うように、優しく優しくナデナデしたの。その後は、ハナコちゃんの身体をゴシゴシしちゃった。

 

 ……ねぇ、お姉ちゃん知ってる?

 ハナコちゃんのおっぱいは、世界で一番柔らかいんだよ?*11

 

 お返しに、ハナコちゃんも私の身体を洗ってくれたの。もしかすると私、世界で一番幸せな妹猫なんだよ。

 

 

 

「ふにゃあ」

 

「メブキちゃん、表情が蕩けちゃってますね」

 

 そうして、洗いっこした後に、私たちは一緒にお風呂に浸かったの。ハナコちゃんのお膝に乗せてもらって、ピトッてしてるよ!

 

 私が男の子だったら、無限妹棒亀さんが覚醒して、真の力に目覚めることができたと思うのに……ちょっと残念だね?*12

 

「それでメブキちゃん、何があったんですか?」

 

「にゃ?」

 

 ふにゃふにゃしてる中で、ハナコちゃんにそんなことを聞かれて。ぽやーってしながら、今日のことを思い出したの。

 

 

 

 

『へ? イマジナリーお姉ちゃん棒が差し押さえられちゃった? ……何かの間違いですよね? もうすぐ完成ですもんね!』

 

『残念ながら、肖像権を理由にね。それを言われたら、こちらも立場が弱い』

 

『そんなの酷いよ!!』

 

 イマジナリーお姉ちゃん棒を作ってくれてる、ミレニアムの人から電話があったの。もう9割9分完成しているお姉ちゃん棒が、取り上げられちゃったって電話。絶対に許しちゃダメな、世界的淫棒がそこにはあった。

 

『酷い話だが仕方がない。もう取り上げられてしまったからね』

 

『い、一体誰がそんなことしたの!』

 

 もしかすると、今頃イマジナリーお姉ちゃん棒は、その人のおまんまんでプルプルしちゃってるかもしれない。だから慌てて、お姉ちゃんでプルプルしようとしている犯人さんを問い詰めたの。

 

 するとね……。

 

『百合園セイア、その人だよ』

 

『!?』

 

 お姉ちゃんは、自分棒で自分のおまんまんを、にゃーんしようとしていた。そんな真実が浮かび上がってきちゃったの。

 

 世界的淫棒じゃ無かった、お姉ちゃんの淫棒にするつもりなんだって気がついちゃったから*13。だから、私ね……。

 

 

『お姉ちゃん、貸して欲しいならちゃんと言って! お姉ちゃんとなら、イマジナリーお姉ちゃん棒を共有できる仲だから!』

 

『許すわけないだろうっ、バカなのか君は!』

 

 お姉ちゃんと一緒に、イマジナリーお姉ちゃん棒を共有しようって思ったの。なのに、お姉ちゃんは自分のえっちさを抑えられなくて、一人えっちのためにイマジナリーお姉ちゃん棒を返してくれなかった!*14

 

 今頃、お姉ちゃんはイマジナリーお姉ちゃん棒で、"両方とも私なのだから、挿入しても問題ないんだ。自給自足、自家発電セイアで済まない"ってしてるんだ!*15

 

 ふざけないで!!!*16

 

 

「そういうことなんだよ、ハナコちゃん!」

 

「セイアちゃんはエッチですね*17

 

「そうなんだよ!!」

 

 話しているうちに、ドスケベお姉ちゃんに対する"おこー!"って気持ちが出てきちゃった。このままだと、イマジナリーお姉ちゃん棒の代わりに、私がお姉ちゃんを気持ちよくしちゃいそうだよ!*18

 

「それで、メブキちゃんはどうしますか?」

 

 ハナコちゃんが、私の髪をスーってしてくれながら、聞いてくれたの。気持ち良くて、ドスケベお姉ちゃんへのおこな気持ちが、ちょっとずつ解けちゃいそうになっちゃった*19

 

「……イマジナリーお姉ちゃん棒を返してくれたら、もう仲直りしたいよ」

 

 私、ちょっと考えたの。このまま、ハナコちゃんの猫さんになって、お姉ちゃんにアヘ顔ビデオレターを送るかどうか*20

 

 ……でも、そんなことしたら、お姉ちゃんは脳破壊されちゃって、本気で泣いちゃうと思うから。イジワルされても、お姉ちゃんが大好きだから、そんな酷いことしたくないって思ったの*21

 

「そんなメブキちゃんが、私は大好きですよ」

 

「私も、いつも優しくて素敵なハナコちゃんが大好きだよ!」

 

 ナデナデしてくれながら、ハナコちゃんはいつもみたいに好きだよーって言ってくれたの。私も無限にハナコちゃんのことが好きだから、やっぱり両思いなんだね! もう結婚するしかないね!!

 

「ハナコちゃん、結婚式じゃ先生を真ん中にして、補習授業部のみんなでヴァージンロード歩こうね?」

 

「素敵です♡

 ですが、セイアちゃんはどうしますか?」

 

「お姉ちゃんは今頃、イマジナリーお姉ちゃん棒で姦通してるから*22、ヴァージンロードは歩けないの。後日、ヴァージンじゃないロードを一人で歩かないといけないんだよ?*23

 

「でしたら、私たちも初夜を終えて、乙女から女性になっている筈です。一緒に、ヴァージンじゃないロードを歩いてあげましょう」

 

「!? それだよ、ハナコちゃんは優しいね!」

 

 ハナコちゃんのお陰で、全てが円満解決しそうだよ。お姉ちゃんはハナコちゃんの優しさに感動して、メガハナコちゃんの信者にならないとダメなんだよ!*24

 

 メガハナコちゃんを礼拝する時は、毎日スク水を着てしなきゃダメなんだからね! お姉ちゃんのスク水、私が見たいって理由だけじゃないんだからね!!*25

 

 

 

 そうして、私はお風呂上がりにハナコちゃんにゴシゴシしてもらって、ドライヤーを掛けてもらってから、お姉ちゃんにモモトークしたの*26

 

 

『お姉ちゃん、仲直りしよ?

 膣良くしなくても、仲良くしてられるから』

 

『イマジナリーお姉ちゃん棒を返してくれたら、今までのおにゃにーで付いちゃった愛液も全部水に流してあげるから』

 

『お姉ちゃんと一緒に居たいから、どうかよろしくお願いします!』

 

 一生懸命考えながら、仲直りしよって文章を送信して。お姉ちゃんは十分後にやっとおにゃにーが終わったのか、お返事してくれたの。

 

『まず第一に、雨の日にバカなことをしてる君を見て非常に心配した

 そこについては、深く反省してほしい。』

 

『第二に、面倒を見てくれたハナコにお礼を言いなさい

 私からも、ハナコに感謝していたと伝えて欲しい』

 

『第三に……あんな電気按摩器、私な訳がないんだ!

 私に似せてあんなものを作ったこと、深く反省してほしい』

 

『後日、射撃の的にでもする

 ふざけた棒のことは忘れて、今すぐ帰ってきなさい』

 

 

 ……は?

 イマジナリーお姉ちゃん棒を、折角生まれてきた第二のお姉ちゃんを、射撃の的にする?

 

 そんなこと、天地万物が許しても、この春風メブキが許すわけないんだよ!

 

 絶対に許さないんだよっ!

 

「ハナコちゃん、どうすればいいかな!!」

 

「フフ、セイアちゃんってば、意固地になってますね」

 

「それで、いぼ痔になったお姉ちゃんを懲らしめるには、どうすれば良いのかな、かなっ!」

 

「でしたら、こんなのはどうでしょうか?」

 

 ハナコちゃんは天才はわわ軍師さんで、浦和孔明メガハナコちゃんだから、ニコニコしながらとっておきの策を授けてくれたの! ハナコちゃん、今日は色々と本当にありがとうだよ!

 

 今度、いっぱいお返しするから、待っててね!

 

 

 

 

「それで、メブキがハナコの家から帰ってこないんだ」

 

「うーん」

 

 翌日、セイアは頭を抱えながら、シャーレへとお悩み相談に来ていた。セイアの話を聞きつつ、これ関わらないとダメかな? という雰囲気を出し始める先生。

 

 セイアは逃すつもりがないので、関わらないとダメそうだった。

 

「全く、相変わらずメブキはバカバカなんだから」

 

 そんなことを言いつつ、お茶を三人分持ってきたのはコハルだった。今日のシャーレ当番は彼女だ、これもある意味で運命だったのかもしれない。

 

「コハル、君からも何とか言ってくれないかい?」

 

「無理です」

 

「君でもかい?」

 

「メブキ、エッチすぎる上にセイア様のこと、好きすぎるので……」

 

 コハルの分析に、深々とセイアは溜息を吐いた。

 最悪なことに、メブキが一歩も譲らないだろうということに気付きつつあったから。

 

「どうするべきか……」

 

「こうするべきなんだよ!」

 

 セイアの独り言に呼応するように、この場に居ないはずの少女の声が響いた。皆が驚いて、入口の方を見やると……。

 

「そこの無い乳ロリ狐お姉ちゃん!」

 

「何だその格好は!?」

 

 そこに現れたのは、頭にシャンプーハットを被り、スク水姿にバスタオルをマントみたいにはためかせてるメブキの姿であった。

 

「メブキ、どうして水着なの?」

 

「先生、お外で裸になるのは良くないことなんだよ!」

 

「???」

 

「そういう訳で、えっちなお姉ちゃんをわからせるね?」

 

 先生は、そっと視線をメブキから外して、セイアの方を向いた。非常に頭が痛そうで、グリグリと揉みほぐしている狐少女の姿がそこにはあった。

 

 一方、コハルはプルプルと震えていた。もしかすると、今だけ亡きウイ先輩棒がメブキを応援するために、コハルに取り憑いているのかもしれなかった。

 

「い、一体、何をするつもりなんだ!」

 

「お姉ちゃんをシャーレのシャワー室に連れ込んで、あまあま妹ソープを開店して、ゴシゴシ屈服させるんだよ。このシャンプーハットは、そのためにハナコちゃんが貸してくれたの!」

 

「正気に戻るんだ、メブキ! シャーレで風俗を開店したら、先生が風営法違反で捕まるだろう!」

 

 論点はそこなのかと先生はツッコミたくなったが、我慢した。この姉妹喧嘩に首を突っ込めば、何故か自分までシャワー室に連れ込まれる予感がしたから。先生の予感はよく当たる、危機回避能力が高いタイプの先生だった。

 

「だったら、コハルちゃんの家に行っても良いかな! コハルちゃんの家を緊急レズ風俗下江店にしたいの!!」

 

 メブキに話しかけられた時点で、コハルのプルプルは最高潮になっていた。かつてのウイ先輩棒が臨界点に達した時のことをメブキは思い出し、静かに泣いた。

 

「しけぇ!!」

 

「にゃ!?」

 

 そうして、爆発したコハルはメブキに襲いかかる。

 いつもの光景、今日もメブキの周りは平和だった。

 

 

 なお、イマジナリーお姉ちゃん棒は、メブキがセイアの声真似をして、ミレニアムの特許局から取り戻していた。それを知って、セイアが憤慨したのはまた別のお話。

 

 ちょっと自分に似てると思えたのが、セイアにとってそこはかとなく最悪だった。

*1
急いで戻ってきてみれば、やっぱり風邪を引きかけているじゃないか! ハナコ、早くそこの愚妹を温めて欲しい

*2
キミのそのいじらしさは愛らしいが、それ以前に愚行に及ばないでくれ

*3
バカなことを考えてないで、早くバスルームに向かうと良い

*4
……今のキミは、もうそんな心配はしなくていい。好きな髪型で居ればいいんだ

*5
デリケートな部分に生えてないことで、こんなに不快になったのは初めてだよ

*6
毎回してるじゃないか、言い掛かりは止すんだ

*7
キミは永遠に人間だし、それでも猫になるというのなら、カレーではなく毎日魚を食べさせるが良いのかい?

*8
嬉々として胸に顔を擦り付けるな! ハナコも受け入れるんじゃない!!

*9
猫はそんなふざけたビデオレターは送ってこないんだ。まさか、アニマルビデオだからAVと呼称するつもりなのかい? 許されるはずないんだ!

*10
その図々しさは、猫そっくりだよ

*11
当てつけのつもりかい? いつも私の胸で喜んでいるだろうに。……いつも以上に嬉しそうだね、メブキ

*12
間違いも何もかも、犯そうとしないでくれ

*13
事実無根の冤罪なんだ

*14
私がえっちなこと前提で話を進めないでくれ。えっちなのはキミの海馬そのものなんだ

*15
するかっ、そんなことを!

*16
ふざけてるのはキミだよ!!!

*17
定型文の様に言うんじゃない! キミのほうが私の1.5倍はえっちなんだ!!

*18
いくらキミでも、アソコに触るのを許すわけがないんだっ

*19
私はおこのままだよ

*20
送ったら3日間くらいは絶交だよ

*21
……大好きだと分かっているなら、早く家に帰ってくるべきじゃないか

*22
は?

*23
晒し者じゃないか

*24
アレは本当に優しさなのか?

*25
一緒にプールに行く時にでも着る、だから余計なことはさせないでくれ

*26
む、返事のためにそろそろ戻るとしようか

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