コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
私達ね、あれから直ぐにゲーム開発部さんの部室を目指したの。
早くキヴォトスで唯一のエロゲーがしたいから……って理由もあるんだけど、それと同じくらい楽しみにしていることがあったから!
だって私、思い出したの。
──ゲーム開発部って、あの人達の部活動だって!
小走りさんになりながら、たどり着いたミレニアムの部室棟。そこからゲーム開発部さんの扉を、ガバ(おまんまんの破ける音じゃないよ!)って開けたの。
そしたらね、そこには……。
「! おお、勇者よ。よくぞ来た!」
「アリスちゃん!」
シャーレで仲良くなった、天童アリスちゃんがお出迎えしてくれたんだ!
他に人はいないけど、ゲーム開発部の部室は物がいっぱいあるから、一人だけでもちょっと狭く感じちゃうね?
「久しぶり、清楚王のメブキだよ!」
「久しぶりです。メブキが清楚王なら、アリスは勇者王です!」
「前作主人公さんみたいだね!」
「はい、アリスは前作勇者で、今作でも勇者です! ですが、今作の冒険はメブキが主人公です」
二人で、痴漢者トーマスシリーズの主人公たちみたいな、熱い志の継承を行う。
これはね、アリスちゃん式の会話術なんだって。アリスちゃんはね、ゲームで言葉を学んだ帰国子女さんだから、こういうのが性に合うらしいの。
私もエロゲーで文字を読む楽しさを学んだから、その気持ちはすっごく分かるよ!
でもね、アリスちゃんは勇者さんって属性だけじゃないの。なんとね、あのテイルズ・サガ・クロニクル2の開発スタッフさんなんだよ!
コハルちゃんと一緒に、苦戦しながらも一生懸命攻略したのが懐かしい。プレイしてると、ワクワクしながら何か懐かしくなっちゃったゲーム。
RPGをプレイしてるとね、エロゲーのランスシリーズを思い出して懐かしい気分になっちゃうもん。仕方ないよね?
ゲームって楽しかったなってこと、あれで思い出したの、私。
だからね、アリスちゃんはロリロリの生徒さんだから今はダメだけど、18歳になったらエロゲーを作って欲しいの! だって、あんなにも面白いゲームを作れちゃうんだから!!
……けど、何でゲーム開発部の部室に来てくださいって、keyの人は指示してきたんだろうね?
アリスちゃんは私より身長が高いけどロリだし、エロゲー案内人には不適切な気がするの。それに、どちらかというと名前的にkeyよりアリスソフトの回し者みたいなのにね?
「アリスちゃん、えろ……じゃなくて、美少女ゲームって知ってる?」
「知ってます! 女の子の傷心度を管理して、爆発させないようにチャートを組むゲームです!!」
それは多分、"一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし"とか言ってくるタイプのヒロインがいるゲームだよね?
私も経験あるよ。なんか知らない内に攻略ヒロインがヘラって、急に嫌われちゃったりしてたの。ハーレムを作ろうとしただけなのに、本当に酷いよね?
……でも、この様子だとアリスちゃんはギャルゲーは知ってても、エロゲーについては知らなさそうだよ。
うーん、どうしよう。
どう聞いていいのか、全然分かんないね。
アリスちゃんはコハルちゃんみたいにドスケベじゃないから、急にkeyのエロゲーがどこにあるのか知りませんかって聞いたら、キャベツ畑から生えてきますって答えちゃうかもしれない。
違うよって性教育すると、じゃあ赤ちゃんってどこから来るんですかって質問されちゃうかもしれないし……。
私、こんなに無垢無垢なアリスちゃん相手に、"赤ちゃんはね、女の子のおまんまんに先生のおにんにんを挿入して、きもちくなって中田氏すると出来ちゃうんだよ!"なんて絶対に言えないよぉ。
どうしよっかって考えて、思いつかなかったから、チラッて一番の大親友に視線を送ったの。
「コハルちゃんコハルちゃん」
「……なによ」
……どうしようもない時こそ、仲間に頼るべきだもんね。
私はアリスちゃんに、性教育はしてあげられない。だからね、頼りになる親友に助けてもらうことにしたんだ。
今まで、私とアリスちゃんが知り合いだったから、口を挟まずにそっと後ろで見守ってくれてたコハルちゃん。
そんな優しいコハルちゃんなら、きっと角もおにんにんも勃たさせずに、アリスちゃんに正しい性知識を伝えられるんじゃないかなって思ったから。
「えっち本は、保健の副読本なんだよね?」
「い、いきなり何言ってるのよ!」
「なんだよね!」
「……そう、だけど」
コクンって頷いてくれたコハルちゃんは、やっぱり性知識の伝導者になれちゃう才能に溢れかえっていた。
だから私も、コハルちゃんになら安心して任せられるって思えたの!
「──じゃあね、コハルちゃんがアリスちゃんに性教育、してあげて?」
「なぁ!?」
お願いしますと頭を下げると、どうしてかコハルちゃんは私の頭をぺちんってしたの。酷いね?
「い、いいっ、意味分からないんだけど! どうしてそうなるのよ!!」
「このままだと、エロゲーがどこか分からないから……」
「な、なら、自分でそういうこと言えばいいじゃない!」
「あのね、コハルちゃん。保健体育の成績は、コハルちゃんの方がずっと上なんだよ? だから、正しく物事を伝えられるのは、間違いなくコハルちゃんの方なの」
「〜っ、それはあんたが、いっつもおかしなことばっかり書くからでしょーっ!!」
この前のテストで、やっぱり私は赤点スレスレだったの。
思春期は脳のリンパから性欲ホルモンがドバドバして、海綿体が異常発達して十時間以上のえっちが可能になりますって正しい回答したのにペケされちゃったし……。
多分ね、ペケされた理由は、問題がコハルちゃん基準になっちゃってたから。コハルちゃんなら、二十四時間耐久ヘコヘコエッチできるからって理由なの。
コハルちゃんのせい(性かもしれないね?)でペケられちゃったんだから、コハルちゃんが保健の授業を受け持つのは必然の結果なんだよ?
「そういう訳でアリスちゃん、こちらはえっち学を開講してる下エロコハル教授なの。勇者パーティーでいうところの、賢者モードのコハルちゃんなんだよ?」
「〜っ、ふざけないで!!」
「賢者モード? 普段は遊び人ということでしょうか?」
「そうだよ!」
「そうじゃないわよ!!」
今にも襲いかかってきそうなコハルちゃんは、まるでケダモノさんなの。アリスちゃんへの性教育を、私の身体で実演しようって思ってるんだよね?
でもね、私のおまんまんは将来の旦那様のためのものなの。お姉ちゃんが私に処女をくれないのと一緒で、私の処女もいくらコハルちゃん相手でもあげられない。
だからね、聖なる乙女のハナコちゃんの背中に隠れたの。幾らコハルちゃんでも、清らかでキラキラ女神のハナコちゃんを破瓜いしようなんて思わないだろうから。
「メブキちゃんは、本当にコハルちゃんが好きなんですね♡」
「そうだよ!」
「うるさいっ!」
「にゃーっ!?」
でもね、どうしてかハナコちゃんは、私の処女を狙ってるコハルちゃんに、そっと差し出しちゃったの。仲良しさんなら、膣内よししても問題ないよねってことなのかな?
……ハナコちゃんほどの人がいうなら、そうなのかもしれないね?
「ど、どうしていきなり、イベント戦闘が始まったのでしょうか? コハルは遊び人のジョブではなく、エネミーだったのですか?」
一方で、コハルちゃんにマウンティングされて性教育の教材にされかけている私を見て、アリスちゃんは急に喧嘩しちゃってるみたいに見えちゃってたみたい。
本当に無垢無垢で可愛いね?
でも、アリスちゃんの言葉で、いつも通りガクガク(カクカクじゃないよ!)しようとしてたコハルちゃんの手は、ピシって止まる。
弱いものイジメみたいに見られてるから、うにゃってなっちゃったんだよね?
「あのね、アリスちゃん。これはね、コハルちゃんが保健体育の授業をアリスちゃんに見せてあげようって、そういう思い遣りなの。イジワルとかじゃなくて、チュートリアルを始めようとしてるだけだから、安心して見てていいんだよ?」
でも、そんな勘違いは悲しいから、あわあわしてるアリスちゃんに、本当のことを教えてあげたの。私とコハルちゃんは仲良しさんで、今からコハルちゃんは膣内よくしようとしてるんだよって。
すると、分かってくれたアリスちゃんは、直ぐにおめめがキラキラってしてくれたの。
「!? そうだったのですね! アリス、目を離しません!」
「違うわよ、バカ! こんな奴に、騙されちゃダメ!!」
でも、照れ屋すぎるコハルちゃんは、今からえっちするつもりなのに、そんな照れ隠しをしてアリスちゃんを混乱させちゃっていた。
案の定、アリスちゃんはハテナマークがいっぱいになって、どういうことなんだろうってお顔になっちゃってた。難しすぎる問題だね?
そんな、伊藤誠くんの女性関係図くらい入り組んだ状況を整理してくれたのは、やっぱりこの中で一番な賢者様だったの。
「──勇者王アリスちゃん、私たちはクエストを受けて、ここまで来ました。アリスちゃんに会えてクエストを達成したのですが、クエスト報酬はありますか?」
遊び人のコハルちゃんとは違う、本物の賢者様なハナコちゃん。えっちな単語を使わずに、アリスちゃんにもわかりやすい説明で、今の状況をキチンと説明してくれたの。
私の頭のウマシカさん達も、二足歩行でスタンディングマスターベーションしちゃうくらい、すっごく分かりやすい説明だよ!
……なんでウマシカさん、私の頭の中でおにゃにーしてるんだろうね。コハルちゃん、引き取ってくれないかな?
「! 清楚王メブキ一行よ、報酬を受け取るがいい」
お陰で、アリスちゃんもイキイキしたお顔をしてくれて。ウキウキアリスちゃんになりながら、部室の奥から何かを持ってきてくれたの。
「これ……」
目の前に差し出されたのは、ちょっと古い感じのデジタル腕時計。誰かが使ってた物で、新品じゃない。
マウンティングコハルちゃんに退いてもらって、それを受け取る。針がない、数字だけの時計。
それが──何だか無性に懐かしかったの。
「これが、クエスト報酬ですか?」
ハナコちゃんの問い掛けに、アリスちゃんはうんって頷いて。
「これは、冒険者を導くコンパス。そなたらを、宝のありかまで導いてくれるモノだ」
「……単なる時計じゃないってこと?」
ジーって時計を見つめてるコハルちゃんの呟きに、またアリスちゃんはコクンって頷いて。
「その腕時計は、ミレニアムの大賢者ヒマリが、とある妖精を封印したマジックアイテム。彼のものが目覚めれば、求める場所まで導いてくれることだろう」
「何らかのAIが搭載されている、ということでしょうね」
「そうなんだね!」
何だか嬉しい気持ちのまま、大きいなって感じる腕時計を手に巻いたの。ちょっとぶかぶかだけど、それが何だか嬉しいの。
「側面のスイッチを押せば、妖精の封印は解かれ、そなたらに道を指し示す。さあ、清楚王メブキよ、目覚めさせよ!」
アリスちゃんに言われるがまま、私はスイッチを押して。
するとね、デジタル腕時計の画面に、文字が現れて……。
『おはようございます、幼きあなた』
妖精型AIさんが、物語が始まる時みたいな挨拶を文字でしてくれたの!
「おはようございます、妖精さん!」
私の挨拶返しに、妖精さんはちょっと間を置いてから、言葉を選ぶみたいに画面に文字を表示したの。
『私は妖精さんではありません。便宜上、今はケイツーと呼ばれています』
その文字に、私の灰色の脳細胞がピンって来ちゃった(勃起したんじゃないよ!)。
「おけつちゃんなんだね!」
『…………は?』
「でも、おけつはなんか卑猥な言い方でコハルちゃんが検挙しちゃうかもしれないから、おしりちゃんって呼ぶね!*1」
「あんたがそう呼びたいだけじゃない、私のせいにしないで!」
「ですが、おしりちゃん……可愛らしい名前ですね♡*2」
「うん!*3」
新しい仲間が加わって、何だか元気がムクムクってしてくる。
ワクワクが止まらなくて、そのままアリスちゃんに笑顔でありがとうって告げたの。
「アリスちゃん、私はこれからおしりちゃんと旅に出るね! 素敵な仲間を紹介してくれて、本当にありがとう!!*4」
「??? ケイツーは、今日からおしりちゃんになってしまったのですか?*5」
「そうだよ!*6」
何でか焦ったお顔になってるアリスちゃんに、私は力強く頷いたの。冒険に出る私たちを、すごく心配してくれてるんだよね。
でもね、安心して。コハルちゃんとハナコちゃんがいてくれたら、姫狩りダンジョンマイスターに出演しても処女で生き延びられるくらい無敵な3人組になっちゃうから!
「ちゃんと目的の宝物を見つけて、みんなでプレイしようね! あっ、アリスちゃんは、あと5年くらい待ってからだよ!*7」
「それはテスターでプレイして……じゃないです! 交換したポケモンは、ニックネームを変更できません!!*8」
さっきまで王様だったアリスちゃんは、急にポケモンシリーズの博士さんみたいなことを言い出しちゃってたの。きっと、ゲームのルールを守らないと、世界がバグっちゃうんだって思っちゃってるんだと思う。
アリスちゃん、ゲームで色々と学んでるし。
「これは貰ったから、交換じゃないんだよ?*9」
だからね、アリスちゃんに安心してもらいたくて、博士からもらったポケモンは名前を変えられるんだよって教えてあげたの。
するとアリスちゃんは、うわーんって困り顔をして。
「け、ケイツーはアリスの大切な仲間なので、全部終わったら返して欲しいです! 返してもらった時、ニックネームがおしりちゃんから変えられないのは困ります!!*10」
一生懸命になりながら、おしりちゃんはダメですって訴えてきたの。
いっぱい一生懸命なアリスちゃんを見てると、何だかごめんねって気持ちになってきて。だから私は、アリスちゃんの手をとって約束したの。
「分かったよ、アリスちゃん。じゃあ、この冒険の間だけおしりちゃんで、全部終わったらおけつちゃんにちゃんと戻すから!*11」
「おけつちゃんじゃありません、ケイツーです!」
「うん、けつちゃんに戻すよ!*12」
ハッキリそう断言して伝えると、アリスちゃんは"約束ですからね"*13って言って、やっと困り顔をやめてくれたの。
お名前変えるって言ったの、かなりビックリさせちゃったんだね。
……でも、そっか。
おけつちゃんは、アリスちゃんが一生懸命考えてつけたニックネームだったんだね。
それなのに私、卑猥だなんて言っちゃった……。
「おけつちゃんも、素敵な名前だよ! 変なこと言っちゃって、本当にごめんね?*14」
「ケイツーです!!*15」
こうして、私たちは勇者王アリスちゃんから、おけつちゃんことおしりちゃんを預かって、エロゲー求める旅に出たの。
きっと、素敵な旅になっちゃうねって予感で、お胸がいっぱいになりながら。
「よろしくだよ、おしりちゃん!」
『おしりちゃんではありませんが!』
おしりちゃんはレベルが高いポケモンさんで、ジムバッチを持ってない私のいうことを聞いてくれない系のポケモンさんなのかもしれなかった。
……キヴォトス全土のジムリーダーさんを倒すところから、私たちの冒険は始まっちゃうのかもしれないね?