コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
コハルちゃんとこれから、一緒にお出かけすることになった。嬉しさのあまり、私は部屋でアヘ顔ダブルピースの練習をする。コハルちゃんの誕生日に、ビデオレターとして送ってあげるね*1。4月16日はもう過ぎちゃってるし、来年になっちゃうけど。
えへへ、えへへへへ。友達と放課後に遊びに行くなんて経験、初めてだし楽しみだなぁ! 何着て行こうか。やっぱり、放課後らしく制服かな。それとも意表をついて体操服? スク水は流石に、街中で着るには手強すぎるかなぁ。まぁ、どっちにしろ途中で着替えるんだけどね!
因みに、着替えると言うのは別に街中で着替え始めて、ペットプレイし始めることじゃないよ? 首輪をつけて全裸になんてならないからね、イマジナリーお姉ちゃん!*2
コハルちゃんは、私達の関係は内緒にしたがってるみたいだから、これまで二人でお出かけなんてしたことなかった。でも、私がポロリと口を滑らせたことで、コハルちゃんは一緒にお出かけしてくれるって言ってくれて。あの時は確か、座薬についての話をしてた時だっけ?
「お尻に座薬を入れてもらうのって、えっちなプレイかな? それとも治療行為なのかな?」
「自分で入れればいいのに、他人に入れてもらうなんて……。エッチに決まってるでしょ、死刑!!」
「気持ち良くなくても?」
「100回したら、開発されて気持ち良くなっちゃうからダメ!」
コハルちゃんはスケールの大きな女の子だった。私は1回だけって考えだったけど、コハルちゃんは何度も繰り返す前提で考えていた。一度で気持ち良くなれなくても、100ぺん繰り返せば気持ち良くなる。確かにそうかもしれない、コハルちゃんはやっぱり天才だ!
「座薬って、えっちなお薬だったんだね」
「ひ、一人で使えばエッチじゃないし……」
「一人で100回使ったら?」
「エッチなのはダメ、死刑!!」
一人で100回座薬使うのは、そういうプレイ扱いになるらしかった。でも、そんなに座薬を連続で使ったら、お薬が効き過ぎてヤクチュウ(ピカチュウじゃないよ!)になっちゃいそうで怖いし、多分座薬はえっちなことに使っちゃいけない薬なんだね。
「コハルちゃんって、風邪引いた時に座薬使う?」
「つ、使うわけないでしょ、このヘンタイ!」
そんなこと言われたら、エロゲーの座薬プレイでときめいて、思わず座薬を買っちゃった私がヘンタイさんみたいだよ。おかしいね?
私は報復に、コハルちゃんのカバンにこっそりと座薬を忍ばせた。風邪で苦しい時、コハルちゃんはそれを使う時が来るのかもしれない。そう考えると、もう実質的にコハルちゃんのおしりを開発をしているも同然なんだよ?
「あっ」
そんなことしちゃったからか、いつもの魔法瓶に入れていたスープカレーが跳ねて制服に飛んじゃった。と、とりあえず拭かないと。
「ふぇ!?」
ハンカチで汚れ口をゴシゴシすると、薄くはなったけど余計に汚れは広範囲に広がって。制服には、一目でありありと分かるスープカレーの跡が残っちゃった。ど、どうしよう!?
「何やってるの、バカじゃない」
「こ、コハルちゃん、私の制服がぁ……」
ずっと大切に着てきた制服。お味噌汁もカレースープも今まで大丈夫だったから、汚れることなんかないって思ってた。でも、悪いことしちゃうと神様はちゃんと見てて、こうやって叱られちゃうんだね……。
「あんたは今日からヘンタイカレーメブキよ。制服にシミをついたまま校内を歩いて、みんなに笑われながら過ごすの」
半笑いのコハルちゃんに言われて、想像してみる。カレーを被った私が教室を追われ、廊下で拾ってくださいと書いた段ボールの中で三角座りしている姿を。
『まぁ、強烈なスパイスのにおいがしますわ』
『くさっあい。くさすぎますわ、お股からにおっているのかしら?』
『こんな場所で発情するなんて、許せないメスですわね』
『病院送りですわ~』
い、いやだぁ!? 永遠にトリニティの晒し者になりながら、折角手に入れた青春を手放したくなんてないよ!*3
「やだよぉ、コハルちゃん。私甘えん坊だから、世界中のみんなから優しくされたいのに、どうしてそんな酷いこと言うの!?」
「世界一図々しい」
ゴミを見る目をしているコハルちゃんをガクガク揺さぶりながら、私は訪れるかもしれない狂気の未来に震え上がった。もしかするとこのままでは、私は学級どころか学園すらも追放されてしまうかもしれない。するとどうなるか? 行く宛もなく彷徨った私は、やむを得ずコハルちゃんの奴隷として飼われ、一生コハルちゃんの足を舐めながら暮らすことになる。そんなの困る、とっても困る!
「コハルちゃん、制服交換して!」
「嫌に決まってるでしょ。あ、引っ付いてくるなバカ!」
汚れをコハルちゃんにもお裾分けしてあげようとして、アッサリと捕まってしまった。見た目に反してコハルちゃんが強すぎる、もしかすると催眠おじさんに対抗できるように日夜鍛えているのかもしれない。
「そんなに嫌なら、ジャージでも着てなさいよ」
「家でパジャマ代わりにしててないよ~」
「何でよ、学校で使うものなのに」
「それしか無いからだよ!」
そう、私は悲しき着た切り雀……とまでは行かないけど、ずっと制服もジャージも数枚を何とかローテーションして使っている。それしか服を持ってない、買ってないから。
「……他の服も?」
「うん」
さっきまでおバカを見る目をしていたコハルちゃんの目は、哀れな奴を見る視線に変化して。
「お金、貰ってるんでしょ?」
「トリニティの物価が高すぎて、簡単に手が出せなくて……」
そう、トリニティ周辺のお店は、ともかくお値段が良心的でない。スイーツとかなら頑張れば手を出せるけど、衣服やアクセサリーなんかはお値段がバグってる。トリニティは同人エロRPGの終盤の街みたい。何で拳銃より服の値段が高いんですか! 初期装備を買わせてよ!
「何で学校の周りで買おうとしてるの?」
「ふぇ?」
「トリニティで買えないなら、D.U.で買えば良いのに」
確かに、トリニティで買えないなら、他の場所で買うしか無い。その理屈はとっても分かる、というよりもそうするしか無い。でも、と私はお空を見上げた。今日はプカプカ浮いた雲が、可愛くてもこもこなお空。うん、素敵なお日和だぁ。
……えっと、そうだね、そうなんだけどね。
「わ、私、トリニティから出たこと無くて……」
「え、ド貧乏のアンタが? それで今まで、どうやって暮らしてきたの?」
て、転生して。
そう言えたら一番楽だけど、エロゲーでも転生をカミングアウトした主人公は呆れられた挙げ句に信じてもらえてなかった。つまり、私がそう言ったって、マトモに取り合って貰えるはずがない。何時もと同じで、保健室送りにされるだけなんだと思う。
と、取り敢えず何か言い訳しないと!
「お、お姉ちゃんが養ってくれてたの!」
咄嗟に言い訳に使っちゃってごめんね、イマジナリーお姉ちゃん。でも、何時も夢で面倒見てくれてるし、バブみも感じてるし、実質養って貰ってるみたいなものだよね?*4
「ふーん、その人は?」
「行方不明!」
イマジナリーお姉ちゃんを現実で見たことがない。だから、これも間違ってないよね?*5
「そ、そうなの?」
「うん」
困ったお顔をしているコハルちゃんに、私は首を振る。心配させちゃってるから、心配しないでって伝えるために。
「毎日楽しいよ、みんなのお陰! それにね、夜にはちゃんとお姉ちゃんと夢でお話できてるし大丈夫だよ!」
えっへんと胸を張ると、コハルちゃんが私の手を握った。目端には涙が浮かんで、ぷるぷるとしている。……なして?
「一緒に行くから……」
「ふぇ?」
「買い物、一緒に行くから!」
「ほ、本当!?」
不安だったトリニティ外へ、コハルちゃんと一緒に行ける。それだけでも嬉しい、嬉しいけど……それだけじゃない。
だって! 生まれて初めて! 友達と! お買い物に行けるんだよ!
凄く、すっごく嬉しい! 私にもそういう青春があるんだって、青春のキラキラに私も触れられるんだって知って、心がギュウってする!
「コハルちゃんありがとう、大好き!」
「恥ずかしいこと言うなぁ!」
超高速で、コハルちゃんの手をブンブン振る。嬉しさのあまり、腕の速さが亜光速にだって到達しちゃいそう! あう、腕が痛くなってきちゃった。
「放課後、楽しみにしてるね!」
「分かった、分かったから! 準備して学校の前に集合ね」
こうして、私は人生で初めて友達とお出掛けをすることになった。えへへ、今から楽しみだね!
そうしてルンルンと教室に戻ってから、制服についたカレーのことを思い出した。挙動不審になってる私に気付いたシミコちゃんが軽く染み抜きをしてくれなかったら、もしかすると私は教室を追放されていたかもしれない。シミコちゃん、何時もありがとう!*6
そうして放課後、結局私は学校の制服のままで待ち合わせ場所の校門へとやって来た。先に来てたコハルちゃんも正実の制服のままで、違いはカバンから教科書やお弁当箱を抜いたくらい。
「行こっか!」
「迷子にならないでよね」
コハルちゃんに連れられて、私たちがやって来たのはD.U.っていうキヴォトスの中央区。クソデカビル街が立ち並んでる、前世の日本に似ている場所。そこのショッピングモールへと案内されると、私は近くの店の窓ガラスへと張り付いた。だってエロゲーで何度も見た、主人公とヒロインのデートとかのCGって、こういうショッピングモールだったから!
あれ、それだと、私とコハルちゃんって実質デート状態? ……微妙な感じ。私はコハルちゃんのこと大好きだけど、アイシテルーっていうのとは違う感じがするし。
うん、じゃあこれは、人生で初めての普通のお買い物! 友達と一緒の! 普通だけど、特別なお買い物!
「でも、そっかぁ」
私も将来、好きな人ができたらここでデートするのかな? 恋して、デートして、イマジナリーお姉ちゃんにメブキをくださいって彼氏さんが言って、妹はあげられないって袖ビンタされて。……うーん、想像つかない。というより、今が楽しすぎて恋はなくてもいいやって思っちゃう。コハルちゃんや図書委員会が楽しいから、ずっと学生でいたいなって。*7
「ほら、何してるの。早く来ないと置いてくからね」
「あ、待ってコハルちゃん」
慌てて、コハルちゃんの背中についてく。お上りさんな私がずっとキョロキョロしてると、それだけで夕方になっちゃうからね。今日は服を買いに来ただけで、デートじゃないから。見て回りたいなら、また来れば良いだけだし。
「ここよ」
「わぁ、服がいっぱい。それにちゃんと買える値段だね!」
コハルちゃんが案内してくれたのは、おっきな規模の衣服の小売店。安くて色々な種類の服が売ってて、男女関係なくお買い物ができる店。トリニティのお店とは違って、ちゃんと私でも2、3着は服が買える値段。色々と目移りしながら、トテトテと歩き回る。
「どんな服が似合うと思うかな?」
「女児服」
「イジワル星人!」
悩むそぶりもなく言うコハルちゃんは、とってもいじめっ子だった。それに、私が本当に女児服を着て現れたら笑うに違いないのに。あっ、でも女児服って案外オシャレなんだね、びっくり。幼稚園児の服とか、そんなのだと思ってた。きっとイマジナリーお姉ちゃんに似合うね!*8
「それで、何買うの?」
「白のワンピース!」
うん、実は買いたいのは最初から決まってたんだ。白いワンピースと広い原っぱとの組み合わせを、エロゲーで何回も見てきた身として、やっぱりそのファッションには憧れがあったから。いつか写真とか撮ってもらって、来る前に練習してたアヘ顔ダブルピースをコハルちゃんに送りたいから!
「えっと、他にはパジャマも一着買ってぇ――」
それからおトイレにも行ってぇ、とコハルちゃんに予定を話そうとした時、パーンと大きな音がした。キヴォトスに来てから、よく聞いたことのある音。銃声、みんな拳銃持ってるからね。誰か手が滑っちゃったのかな?
「動くな! お前ら手を上げて金目のものを寄越せよ!」
……ふぇ?
「あたしゃ容赦しないよ。ほら店員、さっさとレジから金持ってこい!」
「は、はいぃ!」
ご、強盗だぁーーーーーーっ!?