コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです! 作:ペンギン3
イマジナリーお姉ちゃん棒がフル勃起しながら、海を闊歩している。
おっきした自分をみんなに見せつけて、ミレニアム全土にアロマを射精しようってしてるの、分かっちゃう。欲求不満さんじゃ無いと、あんなにおっき出来ないもん*1。
アロマ以外にも、迷惑をいっぱいドクドク掛けちゃってるのに、更に街全体にお射精アロマーキングをしようとしているイマジナリーお姉ちゃん棒。
そんなことしちゃったら、街全体がフローラルな香りになって、ミレニアムは科学の学校じゃなくて過ガクガク(イっちゃう前のガクガクのことだよ!)の学校、つまりは風俗学校へと作り変えられちゃう*2。
……そんなの、絶対ダメ。
ミレニアムの人たち、みんな良い人だもん。
いっぱい楽しくて、優しくて、素敵な学校だもん!
それに……さっきは出来なかったけど、イマジナリーお姉ちゃん棒が悪いことしてるなら、今度こそ妹の私がメッてしてあげなきゃイケないんだもん!*3
「……行かなきゃ」
イマジナリーお姉ちゃん棒を叱ってあげて、街を射精で沈めちゃダメなんだよってお説教してあげなきゃ。もう迷惑も射精アロマも、掛けちゃダメって教えてあげなきゃいけないの!*4
「──危ないですよ?」
けど、ハナコちゃんにお声を掛けられて、足が止まっちゃった。
心配してる声、だったから。
「ハナコちゃん……」
「メブキちゃんが行ったとしても、あの大きなイマジナリーお姉ちゃん棒は、お話を聞いてくれないかもしれません。大きすぎて、メブキちゃんの声は届かないかもしれない」
声を掛けてくれたのはハナコちゃんで、言ってることも間違ってない。
セイアお姉ちゃんも、おんにゃのこって言うとおまんまんと聞き間違えてお説教してくることがあるし、イマジナリーお姉ちゃん棒もそうなっちゃう可能性があるの、分かるよ*5。
でもね、ハナコちゃんは心配だけしてるおめめじゃなかった。ハラハラしちゃうけど見守ってくれる、お姉さまの瞳をしてて。
「それでも……行きますか?」
「うん、家族なんだもん」
だからね、遠慮なんかしないで、思ったことそのままを口にしたの。
ハナコちゃん、優しい。
分かってくれるって、分かっちゃうから。
「そう、ですか。それは……仕方ありませんね」
「ね」
困った妹(お姉様的な意味だよ!)を見守る笑みを浮かべて、ハナコちゃんは頷いてくれて。私も頷き返して、そのままイマジナリーお姉ちゃん棒(勃起)*6を諌めに行こうとしたの。
……でもね、どうしてかコハルちゃんが、お部屋の前でとうせんぼ、しちゃってたんだ。
「コハル、ちゃん?」
通してって言おうとしたけど、コハルちゃんのお顔を見て言えなくなっちゃった。
──コハルちゃんが、泣いちゃいそうなおめめで、私を睨みつけてたから。
「……なに、考えてるのよ」
「え?」
「っ、何考えてるのって言ってるの、バカバカメブキ!」
オークの軍勢を睨み付ける姫騎士みたいに、ここから先は通さないって目をしてるコハルちゃん。ウルウルしてるのに、かちこちのおにんにんみたいな頑固さがそこにはあって*7。
「お、怒ってるの、コハルちゃん?」
「──当たり前でしょ、ザコザコメブキ!!」
おまんまんに挿入されると思っていたおにんにんが、間違ってあにゃるに挿入されちゃった女の子みたいに、ブチ切れちゃってるコハルちゃん。
なんでそんなに怒ってるのか、怒らせるようなことをしちゃったのか分かんなくて、あわあわしちゃう。
なんで、だろ。
……もしかして、そういうこと?
「──生理だから、怒ってるの? ポンポン痛い?*8」
「違うに決まってるでしょっ、クソバカメブキ!!」
「にゃーっ!?」
だから、もしかしたらって思って聞くと、ブチ切れてるグーパンが飛んできたの*9。
避けられなくて、パンチがおでこに直撃しちゃう。痛いよ!?
「あうあうあうあう」
「……なんでいつも、いっつもそうなのよ、あんたは」
そのまま、私の上にマウンティングしてきたコハルちゃんに腕を抑えられちゃって、動けなくなっちゃう。
でもね、抗議しようとしたけど、言えなくなっちゃった。
──ポタポタって、温かい水が、私の顔に降ってきてたから。
「コハル、ちゃん?」
分かんなくて、大丈夫って聞こうとして。
けど、聞く前にコハルちゃんは答えてくれたの。
「あ、あんたは、もう危ないことしちゃダメなのっ」
声を震わせながら、ダメって理由を話し始めてくれたコハルちゃん。
さっきのハナコちゃん以上の心配がそこにはあって、たくさんに気持ちが詰まってて、お口が先生のおにんにんを突っ込まれたみたいに、何にも言えなくなっちゃう*10。
「あんなに大変な事があって、っ、し、死んじゃったりもしてっ。それでも、やっと落ち着いて、へいわ、で、っ、あんしんして、くらせるように、なったのに……っ」
コハルちゃんが優しいから、こうしてくれてるんだって分かる。私のこと、たくさんで好きで居てくれてるから、メッてしてくれてるんだって。
心が、ギュウってする。
コハルちゃんの気持ち、痛いくらい伝わってきちゃう。
「こんどはちゃんとまもるって、やくそく、したのっ。絶対メブキのこと、私が守るって!!」
知ってる。コハルちゃんはザコザコな私がまた死んじゃうんじゃないか、アホアホなことをして心臓がイッちゃうかもしれないって、心配してくれてることを。
私のこと、大好きな親友だって思ってくれてて、傷ついてほしく無いって思ってくれてることも。
「……だから、行っちゃダメ。大人しく、して」
グスッてなりながら、コハルちゃんは自分の気持ちをいっぱいいっぱい言葉にしてくれてた。ポタポタって、ずっと温かい気持ちをおめめから溢しながら、一生懸命に。
……ポタポタから、コハルちゃんの優しさ、伝わってきちゃうね。
「泣かせちゃってごめんね、コハルちゃん」
「な、泣いてなんかないから!」
私を抑えるのをやめて、グシグシってお顔を擦る。ポタポタ落ちてた涙を、一生懸命拭おうとしてたの。
照れ屋さんの、コハルちゃんだね。
優しくて素敵で可愛くて自慢な、世界で一番の親友さんだよ。
お陰でね、前に一生懸命になってくれてた時のこと、思い出しちゃった。
「……お空が真っ赤になった時も、コハルちゃんは私を守ってくれたよね」
あの日、何が起こってるのか分かんなくて、でも危ないことがいっぱい起こってた日のこと。お姉ちゃんや補習授業部のみんなとも会えないまま、避難してた時のこと。
『見つけた!』
『こ、コハルちゃん!?』
避難誘導に従って逃げてた時、私を見つけて手を握ってくれたのはコハルちゃんだった。一生懸命探してくれて、私が危険な目にあってないか確かめに来てくれたの。
『見つかって良かった。今度はちゃんと、見つけられた……』
『探して、くれてたの?』
コハルちゃんも怖かったと思うけど、本当はみんなのために戦いたかったって思うのに。あの日、コハルちゃんは正義じゃなくて私の味方をしてくれてたの。
『そうよ。よわよわメブキは、しっかり見てるって決めたんだから!』
『そっか。えへへ、ありがとうだよ、コハルちゃん!*11』
今もそう、なんだね。
私のこと、精一杯守ろうとしてくれてるんだね。
……ごめんね、コハルちゃん。
「そ、そうよ、今度もちゃんと私が守ってあげるから──」
「──でもね、行かなきゃダメなの。家族が悪いことしてるなら、危なくても放ったらかしにはできないよ」
ピタって、コハルちゃんの言葉が止まった。
ほんのり赤くなってる目の周りを、まん丸にしてコハルちゃんは私を見つめて。
……直ぐに、クシャってお顔になっちゃった。
「な、なに言ってるのよ! あんなバイブ、セイア様の筈ないでしょ!!*12」
「うん、イマジナリーお姉ちゃん棒は、セイアお姉ちゃんと双子さんみたいな棒で、セイアお姉ちゃん本人じゃないよ*13」
ちゃんと、セイアお姉ちゃんとイマジナリーお姉ちゃん棒は別人だよって伝えると、コハルちゃんはキッてなって。
「だったら!」
「けど、それでもお姉ちゃんなの。私が、お姉ちゃんになってくださいって頼んで、イマジナリーお姉ちゃん棒もそれを認めてくれたから」
「意味、わかんないっ」
どうしておバイブさんが家族に、なんてコハルちゃんは思ってるんだと思う。人間じゃないのに、家族なんておかしいって*14。
けど、ちゃんと心で通じ合ってたら、両思いなら家族になれるんだって、私は知ってるの。
……セイアお姉ちゃんが、そうやって私のことを家族にしてくれたから*15。
「私が、イマジナリーお姉ちゃん棒を叱ってあげたいって思ってるってこと!」
コハルちゃんは泣いちゃいながら、心の全部を見せてくれた。だから、今度は私も本音を伝えたの。心の底から、今思ってる気持ちを、隠さずに。
コハルちゃんの心がすっぽんぽんだから、私もぬぎぬぎ(心のことだよ!)しながら。
「他の知らない誰かさん、例えば先生の親戚の友達さんの奥さんとかが、道端で勃起しながらお射精してたら、怖いなって思って逃げ出しちゃうよね?*16」
「きゅ、急に何言ってるのよ!? エッチなのはダメ、しけぇ!!」
「うん、コハルちゃんは優しいから、道端射精してる人がいても、そうやって叱ってあげられるけど、私は怖がって出来ないと思うの」
「そ、そういう意味じゃないわよ、アホアホメブキ!」
えっちな例え話をすると、クシャってしてたコハルちゃんは、お水をもらったお花くらい元気になったの。本当にえっちで、仕方のない親友さんだね?
……でも、そんなコハルちゃんだから、こうして堂々とお話しできるんだよ。
「──けどね、コハルちゃんが道端射精してたら、話は別なの*17」
だから、想いの全部を伝えられちゃう。
「好きな人がイケないことしてイッてたら、ちゃんとダメだよって声を掛けてあげたい。好きな人には、道端射精しないで欲しい。……私ね、コハルちゃんのことが大好きだから、間違ってることしてたら、メッてしてあげたいの。イマジナリーお姉ちゃん棒も、それと一緒*18」
好きだから、メッてする。
イッちゃダメって、伝えてあげたい。
私の好きな貴方でいてくださいって、ワガママ言いたいの。
そういうことなんだよって、コハルちゃんにアイコンタクトする。私たちは親友同士だから、これで分かり合えるよねって。
するとね、コハルちゃんにも私の気持ちが伝わったのか、イマジナリーお姉ちゃん棒みたいにプルプルし始めたの。
もしかすると、イマジナリーお姉ちゃん棒と同期してのプルプルかもしれなかったよ!
「…………でしょ」
バイブと以心伝心になっちゃったコハルちゃんは、小さい声で何か言ったの。
「にゃ?」
よく聞こえなくて聞き返しちゃった私に──コハルちゃんはキッて、おにんにんに負けなさそうな女の子の目付きをして、そのまま私をガクガク揺さぶり始めちゃった。
「っ、っ、私は生えてないわよ!!*19」
「にゃーーーっ!?」
そうして、シャウトしたコハルちゃんは、紛れもなくブチ切れコハルちゃんになっちゃってた。お顔が真っ赤で、死刑モードのコハルちゃんだね。
「黙って聞いてたら、道端射精とか、あの変なバイブが好きとか、変態なことばっかり言ってっ、ふざけないで!!!」
「あうあうあうーっ」
まるで獣の交尾みたいな勢いのガクガク(腰は振ってないよ!)で、今日のコハルちゃんは一段と激しかったの。
……よっきゅーふまんってこと?*20
「──あんたは何で、いつもそうなのよ」
なんか、違ったみたい。
突如として、ピタってコハルちゃんの動きが止まる。そうして、ジッと、なんか不機嫌そうに私をジトーって目で見てたの。まるで、ペロロ様を見つめる時みたいな目で。
「セクシーメブキでごめんねってこと?」
「変態メブキすぎるってことよ」
コハルちゃんは定期的に、私のことをえっちさんだと思い込んじゃう悪い癖があるね。私のこと、えっちな目で見過ぎちゃってるのかな?
「……行きたいの?」
「うん、行かなきゃだよ」
でも、私のことを大事に思ってくれてるから、今すぐ襲い掛かっちゃうなんてことはしないの。コハルちゃんは、永遠のツンデレさんだから。
「……頑固メブキ」
「イマジナリーお姉ちゃん棒を止めなきゃだもん。勃起した先生のおにんにんより、バリカタメブキなんだよ!」
「メブキのラーメン屋さんなんて、麺が全部シコシコしてるでしょ。閉店よ」
「えへへ、以心伝心だね?」
「うるさい!」
言いたいこと全部伝わって、やっぱり私とコハルちゃんは親友同士なんだって分かっちゃう*21。
私の気持ちも全部、コハルちゃんに伝わってるって、言わなくても伝わってきたから。
……コハルちゃんが、もう許してくれたってことも。
「絶対、何かあったら私の後ろに隠れること。約束して」
「うん、何かあったらコハルちゃんに助けてもらうね!」
いつも心配かけちゃって、コハルちゃんもハナコちゃんも、ごめんね?
でも、心配してくれる二人のことが、とっても大好きです。これからも、よろしくお願いします!!*22
「喧嘩が始まってビックリした」
「あの二人の間では、よくあることです」
「そうなんだー」
「そういう訳で、私も行ってきます」
「なら、この地区に向かって。先生たちがいるから」
「はい、ありがとうございます♡」
ヴェリタスの部室で始まった修羅場に、皆が息を呑んで成り行きを見守っていた。ハナコも、ヴェリタスの部員たちと、それを温かく見守って。
結果、雨降って地固まって一安心。
後顧の憂いなく、惑いなく三人は出立した。
そして、現場へと向かったトリニティ三人娘を見送って、ヴェリタスの部員たちも思い出したように動き始める。
あの二人、いつもあんな会話してるのかな、とヴェリタスの全員から思われてしまったことは、公然の秘密であったとかなんとか。
セイアはヘリから身を乗り出していた。
片手には拡声器、そして眼前には……。
「あー、あー……よし、音は入っているね。こほん、イマジナリーお姉ちゃんへ勧告する。今すぐ進路を変えて、私たちのヘリについてきて欲しい」
全長19.194545mのバイブ、イマジナリーお姉ちゃん棒の威容が聳え立っていた。目が怪しげに光っている姿は、どこか灯台を想起させられる。
しかし、動かない灯台とは違い、イマジナリーお姉ちゃん棒は確実にミレニアムの海岸線へと向かっている。
もしこのまま、倉庫地区への上陸を許したら、輸出、輸入問わずに様々な品物が集積されている同地区は、多大な損害を受けることになるだろう。
そうさせない為にも、比較的に被害が少ない場所を戦場にする必要性があった。その為に、セイアはこうして拡声器片手に、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒へと呼び掛けているのであるが……。
『ワタシハ、ヘリデ、ジイコウイヲ、シナイヨ』
「そんなことは誰も言っていないっ、全て間違っているんだ!!」
悲しいかな、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒は、性欲に支配されてしまっているのか、セイアの言葉のおおよそを曲解してしまっていた。
……そう、性欲である。
イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒が上陸しようとする理由は、たった一つ。
それは──先生のお尻の穴にアロマを射精すること。
10トンを超えるアロマを先生に射精し、両思い中田氏結婚を画策しているのだ。
つまりは、先生を性的に堕とし、自分の伴侶とすることがイマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の目的であった。
そんなことに成功(性交の意)してしまったら、先生のお尻がガバガバになるだけでなく、命にまで関わってしまう。
元より、あの棒が先生を性的に狙っているのは承知であったから、絶対に阻止しなければならない性欲でしかなかった。
「ふざけてないで、こっちに来るんだ! 私はキミたちの……っ、オリジナルだ! 言うことを聞いて欲しい!!」
なので、プライドを捨ててセイアはお願いをした。
自分とあの棒が関わり合いを持ってるなど、少しでも口にしたくなどなかったのだが、遜ってでもミレニアムへの上陸を許すわけには行かなかったから。
"私は君たちの親みたいなものだから、お母さんの言うことを聞いてください"
先ほどの発言を意訳するとこうなる。
絶対に認知などしたくなかったセイアからしてみれば、明らかに苦渋の決断であっただろう。
しかし……。
『オリジナル。キミモ、センセイニ、ナカダシスルタメニ、コイガタキノ、ワタシノジャマヲ、シテイルノカイ?』
「そんなことは考えたことすらないし、そもそも私には生えていないんだ!!」
イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒は、聞く耳を持っていなかった。最悪なことに、周りにいる全ての女子は、先生に中田氏をするつもりなんだと思い込んですらいる。
イマジナリーお姉ちゃん棒たちの世界観では、フタナリ女子は当たり前の生き物であるようだった。
「私の言うことなら聞くなんて、そんなことは全然ないじゃないかっ」
進路を変えることなく、勃起している水牛の如く海を跋扈していくイマジナリークソデケェお姉ちゃん棒。その我が物顔な勃起を目の前にして、セイアは負け惜しみじみたことを吐き捨ててしまう。
IQが3の相手を、どう説き伏せればいいのか分からなくて。
「では、僭越ながら私にお任せください」
そんなセイアを見かねたのか、トキがヘリコプターのスピーカーをオンにした。何か策があるのか、惑うことのない操作で呼び掛けを始める。
「そこのあなたに、リオ様と先生の完璧なメイドである私からアドバイスを送ります。──先生と会うのに、オシャレをしなくても良いのですか?」
トキの呼び掛けに、今までのセイアの呼びかけを全無視していたイマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の動きが、僅かに鈍った。
そのことにセイアは目を丸くするが、特に口を挟むことなく見守る。どうなるのか、純粋に気になったから。
「一番可愛い姿で、先生の前に現れなくても良いのですか?」
明らかに、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の速度が低下していた。トキの言葉に、何か思うことがあると一目で理解できてしまう。
『……キレル、フクガ、ナインダ』
だが、それも一瞬のこと。悲しげに呟いた後、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒は再び動き始めてしまう。トキの呼びかけは、残念ながらわずかながらの効果しか、存在しなかった。
「そういうこと、なのか。これは……」
──だが、セイアにはそれで十分だった。
イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の習性が、今の一幕でなぞれてしまったからだ。
断じて、自分と似ているバイブであるから、などという理由ではない。少なくとも、セイアは強くそう思っていた。
「何か、手掛かりを掴めましたか?」
「嫌なことにね」
なので、セイアは再び身を乗り出した。
自分の都合を押し付けるのではなく、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の琴線に触れる言葉を発信する為に。
「イマジナリーお姉ちゃん棒に通告する」
ただ、セイアは苦い顔をしていた。
自分は今、先生の大事なものを売り飛ばそうとしているから。
……けれども、これしか方法がないのも事実ではあったから。
「は、外れの灯台で──先生が、キミに抱かれる準備をして待っているっ」
さっきは鈍っただけだったイマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の動きが、今度は完全に停止するに至った。
セイアは心の中で先生への謝罪を繰り返しつつ、更にイマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の情欲を掻き立てるシチュエーションを提示した。
「キミに抱かれる為に、お尻の穴を洗浄して、お風呂に入って、白のブリーフを穿いてるんだ!」
……セイアの名誉を守るために明記するが、常日頃から自分がこんな変態プレイを先生としたい、などと妄想してなどいない。勘違いをしないであげて欲しい。
だが、恥を忍んで伝えたシチュエーションは、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒のリビドーを、確かに刺激して。
『ゲキモエ、ダネ。ウッ、イク』
「……は?」
そのあまりにも蠱惑的なシチュエーションに、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の股下辺りに、エネルギー反応が収束した。
──そしてそのまま、股間の辺りからクソ謎アロマビームを発射したのだ。
幸いにも、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒には恥じらいの概念があったため、やや屈み気味にそれは発射された。
緑色の謎光線は、陸地ではなく近場の海面へと着弾して……。
一瞬の静寂、その後に激しい水飛沫が辺り一面に降り注いだ。
「何なんだそれは!?」
思わず悲鳴をあげるセイアに、トキはすかさず海面を指さした。
「イマ姉棒元締めのセイアさん、あちらをご覧ください」
「ん?」
あんまりの出来事に脳が停止した状態であったため、トキの指示に考えることなく従ったセイアは……そこで、奇妙な光景を目の当たりにすることとなった。
ミレニアムで密かに可愛がられていた、野良アザラシのマリンちゃん(オス)が──近場にいたホホジロザメに発情して、挿入している姿を。
「意味が分からないが、だから何なんだ!?」
見たくもない光景を見せつけられて、セイアは更に混乱が加速する。しかし、トキは何の意味もなく、この異種姦を見せつけたわけではなかった。
「あそこだけではありません、あちこちで同様の事態が頻発しています」
「……は?」
思わずヘリから身を乗り出して海面を眺めたセイアは、浅い海面の上であるのに、魚たちがそこら中で産卵して、海がほんのり白くなっている様を確認してしまった。
「どういう、ことなんだ……」
呆然とするセイアに、トキは状況証拠からの推察を口にした。
「恐らく、先ほどの光線には発情を促し、性欲を増大させる効果があったのだと思われます」
簡素に纏められた言葉には、否定する要素が全くない。むしろ、現状がそれを肯定しているといっても過言ではないだろう。
認め難い現実を前にして、セイアは呆然と、その狂態を眺めているしかなかった。
『──センセイニ、アイニ、イカナケレバ』
ただ、先ほどの射精ビームで、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒は落ち着きを取り戻したのだろう。
ゆっくりと向きを変えて、外れの灯台があるエリアへと向かい始めた。
セイアは先生の貞操を餌にして、イマジナリークソデケェお姉ちゃん棒の進路を変えることに成功したのだ。
「任務完了です、お疲れ様でした」
トキの言葉を耳にして、それが脳に染み込むまで10秒ほどの時間が掛かった。
しかし、ちゃんと言葉の意味を理解してから、セイアは勢いよくトキの方へと向き直った。このまま、先生を売り渡して自分だけ帰る、なんてことは絶対にしたくなんてなかったから。
「私も現場へと向かう、追いかけるんだ!」
その指示に、トキは無表情ながらも確かに頷いた。
まだ、セイアの戦いは終わってなどいない。
先生のお尻の平和を取り戻す為に、まだやるべきことがあったが故の追撃であった。